欧州海上安全レポート

No.25-04「月刊レポート(2025年8月)」
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目次

 1. EMSAのアンモニア安全性研究
 2. EU水素基準採択
 3. Frontex規則改正
 4. 海上インフラの軍事活用

 

25-04-1. EMSAのアンモニア安全性研究

⚪︎ポイント
 ・技術的課題の明確化と業界実装指針の提供
 ・2025-2026年の実用化本格化予想
 ・示唆 → 日本の造船・海運業界への技術情報源として重要

⚪︎概要
 欧州海事安全庁(EMSA)は、船舶用燃料としてのアンモニアの安全性に関する追加報告書(第3~5部)を公表しました。報告書では、一般的な船舶設計や特定の船種(バルクキャリア・RORO船)におけるリスク評価と安全対策を提示しています。IMOのガイドラインと整合を図りつつ、今後の規制策定に向け、関係者からの意見募集も行われています。

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25-04-2. EU水素基準採択

⚪︎ポイント
 ・70%削減基準による技術開発方向性の決定
 ・国際的な燃料規格策定のモデルケース
 ・示唆 → 日本の燃料戦略への影響と競争力確保の必要性

⚪︎概要
 欧州委員会は、航空・船舶・工業用など電化が困難な分野向けに、CO₂排出削減型水素およびその誘導体(アンモニア、メタノールなど)を「低炭素燃料」として定義する新たな基準と方法論を採択しました。これにより、温室効果ガス排出を従来の化石燃料比で70%以上削減する水素等が対象となり、EUの脱炭素戦略における重要な制度的枠組みが整備されました。

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25-04-3. Frontex規則改正

⚪︎ポイント
 ・統合国境管理の効果的実施への試金石
 ・政治的議論の活発化予想
 ・示唆 → アジア太平洋地域での協力枠組み構築への参考

⚪︎概要
 欧州委員会は、EU外部国境の安全確保を担うFrontexを統括する規則の改正に向け、関係者からの意見募集を開始しました。過去の評価で権限の不明確さや訓練基準の不統一といった課題が明らかになったことを受けた措置です。改正は、技術力の向上、常設部隊への対応、第三国との協力強化などを目的としており、2026年第3四半期に改正案が提出される予定です。

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25-04-4. 海上インフラ軍事活用

⚪︎ポイント
 ・民生インフラの軍事転用という新アプローチ
 ・Eagle S事件の法執行への影響
 ・示唆 → 官民連携の重要性再確認

⚪︎概要
 ポーランドやベルギーでは、海上風力発電所の建設において、ハイブリッド脅威を念頭に置いた監視機能の強化が進んでいます。風力タービンにレーダーやセンサーを装備し、不審な船舶やドローンの監視を行うことで、エネルギー供給インフラの防衛に貢献する仕組みです。バルト海で発生した海底ケーブル破壊事件を受け、風力発電設備の安全保障上の役割が注目されています。

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