欧州海上安全レポート
No.25-01「特集 無人運航船の法的責任(考察1)」
本記事は「令和5年度 無人運航船の法的責任に係る国際的な検討状況に関する調査業務」の調査報告書に基づき作成したもです。
(author)
三好登志行(弁護士、海事補佐人)
佐藤健宗法律事務所
第3回 裁判管轄権と設計における過失
3.自動運航船と刑事責任
(1)基本的な考え方
自動運航システムは、フェールセーフの原則に基づき、二重、三重にも危険を回避する措置を講じ、さらには、一定のマージンをとって運航されるものと思われる。加えて、運航領域、運航設計領域を設定しすることにより、特定の条件下においてのみ、いわゆる自動運航を行うことを許容することになる。 続きを読む...
英国運輸省は、23年9月、無人運航と遠隔操作の規制の見直しに関するコンサルテーション(意見公募)の実施結果「Future of Transport Regulatory Review: Maritime Autonomy and Remote Operations」を発表した[i]。このコンサルテーションは、2021年(令和3年)9月28日から11月22日までの間、英国政府が示した3回目の提案[ii]について実施され、その結果、産業界および一般市民合計50の団体・個人から回答があり、それら10のテーマに沿って英国政府の見解も示された。
本稿では、その中から、遠隔操縦センターの法的地位、海事セキュリティ、そして保険と責任について紹介する。 続きを読む...
ディープオーシャン社DeepOcean、ソルスタッド・オフショア社Solstad Offshore ASA、およびオーステンショー・レデリ社Østensjø Rederiの合弁会社であるUSV AS社は、無人水上艦(USV)の初契約を発注した。このプロジェクトの主要サプライヤーであり、自律航行システムと無人ソリューションにおいて業界を代表するマリタイム・ロボティックス社が、無人航行を可能にする自律航行システムの統合を提供する。USVの初号機は、さまざまな海面下作業に対応できる全長24メートルの船舶で、陸上のコントロールセンターから操作され、最大30日間無給油でオフショア作業を行なうことができる[i]。 続きを読む...