海難防止の調査研究
航行環境の変化、船舶の性能や装備の技術進歩による船舶そのものの変化、漁業環境の変化等に対応した取り組みが必要です。また、船舶のふくそうする海域では、海上交通の安全をシステムとしてとらえた取り組みが必要です。
当協会では、これらの変化に応じ、海事社会のニーズに応じた海難防止にかかる各種調査研究に取り組んでいます。
1. 港湾計画の検討
2. 東京湾における管制一元化に関する調査研究
船舶交通がふくそうする東京湾において、船舶交通の効率化・安全性の確保と大規模災害発生時の安全かつ円滑な避難と被害の最小化のため、海上保安庁においては、東京湾海上交通センターと各港内交通管制室を統合し、湾内を一元的に管制する体制を構築しました。当協会では、海上保安庁の新体制構築に際して、新しい管制システムによる災害時及び平時の運用シミュレーションを行い、船舶交通の安全性及び効率性の向上にかかる効果を検証する等の調査研究を行いました。
3. 準ふくそう海域における安全対策の構築に関する調査研究
海難発生の蓋然性が高い、伊豆大島西岸沖(伊豆大島と伊豆半島に挟まれた海域)における安全対策構築のため、船舶の通航状況、漁業操業状況及び船舶海難の発生状況等を調査研究し、東西交通流を分離するための整流化方策(推薦航路案)を取りまとめました。この整流化方策は、IMO(国際海事機関)による検討を経て、平成30年(2018年)1月1日から推薦航路の設定がなされました。
4. 船舶交通と漁業操業の安全な海域利用の調査
船舶交通と漁業操業とが近接している海域では、海運関係者と漁業関係者との間で共通の課題意識を持って、円滑で安全な海域利用につながるようにすることが必要です。このため、毎年、「船舶交通と漁業操業に関する問題の調査事業」を行っています。
最近では、AISや国際VHFの問題点や有用性に関する調査研究、東京湾及び瀬戸内海の漁業操業状況について調査を行いました。
漁業操業状況の調査結果については、「漁業操業情報図」として取りまとめました。この「漁業操業情報図」は下記リンク先からダウンロードできます。
5. 入出港等航行援助業務に関する調査
近年の入出港船舶の大型化及び機能の多様化に対応するため、港湾における水先に関する技術的諸問題について調査を行っています。
最近では、寄港が急増している大型客船等の水先人による嚮導(きょうどう)時の安全かつ円滑な入出港操船に資するため、船舶の諸元・操縦性能、各港湾の安全対策の調査研究・分析等を行い、入出港に関する留意事項等を取りまとめました。