欧州海上安全レポート

No.25-11_1 記事
No.25-11-4. FRONTEX、衛星技術の活用可能性を報告

2025年12月5日、Frontexは、国境管理における地球観測(EO: Earth Observation)技術の活用可能性を整理した報告書[4-1]を公表しました。Frontexは欧州委員会から委任を受け、2015年以降、Copernicusの国境監視サービス(CBSS: Copernicus Border Surveillance Service)の提供・発展を担っており、本報告書はこうした運用経験も踏まえて作成されたものです。Frontexは、衛星等の技術は現場の要員を置き換えるものではなく、展開前の状況把握を助け、各国当局の活動を支えるものだと説明しています[4-2]

 

報告書では、海上監視、船舶検知、沿岸および国境前方(pre-frontier)監視、越境犯罪の追跡、陸上国境監視、不規則移民の監視という6つのユースケースを取り上げています。各分野について、ユーザーニーズ、運用例、SWOT分析を示し、EOが実務でどこまで有効かを整理しています。

 

海上分野については、衛星・航空データが、広域海域での状況把握や不審な動きの検知、捜索救助(SAR)の計画立案、越境犯罪の追跡支援などに役立ち得るとされています。一方で、治安環境の変化やサイバー攻撃リスク、他の情報源との統合といった観点から、技術の限界や運用上の課題も検討対象になっています。

 

本報告書は、国境・沿岸警備当局(国境管理任務を担う沿岸警備を含む)、政策立案者、研究者などに向けた共通の参照資料として位置づけられており、今後のCBSS等のサービス発展にも資する内容とされています[4-3]

(日本海難防止協会ロンドン事務所長 立石良介)

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