2021/03/22LROニュース(7)

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  • 2021.03.23 UP
    2021/03/22LROニュース(7)
    • 【1】ICS:各国の新たな渡航制限による船員交代への影響等を懸念
      • 【1】海運業界は、新型コロナウィルスの新たな変異種に対応するために各国政府が課している渡航制限によって船員の交代が困難となっており、これにより影響を受ける船員の数が増加していることを懸念している。最新の分析では、船員交代の危機により影響を受けている船員の数は現在20万人となっており、本国に帰国できない船員が40万人に達していた状況からは減少しているが、新たな変異種により各国政府は国境の管理を厳格化し、移動制限を再導入しており、船員交代が困難な状況になっている。現在はIMO加盟国55カ国などが船員を基幹労働者(Keyworkers)に指定しているが、船員が再びパンデミックの影響を受けないようにするため、さらなる取組みが必要である。2020年12月には国際労働機関(ILO)が、各国政府が2020年の海上労働条約に従って船員の権利を保護できていないと指摘している。船員への優先的なワクチン接種に関する懸念にも対処する必要があり、一部の国で検討されているワクチンパスポートは、途上国の船員が早くとも7月まではワクチン接種を受けられない可能性が高いなか、船員交代に潜在的な障壁をもたらす。国際海運会議所(ICS)は、船員交代の危機は解決されていないものの管理が容易な状況にまで回復しているが危機はまだ続いていると述べ、国際運輸労連(ITF)も、状況は簡単に制御不能な状況になる可能性があると述べている。
      • 原文 March 19, 2021 ICS (若林健一)
    • 【2】米海域で大型タンカーへ初のShip-to-ShipでのLNGバンカリングが完了
      • 【2】露国営の石油/LNG輸送専門海運会社のソヴコムフロトは、Shell社と2隻のLNGタンカーの長期用船契約を結んでおり、そのうちの1隻であるGagarin Prospectは、載貨重量114,000dwtのアフラマックスタンカーで、バルト海と北欧で原油および石油製品を輸送するため通年で運航されている。同船は米テキサスのコーパスクリスティ港から欧州へ航海中の3月15日、フロリダのカナラヴェル港沖で初のShip-to-ShipでのLNGバンカリングを実施した。同船はバンカリングのため、半日程度を要して本来の航路から150海里の変更を余儀なくされたものの、バンカリング作業は11時間で終了し、洋上LNGバンカリング船Q-LNG4000から1,075㎥の舶用LNG燃料を受け取った。Q-LNG4000はQ-LNG社によって建造されたばかりのタグボートと艀が連結された米国初の洋上LNGバンカリング船で、同船もまたShell社との長期用船契約を結んでおり、カナラヴェル港を拠点にLNG運航船へバンカリングを行っていく予定である。ソヴコムフロトは2018年に初めてロッテルダム港でバンカリング事業を開始したが、この度の成功はエネルギー輸送が環境に与える負荷を軽減するための取り組みの進展を示す新たな節目であり、大西洋を横断するタンカー貿易におけるLNGバンカリングインフラの急速な拡大を実証したとコメントした。
      • 原文 March 19, 2021 gCaptain(植木エミリ)
    • 【3】比が220隻余りの中国漁船を退去させるよう中国に要求
      • 【3】比政府は3月21日、南シナ海の自国の排他的経済水域内に位置するジュリアン・フェリペ礁(牛軛礁)周辺に200隻以上の中国漁船が集結しているとして、比の海上権益を侵害していると述べて中国政府に対してこれらの漁船を退去させるように要求した。比当局によると、比沿岸警備隊は3月7日に、同礁に中国の民兵が乗船していると思われる約220隻の漁船が係留していると報告していた。比国防相は、比の権益を侵害し、比の主権が及ぶ海域に侵入したこれらの漁船を直ちに撤収させるように中国政府に対して求めると述べた。比軍は、報告内容をさらに検証するために上空及び海上で哨戒を実施したとしており、その調査結果は他の政府機関にも提供され、外交上の抗議に限定されることなく他の適切な行動をとるための根拠として使用されるとしている。中国外務省報道官は、中国漁船は付近の海域で長期間漁を行っており、最近海上荒天のために同礁周辺に避難していると説明し、このことは通常にあり得ることですべての国がこれを合理的であると評価することを願っていると述べている。比省庁間タスクフォースは3月20日に、この地域でのこれら漁船の存在は、漁業資源の乱獲や海洋環境の破壊、そして航行安全上のリスクについて懸念を生じさせていると述べている。
      • 原文 March 21, 2021 Reuters (若林健一) 
    • 【4】韓国の造船企業が液化CO₂輸送事業への参入を発表
      • 【4】韓国の現代尾浦造船とその親会社であるKorean Shipbuilding & Offshore Engineering(KSOE)は3月22日、液化CO₂輸送タンカーの開発のため、米国船級協会(ABS)およびMarshall Island Registry(MIR)との共同開発プロジェクトへ署名したことを発表した。このプロジェクトは造船企業の脱炭素化戦略に沿うととともに、IMOの2050年までの目標とも協調しながら進められる。合意条件に従って、現代尾浦造船はガス輸送船の建造で培った専門性を基に液化CO₂輸送船と個別の貨物収容システムの開発を行い、KSOEは運航中にCO₂が大気中へ放出されないよう、新技術を応用した輸送処理システムの開発を行う。この新たな船舶は発電所や製鋼所から排出されるCO₂を液化して貯蔵施設へ輸送することを目的としており、ABSとMIRは、当該船舶の国際法およびIGCコードとの整合性を検証する。現代尾浦造船とKSOEは今年中に、ABSから当該船舶の設計についての基本承認を確保することを目指している。低炭素社会の実現に向けて、炭素回収・貯留技術は大きな関心を集め始めており、国際エネルギー協会によると、炭素の回収/利用/貯蔵(CCUS)は2070年までに累積CO₂排出量を15%削減することを目指しており、炭素中立が実現した場合、年間69億トンのCO₂削減に貢献することが期待されている。
      • 原文 March 22, 2021 Offshore Energy(植木エミリ)
    • 【5】英国政府が海運の脱炭素を加速するため研究開発コンペを実施
      • 【5】英国政府は、船舶や港湾の脱炭素化を実現するためにプロトタイプとなる船舶や港湾インフラの開発を支援する2,700万ドル規模の研究開発基金によるコンペを開始した。政府は、この基金が支援する新技術により、英国が新型コロナウィルスのパンデミックからより環境に優しい形で立ち直ることができると期待している。英国運輸相は、英国は誇り高い造船の歴史を有しており、業界と共に将来の革新的技術を開発し脱炭素の目標を達成したいと述べ、電気推進の船舶や水素エネルギーを使用する港湾など、英国が進む道に変化を起こし、仕事や繁栄をもたらすと期待を述べた。海事担当の政務次官は、海運に密接するプレジャーボートと洋上風力発電の2分野についても脱炭素化を達成するための研究開発を政府が支援するとしている。プレジャーボートやヨットは、年間約22億ドルの輸出収入を上げており、全国で4万人の雇用を維持しており、Carbon Trust社のCEOは、プレジャーボートの分野はさまざまな船舶が含まれており固有の課題が存在するため、開発と取組みを加速するには対象を絞った支援や業界を超えた連携などが必要であると訴えている。the Offshore Renewable Energy (ORE) Catapultと作業船協会が連携して取り組んでいる研究では、北海の洋上風力発電施設の運用や保守に使用する船舶を2025年までに脱炭素化することを目指している。
      • 原文 March 22, 2021 The Maritime Executive (若林健一)
    • 【6】ワクチン普及率の向上と需要復活に伴い原油価格が上昇
      • 【6】原油市場では、3月に入ってから欧州でコロナウィルスの感染者数が急増し、石油需要の早期回復が見込まれないとして下落していたが、3月19日には2%上昇した。血栓を引き起こすリスクがあるとして接種が中断されていたアストラゼネカ社製のワクチンの危険性が証明されなかったため、独や仏での接種再開が発表されてからブレント原油の価格は2.1%上昇し、1バレルあたり64.63ドルになった。West Texas Intermediate(WTI)も2%上昇し、1バレルあたりの61.45ドルになったが、需要への不安から価格は依然として9%下がると予想されている。ゴールドマンサックスの分析によると、欧州での需要とイランの供給によって、石油市場が再びバランスを取り戻すのは鈍化し、第二四半期には日量75万バレルになると分析しているが、石油輸出国機構(OPEC)と同盟国はそれを相殺するため生産を削減することが予想されている。また今後数か月で世界の石油需要は大幅に増加し、夏にはブレント価格が1バレルあたり80ドルに到達すると予測している。一方3月19日時点で1億人以上がワクチン接種を終え、感染者数も着実に減少している米ではガソリンの需要は通常レベルまで近づきつつあり、Energy Aspectの専門家は、石油価格は今後も、国内外での旅行が増えることによって上昇するだろうと分析している。
      • 原文 March 19, 2021 Ship&Bunker(植木エミリ)
    • 【7】 英首相が欧州で広がる感染拡大の第3波が英国にも到達する可能性を警告
      • 【7】英国のジョンソン首相は、欧州全域に広がる新型コロナウィルス感染拡大の第3波が英国にも向かっている可能性があると述べ、国民に向けて警告を発した。首相は3月22日に記者団に対して、過去の経験から、隣国で感染が拡大するとその影響が英国にも及ぶことが予測され、我々はこれをやがて感じるだろうと語った。EUが検討している英国へのワクチンの輸出禁止措置が英国内のワクチン接種の計画に与える影響について問われた首相は、過去数カ月にわたってEU側と対話を続けており、そのような事態は起こるとは考えていないと述べ、ワクチン接種のプログラムは継続され、制限の緩和もロードマップに沿って順調に進んでいると強調した。
        ※3/21の英国の感染者数:5,312人(日本1,522人の3.4倍)
        ※3/21の英国の死者数:33人(日本人22の1.5倍)
      • 原文 March 22, 2021, Reuters (若林健一) 
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