2021/03/18LROニュース(7)

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  • 2021.03.19 UP
    2021/03/18LROニュース(7)
    • 【1】デンマークが海賊対処のためにギニア湾にフリゲート艦を配備
      • 【1】デンマークは世界第5位の海洋国家であり、同国の海運会社などが運航しギニア湾を航行する船舶の数は一日当り平均30乃至40隻に及び、年間16億ドルの貿易額を担っているが、デンマーク政府は、ギニア湾の安全保障に関する状況について深刻な懸念を表明し、2021年秋にフリゲート艦を配備する計画を発表した。同国国防大臣やMaerskを含む海運会社はギニア湾の危険性について指摘し、船舶の乗組員の安全や自由な航海の権利を保護するために、より規模の大きい対策の必要性を訴えていた。同国は2021年1月にギニア湾の問題に対処するための海上安全保障担当の特別代表を任命している。フリゲート艦は、気象・海象が穏やかとなり例年民間の活動が活発になる11月ころから翌年3月までの5ヶ月間ギニア湾に配備される予定で、国防省と外務省の共同声明によると、フリゲート艦の任務は、海賊に対処し、同海域を航行する民間船舶を支援し、護衛することであり、ヘリコプターを搭載し、ハイジャックされた船舶の救助活動を実施するための訓練を受けた特殊作戦部隊も配備することが可能である。フリゲート艦はデンマークによる指揮の下公海に配備されるが、同海域で活動する他の同盟国との連携にも取り組むとしており、同国外務大臣は、外交的貢献と軍事的貢献の双方の観点から鋭敏な措置を講じると述べている。本件は外交委員会で議論され、今後デンマーク政府は議会による決議を求める予定としている。
      • 原文 March 17, 2021 The Maritime Executive (若林健一) 
    • 【2】Getting to Zero Coalition:アンモニア燃料船の導入が急増中
      • 【2】2030年までにゼロエミッション船の商業的な実用化を目指すGetting to Zero Coalitionが発表した、船舶技術や燃料生産・バンカーリング・充電設備などの実証プロジェクトについて網羅した報告書の第2版によると、プロジェクトの件数が過去1年間で66件から106件に急増していたことが分かった。特に過去数年でアンモニアを動力とする大型船の導入は増えつつあり、大規模なアンモニア実証プロジェクトは合計14件となって、新造船の発注も多く行われた。今年初めにはギリシャの船会社Avin International LTDが、中国の造船企業New Times Shipbuilding Co.に世界初となるアンモニア燃料対応船の建造を依頼し、同船は現在建造中である。またメタノール/エタノールに関するプロジェクトも増えており、メタノールを輸送するだけでなくメタノールで航行するための大型タンカーも現在建造中である。小型船に関しては、水素やバッテリー、またはその二つを融合したプロジェクトへの傾向が続いており、2020年前後で開始されたものを比較すると、バッテリー電力・バイオ燃料・風力推進に焦点を当てたプロジェクトの割合はわずかに減少していた。過半数となる71件の計画が欧州と強力な繋がりをもっていたが、アジアの計画件数は初版では16件だったのに対し2版では31件とほぼ倍増していた。また半分強にあたる54件の計画が何らかの公的資金を直接受け取っており、資金の大部分は欧州から提供され、公共投資の大部分は大規模な燃料生産計画へ提供されていた。
      • 原文 March 18, 2021 Offshore Energy(植木エミリ)
    • 【3】SeaBotXR等が自律運航船の運用に必要な技術や能力の基準設定に取組む
      • 【3】次世代の海事教育を専門とするSeaBotXRは、英国国立海洋学センター(NOC)、英国海軍、その他の関係者と協力して「Apprenticeship Trailblazer Group」を立ち上げ、発展を続ける自律運航船(MASS)に関する分野についての必要な技術や能力を特定し、海上及び海面下の双方における遠隔操縦船又は自律運航船の運航に必要な見習い制度の開発に取り組む。MASSは乗組員がほとんど又は全く乗船しない状態で運航されるが、その導入により高度な海技訓練を受けた要員の必要性が減少することはないものの、MASSを監視し制御するために必要な能力は劇的に変化すると考えられ、SeaBotXRのCEOは、海事業界ではこの課題に対する認識が不足していると指摘している。Apprenticeship Trailblazer Groupは同社が議長を務め、メンバーには英国海軍に加え、地理情報を専門とするFugro、国立海洋学センター(NOC)、海洋ロボット企業のOcean Infinityが含まれ、P&Iクラブなども参加して、それぞれがMASSの運航に必要な技術要件の構築に取り組み、船舶に乗船する乗組員と同様の意思決定能力を備えた労働力を生み出すことを目指し、見習い制度の規制当局であるthe Institute for Apprenticeships & Technical Educationによる開発プロセスを通じて支援を受けている。当グループはまず、中小規模のMASSを安全に航行、制御、管理するために個人に求められる基本的な技術と能力の特定と、これらに適切な資格を与えることから着手し、さらに、新たに必要となる技術を分析し、職業や訓練の基準を定義する。
      • 原文 March 16, 2021 英国国立海洋学センター (若林健一) 
    • 【4】CCUSによって英国初のCO₂輸送産業を目指す計画
      • 【4】英国で2番目にCO₂排出量の多い工業地帯を有する南ウェールズでは、英国政府が掲げる「グリーン産業革命」ための10項目計画の一環として、2040年までに世界初の炭素中立な工業地帯を実現することを目標としている。このプロジェクトは現在、南ウェールズの水素経済に必要な脱炭素化スキームとインフラを調査するフェーズ1を終え、2500万ドル(約27億円)以上の資金を獲得してフェーズ2に移行している。フェーズ2では脱炭素化手段を模索するためのエンジニアリング研究を行い、これには水素の利用と生産・炭素回収/利用/貯蔵(CCUS)に加え、南ウェールズからCO₂を輸送することが含まれており、英国全体で初のCO₂輸送産業になると共に、同地域にとって全く新しい産業を創出することになると考えられている。当該プログラムでは、再生可能エネルギーと輸入LNGの両方から水素を製造し、同地域に現存するガスネットワークを転用して水素を供給することが検討されており、南ウェールズ沿岸部で産業用のCCS技術や水素を豊富に含んだ天然ガスを利用して生産されるクリーンな電気は、同じく同地域から運搬される。この計画は英国の建設・エンジリニアリング企業のCostain主導の下、世界初の炭素中立工業地帯の実現に向けて地域全体で取り組んでおり、英国のCO₂削減政策に貢献すると共に、現地での低炭素またはゼロ炭素なセメントや鉄鋼製品の製造能力を強化し、英国の建設業やその他の分野の低炭素化を推進することを目指している。
      • 原文 March 17, 2021 Maritime Executive(植木エミリ)
    • 【5】英国政府が入国時の隔離措置などの対象から船員を免除
      • 【5】英国運輸省は3月15日、すべての国籍の船員を対象に3月19日午前4時から入国時の強制的な隔離措置やコロナウィルスの検査の実施を免除することを発表した。これにより船員は船舶への乗船や、陸上での休暇の取得、感染率が高いとされ渡航が厳しく制限されている国からの帰国などが可能となり、政府が指定するホテルでの10日間の隔離や義務的なコロナウィルスの検査を受ける必要がなくなる。世界各地の船舶の間を行き来する必要がある船員は、コロナウィルスの国際的な拡散を防止しようとする各国が課す渡航制限によって影響を受けており、英国海運会議所は、船員は基幹労働者であり、貿易の流れを維持する上で重要な役割を果たしているとして、今回の政府の決定を歓迎している。
      • 原文 March 18, 2021 Seatrade Maritime News (若林健一) 
    • 【6】棚氷の分裂によって50年ぶりに南極の新たな海洋生態系が明らかに
      • 【6】独アルフレッド・ウェゲナー研究所の調査船Polarsternは、2月末に南極のブラント棚氷から巨大氷山A74が分離したことによって露出した南極海底の生態系調査に成功した。これまで、複数の研究グループが棚氷から分離した氷山の下で独自の生態系がどのような営みを行っているのか理解するため現地調査を試みてきたが、南極での生態系調査は適切なタイミングでその場所にいることが難しく、このような規模での氷山の分離が起こることが稀なうえ、海氷の状態によって目的地にたどり着くことが困難だった。同船はA74が棚氷から分離した時には既に予定されていた遠征調査のためウェッデル海東部を航行しており、天候が落ち着いたタイミングを狙って棚氷と氷山の間の狭い隙間に滑り込んで、海氷に覆われていない海底の様子を50年ぶりに観察した。同船は海底観測および水深測量システム(OFOBS)を使用して、5時間以上に渡って約1000枚の高精細な画像と動画を撮影し、長い間氷で覆われていたにも関わらず、発達した多様な海底の生物群集を確認した。生物の大部分は氷の下へ運ばれてきた微細な物質を食べ、柔らかい泥の上で繁殖している濾過摂食動物(filter feeder)で、他にも少なくとも2種類の魚や5種類のタコ、様々な軟体動物も発見された。ウェッデル海東部は、南極半島に隣接する西側のように温暖化の影響を受けていない点では関心が高いが、予測によると今世紀末までに北から暖かい海水が定期的に流入してくる可能性が懸念されている。
      • 原文 March 17, 2021 BBC(植木エミリ)
    • 【7】4月以降のワクチン供給量が大幅に減少する恐れ
      • 【7】英国の国民保健サービス(NHS)が地域の保健当局に対して、イングランドでは4月以降に新型コロナウィルスのワクチンの供給量が著しく減少する可能性があることから、新たなワクチン接種の予約を受け付けないように文書で通知していたことが3月17日に明らかになった。翌18日、英国保健相は、インドで製造しているワクチンの入手に遅れが生じており、4月以降のワクチン供給量に大幅な減少が生じることを明らかにしたが、本件はロックダウン緩和のロードマップには影響しないと述べ、1回目の接種から12週の間隔で実施するとしている2回目の接種に必要なワクチンも確保できていると述べた。

        ※3/17の英国の感染者数:5,758人(日本1,132人の5.1倍)
        ※3/17の英国の死者数:141人(日本人56の2.5倍)
      • 原文 March 17, 2021, BBC (若林健一) 
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