2021/03/17LROニュース(7)

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  • 2021.03.18 UP
    2021/03/17LROニュース(7)
    • 【1】 バルチラがCCS技術を船内で採用できる可能性を強調
      • 【1】スクラバーの大手メーカーであるバルチラ社は、船舶からのCO2排出量を削減する方法として、船内に炭素回収貯留(CCS)システムを設置できる可能性が高いとみている。同社は、CCSを海上で開発および拡張する方法を調査するために広範な研究開発を行ってきたとして、初期の調査結果では船舶にCCSシステムを設置することは技術的に実行可能であることが示されたと述べ、ノルウェーのモスに1MWの実験施設を設置している。同社によれば、CCSは脱炭素化の推進において中心的な役割を果たさなければならないが、現在まで業界全体に単一的な技術的解決策は存在せず、CCSは特に既存の船舶の排出量を削減するのに有用である可能性がある。同社は、スクラバーなどの既存の実績のある技術の成功に基づいて新たな技術を構築することが業界の脱炭素化の目標を成功するために不可欠であると述べている。一方で燃焼した燃料1トン当たり3トンのCO2が発生することから、CCSには捕捉した炭素を貯蔵するためのスペースを確保する必要があるなど、独自の技術的課題も存在する。
      • 原文 March 16, 2021 The Maritime Executive (若林健一)
    • 【2】 西グリーンランドのプラスチックごみの大部分が地元由来
      • 【2】グリーンランドの海岸沿いでは、人口がまばらな地域にも関わらずプラスチックごみが容易に発見されるため、こうしたごみの多くは海流に乗って中緯度の地域から運ばれてきているのではないかと考えられていた。2019年にグリーンランド西部で行われた沿岸の清掃活動では300kgのプラスチックごみが回収されたが、グローニンゲン大学等の研究者がこうしたごみの分析を行ったところ、大部分が地元由来で、地域社会や集落で使用されている日用品だったことが明らかになった。海洋プラスチックごみの発生源を特定するのは非常に難しく、別の地域では回収された4トンのごみのうち起源を特定できたのは939品だけで、そのうちグリーンランド以外から来ていたのはわずか4品だった。ごみのほとんどは漁業/狩猟/ボートといった屋外での活動で使用された製品や食品パッケージなどの消費者ごみだった。グリーンランド全体の研究では、海流は国外のごみがバフィン湾に入り込むことや逆に国内のごみが海外に出ていくのを妨げている可能性が示された。国外からのごみは高い確率でグリーンランド東海岸・アイスランド・スヴァールバル諸島周辺で見つかっている。観測の結果、紛失したり廃棄された漁具が最も厄介な海洋ごみの発生源であることが確認されており、また北極海に流れ込むロシアの川は大量の廃プラスチックを放流し、最終的には海氷になる可能性も指摘されている。他にも、未処理の排水をフィヨルドに放出する不十分な地方自治体の下水道システムも懸念されている。
      • 原文 March 16, 2021 Arctic Today(植木エミリ)
    • 【3】 イランがコンテナ船への攻撃の背後にイスラエルがいる可能性に言及
      • 【3】イランのメディアは、先週地中海で発生したイラン船籍のコンテナ船に対する攻撃の背後にはイスラエルがいる可能性が高いとイランの調査官が述べたと伝えている。3月12日にイランは、コンテナ船が爆発物を使った攻撃を受け小規模な火災が発生したものの乗組員に負傷者は発生していないと発表し、複数の情報筋が同船は何者かに意図的に攻撃されたとの見方を示していた。事件の調査に当たっているイランの調査チームのメンバーは、地理的な条件と同船を標的とした方法を考えると、これはイスラエルによるテロ作戦である可能性が高いと述べたと伝えられている。イスラエル国防相は3月13日、事件について直接のコメントは避けつつ、イランは定期的にこの地域に武器を輸送しておりイスラエルは軍事作戦や軍事力に関連する武器供給などを阻止すると述べた。イラン外務省の報道官は、国際法に違反する妨害行為が確認されたとし、この妨害行為の加害者を特定するための措置が議題となると述べている。イランの捜査官は、爆発物は航空機から発射され同船の甲板上のコンテナに当たった可能性があると述べており、イラン国営の海運会社IRISLは加害者を特定するために法的措置を取るとしている。本件が発生する2週間前にはイスラエルの船舶がオマーン湾で爆発物による被害を受けており、イスラエルはイランが事件の背後にいると非難したが、イランはこれを否定している。
      • 原文 March 15, 2021 gCaptain (若林健一)
    • 【4】 リチウム電池で駆動する周遊船が過熱し一次爆発の恐れも
      • 【4】ノルウェーの観光会社Brim Explorer社が所有する双胴船MS Brimは、2019年に建造され、ノルウェーのフィヨルド内での周遊ツアーに使用されている完全電動型の周遊客船である。同船は船内に2つのバッテリールームを有し、海運業界向けのリチウムパワー技術とエネルギー貯蔵システムを提供している企業、Corvus Dolphin Energy社製の790kWhのバッテリーを搭載している。3月12日の午後、同船がノルウェー南東部のオスロフィヨルドを航行中、船内の火災警報器が作動した。当時乗客は乗っておらず、乗船していた船員4名は非難し、船は近隣の町Valloまで曳航された。公式の発表によると、船内の状態と温度は安定していたが、閉鎖されたバッテリールームの中でバッテリーが過熱されて、爆発性や可燃性のガスが発生し誰も乗船あるいは近づくことができない状態になっていた恐れがあるという。船の周囲には300mのセーフティーゾーンが設けられ、爆発の恐れがあるとしてValloの半分は閉鎖された状態になった。Corvus Energy社は声明の中で、同社は通報を受けて直ちに緊急委員会を設置して状況を監視し、地元のチームは30分以内に現場に到着して消防隊・警察・船主への支援を行ったと発表しており、技術調査チームを立ち上げて引き続き原因究明に努めるとしている。
      • 原文 March 14, 2021 gCaptain(植木エミリ)
    • 【5】 ReCAAP: 2021年2月月次報告書
      • 【5】アジア海賊対策地域協力協定情報共有センター(ReCAAP ISC)が発表した2月の月間海賊報告書によれば、2月に同センターに報告された事件は、重要度4(賊は武装せず乗組員にも被害なし)の武装強盗事件が計3件(すべて既遂)で、海賊事件の発生は報告されていない。報告があった3件のうち2件は無人の艀を曳航してシンガポール海峡の東航レーン内を航行していたタグボートで発生しており、ReCAAP ISCはシンガポール海峡を航行中の船舶に対する侵入事案の続発を懸念している。他の1件はインドネシアのジャカルタ港に停泊中のコンテナ船舶で発生し、賊は機関室に侵入し主機の予備品を盗んで逃走している。今年1月から2月にかけてアジアでは、10件の武装強盗の既遂事件が報告されているが、バングラディッシュやインドなど複数の地域で事件数の減少がみられ、前年の同期間の22件と比較して55%減少している。この10件のうち5件がシンガポール海峡内で発生している。
      • 原文 March , 2021 ReCAAP ISC (若林健一)
    • 【6】 海事産業向けに水素電力を供給するための合弁会社が設立
      • 【6】石油・化学製品のタンカー輸送を行うArdmore Shipping Corporation(ASC)は3月16日、水素製造システムのデベロッパーであるElement1(E1)、内航海運を中心に活動するMaritime Partners, LLC(MP)と共に、海事産業に水素電力を供給するための合弁会社を設立することを発表した。新会社e1Marineは、E1が独自に開発したメタノールを水素へ転換する技術を利用し、需要に応じて必要な場所で水素を製造することによって、圧縮水素の流通に伴う物流・コストに関する問題を解決すると共に、海運・冷蔵コンテナ・洋上エネルギー・再生可能エネルギー・客船・港湾インフラといった海事産業向けに、この独自システムのマーケティング・開発・ライセンス供与・販売を行う。企業によると、燃料電池に使用される高度な水素製造システムであるこの技術は、海洋・トラック輸送・自動車・オフロード車・鉄道・倉庫保管・バックアップ電源といった移動媒体および遠隔地での幅広い用途に適しており、海洋部門に適用することで、水素を船上で安全かつ効率的に供給可能と考えられている。また同技術は中規模の電力用途に適しており、標準的なメタノールを使用した場合、ガスオイルと比較してCO₂排出量を大幅かつ費用対効果の高い方法で削減することが可能で、再生可能なメタノールを使用した場合には完全にカーボンニュートラルとなり、さらにアンモニアを使用できるよう改造することも可能と考えられている。契約の交渉および締結は現在も継続中で、取引は2021年第2四半期には完了する予定である。
      • 原文 March, 15 2021 Maritime Executive(植木エミリ)
    • 【7】 イングランドで50歳以上を対象にワクチン接種が開始
      • 【7】イングランドにおけるワクチン接種の対象年齢が「50歳以上」に引き下げられ、これで第一優先とされた9つのグループすべてがワクチン接種の対象となり、12週間の間隔を空けて7月中旬には2回目の接種を終えることになる。英国でこれまでに1回目のワクチン接種を終えた人の数は2,400万人を超えており、成人の半数近くが1回目の接種を終えたことになる。また、2回目のワクチン接種を終えた人の数は約160万人に及んでいる。国内で今週中にワクチン接種を受ける人の数は400万人に達するとみられており、年齢50歳以上の人への1回目のワクチン接種も3月末までには終わることが予想されていて、国内のワクチン接種は当初のスケジュールよりも2週間早く進行している。

        ※3/16の英国の感染者数:5,294人(日本694人の7.6倍)
        ※3/16の英国の死者数:110人(日本人32の3.4倍)
      • 原文 March 17, 2021, BBC (若林健一) 
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