2021/03/15LROニュース(7)

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  • 2021.03.16 UP
    2021/03/15LROニュース(7)
    • 【1】英国海軍が同盟国とバレンツ海で哨戒活動を計画
      • 【1】タイムズ紙の情報によると、北極海の氷の融解に伴い広がる船舶の通航路に対する露の戦略的優位性に対抗するため、英国海軍は北極海における定期的な哨戒業務を実施することを計画しており、今後数カ月以内に英国海軍のフリゲート艦が同盟国と共にバレンツ海を航行することを計画しているとみられている。昨年5月初旬には、米国と英国の艦船が1980年代半ば以降初めてバレンツ海を航行し、昨年9月には、英国海軍の艦船がバレンツ海において多国籍による海上作戦を主導し、英国海軍のフリゲート艦HMS Sutherlandと補給艦Tidespringが、米海軍の駆逐艦USS Rossとノルウェー海軍のフリゲート艦KNM Thor Heyerdahlと共に露のコラ半島の北方海域を航行している。
      • 原文 March 12, 2021 HIGH NORTH NEWS (若林健一) 
    • 【2】英国が化石燃料からの脱却に向けた新たな動きを検討
      • 【2】英国では今秋開催されるCOP26を前に、北海での新たな化石燃料の探査ライセンスの発行を禁止することによって、北海における石油産業の終結を目指すことが検討中されている。英国は2050年までの炭素中立を目指し、2020年12月には石油・天然ガス当局がこの目標を達成するための新戦略を発表しており、当該戦略は今年2月に政府からの承認を得て始動している。新たな提案では、2040年中にライセンスの新規発行を終了すると共に、既存のライセンスの一時的な停止を直ちに行うというもので、新規発行が禁止されれば、英国の北海における化石燃料の探査は終局を迎えることとなり、石油産業によって支えられている英国全体の雇用者27万人のうち、39%を占めるスコットランドは最も大きな打撃を受けることとなる。英国領海の石油・天然ガスの埋蔵量が減少してきていることは事実であるが、未だに化石燃料は長期的なエネルギー需要やプラスチック・化学製品の生産に重要な役割を果たしており、2020年の英国の発電量のうち、ガス火力発電は30%以上を占めた。風力発電や電気自動車の普及によって今後変わることも予想されるが、ライセンスを制限すれば、英国の外国産化石燃料への依存度を高め、輸送によってCO₂排出量が増すのではないかという論争の引き金となる可能性がある。
      • 原文 March 15, 2021 Offshore Energy(植木エミリ)
    • 【3】ソマリアの情勢と周辺海域における海賊行為の再発の可能性
      • 【3】2020年はソマリア周辺海域で船舶や船員に危険を及ぼす海上犯罪は発生せず、同海域における海賊行為は引き続き休眠状態にあり、これは同海域の安全を確保するとともに陸域における安定性を確保するための国際的な取組みによる成果である。しかし、ソマリアの社会経済の情勢は脆弱で、2021年ソマリアには海賊行為を再びかつての様に活発化させるリスクとして、①経済状況、②軍の撤退による安全保障上の空白、③地域及び国内の紛争の3つの新たな重要な課題が存在する。ソマリアの経済状況は緊張状態にあり、違法な漁業活動が生活を損ない続け、コロナ禍でソマリ族の最大40%を支援する資金の送金が半額程度にまで滞っており、また干ばつや過去25年で最悪と言われるイナゴの大群による食害で食糧不足が悪化している。さらに、英国政府がパンデミックによる英国経済への影響を懸念し、ソマリアへの支援金を60%削減することを検討中との情報もある。米国は昨年12月にソマリアから撤退したが、これは隣国エチオピアにおける内戦の時期と重なり、この対応にソマリアから平和維持軍が再配備されたこともあり、その結果ソマリアのより広い地域が不安化しテロ組織のアルシャバブが活動を広げる空白を創り出している。これらの複合的な問題に加え、紅海周辺における紛争によりイランからソマリアやイエメンへ定期的に武器が輸送されているとの指摘もあり、中長期的には沖合におけるリスクは無視できない。
      • 原文 March 12, 2021 Dryad Global (若林健一) 
    • 【4】欧州委員会:藻類バイオマス生産に関する新たなセクションを追加
      • 【4】欧州委員会の共同研究センターは、同センターのKnowledge for Policyに、特に藻類に特化した新しいセクションを設けた。当ページには欧州における藻類バイオマスの生産に関する実態と各種数値を掲載しているほか、現在進行中の研究プロジェクトや最近の出版物についても公開している。藻類は、単細胞のマイクロ藻類かバクテリア、あるいは一般的に海藻と呼ばれるマクロ藻類を指すが、その用途は食品/飼料/化粧品/医薬品/プラスチック/肥料/燃料など多岐に渡る。1950年代には既に世界中で藻類バイオマスの生産が増加しつつあったが、EUで藻類は未だにほとんど未開発の資源で、2016年のEUの藻類バイオマスの生産量は世界全体のわずか0.28%に過ぎなかった。しかし生産量は好転しつつあり、生産工場はEU諸国のほとんどに存在する。藻類は再生可能で低炭素な原材料として、新たな市場と雇用を創出する大きな可能性を秘めており、炭素中立だけでなく、生物多様性・経済循環・持続可能な食糧システムを目指すFarm to Fork戦略にも貢献するとされている。欧州の複数の地域では、天然の藻類の種のいくつかは乱獲によって既に減少しており、更に地球温暖化や水質の劣化、外来種の侵入などによっても減少しつつあるため、藻類資源を持続可能な方法で利用できるようにする必要があり、欧州委員会は2022年に、藻類の持続的な生産と消費を促進するための戦略を発表する予定である。
      • 原文 March 12, 2021 欧州委員会(植木エミリ)
    • 【5】デンマークが人工島を設置して10GWの洋上風力発電を計画
      • 【5】世界で初めて洋上風力発電施設を設置したデンマークは、海岸線から80㎞沖合の北海に人工島を建設し、高さ260メートルの数百基の洋上風力タービンを設置して1,000万世帯の電力を賄うに十分な10GWの電力を発電するという野心的な計画に着手した。最初の段階は290億ユーロ(340億ドル)を投じてサッカー場18面分の広さで3GWの発電を目指し、2033年ころまでに運用を開始する予定としている。この10GWという発電量は現在のデンマーク全体の電力需要の1.5倍に相当し、余剰電力は人工島に備える大型のバッテリーにより蓄電し、他国への販売や海水からのグリーン水素の精製の双方に使用される予定である。洋上風力発電施設の設置は世界的に増え続けており、今回の計画は複数の技術の推進力となって他の沿岸国のモデルケースになる可能性があり、EUが再生可能エネルギーの目標を達成し、2050年までに洋上風力による発電量を25倍に増加させるためには、このような野心的な計画が必要となる。本プロジェクトはデンマーク政府が株式の過半数を所有し、官民連携に参加するよう民間企業を招待している。洋上風力発電設備への投資は2000年代半ばにわずかに落ち込んだが、その後は成長を続けており、2020年には洋上風力発電への記録的な金融投資が行われたことを示すデータもある。
      • 原文 March 10, 2021 energypost.eu (若林健一)
    • 【6】バーゼル条約に反しプラスチック廃棄物を輸出する米国
      • 【6】最近の研究で、米国は廃プラスチックの世界最大の生産者であるだけでなく、海洋プラスチックごみの排出国としても世界第三位である可能性が指摘されており、同国では毎年廃プラスチックの9%がリサイクルされているが、その大部分が処理のため海外に輸出されている。国際連合貿易開発会議によると、世界全体で取引される廃プラスチックは年間約800万トンに及び、2021年1月に発効されたバーゼル条約の新規則は、途上国での廃プラスチックの無秩序な投棄を防ぐため、混合/汚染された廃プラスチックやPVCを含む廃棄物は厳しい輸出規制の対象となっている。しかしBasel Action Networkによると、米の1月の税関データでは非OECD諸国への廃プラスチックの輸出量は減少しておらず、輸出が増えた国もあるという。米から途上国への廃プラスチック輸出量は、1月単独で輸送コンテナ4700万個分の2.5万トンに及び、新規則施行以前の昨年1月とほぼ同じだった。廃プラスチックの輸出先はマレーシアが飛びぬけて多く、ベトナム・インドネシアが続いている。バーゼル条約には米とハイチを除く187か国が加盟しているが、加盟国は条約に批准していない国の廃棄物は輸入できず、BANによると、この規定により米は廃プラスチックの輸送船が公海に出た時点で犯罪となり、業者は責任を問われる可能性がある。更に米のプラスチック選別施設は、条約が要求する低い汚染率を達成できず、新規則の品質基準に違反している可能性の高いいくつかの具体的な貨物も特定されているという。
      • 原文 March 14, 2021 Maritime Executive(植木エミリ)
    • 【7】英国統計局:秋には間違いなく感染拡大の新たな波に直面すると警告
      • 【7】英国統計局(ONS)は、英国では新型コロナウィルスに対する抗体を持っている人の数に地域で大きな差があり、英国は間違いなく秋に再び感染拡大の波に直面すると警告している。英国政府の主席医務官も、今年の夏の終わりから秋又は冬にかけて、ある時点で別の症例の急増を経験することになると警告しており、政府の緊急時科学諮問グループ(SAGE)によって検討された予測によると、最も楽観的な仮定条件の下でさえ、少なくともさらに30,000人の死者が発生する可能性があるとされている。同主席医務官は議会において、ロックダウンの緩和を急ぐ如何なる声に対しても強く警告すると述べ、ロックダウンの緩和により5月17日以降は最大6人まで屋内で会うことが許される可能性があるが、これには大きなリスクが伴うとして、物事が開放的な状況にある場合すべてのモデルケースにおいてある時点でウィルスが急増することを示唆していると警告している。

        ※3/14の英国の感染者数:4,618人(日本1,320人の3.5倍)
        ※3/14の英国の死者数:52人(日本人51)
      • 原文 March 14, 2021, METRO (若林健一) 
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