2021/03/10LROニュース(7)

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  • 2021.03.11 UP
    2021/03/10LROニュース(7)
    • 【1】シンガポール海軍が監視活動に使用する無人水上艇の実証実験を実施
      • 【1】シンガポール海軍は、周辺海域における治安を維持するための活動に使用する目的で、AI技術を活用した航行用のアルゴリズムを使用した無人水上艦の導入試験を実施している。同海軍はこの無人水上艦が完成すれば4隻を導入する予定で、同国国防省はこれにより無人水上艦による24時間体制での巡視活動が可能となり、他の艦船をより自由に戦略的に配備することが可能となることから、国境警備における監視や対応能力が強化されると述べている。同省によると、この無人水上艦は同国周辺の輻輳海域を航行できるように独自に開発された衝突検出・回避システムが装備されており、同海軍の活動のために特別に設計されたアルゴリズムを使用して、センサーと海図や船舶自動識別装置(AIS)などの有人での航海に使用する衝突検出装置を統合していると説明している。さらに同省は、このシステムは、海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約に準拠した航法を確保しながら衝突回避の意思決定プロセスを自動化しており、このアルゴリズムはシンガポール海峡の海上交通パターンを分析したうえで開発され、9カ月間の試験を経て海上での導入試験を実施するために無人水上艦に装備されたと発表している。同省によると、無人水上艦は排水量30トンで最高速度は25ノットを超え、36時間にわたり活動が可能であり、12.7㎜機関銃、レーザーダズラー、長距離音響装置が装備されている。また同省によると、シンガポールは2017年から機雷対策で無人水上艦を使用するための試験も実施しており、2月初旬には機雷除去システムを搭載した無人水上艦を使用して、機雷除去の模擬実験に成功している。
      • 原文 March 10, 2021 Dryad Global (若林健一)
    • 【2】英国が国内でのクルーズ船運航を5月から再開する見通し
      • 【2】3月8日に行われた英国の議会委員会にて、航空・海事大臣は、国内の観光業や屋内でのホスピタリティ産業の一部にクルーズ産業も含めることを決定し、引き続き制限や健康に関する規約を設けながら、早くて5月17日には運航再開を許可する見通しであると発言した。クルーズ船の運航はまず、イングランド内の港湾で再開される予定で、ウェールズ・スコットランド・北アイルランドとも協力しながら観光業とクルーズの再開を支援できるよう取り組んでおり、2021年の夏までに英国全体でのクルージングや観光業を再開できるよう目指しているという。英国は、既に大型クルーズ船の運航再開を許可している伊/独/日/台湾/シンガポールといった国々の方針を踏襲する予定であり、英国政府は同国のクルーズ再開を、クルーズ業界が健康・安全プロトコルを実証し、事業を建て直す好機になるとしている。業界団体であるクルーズクルーズライン国際協会(CLIA)と英商工会議所は共同声明を発表し、国内の観光業と共にクルーズ業が再開されることを強く歓迎し、夏季の観光シーズンまでに国際クルーズが安全に再開できることを目指して、政府と引き続き協力していく姿勢を見せた。海外旅行の再開についてはまだ目標とする時期を定めていないが、英国の旅行者は歴史的にクルーズ産業の顧客のトップ5に入っており、この度の英国の決断はクルーズ産業にとって大きな一歩になると見込まれている。
      • 原文 March 9, 2021 Maritime Executive(植木エミリ)
    • 【3】BIMCOなどが海事業界の主要課題に関するバーチャル会合を開催
      • 【3】ボルチック国際海運協議会(BIMCO)、国際乾貨物船主協会(INTERCARGO)、国際海運会議所(ICS)及び国際独立タンカー船主協会(INTERTANKO)の4者は、先週バーチャル形式で会合を行い、船員に対する認識、海運業界の脱炭素化、ギニア湾における海賊行為など今日海運業界が直面している重要な課題について議論を行った。船員に対する認識については、船員が基幹労働者(Key workers)であるという普遍的な認識の欠如が続いていることが主な議題となり、コロナ禍における医療サービスの利用の欠如、効率的で一貫性のあるワクチン接種プログラムの優先的な実施の必要性、世界経済の回復に備えて船員交代に関する危機を解決するための継続的な取組みの必要性などが議論された。温室効果ガス(GHG)の排出削減については、海運業界にとって重要な優先課題であり、業界が環境への責任とGHG排出量の管理や削減を重視していることを強調するとともに、研究開発への大規模な投資が2050年までの脱炭素を目指すうえで最も重要であるとして、業界全体が国際海事研究開発委員会(IMRB)構想の実現に向け取り組んでいくことを確認した。ギニア湾における海賊行為に対しては、その脅威が増しており、ナイジェリア政府が法執行能力の向上に努めていることを認めつつ、大きな効果が発揮されるまでには時間を要する可能性があると指摘し、能力を有し意欲的な海軍による取締り活動が緊急的に必要とされているとして、引き続き取り得る対策を検討し、海賊による脅威を減らすために必要な措置を講じることを全会一致で合意した。
      • 原文 March 9, 2021 BIMCO (若林健一)
    • 【4】中国籍の漁船がモーリシャス沖で座礁
      • 【4】モーリシャス沖でのわかしお座礁事故から8か月後の3月7日、熱帯性暴風雨による激しい波と風によって、同国の首都ポートルイスに近い北西部のポワント・オ・サーブルの沖合で中国の延縄漁船が座礁した。同船の船長は現地時間の17時38分に救難信号を送信し、国家沿岸警備隊(NCG)は即座に数名の救援チームを派遣したが、NCGも協力を申し出た地元の漁師も、波のため同船に近づくことができなかった。モーリシャス警察は船員を救出するためヘリコプターを出動させ、20時までには全ての船員がポートルイスの警察本部に無事着陸した。乗船していた16名の船員のうち14名は中国籍で、残りの2名はそれぞれインドネシア・フィリピン籍だった。同船には130トンの燃料油が搭載されており、油の流出に備え船の周りには汚染防止用のブイが配置された。ギリシャのサルベージ企業Five Oceans Salvageの専門家は、8日に船上で被害状況を確認する予定にしていたが、悪天候のため同社のタグボートを利用できず、NCGはポートルイス港を管理するモーリシャス港湾当局にも援助を要請し、引き揚げ作業には同局のタグボートが加わる予定である。またダイバーによる水中調査の結果、船体に損傷はなかったことが報告されており、同船の燃料の汲み上げ作業は8日から開始され、完了まで4日ほど要すると見込まれている。
      • 原文 March 8, 2021 gCaptain(植木エミリ)
    • 【5】Maerskなど複数企業が共同でアンモニア燃料の供給に関する調査を実施
      • 【5】AP Moller Maersk、Fleet Management、Keppel Offshore&Marine、Maersk Mc-Kinney Moller Center for Zero Carbon Shipping、住友商事、Yara Internationalを含む複数の海事関係企業は、世界で最も多くの給油が行われるシンガポール港で、燃料としてのグリーンアンモニアを船舶から他船へ補給するための包括的なサプライチェーンの開発につていの実現可能性を探る調査を共同で実施する。この調査は、費用対効果が高いサプライチェーンの開発、燃料補給船の設計、および関連するインフラの整備を含むサプライチェーン全体を対象とすることを目的にしており、関連する同国の政府機関や専門家も安全な運用や規制の標準化に取り組む。また、LPGとの潜在的な相乗効果を探ることを出発点としてアンモニアの供給に関する評価が行われる。AP Moller Maerskは、同社ではメタノールと並んでグリーンアンモニアが脱炭素化を実現するために重要な燃料となると考えており、将来的に船舶への燃料補給のオペレーションを考えると、供給、インフラ、安全性などに関して解決すべき課題があると述べている。Flee tManagementも、メタノールとともにアンモニアが代替燃料として重要な役割を果たすと考えており、包括的な解決策を提供するために船舶の種類を超えた技術的な専門知識をもって取組みに参加できることをうれしく思うと述べている。
      • 原文 March 10, 2021 Splash (若林健一)
    • 【6】Map of the week:世界の平均海水位の地域的傾向
      • 【6】3月5日に更新されたMap of the weekでは、1993年から2019年にかけての世界の平均海水位の地域的な傾向を示している。世界の平均海水位は1990年代初頭から8㎝以上上昇し、毎年3.3mmのペースで上昇し続けているが、海水位は均一的に上昇するものではなく、他の地域より深刻な危機に晒されている地域もいくつかある。気候モデルによる予測では、21世紀中の世界平均海面上昇(GMSL)の値は、GHG排出量が低い場合は0.29-0.59m、高い場合は0.61-1.10mの範囲になると予測された。海面上昇は沿岸部や島嶼地域において、沿岸部の洪水や海岸の侵食、地下水や農地へ塩水が浸入するなどの被害を及ぼすと共に、海洋生態系にも深刻な影響を与える。欧州では毎年10万人が沿岸の洪水リスクに晒されているが、適応策が無い場合今世紀末までに160~390万人に到達すると予測されている。そのため気候変動適応策の実施は重要であり、選択肢としてはグレー対策(技術的・工学的解決法)・グリーン対策(自然をベースにしたアプローチ)・ソフト対策(人間の行動や管理体制を変える政策/法律/社会/管理/財政的な対策)が挙げられる。欧州委員会は2月24日、気候変動の適応に関するEUの新たな戦略を採択したが、当該戦略は気候変動に強いEUの実現を目指し、気候変動に対処するための国際的な行動を強化するための詳細な方策を示しており、よりスマートな適応・よりシステマティックな適応・より迅速な適応という3つのカテゴリー別の対策を展開している。
      • 原文 March 5, 2021 欧州委員会(植木エミリ)
    • 【7】空港の入国審査場での長蛇の列が常態化
      • 【7】ロンドンのヒースロー空港の入国審査場では、入国審査を待つ人で定期的に3時間、場合によっては6時間の行列ができている。入国管理は内務省の国境警備隊の職員が行っているが、職員の組合によると、国境警備隊の職員も新型コロナウィルスの感染防止対策として最大10人のバブルを形成して職務に当たるよう求められており、混雑時においても多くの職員を配置することが出来ないためにこの問題が生じていると説明している。今月初めには乗客のひとりが入国審査で7時間も待たされたことに対して不満を漏らし、話題となっていた。ヒースロー空港のCOOは、コロナ禍以前はEUからの到着便の列は25分、それ以外でも45分程度の待ち時間であり、コロナ禍でこの時間が長くなることは予想していたが、現状のレベルは許容範囲を超えていると指摘している。

        ※3/9の英国の感染者数:5,766人(日本600人の9.6倍)
        ※3/9の英国の死者数:231人(日本人46の5.0倍)
      • 原文 March 10, 2021, BBC (若林健一) 
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