2021/03/09LROニュース(7)

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  • 2021.03.10 UP
    2021/03/09LROニュース(7)
    • 【1】 イエメンのNishtun沖で4隻の小型船が貨物船に接近
      • 【1】3月8日午前5時55分ころ、イエメンのNishtunから南東105海里の海上を航行していたばら積貨物船に、それぞれ2人の乗組員が乗船した4隻の小型艇が接近を試みるという事案が発生したとの報告があった。本件は2021年に入ってアデン湾東部で発生した最初の事案であり、最後に記録されている事案の発生は昨年12月20日である。Nishtun港は、イエメンの内戦と農業経済的な利益の双方でサウジアラビアにとって長期にわたり重要な港であり、サウジ主導のアラブ連合は引き続き同港を拠点としており、アデン湾や航海で活動する艦船がしばしば入港する。また、ペルシャ湾と紅海の重要な中間地点である同港は、サウジとイエメンの内陸部を通る石油パイプラインの最終地点でもある。イラン軍はフーシ派に武器、ドローン、ミサイルの部品などを密輸するために同港などイエメンのマフラ県の地域を利用していると噂されている。
      • 原文 March 8, 2021 Dryad Global (若林健一)
    • 【2】 Green Voyage 2050:海運の脱炭素化を支援する取り組み
      • 【2】2019年5月にIMO・ノルウェー間で発足したGreen Voyage 2050プロジェクトは、2050年までに海運からのGHG排出量を2008年実績比で半減させるというIMOのGHG削減目標に沿って脱炭素化を目指す国を積極的に支援し、小島嶼開発途上国や後開発途上国が気候変動やエネルギー効率に関する目標に到達するための人材育成にも取り組んでいる。当該プロジェクトには現在までに11の国が参加し、MARPOL条約付属書VIへの準拠を強化・運用上のベストプラクティス共有の促進・エネルギー効率の高い技術の導入促進・低炭素/ゼロカーボン燃料の利用機会を探ることを目指している。具体的な支援の内容は、①MARPOL条約付属書VIを国内法に導入するための立法案の作成。②海運におけるGHG排出量を評価し、船舶から排出されるGHGに対処するための国家的行動計画(NAPs)や政策枠組みを策定。③GHG排出量を評価し、港湾別のGHG削減戦略を策定。④官民パートナーシップの確立と財源の動員を通じて、好機を特定しパイロットプロジェクトを実施。⑤低炭素ソリューションへの資金提供と投資の実施。⑥業界と提携し、低炭素な海運を支援するための新しく革新的なソリューションの開発が含まれる。IMOのエネルギー効率対策やベースライン評価の進捗状況は国ごとに異なるため、各国はNew Pilot Countries(NPCs)とPioneer Pilot Countries(PPCs)に分類され、NPCsにはアゼルバイジャン/ベリーズ/クック諸島/エクアドル/ケニア/ソロモン諸島/スリランカ、PPCsには中/印/ジョージア/南アフリカが属している。
      • 原文 March 8, 2021 Offshore Energy(植木エミリ)
    • 【3】 2030年までに脱炭素燃料の占める割合を5%以上にすることが必要
      • 【3】Getting to Zero Coalitionの目標は、2030年までに外航航路で商業的に実用可能なゼロエミッション船を運用することである。University Marine Advisory Services (UMAS)が2019年に、2050年までに国際海運の脱炭素化を達成するための最も技術的に実現可能な方法に関する調査を実施したところ、脱炭素燃料は2036年までに船舶燃料全体の27%、2046年までに93%を占める必要があり、さらにこれを実現するためには2030年までに5%を占める必要があることが示された。2030年までに脱炭素燃料が船舶燃料全体の5%を占めるためには、以下の方策が考えられる。①コンテナ船は少数の港や航路における排出量がその大部分を占めており、最終消費者にも近いため最初に脱炭素化を開始する海運部門となる可能性がある。例えば2018年には主要10航路におけるCO2の排出量が700万トンに達しているが、これらの航路の改善だけで0.8%の向上が見込める。②アンモニアを燃料として選択した場合、貯蔵、システム、船員による取扱等の点からアンモニアやLPGを輸送するタンカーなどでの脱炭素燃料の使用が考えられ、2%の向上が見込める。③脱炭素燃料の導入を先行する者に有効な条件を与える可能性が高いニッチな国際航路での使用により、2%の向上が見込める。④国内輸送における排出量の約50%を32の先進国が占めており、このうち30%で脱炭素燃料を使用した場合2〜3%の向上が見込める。
      • 原文 March 9, 2021 Global Maritime Forum (若林健一)
    • 【4】 海洋環境:保護範囲は広いが深くはないEU
      • 【4】欧州会計監査院による標記報告書の概要は以下のとおり。①欧州委員会は海洋生物資源の保全に重要な役割を担っており、海洋環境政策は海洋戦略枠組み指令および鳥類指令・生息地指令によって設定されている。②本監査では、EUの海洋生物多様性と生息地を保護するための枠組みがうまく設計され、大西洋及び地中海で実際に適用されているかどうか、またEUから提供された資金が成果に繋がっているかを調査した。③総合すると、海洋保護のための枠組みは整っていたものの、全ての海域で、海洋環境を良好な状態に回復させることも、漁業を持続可能なレベルに到達させることもできておらず、欧州環境庁も報告書の中で、「欧州の海域で海洋生物多様性は依然として脅威にさらされ、海洋生物と生息地の多くが好ましくない保全状態あるいは不明の状態となっている」としてこの評価を裏付けている。④EUの保護規則は重要な生態系や生息地の回復に繋がっておらず、海洋保護区のネットワークはEUの多様な海を反映したものではなく、ほとんど保護されていないこともあった。⑤漁業政策と環境政策を協調させる規定は意図したほどは機能しておらず、鳥類・生息地指令で保護されている種や生息地は古い情報に基づいていた。⑥許容漁獲量の制限に基づき漁業管理を行っている大西洋では、大部分が持続可能な漁を行っていたが、漁獲努力量の制限に基づき漁業管理を行っている地中海では、漁獲率は持続可能なレベルの約2倍だった。⑦加盟国の内、欧州海洋漁業基金からの資金を保全に直接関係する方策に使用していた国は6%で、間接的に使用していた国は8%だった。
      • 原文 March 4, 2021 欧州会計監査院(植木エミリ)
    • 【5】 船舶からのCO2排出量の8割をコンテナ船/タンカー/バルカーが占める
      • 【5】総トン数5,000トン以上の船舶を対象に燃料消費実績などの報告を求めている国際海事機関(IMO)のデータ収集システム(DCS)に基づく報告によると、2019年に外航船舶から排出されたCO2の量は6億1,400万トンに及び、そのうち約78.6%をコンテナ船、タンカーおよびバルカーが占めており、その他の10種類の船舶が残りの排出量を占めている。このテータベースは、報告に明らかな誤りがあった一部の船舶に関するデータを削除しており、仮に報告が正確であった場合には排出量の合計は高くなることを意味している。欧州独自のデータ収集システム(EU MRV)も総トン数5,000トン以上の船舶を対象としているが欧州経済領域に関する船舶の航海のみが対象とされ、2019年におけるCO2の排出量は約1億4,550万トンを記録している。IMO DCSとEU MRV双方のデータを比較すると、コンテナ船とタンカーの排出量は類似しているもののバルカーの排出量には明らかな違いがあり、EU MRVでは11%強を占めているが、IMO DCSでは27%以上を占めている。IMO DCSに基づく報告では炭素強度の大幅な改善も明らかになり、燃料消費量、載貨重量トン数、移動距離に基づく平均年間効率比は2008年から2019年にかけて32.3%改善しており、さらに輸送量も考慮した場合には44%の改善となり、すでに2030年の目標を上回っている。一方で、2019年の値と2008年の値はそれぞれ算出方法や他の要因が異なるために、両者を比較することには問題があるとの指摘もある。
      • 原文 March 5, 2021 Lloyd‘s List (若林健一)
    • 【6】 英国海軍がレーダーで海底を地図化するソフトウェアのテストを実施
      • 【6】英国海軍の測量船HMS Magpieは、英国立海洋学研究所と国防科学研究所によって開発され、レーダー水深測量法を利用して海岸近くの海底をたった数時間で地図化する最新鋭のソフトウェアの試験を行った。同船は波の高さを測定することに特化したコンピュータープログラムを併用し、世界中の船舶にインストールされているものと同じ種類の通常のレーダーシステムを使用して、プリマス周辺の海域を図表化することができた。このソフトウェアは、データと海流に関する情報を使用して、船やボートを使用して実際に航海する必要なしに、わずか数時間で海底の詳細なプロファイルを作成することが可能である。システムに必要なのは波を発生させる風とうねりと計算能力だけであり、Magpieや他の英国海軍の測量船に搭載されたハイテクソナーによるスキャンほど詳細ではなく、海岸付近でのみ機能する。しかしこうした測量法は、海底が動く可能性や、港や海岸への普段通りのアクセスが困難になる自然災害発生時には、時間が生死を分けることもあるため非常に重要なものとなる可能性が高い。現在このソフトウェアはまだ開発中であるが、最終的には英国海軍の既存の航法レーダーとシステムへ統合することを目指している。
      • 原文 March 8, 2021 Maritime Executive(植木エミリ)
    • 【7】 規制の緩和を急ぐ声に対して主席医務官が警告を発する
      • 【7】英国では新型コロナウィルスの新規感染者や死者数の急速な減少を受けて、与党内からロックダウンによる規制の緩和を早めるべきとの声が上がっていることを受け、政府の主席医務官は議会の場で議員に対して、規制を急速に緩和した場合にはすべてのシナリオにおいて感染の急拡大が予測されており、ワクチン接種を受けていないウィルスに脆弱な人々を危険に晒すことになると述べ、警告を発した。主席医務官はさらに、ワクチンの初回投与から免疫力が高まるまでには約3週間を要するとし、現時点でこの期間を経過しているのは最初に優先的に接種を受けた70歳以上の人や医療関係者などの4つのグループのみでる一方、入院患者のほぼ半数は70歳未満の感染者が占めていると述べ、ワクチン接種による高い効果が期待できるようになるまでにはまだ時間を要すると説明している。

        ※3/8の英国の感染者数:4,712人(日本1,065人の4.4倍)
        ※3/8の英国の死者数:65人(日本人26の2.5倍)
      • 原文 March 9, 2021, BBC (若林健一) 
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