2021/03/08LROニュース(7)

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  • 2021.03.09 UP
    2021/03/08LROニュース(7)
    • 【1】 2021年の海上貿易量が2019年のレベルを超えるとの予想
      • Clarkson Research Servicesの調査によると、2020年の海上貿易量は3.6%減少して115億トンとなったが、2021年の海上貿易量は大きな不確実性が残っているものの4.2%成長して120億トンに達し、2019年のレベルを0.5%上回ることが予想されている。国際通貨基金(IMF)は、世界経済は昨年3.5%の落ち込みを記録したが、2021年は5.5%成長して2019年を1.8%上回ると予想している。新興国と先進国とを分けて見ると、新興国は昨年2.4%のマイナス成長であったが今年は6.3%成長して2019年のレベルに回復すると見込まれる一方、先進国は4.3%の成長にとどまり2020年の4.9%のマイナス成長をカバーできないとみられている。ボルチック国際海運協議会(BIMCO)は先月末に公表した報告書の中で、回復のペースは今後のパンデミックの進展や渡航制限などの制限措置の変更によって影響を受けることから、すべての人に良いニュースをもたらすとは限らないと分析し、世界経済が正常な状態に向かうにつれて、商品への支出が減少しサービスや渡航への支出が増加することから、パンデミックにより生じた海運業界へのプラス要因は薄れていくと見ており、また、政府による刺激策には限界があることから必然的に回復のペースが遅くなるとの見方を示している。
      • 原文 March 8, 2021 Splash (若林健一)
    • 【2】 インドが中国に対抗するためコンテナ産業に参入
      • 2020年後半は、消費者需要がパンデミック以前のレベルまで戻り始めたため、貿易においてコンテナ不足が深刻な問題となった。欧州・豪・米同様、印でも海上輸送費が法外な価格まで高騰し、各国政府がこうした問題に対処することを余儀なくされたため、状況は幾分安定してきたが、印政府は今後同様の問題が起こらないようコンテナ不足の根本的な原因に対処するため、輸出の拡大を主な目標として、コンテナ製造業へ投資を行うことを決定した。こうした決断は、主要な航路での継続的なコンテナ不足によって輸送費が大幅に値上がりしたことによって後押ししたが、特に主要な輸出品であるコメは著しく影響を受けた。コンテナ製造業への投資は、長期的には同国がコンテナの供給を他国に頼らず自足するうえで重要な役割を担うと期待されており、コンテナ製造業は既に政府から多くの支援を受けている。また同国の港湾/海運/水路省は、経済的な実用可能性調査のため、Gujarat州Bhavnagarに拠点を置く委員会を設立した。こうした行動の背景には、中・印間での摩擦が激化しているという理由もある。中国は世界のコンテナ製造市場の95%を占めているが、印の輸出業者は中国のプレッシャーを避けるため、自国でのコンテナの強力な供給を望んでおり、もし今後同国がコンテナの供給における自足を実現した場合、コンテナそのものも輸出品として加わる可能性がある。
      • 原文 March 7, 2021 Maritime Executive(植木エミリ)
    • 【3】 ECSA及びETF:女性を引き付ける職場環境と雇用の維持の必要性を強調
      • 欧州船主協会(ESCA)および欧州運輸労連(ETF)は、欧州における海運部門への女性の参画の強化を引き続き提唱している。両者は、海運部門における女性の参画を増やすことを目指しEUが資金を提供するプロジェクト「WESSプロジェクト」の第一段階として、「国際女性の日」に女性の雇用の現状を判断し、女性船員のニーズを評価するための調査を開始する。今年の国際女性の日のテーマは「リーダーシップを発揮する女性たち:コロナ禍の世界で平等な未来を実現する」であるが、パンデミックによって女性が最前線で世界貿易の平穏な流れを確保し、回復と繁栄の平等な未来を形成する上で重要な役割を果たしていることが確認された。ECSAとETFは、2018年11月に欧州の海運部門への女性の参画を強化するための共同宣言を発表し、運輸部門での女性の雇用を強化するための欧州委員会のイニシアチブにも参加している。ESCA会長は、多様性が競争力を高めることを理解している海運会社が増えており、より多くの女性が海上や陸上で海運の労働力に多大な貢献をしていると述べ、Nautilus Internationalの政策責任者は、女性の重要な役割と女性が繁栄できる職場環境を作る緊急的な必要性を示すことが自分たちの義務であると語っている。
      • 原文 March 8, 2021 欧州船主協会 (若林健一)
    • 【4】 南極の巨大氷山の亀裂を撮影した高精細な画像が公開
      • 南極の西側に位置し、ウェッデル海に向かって突き出しているブラント棚氷では、他の棚氷同様定期的に氷山の分離が発生しているが、2月26日、同棚氷から1270㎢の巨大氷山が分離した。A74と名付けられた当該氷山は、同棚氷から分離した氷山としては50年ぶりの巨大氷山で、何年にも渡って同棚氷で発達してきた複数の亀裂がもたらした結果である。英国南極観測局(BAS)は3月6日、衛星によって撮影した、ブラント棚氷とA74が分裂する要因となった約2km幅の亀裂(North Rift)の鮮明な画像を公開した。亀裂から23km離れた地点には同局のHalley観測所があるが、施設周辺に設置されたGPSによると、現在のところ氷盤は安定した状態が継続していると報告されている。今回発生した分離は、今後数週間に渡って起こりうる一連の分裂の始まりに過ぎないと考えられており、既に複数の亀裂によってほぼ完全に切り拓かれ、海底に固定された非常に薄い氷によって繋ぎ止められているだけの状態になっているHalley観測所西側の区画が最も分離の可能性が高い場所だと考えられている。また完全に分離したA74が漂流してブレント棚氷の西端にぶつかり、Halley観測所の更に近くで第二の分裂が起こる可能性も示唆されている。
      • 原文 March 6, 2021 BBC(植木エミリ)
    • 【5】 1月に北極海航路を単独航行した砕氷LNG船が修理のためドックに入渠
      • 露の天然ガス会社Novatekは、今年1月にArc7型の砕氷LNG船Christophe de MargerieおよびNikolay Yevgenovの2隻を原子力砕氷船の支援なしに単独で露のヤマルLNG基地から北極海航路を経由して中国まで航行させたが、このうちNicolay Yevgenovがアジマススラスターに損傷を受けたとして、少なくとも20日間の修理が必要となり仏のブレストにある造船所に入渠したことが分かった。北極海の海氷は記録的な速さで溶けているものの、北極海の冬は高度に特化された砕氷船にとってさえ厳しい環境であることが改めて浮き彫りとなった。Novatekは、2隻は平均的な氷の状態に遭遇し、北極海航路の大部分の航程を記録的な速さで進んでいるとしていたが、Nicolay Yevgenovは途中で速力がわずか3ノットまで減速したことが衛星を介して航跡から分かっており、同船が氷の尾根に衝突して推進システムに障害が発生したとの指摘もあったが、同社はこの点についてはコメントを避けていた。その後同船は再び北極海航路を経由して露に戻ることはなくスエズ運河を経由する航路を選択し西に向け航行を開始していた。
      • 原文 March 5, 2021 HIGH NORTH NEWS (若林健一)
    • 【6】 IMO:海洋投棄による汚染を防止するための会合を実施
      • 海上での廃棄物投棄による汚染の防止は、国際的な枠組みや地域的な協定および議定書、国家的な規制に依存しており、3月2日に行われたIMO Office of the London Protocol and Ocean Affairs(OLCP&OA)と国連環境計画(UNEP)/地中海行動計画(MAP)の会合では、こうした規制をいかに調整し効果的に実施するかについて議論された。会合にはバルセロナ条約の加盟国や、バルト海の海洋環境を保護するHELCOM、紅海およびアデン湾の海洋環境を保護するPERSGAを始めとする国連組織、欧州/アフリカ/中東の浚渫および関連産業の独立したフォーラムであるCEDAおよびIMOの代表者が参加し、海洋投棄を規制するための重要な手段であるMAPおよびバルセロナ条約の投棄議定書(Dumping Protocol)に関するベストプラクティスを共有した。なお投棄議定書はロンドン条約と協調するため1995年に改定されたが、まだ発効はされていない。会合では、①バルセロナ条約加盟国に対し、世界および地域レベルでの海洋投棄問題に関する最近の動向についての情報提供②バルセロナ条約加盟国に対し、投棄議定書に基づくコンプライアンス監視プログラムについてガイダンスを提供③地域的・国家的に優れた慣行を主流とする投棄議定書の国家的な実施に関するベストプラクティスの特定が行われた。現在のところ、バルセロナ条約に加盟している15か国はロンドン条約にも加盟しており、そのうちエジプト・モロッコ・スロヴェニア・西・仏・伊の6か国はロンドン議定書にも締約を行っている。
      • 原文 March 2, 2021 IMO(植木エミリ)
    • 【7】 ロックダウンの緩和策の第一段階として3月8日から学校が再開
      • 政府はイングランドで現在実施しているロックダウンの緩和に関するロードマップを発表し、これに従って徐々に規制を緩和してく予定であるが、その第一段階として3月8日に学校を再開させた。一方でジョンソン首相は、学校の再開によって感染率が上昇すればロードマップの進行に影響を与えることになるとして、感染率は未だに感染拡大の第4波が起こりかねない高い水準にあると述べ、国民に対して警告を発した。また首相は、現在の入院患者数は昨年夏の少ない時期と比較して8倍多いとも説明し、国民に対して規則に従って外出しないよう改めて呼びかけた。
        ※3/7の英国の感染者数:5,177人(日本1,065人の4.8倍)
        ※3/7の英国の死者数:82人(日本人24の3.4倍)
      • 原文 March 8, 2021, The Guardian (若林健一) 
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