2021/02/25LROニュース(7)
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2021.02.26 UP
2021/02/25LROニュース(7)
- 【1】中国とシンガポールの海軍が合同演習を実施
- 【1】中国は、2月24日に中国海軍とシンガポール海軍が合同演習を開始したことを発表した。中国国防部は声明で、今回の演習には共同捜索救助、通信演習などが含まれると述べ、中国海軍の報道官は、今回の演習について相互信頼の強化、協力関係の促進などを目的としていると述べている。両国海軍による合同演習が実施されたのは2016年が最後であり、今回の演習は両国間の軍事関係を深化させるために2019年に締結した協定に基づくもので、協定にはハイレベルでの対話、研究者やシンクタンクの交流、二国間での演習の規模拡大などが含まれる。中国は、南シナ海において航行の自由作戦を展開し中国の主権主張に対抗する米国への攻勢を強めるため東南アジア諸国との軍事的関与を強めようとしているが、新型コロナウィルスのパンデミックによる影響でその計画はうまく進んでいない。来月にはカンボジア軍と中国軍の兵士約3千人が、実弾を使用した合同演習を2週間にわたり実施する予定であったが、パンデミックと大洪水への対応に追われるカンボジア側からの申し出で中止となった。専門家によると、中国は今回の合同演習を行うことでパンデミックの影響を受けたこの地域における防衛外交の基礎を築こうとしているが、多くの東南アジア諸国の軍隊は自国のパンデミックへの対応に深く関与しており、その結果として中国との合同演習を実施する可能性が減っていると分析している。
- 【1】中国は、2月24日に中国海軍とシンガポール海軍が合同演習を開始したことを発表した。中国国防部は声明で、今回の演習には共同捜索救助、通信演習などが含まれると述べ、中国海軍の報道官は、今回の演習について相互信頼の強化、協力関係の促進などを目的としていると述べている。両国海軍による合同演習が実施されたのは2016年が最後であり、今回の演習は両国間の軍事関係を深化させるために2019年に締結した協定に基づくもので、協定にはハイレベルでの対話、研究者やシンクタンクの交流、二国間での演習の規模拡大などが含まれる。中国は、南シナ海において航行の自由作戦を展開し中国の主権主張に対抗する米国への攻勢を強めるため東南アジア諸国との軍事的関与を強めようとしているが、新型コロナウィルスのパンデミックによる影響でその計画はうまく進んでいない。来月にはカンボジア軍と中国軍の兵士約3千人が、実弾を使用した合同演習を2週間にわたり実施する予定であったが、パンデミックと大洪水への対応に追われるカンボジア側からの申し出で中止となった。専門家によると、中国は今回の合同演習を行うことでパンデミックの影響を受けたこの地域における防衛外交の基礎を築こうとしているが、多くの東南アジア諸国の軍隊は自国のパンデミックへの対応に深く関与しており、その結果として中国との合同演習を実施する可能性が減っていると分析している。
- 【2】ECSA:海運は欧州の新たな通商政策の要
- 【2】欧州委員会が2月18日に発表した通商政策レビューについての欧州共同体船主協会(ECSA)の見解は以下のとおり。①海運は欧州の対外貿易の76%を占めており、欧州の経済における海運の価値は過小評価されてはならないものである。②パンデミックという世界的混乱の中でも、海運は何とか物流を維持し続けているが、適切な政策枠組みがあって初めて世界貿易に貢献することができる。経済と産業がパンデミックから立ち直りつつある中、新たな戦略は、オープンで、公正かつ持続可能な国際貿易システムを回復する更なる原動力となる。③欧州の船主は、世界の輸送トン数の約40%を管理し、業界と消費者を結び付け、世界中およびEU内での供給を確保している。欧州の海運は新たな貿易戦略の成功に非常に重要であり、ECSAは当該戦略の実施にあたって、海運部門の競争力、ひいては欧州経済の回復を促進するため、規制当局と協力できることを期待している。④ECSAは、WTOが更なる自由貿易化と紛争解消に向けた交渉の中核的なフォーラムであり続けるためWTOを改革するという戦略の優先事項を支持し、WTO加盟国が海上輸送に関する多国間交渉を再開できるよう奨励する。⑤国際海運会議所の報告書によると、貿易保護主義の削減により各国経済のGDPは最大3.4%増加する可能性があり、こうした点からも海事産業をEUの通商政策の中心に据えることは重要で、規制当局が今後の議論に積極的に海運業界を密接に関与させることを望んでいる。
- 【2】欧州委員会が2月18日に発表した通商政策レビューについての欧州共同体船主協会(ECSA)の見解は以下のとおり。①海運は欧州の対外貿易の76%を占めており、欧州の経済における海運の価値は過小評価されてはならないものである。②パンデミックという世界的混乱の中でも、海運は何とか物流を維持し続けているが、適切な政策枠組みがあって初めて世界貿易に貢献することができる。経済と産業がパンデミックから立ち直りつつある中、新たな戦略は、オープンで、公正かつ持続可能な国際貿易システムを回復する更なる原動力となる。③欧州の船主は、世界の輸送トン数の約40%を管理し、業界と消費者を結び付け、世界中およびEU内での供給を確保している。欧州の海運は新たな貿易戦略の成功に非常に重要であり、ECSAは当該戦略の実施にあたって、海運部門の競争力、ひいては欧州経済の回復を促進するため、規制当局と協力できることを期待している。④ECSAは、WTOが更なる自由貿易化と紛争解消に向けた交渉の中核的なフォーラムであり続けるためWTOを改革するという戦略の優先事項を支持し、WTO加盟国が海上輸送に関する多国間交渉を再開できるよう奨励する。⑤国際海運会議所の報告書によると、貿易保護主義の削減により各国経済のGDPは最大3.4%増加する可能性があり、こうした点からも海事産業をEUの通商政策の中心に据えることは重要で、規制当局が今後の議論に積極的に海運業界を密接に関与させることを望んでいる。
- 【3】米加両国がNORADの近代化を進めることで合意
- 【3】米大統領とカナダ首相は2月22日にバーチャル形式の首脳会談を行い、北米航空宇宙防衛司令部(North American Aerospace Defense Command:NORAD)の近代化を進めることで合意した。米大統領は首脳会談に続いて行われた記者会見で、両国が北極圏に関して、大陸の安全保障、経済と社会の発展および統制といった広範な諸課題に対処するため対話を開始することを明らかにした。両首脳は、米加両国の新たな協力関係に向けたロードマップを発表し、新型コロナウィルスのパンデミックに対する野心的な取り組みの計画を確立し、気候変動に関する協力関係を構築し、世界の健康の安全を推進し、防衛と安全保障に関する協力を強化し、多様性、公平性、正義への積極的な関与を共有していることを再確認するとしている。NORADの近代化や北極圏に関する両国の対話の拡大など、大陸の防衛や北極圏に関する協力を拡大するという合意は、今回発表されたロードマップの一部となっている。
- 【3】米大統領とカナダ首相は2月22日にバーチャル形式の首脳会談を行い、北米航空宇宙防衛司令部(North American Aerospace Defense Command:NORAD)の近代化を進めることで合意した。米大統領は首脳会談に続いて行われた記者会見で、両国が北極圏に関して、大陸の安全保障、経済と社会の発展および統制といった広範な諸課題に対処するため対話を開始することを明らかにした。両首脳は、米加両国の新たな協力関係に向けたロードマップを発表し、新型コロナウィルスのパンデミックに対する野心的な取り組みの計画を確立し、気候変動に関する協力関係を構築し、世界の健康の安全を推進し、防衛と安全保障に関する協力を強化し、多様性、公平性、正義への積極的な関与を共有していることを再確認するとしている。NORADの近代化や北極圏に関する両国の対話の拡大など、大陸の防衛や北極圏に関する協力を拡大するという合意は、今回発表されたロードマップの一部となっている。
- 【4】アントワープ港が港湾の安全管理のため自律型ドローンのテストを実施
- 【4】アントワープ港は、イノベーションプラットフォーム”Port of the Future”を通じて、自律輸送・スマートカメラ/センサーの開発といった技術革新の促進を目指しており、同港をスマート港湾として発展させるための新技術の一つにドローンを挙げているが、この度、港湾の複合施設全体の活動を監視し、安全性の維持に利用するため自律型ドローンを初めて港湾上空に展開して、港湾周辺の調査と管理を行うためのアプリケーションのテストを行った。今回のテスト飛行では、インフラの点検/調査/監視・インシデントの管理・岸壁の管理・油の流出の検知といった様々な状況下でのドローンの活用について検討しており、風力タービンから高圧線に至るまでの現実の複雑な環境下で試験し、いかにドローンが港湾安全・保全サービスを支援できるかを確認している。港湾当局によると、ドローンの利用は広大な港湾施設の安全性に大きく貢献するとみられ、空からの視点によって、当局が広域な範囲を安全かつ迅速に監視/調査/管理することが可能になるという。ドローンは完全に独立して動作し、一元的に管理されたドッキングステーションを利用して自ら充電を行い、緊急時などはマニュアル飛行も可能である。港湾当局は、2022年中に自律型ドローンのネットワークを展開することを目指して、2021年に一連のテストを実施する予定である。
- 【4】アントワープ港は、イノベーションプラットフォーム”Port of the Future”を通じて、自律輸送・スマートカメラ/センサーの開発といった技術革新の促進を目指しており、同港をスマート港湾として発展させるための新技術の一つにドローンを挙げているが、この度、港湾の複合施設全体の活動を監視し、安全性の維持に利用するため自律型ドローンを初めて港湾上空に展開して、港湾周辺の調査と管理を行うためのアプリケーションのテストを行った。今回のテスト飛行では、インフラの点検/調査/監視・インシデントの管理・岸壁の管理・油の流出の検知といった様々な状況下でのドローンの活用について検討しており、風力タービンから高圧線に至るまでの現実の複雑な環境下で試験し、いかにドローンが港湾安全・保全サービスを支援できるかを確認している。港湾当局によると、ドローンの利用は広大な港湾施設の安全性に大きく貢献するとみられ、空からの視点によって、当局が広域な範囲を安全かつ迅速に監視/調査/管理することが可能になるという。ドローンは完全に独立して動作し、一元的に管理されたドッキングステーションを利用して自ら充電を行い、緊急時などはマニュアル飛行も可能である。港湾当局は、2022年中に自律型ドローンのネットワークを展開することを目指して、2021年に一連のテストを実施する予定である。
- 【5】南カリフォルニアの港の混雑が他の西海岸の港に広がる
- 【5】南カリフォルニアの港の混在の問題が、太平洋に面した西海岸の他の港の運営にも影響を及ぼし始めている。最近まで利用可能な容量に余裕があるとしていたオークランド港でも今年1月のコンテナ貨物の取扱量が減少し、前年度比で輸入量が12%の減少、輸出量が11%の減少となっており、その要因としてサプライチェーンの混雑の拡大が指摘されている。南カリフォルニアの港の混雑が原因で同港への船舶の到着が最大で1週間程度遅れ、予定通りに到着できなかった船舶が着岸できない事態も散見され、サンフランシスコ湾内も着岸を待つ船舶で混雑し始めている。また同港の港湾当局は、海運会社が空コンテナをアジアに返還することを急いでいるため、輸出用のコンテナ船の容量が減少していると述べ、1月に同港に積み込まれた空コンテナの量は前年比で24%増加して36,000TEUを超えた。さらに同港では、船舶の到着の遅延に加え、サンペドロ湾の港での混雑を避けようと、直接中央カリフォルニアの港を目指す船の入港隻数も増えている。オークランド港での1月の貨物量の減少は異常で、西海岸の各港での船舶の混雑が解消されるに連れ改善すると考えられているが、アジアから米国向けのコンテナ輸送量は少なくとも6月までは堅調に推移すると予想されている。シアトル港やタコマ港を管理するThe Northwest Seaport Allianceは、西海岸の船舶の混雑と貨物の遅延を最小限に抑えるために両港が活用できるとしており、台湾を拠点とするWan Hai Linesは、3月中旬に最初にシアトル港に寄港する新たなルートの運航を開始することを今週発表している。
- 【5】南カリフォルニアの港の混在の問題が、太平洋に面した西海岸の他の港の運営にも影響を及ぼし始めている。最近まで利用可能な容量に余裕があるとしていたオークランド港でも今年1月のコンテナ貨物の取扱量が減少し、前年度比で輸入量が12%の減少、輸出量が11%の減少となっており、その要因としてサプライチェーンの混雑の拡大が指摘されている。南カリフォルニアの港の混雑が原因で同港への船舶の到着が最大で1週間程度遅れ、予定通りに到着できなかった船舶が着岸できない事態も散見され、サンフランシスコ湾内も着岸を待つ船舶で混雑し始めている。また同港の港湾当局は、海運会社が空コンテナをアジアに返還することを急いでいるため、輸出用のコンテナ船の容量が減少していると述べ、1月に同港に積み込まれた空コンテナの量は前年比で24%増加して36,000TEUを超えた。さらに同港では、船舶の到着の遅延に加え、サンペドロ湾の港での混雑を避けようと、直接中央カリフォルニアの港を目指す船の入港隻数も増えている。オークランド港での1月の貨物量の減少は異常で、西海岸の各港での船舶の混雑が解消されるに連れ改善すると考えられているが、アジアから米国向けのコンテナ輸送量は少なくとも6月までは堅調に推移すると予想されている。シアトル港やタコマ港を管理するThe Northwest Seaport Allianceは、西海岸の船舶の混雑と貨物の遅延を最小限に抑えるために両港が活用できるとしており、台湾を拠点とするWan Hai Linesは、3月中旬に最初にシアトル港に寄港する新たなルートの運航を開始することを今週発表している。
- 【6】気候変動の影響で西南極の棚氷の移動速度が加速
- 【6】並んだ氷河が海に向かって押し出されている場所では、氷河の浮いている面が結合して、棚氷と呼ばれる土台を形成することがあるが、英リーズ大学の研究者達がNature Communications誌に発表した研究によると、研究者達が衛星レーダーの画像などを分析して西南極のゲッツ棚氷を調査したところ、氷の移動速度が加速していることが明らかになった。研究者によると、ゲッツ地域は山が多く、フィールドワークには険しい場所のためほとんど未踏の地であり、当該地域で詳細な調査が行われたのは初であるという。ゲッツ棚氷は14の氷河から構成されており、1994年以降、水量に換算するとオリンピックプール1.26億台分に相当する315ギガトンの氷を失った。14の氷河は全て、移動速度が24年間で25%程度加速しており、中央の3つの氷河は40%以上加速し、1994年から59%も加速して1年で391m動いていたものもあった。加速の要因の一つとしては、比較的暖かい深海水が氷河の浮いている面に到達して下から氷を解かすocean forcingと呼ばれる現象が考えられている。ゲッツ棚氷は、土台が8つの島と浅い海底によって押し上げられることにより安定性を得ているという興味深い特徴があるが、こうした安定性をもってしても、背後の氷の融解は進み、移動速度は加速し続けている。
- 【6】並んだ氷河が海に向かって押し出されている場所では、氷河の浮いている面が結合して、棚氷と呼ばれる土台を形成することがあるが、英リーズ大学の研究者達がNature Communications誌に発表した研究によると、研究者達が衛星レーダーの画像などを分析して西南極のゲッツ棚氷を調査したところ、氷の移動速度が加速していることが明らかになった。研究者によると、ゲッツ地域は山が多く、フィールドワークには険しい場所のためほとんど未踏の地であり、当該地域で詳細な調査が行われたのは初であるという。ゲッツ棚氷は14の氷河から構成されており、1994年以降、水量に換算するとオリンピックプール1.26億台分に相当する315ギガトンの氷を失った。14の氷河は全て、移動速度が24年間で25%程度加速しており、中央の3つの氷河は40%以上加速し、1994年から59%も加速して1年で391m動いていたものもあった。加速の要因の一つとしては、比較的暖かい深海水が氷河の浮いている面に到達して下から氷を解かすocean forcingと呼ばれる現象が考えられている。ゲッツ棚氷は、土台が8つの島と浅い海底によって押し上げられることにより安定性を得ているという興味深い特徴があるが、こうした安定性をもってしても、背後の氷の融解は進み、移動速度は加速し続けている。
- 【7】英国政府が「ワクチン証明書」の導入の要否を検討中
- 【7】ジョンソン首相は22日の記者会見で、ワクチン接種を受けたことを証明する書類(ワクチン証明書)の導入に関する検討を行っていることを明らかにした。仮に導入された場合には、携帯電話のアプリを使用して表示する方法が採用される可能性もある。海外渡航に関しては同様の制度があるものの、国内の劇場やレストランなどでこうした証明書の提示を求める制度は前例がなく、ジョンソン首相は、倫理的な問題であり、政府の役割としてこうした制度を導入すべきか又は禁止すべきか慎重に検討する必要があると述べている。イスラエルでは既に「グリーンパス」を導入し、コンサート会場や礼拝所への入場の際に使用されている。保守党議員はワクチン証明書の導入に反対するとの見方もあるが、労働組合は労働者を保護する観点からこれを支持する可能性もある。政府のコロナ対策に影響を与えてきたブレア元首相は、ワクチン証明書導入を支持している。
※2/24の英国の感染者数:9,938人(日本1,085人の9.2倍)
※2/24の英国の死者数:442人(日本人55の8.0倍) 原文 February 24, 2021, The Guardian (若林健一)
- 【7】ジョンソン首相は22日の記者会見で、ワクチン接種を受けたことを証明する書類(ワクチン証明書)の導入に関する検討を行っていることを明らかにした。仮に導入された場合には、携帯電話のアプリを使用して表示する方法が採用される可能性もある。海外渡航に関しては同様の制度があるものの、国内の劇場やレストランなどでこうした証明書の提示を求める制度は前例がなく、ジョンソン首相は、倫理的な問題であり、政府の役割としてこうした制度を導入すべきか又は禁止すべきか慎重に検討する必要があると述べている。イスラエルでは既に「グリーンパス」を導入し、コンサート会場や礼拝所への入場の際に使用されている。保守党議員はワクチン証明書の導入に反対するとの見方もあるが、労働組合は労働者を保護する観点からこれを支持する可能性もある。政府のコロナ対策に影響を与えてきたブレア元首相は、ワクチン証明書導入を支持している。