2021/02/17LROニュース(7)
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2021.02.18 UP
2021/02/17LROニュース(7)
- 【1】Seafar社が船員の削減を目的に半自律運航システムの検証を開始
- 【1】ベルギーの内陸水路で遠隔操縦船を運航するSeafar社は、ゼーブルッヘ港とアントワープ港の間で、Wennick社が所有する400TEUの輸送能力を有する貨物船Deseo(5,527dwt)を使用して、半自律運航システムの検証を開始した。Seafar社は3年前に設立され、フランダース地域で遠隔操縦が可能な内陸船の技術を開発し運航してきた実績がある。同社のCEOは今回の検証の背景には若手船員の不足があるとして、Deseoの乗組員を5人から徐々に減らし2022年中に3人にすることを目指して、同船を両港間で週2、3回航行させる。Seafarの目的は、一部の乗組員が陸上のコントロールセンターで船舶を遠隔操縦することを可能にすることで、同社は、自動制御システム、レーダーシステムに接続されたカメラセンサー、および沿岸と内陸で運航可能な船舶専用の通信ユニットを開発し、Deseoに設置している。同社は検証に関して1年間の許可を与えており、毎年これを更新する予定で、検証を行う海域は世界で最も船舶が輻輳する河川の一つである西スヘルデ川の河口を航行するため、安全性を優先するとしている。
- 【1】ベルギーの内陸水路で遠隔操縦船を運航するSeafar社は、ゼーブルッヘ港とアントワープ港の間で、Wennick社が所有する400TEUの輸送能力を有する貨物船Deseo(5,527dwt)を使用して、半自律運航システムの検証を開始した。Seafar社は3年前に設立され、フランダース地域で遠隔操縦が可能な内陸船の技術を開発し運航してきた実績がある。同社のCEOは今回の検証の背景には若手船員の不足があるとして、Deseoの乗組員を5人から徐々に減らし2022年中に3人にすることを目指して、同船を両港間で週2、3回航行させる。Seafarの目的は、一部の乗組員が陸上のコントロールセンターで船舶を遠隔操縦することを可能にすることで、同社は、自動制御システム、レーダーシステムに接続されたカメラセンサー、および沿岸と内陸で運航可能な船舶専用の通信ユニットを開発し、Deseoに設置している。同社は検証に関して1年間の許可を与えており、毎年これを更新する予定で、検証を行う海域は世界で最も船舶が輻輳する河川の一つである西スヘルデ川の河口を航行するため、安全性を優先するとしている。
- 【2】波力エネルギーの成功の鍵を握るのは変換効率をあげる可変形状の構造
- 【2】持続可能で豊富な波力エネルギーは飛躍が期待されており、人口の約半数が海岸線から80km以内に住んでいる米国にとっては特に大きな可能性を秘めているが、波力エネルギー変換器(WEC)の技術は成熟した他の再生可能エネルギーに比べまだ初期段階である。波力エネルギーにとって目下の課題は価格競争力であり、WECは大きな波浪荷重や厳しい海況に耐えるべく頑丈に設計されている必要があるため、コストの35-50%が装置の構造そのものに起因していると考えられている。米国立再生可能エネルギー研究所の研究者たちは、WECの構造に変形可能な部品を組み込むことが構造コスト削減とエネルギー回収量増加という難問を解く鍵になると考えており、変形可能な部品によってWECは形状を変化させられるため、荒れた海況でも構造にかかる負荷を制御でき、より多く発電することが可能になる。従来のWECの殆どは運転制御手段を一つしか持たないが、変形可能な部品をWECの設計に取り入れると、システムに2つめの制御ノブが追加されることになり、この制御装置によって様々な海況下での運転調整が可能になるため、荒れた海では装置の負荷を軽減し、穏やかな海では電力回収量を増やすなど、海況に応じた微調整ができるようになる。こうした追加制御によって、可変形状のWECはより多くのエネルギー回収と運転効率の向上を実現し、最終的にはより競争力の高い波力エネルギーのため最適化されることができる。
- 【2】持続可能で豊富な波力エネルギーは飛躍が期待されており、人口の約半数が海岸線から80km以内に住んでいる米国にとっては特に大きな可能性を秘めているが、波力エネルギー変換器(WEC)の技術は成熟した他の再生可能エネルギーに比べまだ初期段階である。波力エネルギーにとって目下の課題は価格競争力であり、WECは大きな波浪荷重や厳しい海況に耐えるべく頑丈に設計されている必要があるため、コストの35-50%が装置の構造そのものに起因していると考えられている。米国立再生可能エネルギー研究所の研究者たちは、WECの構造に変形可能な部品を組み込むことが構造コスト削減とエネルギー回収量増加という難問を解く鍵になると考えており、変形可能な部品によってWECは形状を変化させられるため、荒れた海況でも構造にかかる負荷を制御でき、より多く発電することが可能になる。従来のWECの殆どは運転制御手段を一つしか持たないが、変形可能な部品をWECの設計に取り入れると、システムに2つめの制御ノブが追加されることになり、この制御装置によって様々な海況下での運転調整が可能になるため、荒れた海では装置の負荷を軽減し、穏やかな海では電力回収量を増やすなど、海況に応じた微調整ができるようになる。こうした追加制御によって、可変形状のWECはより多くのエネルギー回収と運転効率の向上を実現し、最終的にはより競争力の高い波力エネルギーのため最適化されることができる。
- 【3】ITFが海運会社に中国沖で足止めされている船員の交代実施を要請
- 【3】国際運輸労連(ITF)は、中国が豪からの石炭の輸入を非公式に禁止し続けていることを受け、中国の沖合で船内に取り残された船員を支援する取組みを強化するよう海運会社に呼びかけた。今回の呼びかけは、MSCが昨年9月以降中国の沖合で待機していたばら積み貨物船の乗組員18名を下船させるための合意を取り付けたことを踏まえたもので、MSCは、船の乗組員を救助し日本の港を経由して交代を実施するために必要な費用やペナルティを用船者や荷主に支払うことで実現したと述べている。ITFは海運会社に対して、MSCの例に倣い長期間にわたって船内に取り残されている船員の交代を実施するよう求め、これには数百万ドルの費用を要することになるが船員の健康、生命、人権を守るために必要であると主張している。中国が豪産の石炭の輸入を非公式に禁止したため、過去数ヶ月の間で数十隻の船舶と数千人の船員が中国の沖合で待機を余儀なくされており、 ITFの報告によるとその隻数は60隻に達していると考えられ、すでに船員交代の危機に苦しんでいる船員にさらなるストレスが加わっており、これらの船員の多くは1年以上乗務を続けており、中にはその期間が20カ月に及ぶ船員もいる。中国は一部の船舶に荷揚げを許可する計画を立てたとの報告もあるが、ITFは、長期的な解決策として中国がすべての船員の交代を許可する制度を導入する必要があると述べている。
- 【3】国際運輸労連(ITF)は、中国が豪からの石炭の輸入を非公式に禁止し続けていることを受け、中国の沖合で船内に取り残された船員を支援する取組みを強化するよう海運会社に呼びかけた。今回の呼びかけは、MSCが昨年9月以降中国の沖合で待機していたばら積み貨物船の乗組員18名を下船させるための合意を取り付けたことを踏まえたもので、MSCは、船の乗組員を救助し日本の港を経由して交代を実施するために必要な費用やペナルティを用船者や荷主に支払うことで実現したと述べている。ITFは海運会社に対して、MSCの例に倣い長期間にわたって船内に取り残されている船員の交代を実施するよう求め、これには数百万ドルの費用を要することになるが船員の健康、生命、人権を守るために必要であると主張している。中国が豪産の石炭の輸入を非公式に禁止したため、過去数ヶ月の間で数十隻の船舶と数千人の船員が中国の沖合で待機を余儀なくされており、 ITFの報告によるとその隻数は60隻に達していると考えられ、すでに船員交代の危機に苦しんでいる船員にさらなるストレスが加わっており、これらの船員の多くは1年以上乗務を続けており、中にはその期間が20カ月に及ぶ船員もいる。中国は一部の船舶に荷揚げを許可する計画を立てたとの報告もあるが、ITFは、長期的な解決策として中国がすべての船員の交代を許可する制度を導入する必要があると述べている。
- 【4】巨大氷山A68Aの環境影響調査が開始
- 【4】2017年に南極の棚氷から分離し、南大西洋に向かって移動しつつ分裂を繰り返していた巨大氷山A68Aに2月14日、英国南極観測局(BAS)の調査団が到着し、かつては小国ほどの大きさを有したこの巨大氷山の調査が開始された。A68Aは分裂した氷のなかで最大の断片であるが、2月15日までに分裂した氷はA68Pまで存在する。調査団はロボットグライダーを配置して氷付近の海水の塩分濃度・海水温・葉緑素を測定し、氷が周囲の海洋生態系に与えている影響を把握する。水中ロボットに組み込まれた技術により、英国に帰国してからも遠隔操作が可能なため、調査船団は氷付近に留まる必要はなく、調査に同行している国立海洋学研究所(NOC)の研究者によると、NOCが開発したアプリケーションによって、衛星データを使用してこうしたグライダーの操縦を支援し、調査対象に応じてセンサーの種類をカスタマイズできる様々な種類のグライダーが使用可能であるという。A68Aは過去数か月間、多くのペンギンやアザラシ、頭数が増え続けるホッキョククジラの生息地である南ジョージア島周辺を漂流しており、氷山が周辺の環境へ与える影響としては、南極で回収した岩くずを分散させることによって海洋を肥沃化するというプラスの面もあれば、場所を塞いで周辺の生物の捕食を困難にする、または氷山が放出する大量の淡水により海洋食物網の正常なプロセスに混乱をきたすというマイナスの面もある。
- 【4】2017年に南極の棚氷から分離し、南大西洋に向かって移動しつつ分裂を繰り返していた巨大氷山A68Aに2月14日、英国南極観測局(BAS)の調査団が到着し、かつては小国ほどの大きさを有したこの巨大氷山の調査が開始された。A68Aは分裂した氷のなかで最大の断片であるが、2月15日までに分裂した氷はA68Pまで存在する。調査団はロボットグライダーを配置して氷付近の海水の塩分濃度・海水温・葉緑素を測定し、氷が周囲の海洋生態系に与えている影響を把握する。水中ロボットに組み込まれた技術により、英国に帰国してからも遠隔操作が可能なため、調査船団は氷付近に留まる必要はなく、調査に同行している国立海洋学研究所(NOC)の研究者によると、NOCが開発したアプリケーションによって、衛星データを使用してこうしたグライダーの操縦を支援し、調査対象に応じてセンサーの種類をカスタマイズできる様々な種類のグライダーが使用可能であるという。A68Aは過去数か月間、多くのペンギンやアザラシ、頭数が増え続けるホッキョククジラの生息地である南ジョージア島周辺を漂流しており、氷山が周辺の環境へ与える影響としては、南極で回収した岩くずを分散させることによって海洋を肥沃化するというプラスの面もあれば、場所を塞いで周辺の生物の捕食を困難にする、または氷山が放出する大量の淡水により海洋食物網の正常なプロセスに混乱をきたすというマイナスの面もある。
- 【5】ナイジェリア海軍が誘拐犯と共謀する職員に対する罰則を強化する方針
- 【5】先月ナイジェリア海軍の少将に就任したA.Z. Gambo氏は、職員による誘拐犯や犯罪者との共謀を根絶し、処罰するための措置を強化する方針であることを明らかにした。国際商業会議所の国際海事局(ICC-IMB)によると、230万平方キロメートルにわたり広がり約20の国と接するギニア湾では、昨年誘拐事件の発生件数が記録的に増加した。武装した暴力的な海賊はナイジェリア当局の手が届きにくいデルタ地帯の外側で活動し、専門家によるとその戦術は大胆さを増しており、より効果的な法執行が求められている。最近では海賊がコンテナ船のシタデルを破壊してトルコ人船員1名を殺害し15名を誘拐するという事案も発生している。同氏は、犯罪に加担する者は厳しく処罰するとし、犯罪者と共謀するナイジェリア海軍の職員を制裁するための現在の方針や対策について徹底的に点検し強化すると述べた。他国の海軍が公海を巡回しているものの、ナイジェリアの法律では沿岸域で船上において武器を携行できるのはナイジェリア海軍の職員に限定されている。ナイジェリアの裁判所は昨年、新たに制定した海賊対処法に基づき最初の有罪判決を下したが、誘拐事件は増加している。
- 【5】先月ナイジェリア海軍の少将に就任したA.Z. Gambo氏は、職員による誘拐犯や犯罪者との共謀を根絶し、処罰するための措置を強化する方針であることを明らかにした。国際商業会議所の国際海事局(ICC-IMB)によると、230万平方キロメートルにわたり広がり約20の国と接するギニア湾では、昨年誘拐事件の発生件数が記録的に増加した。武装した暴力的な海賊はナイジェリア当局の手が届きにくいデルタ地帯の外側で活動し、専門家によるとその戦術は大胆さを増しており、より効果的な法執行が求められている。最近では海賊がコンテナ船のシタデルを破壊してトルコ人船員1名を殺害し15名を誘拐するという事案も発生している。同氏は、犯罪に加担する者は厳しく処罰するとし、犯罪者と共謀するナイジェリア海軍の職員を制裁するための現在の方針や対策について徹底的に点検し強化すると述べた。他国の海軍が公海を巡回しているものの、ナイジェリアの法律では沿岸域で船上において武器を携行できるのはナイジェリア海軍の職員に限定されている。ナイジェリアの裁判所は昨年、新たに制定した海賊対処法に基づき最初の有罪判決を下したが、誘拐事件は増加している。
- 【6】アムステルダム港が短距離船向け陸上電源装置の試験を実施
- 【6】欧州の港湾および周辺の環境を改善するため、港湾での短距離船や内航船向けの陸上電源の利用は増えつつあるが、持続可能な港湾を実現するためのこうした取り組みの一環として、アムステルダム港は蘭の海運企業Wilson Eurocarriersと共同で同港初となる短距離船向けの陸上電源装置の試験を実施した。試験では、同港に停泊中の3,500dwtの短距離貨物船Wilson Gooleを利用し、電力は輸送用コンテナに収容されたバッテリーユニットに供給され、電力は必要な場所へ輸送することが可能である。同港によると、供給される電力もまた持続可能であり、地元のWindpark Ruigoordの風力エネルギーやAEBからのバイオマスエネルギーによって補充され、バッテリーはアムステルダムのどこへでも、少なくとも12時間分の陸上電力に相当する630kWhのグリーンエネルギーを供給可能である。アムステルダム港は、この試験によりバッテリーを利用して大型船に定期的にエネルギーを供給可能であることが証明されたとしており、陸上電源装置の運用には、船主と港湾運営者間での協力が必要であるとしている。アムステルダムに毎週就航しているWilson社は、同社の所有する126隻のうち80隻が既に改修済で、陸上電源装置が利用可能な港湾であればこうした船舶を利用可能と報告しており、同社は2019年にもロッテルダム港にて短距離船の陸上電源試験を行っている。
- 【6】欧州の港湾および周辺の環境を改善するため、港湾での短距離船や内航船向けの陸上電源の利用は増えつつあるが、持続可能な港湾を実現するためのこうした取り組みの一環として、アムステルダム港は蘭の海運企業Wilson Eurocarriersと共同で同港初となる短距離船向けの陸上電源装置の試験を実施した。試験では、同港に停泊中の3,500dwtの短距離貨物船Wilson Gooleを利用し、電力は輸送用コンテナに収容されたバッテリーユニットに供給され、電力は必要な場所へ輸送することが可能である。同港によると、供給される電力もまた持続可能であり、地元のWindpark Ruigoordの風力エネルギーやAEBからのバイオマスエネルギーによって補充され、バッテリーはアムステルダムのどこへでも、少なくとも12時間分の陸上電力に相当する630kWhのグリーンエネルギーを供給可能である。アムステルダム港は、この試験によりバッテリーを利用して大型船に定期的にエネルギーを供給可能であることが証明されたとしており、陸上電源装置の運用には、船主と港湾運営者間での協力が必要であるとしている。アムステルダムに毎週就航しているWilson社は、同社の所有する126隻のうち80隻が既に改修済で、陸上電源装置が利用可能な港湾であればこうした船舶を利用可能と報告しており、同社は2019年にもロッテルダム港にて短距離船の陸上電源試験を行っている。
- 【7】英国内のすべての成人へのワクチン接種が8月まで終わる可能性
- 【7】英国はこれまでに約1560万人に1回目の接種を終え、546,165人に2回目の接種を終えているが、英国の新型コロナウィルスのワクチン調達戦略の管理チームを率いるCliveDix氏は、国内のすべての成人にワクチンを2回接種するのに要する期間を問われ、非常に近い将来に使用承認されるワクチンが増えると述べ、英国内のすべての成人が8月乃至9月までに2回のワクチン接種を受けることができるとの見解を述べた。同氏は、これを達成するためには1億回分以上のワクチンを提供する必要があるが、それは可能であると信じていると述べて自信を見せるとともに、既にワクチンの供給を開始しているアストラゼネカ社やファイザー社に生産上の問題が発生する前に十分な量のワクチンを確保する必要があると述べた。
※2/16の英国の感染者数:10,625人(日本963人の11倍)
※2/16の英国の死者数:799人(日本人63の13倍) 原文 February 17, 2021, Evening Standard (若林健一)
- 【7】英国はこれまでに約1560万人に1回目の接種を終え、546,165人に2回目の接種を終えているが、英国の新型コロナウィルスのワクチン調達戦略の管理チームを率いるCliveDix氏は、国内のすべての成人にワクチンを2回接種するのに要する期間を問われ、非常に近い将来に使用承認されるワクチンが増えると述べ、英国内のすべての成人が8月乃至9月までに2回のワクチン接種を受けることができるとの見解を述べた。同氏は、これを達成するためには1億回分以上のワクチンを提供する必要があるが、それは可能であると信じていると述べて自信を見せるとともに、既にワクチンの供給を開始しているアストラゼネカ社やファイザー社に生産上の問題が発生する前に十分な量のワクチンを確保する必要があると述べた。