2021/02/16LROニュース(7)

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  • 2021.02.17 UP
    2021/02/16LROニュース(7)
    • 【1】IMOがMSC103でギニア湾の海賊事件に対処するための作業部会を設置
      • 【1】国際海事機関(IMO)はギニア湾における海賊事件の増加に対応するために、5月に開催予定の第103回海上安全委員会(MSC103)において海上安全保障に関する作業部会(WG)を召集し、加盟国や国際機関が問題解決のためにとり得るさらなる協力や行動について議論する機会を設ける。IMO事務局長は、ギニア湾で発生する海賊事件の件数や内容の深刻さが増していることについて懸念を表明し、安全を回復し、ギニア湾を航行する船舶やその乗組員の安全・安心への脅威を減らすためには関係者の協力が必要であると主張し、今年1月23日に発生し、船員1名が死亡し15名が誘拐される結果となったコンテナ船MVモーツァルト号への襲撃事件を例に挙げ、緊急を要する状況であることを強調した。また、IMO事務局長は2月10日に発出した回章(Circular letter No. 4382)で、IMOは海運業界、ナイジェリア海事安全庁(NIMASA)、地域調整センター(ICC)などの代表者との会合の促進など、関係者間の調整を強化するための取組みを続けていると述べ、また、船舶が海賊による襲撃を回避、抑止し、遅延させ、報告するために、IMOが承認したベストマネジメントプラクティス(BMP)を実施する必要があることを強調している。国際海事局(IMB)の海賊報告センターによると、ギニア湾での海賊事件の数は2020年に記録的に急増し、誘拐事件は22件発生し130人の船員が誘拐された。また、襲撃の内容が暴力的になり、海岸から遠く離れた海域で発生しているという点も懸念事項とされており、海賊の能力が高まっていることが浮き彫りになっている。
      • 原文 February 15, 2021, gCaptain (若林健一) 
    • 【2】Map of the Week:持続可能な海洋経済における環境保護の必要性
      • 【2】2月12日に更新されたMap of the Weekでは、地中海固有の海草Posidonia oceanicaの分布図を示しており、「地中海の肺」として知られるこの海草は、水質改善/CO₂の吸収/気候変動の緩和/海底・海岸の安定化のための土砂生産/海岸保護/漁業生産の支援など多くの生態系に様々な役割を果たしているが、現在衰退の一途を辿っており、保全と回復が重要な課題となっている。2月2日、地中海沿岸諸国間の対話と協力を目的とした政府間組織、Union for the Mediterranean(UfM)に加盟する42か国の閣僚は、地中海地域における持続可能なBlue Economy(BE)を促進するためのオンライン会合を行い、広範な協議を経て、①地中海地域におけるガバナンスと将来的な海底戦略②海洋研究とイノベーション/キャリア/技術/雇用③海洋からの持続可能な食④持続可能で、炭素中立であり汚染物質を出さない海洋輸送と港湾⑤海洋ごみとBEにおける相互作用⑥沿岸および海上の観光⑦海洋空間計画と統合的沿岸管理⑧海洋再生可能エネルギー⑨BE活動における海洋の安全保障⑩BEにおける持続可能な投資といった幅広い問題に対処するための新たな宣言を採択した。健全な海洋生態系とBEの持続可能な成長は密接に関連しているが、これまでの地中海における持続可能な開発戦略は、地中海沿岸および海洋環境への圧力や劣化を軽減するのに十分とは言えなかったため、UfMの新たな宣言は、こうした課題に対処することに貢献することが期待されている。
      • 原文 February 12, 2021 欧州委員会(植木エミリ)
    • 【3】中国の海警法が南シナ海におけるリスクを高める理由
      • 【3】中国海警局に対する習主席の統制は、中国が自国のものであると主張する海域で中国海警局による外国船舶に対する武力行使を認める海警法の成立とともに、これまでさほど注目を集めていない。しかし、中国海警局の動きは、習主席が損害や不安を引き起こし、他国が到底容認できない方法で行動するための非常に実用的な新たなツールとなっている。中国国営メディアは、海警法の内容は他国の慣行に類似したものだと主張しているが、そうではなく、海警法は、中国が武力を行使する際に国連海洋法条約や国際裁判所の判決を無視し、海警局が武力を行使し得る管轄区域を中国の一方的な主張により決定することを示唆している。これまで中国は、他国が主張する海域や他国の排他的経済水域において漁船団や民兵船により他国の船舶を威嚇し、時には衝突させ沈め、また、海警局の巡視船を中国の漁船団の後方に配置し、他国の船舶との接触時に介入させる準備を整えるという方法をとってきた。しかし、海警法の整備によって習主席は海警局に対して、海上の「戦狼」となり中国の利益主張のために武力を行使することを指示した。また、中国海警局は搭載する武器だけでなく体当たりによる攻撃を実施するために船体も強化しており、これに耐えられない他国の船舶は後退して道を譲るか、最初に自ら発砲するかの選択に迫られることになり、海警局の巡視船は他国の船舶に発砲することを考える必要はなく、これにどう対処すべきかについても検討する必要がある。海警局の巡視船は、漁船だけでなく他国の艦船にも損傷を与え、沈没させる可能性もあり、他国の指導者は予め中国に対してそのような事態を招かぬよう警告する必要がある。
      • 原文 February 15, 2021, The Maritime Executive (若林健一) 
    • 【4】バミューダ周辺のハリケーン強度が過去60年で2倍に
      • 【4】サウザンプトン大学等の研究者がEnvironmental Research Lettersに発表した研究によると、研究者達が1955年から2019年までの期間におけるバミューダから100km圏内のハリケーンの進路を統計的に分析したところ、バミューダ周辺の亜熱帯大西洋のハリケーン強度が、海水温の上昇により過去60年間で2倍以上になっていることが明らかになった。ハリケーンは、大気・海洋間の熱流束を介して、暖かい海面から抽出されたエネルギーによって強度を増すため、温暖な海はより強力なハリケーンを引き起こす可能性がある。最大風速により測定したバミューダ付近のハリケーン強度は、1955年から2019年の間に35mphから75mphに増えたが、これは10年間で6mph以上ずつ強度が増したことに相当する。また同期間に当該海域の海水面および海面下の水温は最大1.1℃上昇しており、ハリケーンが激化するための追加的なエネルギーを提供していたことが分かった。研究では、水深50mまでの上層部の平均海水温を利用して、バミューダ海域を移動するハリケーンの強度を予測する方法も開発しており、研究の筆頭著者によるとこの新たな測定方法は、一般的には北緯25度以北とされる浅い混合層のある他の亜熱帯大西洋海域でも利用可能であり、研究の共著者も、この新たな研究はハリケーンの強さを予測する上で、海面の水温だけでなく海洋上層部の熱がより重要であることを実証していると述べている。
      • 原文 February 12, 2021 NOC(植木エミリ)
    • 【5】EUの環境規制等による陸上電源への新たな関心
      • 【5】停泊中の船舶からの温室効果ガス(GHG)排出の禁止を求めるEU議会の行動が、陸上電力施設の設置に向けた動きを加速させている。Yara Marine Technologies社の最高販売責任者(CSO)は、EUの陸上電源施設への投資をサポートする新しい規制や助成金の制度、主要港周辺の環境整備のための全体的な取組みが、市場の拡大に貢献していると述べている。EUが提案している停泊中の船舶からのGHG排出禁止措置は、EU域内の港に停泊し又は出入りする総トン数5,000トン以上のすべての船舶を対象とし、2030年までの施行を想定している。EU議会のイニシアチブに加えて、複数の港では2025年までにGHG排出を禁止する措置をすでに導入している。また、中国では、排出規制区域で3時間以上にわたり陸上電源が供給できる施設に停泊するクルーズ船は陸上電力を使用することを定めた規則を制定している。さらに、欧州、北米、アジアの多くの港も陸上電源施設を設置または拡張する計画を発表している。同CSOは、陸上電源施設の設置の動きはGHG排出削減だけでなく、ブラックカーボン、SOx、NOxなどによる地域の大気汚染も改善させ、数千人の命を救い、都市の空気を浄化することになると述べた。また同氏は、IMOの第4次調査によると陸上電源は船舶からのGHGの排出量をかなり削減できるとしており、船舶の主機や発電機の保守を容易にし、停泊中の騒音も低減されると述べ、船舶がIMOのGHG削減目標を達成することを可能にする新たな技術に今後一層注目が集まると期待を寄せている。
      • 原文 February 11, 2021, The Maritime Executive (若林健一)
    • 【6】ECSA:EUの燃料基準は燃料供給業者を対象にすべき
      • 【6】欧州共同体船主協会(ECSA)は、欧州委員会によるEU ETSと再生可能エネルギー指令(RED)の改正に関する公開協議に欧州の海運分野としての立場を表明した。FuelEU Maritimeは、代替燃料の使用を妨げている市場の障壁や、どの選択肢が技術的に利用可能なのかという不確実性に対処することによって、欧州の海運と港湾における持続可能な代替燃料の利用拡大を目指す取り組みであり、海運を含む輸送分野全体のエネルギー転換を目的としたEUの広範な戦略の一環である。ECSAは、FuelEU Maritimeにおいて、将来の燃料基準を燃料供給業者ではなく船舶の要件として定めることは、CO₂の排出削減を実現できないリスクがあり、実施が困難になると考えている。海運業界は全面的に脱炭素化に取り組んでいるため、成功の鍵はゼロまたは低炭素で、安全かつ広範に利用可能な代替燃料の導入にかかっており、ECSAはEUに対し、①市場原理に基づく方策(MBM)の下で基金を設立し、その収益を研究開発計画への資金源として、新燃料と従来型の燃料の間の価格差を埋める。②REDの下で、低炭素およびゼロ炭素燃料にサブターゲットと高い乗数を導入することにより、燃料供給業者が提供する燃料に一定の割合でそうした燃料を含めることを要求し、それに対するインセンティブを与えるという2本柱の政策導入を提唱している。また MBMの下での基金は、海運分野における管理上の負担を最小限に抑え、全ての収益がエネルギー転換のために投資されることを保証するとしている。
      • 原文 February 16, 2021 Offshore Energy(植木エミリ)
    • 【7】ワクチン接種による効果で死者数や入院患者数が減少
      • 【7】暫定的なデータに基づく報告として、新型コロナウィルスのワクチン接種が、入院患者の数、死者数、感染者数の減少に貢献していることが判明したとして、ジョンソン首相は数週間のうちにロックダウンの規制を注意を払いつつ緩和することができるとの期待を述べた。一方で、首相は現在のロックダウンを最後のロックダウンにしたいと述べ、このデータについて分析を進めつつロックダウン緩和のロードマップを策定するとしている。
        ※2/15の英国の感染者数:9,765人(日本1,364人の7.2倍)
        ※2/15の英国の死者数:230人(日本人40の5.8倍)
      • 原文 February 16, 2021, Evening Standard (若林健一)
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