2021/02/05LROニュース(7)

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  • 2021.02.08 UP
    2021/02/05LROニュース(7)
    • 【1】米国港湾協会が議会とバイデン政権に緊急的な財政支援を求める
      • 【1】米国港湾協会(AAPA)は他の35の海事業界団体と共に、商取引と物流の維持において港湾が果たす重要な役割を強調したうえで、他の輸送機関のように港湾には財政支援が行われておらず多くの港湾で過去1年間の収益が劇的に減少しているとし、米国議会とバイデン政権に対して、新たな新型コロナウィルス危機の救援策の一環として港湾に対する緊急的な財政支援を実施するよう求めている。AAPAはバイデン大統領と議会に宛てた書簡の中で、コンテナ取扱量の急増によって利益を得た港湾はわずかで、海上貿易の総量は昨年比で5.5%、金額にして12.7%減少して合計2,000億ドルとなった一方、新型コロナウィルスの予防措置に要する費用は大幅に増加していると説明している。また、海上貨物の移動はパンデミックの発生前で65万人以上の雇用を維持するとともに、3,080万人の仕事が国内の国際港湾を通る貨物移動によって支えられていたと説明している。AAPAなどは、2020年に議会によって設立され、現在のパンデミックを含む緊急事態や災害時に海事局による助成金の支給を認めている海上輸送システム緊急救援プログラム(the Maritime Transportation System Emergency Relief Program)への資金提供を求めており、このぷプログラムの対象には、パンデミックの影響を緩和するための援助を提供する内陸及び沿岸の港が含まれる。
      • 原文 February 3, 2021, The Maritime Executive (若林健一)
    • 【2】マースクタンカースが海上貨物憲章への加盟を決定
      • 【2】2020年10月に、Global Maritime Forumの主導の下、エネルギー・農業・鉱業などの各分野を代表する荷主とNorden/Euronav/Stena Bulkなどの大手ばら積み船社からなる創設メンバーにより、海上輸送から排出されるCO₂の量を透明化するための国際的な枠組みとして「海上貨物憲章 (Sea Cargo Charter : SCC)」が起草採択されたが、この度、マースクタンカースが新たなメンバーとして同憲章への参加を表明した。現在のところ、海運企業はそれぞれ独自のCO₂排出量測定基準を採用しているが、SCCの加盟企業は、2050年までに海運からのCO₂削減量を50%削減するというIMOの目標に沿いつつも、SCC内の統一された方法で船舶から排出されるCO₂排出量を測定し公表する。同社の最高商務責任者は加盟にあたり、明確に定義されたパラメーターによる標準化は長年必要とされており、何が問題であるかについての共通の理解がなければCO₂排出量という問題は解決できないとコメントした。同社は今後、政策/手続き/基準を通じて憲章に沿った活動を実施し、用船活動における年間のCO₂排出量を測定し、公表していくとしている。
      • 原文 February 5, 2021 Offshore Energy(植木エミリ)
    • 【3】米司法省:対イラン制裁違反を理由に輸送中の石油の没収を発表
      • 【3】米司法省は2月2日に声明を発表し、リベリア籍タンカーAchilleasが米国の対イラン制裁に違反してイラン産の石油を輸送しているとして、連邦地方裁判所に対して同船が搭載している石油約200万バレル(約31万8千KL)の没収の申し立てを行ったことを明らかにした。同船は現在米国に向けて南米沖を航行している。声明によると、輸送されている石油は米国がテロ組織に指定しているイラン革命防衛隊(IRGC)やそのQuds部隊の所有で、その収益は大量破壊兵器の拡散、テロ活動やその支援、人権侵害に当たる行為などIRGCがイラン内外で行う様々な非道な活動の資金源になる疑いがあるとしている。また、米司法省は声明の中で、本件にはIRGCへの協力者が多数関与しており、イラン産の石油を秘密裏に海外に輸送するため、船舶間移送(STS)や偽造文書などの手段を用いて積荷の出どころを偽装し、Achilleasの所有者を欺くために偽装した請求書を発行した疑いがあるとしている。
      • 原文 February 3, 2021, 米司法省(若林健一)
    • 【4】温暖化の加速により15年以内に地球の気温が1.5℃以上上昇する可能性
      • 【4】世界気象機関(WMO)が1月15日に発表した報告書によると、過去6年間は1880年からの観測開始以来最も温暖な6年間であり、2020年の気温は産業革命以前(1880年)の記録から1.2℃も上昇していた。また12月には大気中のCO₂濃度も最高記録となる4.14ppmに達し、WMOは、最速で2024年に地球の気温上昇が産業革命以前から1.5℃以上になる確率は20%と予測している。こうした記録的な温暖化の加速を考慮すると、今後15年以内には地球の気温上昇が1.5℃以上に到達する可能性がある。今年は気候にとって特に重要な年であり、国連事務総長は1月に、加盟国に対し2030年までに世界のCO₂排出量を2010年比で45%削減するための自主的な排出削減目標(NDCs)を提出することを求めると共に、投資家や多国間開発銀行に対しては、2024年までに適応資金の割合を20%から最低50%に増やすことを求め、先進国が途上国の気候変動対策のため年間1000億ドル(約10.5兆円)を動員する公約を果すよう求めた。気温の上昇に伴って、気候変動に対処する国際的な機運も高まっており、国連環境計画(UNEP)による世界人口の半数を占める50か国での気候変動に関する世論調査では、過半数の人々が幅広い気候変動対策を求めており、調査には通常の選挙では投票権を持たない18歳以下の対象者も50万人以上含まれていた。
      • 原文 February 4, 2021, UNEP(植木エミリ)
    • 【5】米国議会調査局が南シナ海問題に関する報告書を公表
      • 【5】米国議会調査局(Congressional Research Service:CRS)は2月2日、南シナ海問題の背景と米国の政策に関する報告書を公表したがその概要は以下のとおり。①多数の船舶が行き交い船舶交通の要衝である南シナ海(SCS)において、複数の国が岩や礁などに対する主権を主張しているが、中でも中国は最も広大な範囲について自国の主権を主張している。②米国は、SCSのいずれの場所においても主権は主張しておらず、主権に関する争いは圧力ではなく国際法に基づいて解決するよう求めている。③この問題とは別に、米中は、外国の軍隊が他国の領海又は排他的経済水域(EEZ)で飛行、航海、および活動するに当たり国際法が如何なる権利を与えているかという点に関して意見が分かれている。④2013年以降、主権に関する争いと航行や飛行の自由をめぐる米中間の争いは、中国がSCSに建設してきた軍事拠点をめぐる論争に収れんされてきたが、米国当局はこれら軍事拠点を中国によるSCSの覇権を握るための行動の一部として捉えた。⑤長年にわたって米国の戦略目標は、そのような地域の覇権国家の出現を防ぐことにあったが、 2021年1月の聴聞会で国防長官は、中国は既に地域の覇権国家となり、さらに世界の覇権を握ることを目指していると主張した。⑥観測筋は、スカボロー礁など別の場所の埋め立ての開始や防空識別圏(ADIZ)の宣言など、中国がSCSを支配するために他の行動に打って出る可能性があると警告している。
      • 原文 February 3, 2021, USNI News (若林健一)
    • 【6】Africa Report:海洋汚染事故に対する国際的な備えを強化する必要性
      • 【6】安全保障研究所(ISS)による、アフリカにおける地域・大陸レベルでの安全保障問題と解決法について分析した標記報告書によると、数十年間に渡る政策的な取り組みにも関わらず、ナイロビ協定の締約国は、人員や設備を含めた海洋汚染事故への対応能力が未だに国ごとで異なっており、昨年7月にモーリシャス沖で発生したわかしお号事件によって、国家油流出事故対策計画(NOSCP)は定期的に見直す必要があり、あらゆる事態に備える必要があることが示されたと指摘している。当該事故においては、モーリシャスは即座に防止措置を講じたものの、その後に起きた未曾有の環境被害を制御するための十分な装備を持ち合わせておらず、NOSCPにおける「資源と能力」の圧倒的欠如から、仏などの諸外国から支援を受けた。報告書では、わかしお事故は、国家的な対策計画が十分なのかどうか、海洋汚染事故が発生した際に何がその国や地域にとって十分な備えといえるのかという疑問を投げかけていると指摘し、主要な調査結果のほか推奨事項として、大規模な海洋汚染事故発生時の地域的な協力の基盤として、起草されて10年以上経つ地域的対策計画案の策定や、事故対応者への定期的な研修や実地訓練を行い、これらの行動を実現させるための強力な政治的意志が必要であると勧告している。
      • 原文 February 3, 2021 Safety4Sea(植木エミリ)
    • 【7】ロンドンの公共交通機関で高性能なマスクの着用を求める動き
      • 【7】感染力が高い新型コロナウィルスの変異種の感染拡大を踏まえ、布マスクやバンダナでは感染を防ぐ効果が得られない恐れがあるとして、ロンドン市長とロンドン交通局(TFL)は、公共交通機関を利用する場合のマスクの着用に関する勧告の見直しに着手し、利用客に対して布マスクに替えて高機能のマスクを着用することを求める必要性についてロンドン市の科学顧問グループが分析を行う。また、TFLはこの懸念に関して英国公衆衛生庁にガイダンスを示すよう求めている。高機能マスクの着用の義務化ついては、すでにフランスやドイツなどで導入されている。高機能マスクは布マスクに比べて値段が高く呼吸もしにくいが、95%の確率で飛沫を防ぐことが可能で、感染確率を劇的に下げることが期待される。

        ※2/4の英国の感染者数:20,634人(日本2,641人の7.8倍)
        ※2/4の英国の死者数:915人(日本108人の8.5倍)
      • 原文 February 5, 2021, METRO (若林健一)
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