2020/10/16LROニュース(7)

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  • 2020.10.16 UP
    2020/10/16LROニュース(7)
    • 【1】 次期北極評議会議長国の露が安全保障問題を優先的な課題に
      • 露連邦安全保障会議に新たに設置された北極海に関する特別委員会の初会合が今週行われ、露首相や露大統領を歴任し現在は露連邦安全保障会議の副議長を務めるドミトリー・メドベージェフ氏は、露は北極海においてNATO加盟国から様々な脅威を受けており、平和と安定や互恵的な関係を望む露の考えが共有されていないと指摘したうえで、露の経済及び安全保障の双方にとって北極海の戦略的な重要性は高まっており、これらの脅威に対しては適切に対応していくと述べた。露は2021年から2023年まで北極評議会の議長国を務めることとなっており、同氏は、こうした新たな現実への対策は北極評議会などの各国政府間の取組みの場においても反映させていく必要があるとの考えを示した。北極評議会の設立に関する宣言(The Ottawa Declaration)では、同評議会は軍事や安全保障に関する事項は取り扱わないこととされているが、2019年5月には米国務長官も北極評議会閣僚会合前日に行ったスピーチで露や中国が北極海において軍事的プレゼンスを高めていると指摘している。
      • 原文 October 14, 2020, The Barents Observer(若林健一)
    • 【2】 ロッテルダム港:着岸中の船舶による陸上電源の利用を推進
      • 照明・船内機器の運転・冷凍冷蔵コンテナや食料品の温度管理等に船上で必要な電力は、一般的にディーゼルの補助機関を利用して船内で発電されているが、ロッテルダム港に毎年入港する船舶は、入港中に25万から30万世帯分の電力を船内で発電・消費することによって、60万トンのCO₂・8千トンのNOxを大気中に放出している。こうした停泊中の船舶からの排気や騒音を削減し、ロッテルダム港周辺の大気汚染と住環境の改善のため、ロッテルダム市とロッテルダム港湾庁は、当該港湾に入港し着岸中の外航船における陸上電源の利用を促進し、陸上電源供給システムの規模拡大を目指す計画を共同で実施することに合意した。計画では、船種に応じて8基から10基の陸上電源を岸壁に整備し、2030年までに停泊中の船舶から排出されるCO₂を年間20万トン削減することを目指す。またこの計画は実施状況に応じて2025年に一度目標を見直す予定である。なおロッテルダム港には過去数年間で、内航船用の全ての公共岸壁に内航船が利用できる陸上電源が既に整備されている。
      • 原文 October 14, 2020, ロッテルダム港(植木エミリ)
    • 【3】 ICC-IMB: 海賊報告書(2020年1月-9月期)
      • 国際商工会議所(ICC)の国際海事局(IMB)が2020年1月から9月期の海賊報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①2020年1月から9月に世界で発生した海賊事件の件数は132件で、前年同期の119件と比較して増加している。②身代金目的で誘拐された船員の数は85名で、このうち80名がギニア湾で発生した14件の誘拐事件の被害者である。③船員が襲撃を受け負傷するといった事例は134件報告されている。賊に乗船された船舶の数は合計112隻、銃撃を受けた船舶の数は6隻報告されており、また、12件の未遂事件も報告されている。ギニア湾では漁船2隻が賊に乗っ取られている。④世界で発生した海賊事件の95%がギニア湾で発生しており、この海域の賊は組織化されており様々なタイプの船舶を標的に活動している。7月17日にはナイジェリアの196海里沖合において銃で武装した8人の賊が航行中のタンカーを襲撃し、船員13名が誘拐されるなどの被害が発生している。⑤15隻の船舶がシンガポール海峡を航行中に襲撃され、このうち少なくとも10件で刃物が凶器として使用されている。⑥2018年以降ソマリア周辺海域で海賊事件の発生は報告されておらず、今年8月に3名の人質が解放されソマリア周辺の海賊による人質の数はゼロとなったが、引き続き海賊の襲撃に備える必要がある。
      • 原文 October, 2020, ICC-IMB(若林健一)
    • 【4】 国連持続可能な開発のための海洋科学の10年:Decade Actionsの募集を開始
      • 「国連持続可能な開発のための海洋科学の10年」(事務局はUNESCO-IOC)のビジョンを達成するためには、広範なパートナーがDecade Actionsとして承認された計画・事業・行動を今後10年間に実施していくこととなるが、事務局はこのDecade Actionsとして承認されるための提案の公募の第1次受付を10月15日から始めると発表した。第1次公募の対象としては、①大規模で、複数の国が関与する変革的な計画や②Decade Actionsや調整経費を支援するための大規模な物的・人的・財政的な貢献を主として念頭に置いている。インフラの整備や人材育成等を含む海洋科学の持続可能性を強化するための計画や貢献は歓迎されるし、世界のどの地域における行動計画でも構わないし、提案はだれでも提出できる。提案の締め切りは2021年1月15日で、承認の可否は2021年第1四半期中に決定されるが、締め切りまでに最終的な提案を申請できない場合は、暫定的な提案を登録することによって、同じようなテーマで活動する他の団体に、あなたが当該テーマに興味を持ち一緒に活動することに興味があることを知らせることができる。10月20日と11月6日に、提案募集に関するオンライン説明会が開催され、参加を申し込むことができる。
      • 原文 October 1, 2020, Ocean Decade(長谷部正道)
    • 【5】 Global Maritime Forum(オンライン)の開催結果(CO₂削減)概要
      • 世界から約240名の海事関係のトップレベルの官民の代表が参加して、表記会合が開催されたところ、船舶からのCO₂の削減方法に関する部分の議論の概要は以下のとおり。①船舶からのCO₂を削減するための経済的な措置として、炭素(燃料)課税を世界的に導入することを望む声が多かったが、各国/地域レベルの制度を設計する作業にも参加して、世界的な制度との整合性を図り、収益が船舶の脱炭素化を加速するために使用されることを担保すべきとの意見もあった。②EU ETSを海運に適用すべきか否かの議論は終わり、今後はどのように適用するかという議論になるのだから、IMOにおける世界的な炭素課税の話と並行して、海運業界もEU ETSが世界的な制度につながるように、仕組みづくりをする作業に参加すべきであるとの声もあった。③低炭素・脱炭素燃料については、船主は連帯して、価格水準を従来の化石燃料と同じレベルに据え置くことを要求するべきで、価格水準さえ保証されれば、新燃料への移転が促進され、需要も確保されて、燃料供給事業者も新燃料の製造設備への投資を安心して行うことができるとの提案もあった。
      • 原文 October 14, 2020, Global Maritime Forum(長谷部正道)
    • 【6】 英国海軍:北極海の海氷の融解によって中国海軍の大西洋進出が容易に
      • 北極海北航路は現在では、一般的に8月から10月の間、航行が可能だが、航行可能期間は今後の気候温暖化の進展に伴い、徐々に拡大することが予想され、2030年から2040年までには大型船の航行も可能となると予測されている。こうした状況を踏まえて、英国海軍のトップであるラダキン提督が、北極海の海氷の減少に伴う、中国海軍とソ連海軍の動向についてコメントしているところその概要は以下のとおり。①北極海の海氷の減少は、拡大を続ける中国海軍が大西洋に進出する新たなルートを構築し、英国や西側同盟国にとって新たな脅威となる。②ロシアもまた、過去30年間では最大規模に大西洋における活動を活発化させている。③気候変動によって、北極海の海氷が減少し、アクセスが容易になれば、北極海における緊張・競争が増すことになる。④英国海軍はノルウェー海軍や米国海軍と協力してバレンツ海における活動を強化している。
      • 原文 October 9, 2020, Independent(長谷部正道)
    • 【7】 英国政府:首都ロンドンなどの警戒レベルの引上げを決定
      • 10月12日ジョンソン首相は記者会見を行い、コロナウィルス感染拡大を防止するために新たに3段階の警戒レベルとそれに応じた制限措置の導入を発表したが、首都ロンドンは一番低い「Medium(中程度)」に分類され、店舗内でのマスクの着用、6人以上の人の集まりの禁止、パブやレストランなどの営業時間を午後10時までに制限するなど、全国一律に適用されている制限措置が維持されてきた。しかし、引き続き感染者が増加している状況を踏まえ、政府は10月17日午前0時をもってロンドンの警戒レベルを「High(高い)」に引き上げると発表した。これに伴い、ロンドンに住む約900万人が自宅やレストランなどの屋内で同居しない他人と会うことを禁止され、公共交通機関の利用を避けることが求められる。また、イングランド東部のエセックスや北部のヨークなど他の複数の地域も同様に警戒レベルが「High(高い)」に引き上げられ、さらに北部のマンチェスターは最高レベルの「Very High(非常に高い)」に引き上げられることが検討されている。
        ※10/14の英国の感染者数:19,724人(日本500人の39倍、緊急事態解除基準47人の420倍)
        ※10/14の英国の死者数:137人(日本4人の34倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 October 15, 2020, BBC (若林健一)
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