2020/10/15LROニュース(7)

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  • 2020.10.15 UP
    2020/10/15LROニュース(7)
    • 【1】 UNESCO/IOC: BBNJの保全と持続的な利用に関する今後のILBIについて
      • 【1】国連教育科学文化機関(UNESCO)の政府間海洋学委員会(IOC)は、国家管轄外区域における生物多様性(BBNJ)の保全と持続可能な利用のための将来的な「国際的に法的拘束力を持つ手段(ILBI)」を支援するためのUNESCO/IOCの既存/今後の役割に関する非公式文書」と題する報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①BBNJ保全のための新たなILBIの成功の可否は、科学的知見と情報の提供や海洋技術に関する人材育成と技術の移転(CBTMT)などの業務にかかってくる。②IOCは今後のILBIに関係する重要な海洋科学に関する業務の提供を現在実施しており、観測・科学的知見・統計へのアクセス・CBTMT・地域的な海洋管理に関する現在の業務によって、今後のILBIを支援することができる。③IOCと連携組織が提供する既存及び追加的な情報を共有・交換するためのClearing House Mechanism (CIHM)をIOCは開発してきたが、CIHMとIOCの既存の業務を活用/拡張することによって、BBNJ条約交渉に関連して採択された国連総会決議(UNGA Resolution 72/749)で明確にされた4つの基本的な事項に直接関連する追加的かつ根本的な業務を提供することができる。
      • 原文 October 8, 2020, UNESCO/IOC(長谷部正道)
    • 【2】 IEA: World Energy Outlook 2020を発表
      • 【2】IEAのWorld Energy Outlookは、今後10年間の世界のエネルギー事情を4つの異なるシナリオのもとに予測を行っているところ、その概要は以下のとおり。①既に表明されている政策や目的が継続するシナリオでは、2021年中に徐々にパンデミックが制御され、世界経済は同年中にパンデミック以前の水準に戻るが、世界のエネルギー需要がパンデミック以前に戻るのは、2023年初頭になる。②経済回復が遅れるシナリオでは、パンデミックの影響が長引き、経済の回復がパンデミック以前の水準に戻るのが、2023年にずれ込み、エネルギー需要の成長率も1930年代以降最低の水準に落ち込み、石油ガス価格も低迷する。③持続可能なエネルギーに対する政策と投資が強化されるシナリオでは、太陽光発電と風力発電の増加によって、パリ協定の目的が達成され、エネルギーへのアクセスが改善し、大気汚染も減少する。④2050年までに、炭素中立を達成するシナリオでは、2030年までにCO₂の排出量の4割を削減する必要があり、CO₂排出量が少ないエネルギーによって、世界の発電総量の75%を賄う必要がある。2050年までに炭素中立を目指す国と企業が目標を達成できれば、2070年までに世界全体の炭素中立が実現する。
      • 原文 October 13, 2020, IEA(長谷部正道)
    • 【3】 1.5℃目標達成のためには2050年まで毎年8%のCO₂排出量の削減が必要
      • 【3】(論説)2020年の世界のCO₂排出量は、パンデミックの影響により8%減少すると見込まれているが、パリ協定の目標に従って地球の温度上昇を1.5℃以下に抑制するためには、2050年まで毎年この削減率を維持しなければならない。この目標を達成するために、今年の様な1930年代の世界恐慌クラスの経済不況を経済するわけにはいかないので、現実的な手段として、経済的な要因に依存しないCO₂の削減方法を見つける必要性がある。そのためには、技術開発/送電網の革新/蓄電機能の強化/大規模なエネルギー効率改善のための大規模で変革的な投資を行う必要がある。2020年1月以来、世界各国の政府は5兆ドル(約526億円)の財政支援策を実施し、各国の中央銀行は市場に6兆ドル(約631億円)以上を投入したが、こうしたコロナ復興資金を地球温暖化対策に活用して、上記のような変革的な事業に投資し、世界経済の構造を炭素中立社会に適応させれば、コロナ危機をチャンスに変えることができる。
      • 原文 October 13, 2020, 世界経済フォーラム(植木エミリ)
    • 【4】 1995年以来グレートバリアーリーフのサンゴ礁が海水温の上昇により半減
      • 【4】世界最大のサンゴ礁である豪のグレートバリアーリーフ(GBR)は、2016年と2017年と連続して、大規模な白化が発生したが、2020年にはさらにその規模を上回る白化が発生している。クイーンズランドのサンゴ礁研究所の研究者たちは、1995年から2017年までのGBRの全てのサンゴ礁の健康状態と大きさについて調査したところ、全てのサンゴ礁において、大きさが半分以上縮小していることが判明した。特に、魚や他の海洋生物の住みかとなる木サンゴやテーブルサンゴなどの大型サンゴは全体の2/3が被害を受けた。サンゴ礁がストレスを受けるとサンゴと共生し、サンゴに色を与えている褐虫藻が失われることにより、サンゴ礁が白化するが、周辺の海洋の環境が普通の状態に戻れば、サンゴ礁も元の状態に戻ることは可能であるが、何十年という時間がかかり、この回復力も近年弱くなっている。
      • 原文 October 14, 2020, BBC(長谷部正道)
    • 【5】 DHL: Post-Coronavirus Supply Chain Recovery
      • 【5】DHLが表記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①コロナ後のサプライチェーンは、コロナ禍以前とは異なるものになる。②物流業界は直ちに新しい業態に転換せず、新しい業態に変換する前の過渡期の業態となる。③この過渡期においては、事業の緊急事態に対する抵抗力・需要・輸送・倉庫に関連する事項や作業現場での作業手順などが需要な課題になる。④サプライチェーンは、緊急事態への抵抗力の強化の観点から、商品の生産・調達先の分散化・多元化が進行する。⑤コロナロックダウンから過渡期、過渡期から新たなビジネス環境に移行するにあたっては、環境の変化や新たな優先順位に基づいた既存のサプライチェーンの再評価が必要となる。⑥輸送・保管のネットワークについては、コスト効率を追求しながらも、より柔軟性の高いものに再編成され、作業現場ではsocial distancingを踏まえた作業方法の見直しが必要となる。⑦サプライチェーンの技術革新は不可欠で、サプライチェーン参加者の間の協力が将来の事業の成功の鍵となる。
      • 原文 October, 2020, DHL(長谷部正道)
    • 【6】 中国が外国人船員の交代のために10港湾を再開
      • 【6】中国の交通運輸部を含む政府関係7機関は、10の港湾において一定の条件のもとに、外国人船員の交代を認める告示を発表した。具体的には、大連・天津・青島・上海・寧波・湖州・厦門・広州・深圳・海口の10港湾。これらの港湾で下船する船員は、下記の条件を遵守しなくてはならない。①コロナ期間中に中国政府が課する入国・滞在に関する規制に従うこと。②出国するために必要な有効な航空券・乗船券・バスの乗車券を準備すること。③下船場所に、空港等の出国場所に直接船員を輸送するための施設があること。④船員交代の対象となる船舶は、入港前14日以内に外国の港に寄港していないこと。⑤対象となる船員は、健康と検疫に関し、問題のない記録を保持していること。⑥中国の税関検査官による核酸検査を含む適正な検疫検査を受け合格すること。⑦海運会社は、外国人船員を下船地点から空港等に直送するための車両を借り上げること。
      • 原文 October 12, 2020, BIMCO(長谷部正道)
    • 【7】 2週間程度の全国的なロックダウンの発令が必要か?
      • 【7】ジョンソン首相は10月12日に記者会見を行い、コロナウィルス感染拡大を防止するために新たに3段階の警戒レベルを導入し、各レベルに応じた制限措置を地域ごとに導入することを発表した。しかし、会見後に公開された資料によると、3週間前に政府の緊急時科学諮問グループ(SAGE)から期間を2週間程度に限定した全国的なロックダウン(Circuit Breaker)を直ちに発令するよう求める意見が政府に提出されていたことが明らかとなった。これを踏まえ、野党は政府がSAGEの意見を拒否したことを批判するとともに、直ちにCircuit Breakerを発令するよう政府に要求している。また、今月末にCircuit Breakerを発令すれば年末までの国内の死者数を半減させることができるとする研究報告もある。ジョンソン首相は、他の方法を排除したわけではないとしながらも、今回導入した3段階の警戒レベルに応じた対策を継続する考えを示している。

        ※10/13の英国の感染者数:17,234人(日本278人の62倍、緊急事態解除基準47人の367倍)
        ※10/13の英国の死者数:143人(日本5人の29倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 October 14, 2020, BBC (若林健一)
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