2020/10/09LROニュース(8)

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  • 2020.10.09 UP
    2020/10/09LROニュース(8)
    • 【1】 今年の9月の世界の平均気温は史上最高に
      • 【1】EUのCopernicus気象サービスによると、2020年9月の地球の平均気温は、史上最高を記録した昨年の記録から更に0.05℃上昇し、世界的に史上暑い月となった。シベリア北極圏でも気温上昇が続くと共に、北極海の夏季海氷面積も観測開始以降2番目に小さくなった。また欧州では、今後気温が今より多少涼しくなったとしても、今年は記録的な暖かさとなることが予測されている。猛暑の影響は世界中であらわれており、カリフォルニア州や豪では記録的な山火事が発生し、加州Death Valleyでは54.4℃という史上最高の酷暑日を記録した。南仏では100年に1度と言われるような、1日の降水量が500mmを超える豪雨が1ヶ月以内に2回も発生し、英国においても、春は記録的な晴天が続き、8月は34℃を超える日数が史上最多となり、Readingではかつてない48時間以上の降雨に見舞われた。今年発生したこうした異常気象は、今年の気温が長期的な平均気温をわずか1度上回った結果であるが、現在の脱炭素化の進行度では世界は3度の温暖化に向かっており、より多くの異常気象が発生し今後の被害は増々危険なものになると予測される。
      • 原文 October 7, 2020, BBC(植木エミリ)
    • 【2】 次世代再生可能エネルギーとして有望な潮力発電
      • 【2】(論説)世界が新たな脱炭素化戦略を模索する中で、太陽光・風力発電の成功に続いて、他の再生可能エネルギーの開発が必要とされるが、潮力発電は最も有望かつ未開発のエネルギーとして考えられている。潮流の早さは、一般的に風力発電で利用される風力の15-20%に過ぎないが、海水の密度は空気の約800倍以上で、潮力は風力よりはるかに多くのエネルギーを生み出すことが期待されている。こうした潮流は常に一定方向に流れるものと潮の満ち引きに伴って、一日2回流れる向きが変更する潮汐流があり、風力や太陽光は不安定であるが、潮流は常に安定的に存在するというメリットもある。GE Windの創始者であるJames Dehlsenは、自身の風力発電技術を活用し、海洋タービンを開発するために新たにAquantis社を立ち上げ、同社による海中タービンの最初の実証試験は、英国のウェールズ沖で30基の海洋タービンを設置して実施される。またスコットランドの再生可能エネルギー企業SIMEC Atlantis Energy社も、既に英国で投資家の支持を得て、398MW規模の実証試験を計画中である。
      • 原文 October 6, 2020, Forbes(植木エミリ)
    • 【3】 EU NAVFORと海自がアデン湾で共同対海賊演習を実施
      • 【3】ソマリア沖で海賊対処を目的に「アタランタ作戦」を展開する欧州連合海軍部隊(EU NAVFOR)の艦船及び哨戒機が、10月5日および6日にソマリア沿岸沖のアデン湾において日本の海上自衛隊の護衛艦と共同対海賊演習を実施し、EU及び日本の海賊対処への取組みと両部隊の相互調整について確認した。EUと日本はともに航行の自由作戦の実施などを通して法に基づく国際秩序の支持に取り組み、また、海上輸送路の確保やあらゆる脅威から世界の海を保護することに努めており、普遍的で一元的な特性を有する国連海洋法条約に対する価値観を共有している。EUと日本は、今後も海上での訓練や作戦の機会を通じて航行の自由や海上保安の確保のために協力関係を強化していくとともに、当海域における取組みをインド洋や太平洋地域の他のパートナーも参加したものへと発展させたいとしている。
      • 原文 October 7, 2020, EEAS(若林健一)
    • 【4】 生分解性・堆肥化可能プラスチックに関する誤解と問題点
      • 【4】ジョージア大学新素材研究所の研究者は、「生分解性」・「堆肥化可能」と表示されているプラスチック製品は、特別な条件下でしか分解されず、プラスチック製品をリサイクルする努力を妨げるものであり、消費者だけでなく科学者にとっても紛らわしいものであると指摘している。例えば、「とうもろこし製のプラスチック」と呼ばれるポリ乳酸(PLA)製品は、トウモロコシだけではなくビーツ(サトウダイコン)・キャッサバ・サトウキビからも生産可能だが、PLA製品のラベルにはしばしば「堆肥化可能」と表記されているものの、こうした製品は自宅の裏庭で簡単に肥料化できるようなものではなく、湿度と温度管理が行き届いた商業的な堆肥化施設でしか適切に分解されない。更に悪いことに、PLA製のボトルはPETボトルと見た目の識別が困難であり、リサイクル施設で混ざってしまうと、PETボトルのリサイクルシステムに悪影響を与える。またPLA製のボトルが埋め立てられても堆肥化はしないため、非常に長い期間地中に留まることになる。
      • 原文 October 1, 2020, NY Times(植木エミリ)
    • 【5】 US EPA: 船舶からの排水に関する新たな規則を提案
      • 【5】米国の環境保護庁(EPA)は、10月6日、商船の通常の運航に伴って排水されるバラスト水などによる環境への影響を削減するため、「船舶からの排水に関する法律( The Vessel Incidental Discharge Act (VIDA))」に基づく排水に関する基準を統一した新たな規則を提案した。この新たな規則が承認されれば、商船に対して現在ばらばらに適用されている連邦規則・州の規則・自治体の規則の合理化が図られるとともに、米国の海洋環境をより良く保護することとなるとEPAはコメントしている。新規則では、船舶に搭載されている20種類の機器・排水処理装置毎に個別の排水基準を定めるとともに、全ての排水を包括した一般的な排水基準も定めている。この新規則は全長が79フィート(約24m)以上の商船、プレジャーボート・武装船舶以外の船舶(調査研究船や緊急救難船など)に対して適用され、全長79フィート以下の小型船舶と漁船については、バラスト水に関する規制のみ適用される。
      • 原文 October 7, 2020, Marine Log(長谷部正道)
    • 【6】 北極圏の永久凍土の解凍による深刻な影響
      • 【6】永久凍土の解凍は気候変動の中で最も深刻な問題の一つだが、今までほとんど議論されなかった。永久凍土は北半球の地表の24%を占め、地球の土壌に含まれるすべての有機炭素の約半分を貯蔵している。永久凍土が凍っている限り、有機炭素は永久凍土の中にとどまっているが、永久凍土が融けると、微生物の働きで、永久凍土から大気中にCO₂とメタンが放出され、北極圏ばかりでなく、地球全体の気候変動に大きな影響を及ぼす。北極圏の永久凍土の温度は北極圏の大気温よりはるかに速いペースで上昇しており、過去30年間で1.5℃から2.5℃上昇し、永久凍土の層が解凍し始めている。仮に地球の気温が3℃上昇すれば、北極圏全体の永久凍土の表面の30%から85%が解凍し、永久凍土の上に建設された道路・住宅などのインフラを破壊し、不可逆的に地形と生態系を破壊する。永久凍土が解凍する地域には、現在400万人が居住しており、今世紀最大の深刻な危機となる。
      • 原文 October 1, 2020, The Arctic Institute(長谷部正道)
    • 【7】 MEPC 75が11月16日から20日の日程でオンラインにて開催
      • 【7】MEPC 75に関し、会議の進め方等に関する議長ペーパー(MEPC 75/1/3)が発表され、暫定的な時間割(Annex 1)・文書のリスト(Annex 3)も添付されている。議長提案について、加盟国等の参加者はコメントがある場合は10月23日まで受け付けられる。(Circular Letter No 3985/Rev.1/Add. 1)
      • 原文
    • 【8】 コロナウィルスによる死者数はインフルエンザと肺炎による死者数の3倍以上
      • 【8】英国統計局が公表したデータによると、英国内で今年1月から8月までにインフルエンザが原因で死亡した人の数は394人、肺炎で死亡した人の数は13,619であったのに対し、コロナウィルスが原因で死亡した人の数は48,168人に達しており、インフルエンザと肺炎が原因で亡くなった人の数の3倍以上に及ぶことが分かった。また、同期間に国内でインフルエンザが原因で死亡した人の割合は全体の0.1%に過ぎないのに対し、コロナウィルスが原因で死亡した人の割合は全体の12.4%を占めており、英国統計局は、今回のデータから見てもコロナウィルスに感染した場合の死亡率はインフルエンザや肺炎と比較して極めて高いことは明らかであると述べ注意を呼び掛けている。

        ※10/7の英国の感染者数:14,162人(日本502人の28倍、緊急事態解除基準47人の301倍)
        ※10/7の英国の死者数:70人(日本3人の23倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 October 8, 2020, Evening Standard (若林健一)
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