2020/10/08LROニュース(7)

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  • 2020.10.08 UP
    2020/10/08LROニュース(7)
    • 【1】 EUがオランダのCCS事業に1億ユーロを助成
      • 【1】オランダ国営エネルギー企業のEBN・ガス輸送/貯蔵インフラ管理運営会社のGasunieとロッテルダム港湾管理庁は、ロッテルダム工業地域から排出される年間CO₂排出量の1割にあたる2.5MtのCO₂を15年間回収・圧縮し、パイプラインで北海の海底に貯蔵するEU域内最大規模に近い炭素回収・貯留(CCS)事業Porthosを計画している。欧州委員会は、欧州Green Dealに従い、2050年までの炭素中立を実現してパリ協定の目標を達成するにはCCS技術の実用化が不可欠と考えており、Porthosの総事業費は4.5億から5億ユーロ(約625億円)と見積もられているが、蘭のロッテルダム港だけでなく、ベルギーのアントワープ港やNorth Sea Port(フリッシンゲン港・テルネーゼン港・ヘント港)とも連携した国際事業であることから、欧州委員会はEUのConnecting Europe Facility予算の中から1.02億ユーロ(約127億円)を、Porthos事業に必要なパイプライン建設等のために助成することを提案し、欧州議会による承認を待っている。
      • 原文 October 5, 2020, EBN(植木エミリ)
    • 【2】 英国船主協会:クルーズ事業者のための新たなCOVID-19枠組文書を作成
      • 【2】英国船主協会は、6か月以上の期間に亘って、クルーズライン国際協会(CLIA)や英国政府と協議を重ねて、クルーズ船事業者が実施すべき公共衛生措置の強化に配慮した新たな施策を定めた新たな枠組文書を作成した。英国発着のクルーズ事業の再開のタイミングは未だ決まっていないが、コロナに関する公衆衛生上の状況が整って、事業の再開が可能となった際に、この新たな枠組文書に定める施策が、事業者が事業を再開する際の支援となることを目的としている。事業再開のタイミングについては、英国船主協会とCLIAは英国政府と引き続き協議を続けていく。英国におけるクルーズ産業は英国経済に100億ポンド(約1.4兆円)の貢献をし、8.8万人以上の雇用を生んでいる。枠組文書は、船上における乗員と旅客の安全確保のために検討・実施されるべき事項や、クルーズ事業者が顧客から予約を受けて以降、実際に旅客が乗船するまでにどのように旅客と連絡を確保すべきか等について記述され、さらに旅客向けガイダンスには、実際に予約する前に知っておくべき事項や乗船中に旅客が順守すべき事項などについて記載されている。
      • 原文 October 1, 2020, 英国船主協会(長谷部正道)
    • 【3】 世界の有力荷主がCO₂排出量透明化のための海上貨物憲章を採択
      • 【3】Global Maritime ForumとUCL/UMAS等が音頭を取って、Anglo American(鉱業)、カーギル(穀物)、ダウ(化学)、トタル(石油)、トラフィグラ(商社)などの世界を代表するエネルギー・農業・鉱業など各分野を代表する荷主と、Norden/Euronav/Stena Bulkなどの大手ばら積み船社からなる合計17社の創設メンバーは、実際に海上輸送から排出されるCO₂の量を透明化するために、「海上貨物憲章 (SCC)」を起草採択した。原油・石炭・鉄鉱石・穀物等のばら積み貨物は、世界の海上運送の約8割を占めるが、SCCに賛同する大手荷主が、IMOのCO₂削減目標に従って、船舶からのCO₂排出量の削減に努める海運会社を、用船契約締結時に優先的に取り扱うとともに、SCCが定める標準的なCO₂排出量の計算方法に従って、自社の製品の海上輸送によって、実際にどれだけのCO₂が排出されているか計算・報告することにより、海上輸送からのCO₂排出量を整合的な方法で透明化することが可能となる。
      • 原文 October 7, 2020, Global Maritime Forum(長谷部正道)
    • 【4】 英国:洋上風力発電への支援を倍増へ
      • 【4】Contracts for Difference(CFD)は、再生可能エネルギー事業者の収入を保証する助成制度であり、前回の2019年の公募では、5.5GW分の洋上風力発電を含む5.8GW分の再生可能発電について長期の定額買取価格が設定された。次回の公募は2021年の秋に予定されているが、英首相は支援の対象を倍増することを表明した。洋上浮体式風力発電についても、世界的に技術開発をリードし、北海における洋上石油ガス掘削リグ開発で培った海洋工学の専門知識を活用して、2030年までに1GWの発電施設の建設を目指す方針も明らかにした。英国における現在の洋上風力発電能力は10GWであるが、これを2030年までに40GWに引き上げ、全世帯の電力を洋上風力発電で賄うことを目標とする。また英国政府は、洋上風力発電事業者への助成に加えて、洋上風力発電施設の建設を支援し、供給網の整備を進めるため、1.6億ポンド(約219億円)の資金を投じて港湾や関連施設の改修を行う予定である。
      • 原文 October 6, 2020, Green Tech Media(植木エミリ)
    • 【5】 USCG: ハワイ沖で無人海上艇の実験を実施
      • 【5】米国沿岸警備隊(USCG)の研究開発センター(Research and Development Center)は、10月7日から11月5日までの日程でハワイのオアフ島の沖合で無人海上艇の運用試験を実施する。今回の試験では、USCGが研究のために所有するMetal Shark社製の無人海上艇に加え、Saildrone社及びSpatial Integration Systems社が提供する無人海上艇も使用して、これらの無人海上艇がはるか沖合の離れた海域でも継続的に必要な情報を収集し提供する能力があるかを評価する。これらの技術は、違法・無報告・無規制(IUU)漁業や他の違法な活動からの海洋資源の保護など、USCGの業務への幅広い活用が期待されている。
      • 原文 October 6, 2020, 米インド太平洋軍(若林健一)
    • 【6】 欧州議会本会議がCO₂削減目標を60%に引き上げることを承認
      • 【6】10月7日、欧州議会本会議は2030年までのCO₂削減目標を、1990年実績比で、欧州委員会の提案より高い60%に引き上げるという議会環境委員会の提案を承認したが、欧州理事会の承認を得ることは難しく、EU加盟国が、今後の交渉の中で、欧州気候法の他の条項を骨抜きにするのをけん制する狙いがあるものと考えられる。EU Green Dealを具体的に実施するために欧州委員会が提案した欧州気候法案については欧州議会として170か所以上の修正要求も明らかにした。削減目標の承認に伴い、排出権取引価格は直ちに4.1%上昇した。EU各国の大臣レベルでは排出削減目標の55%への引き上げ承認に必要な多数の賛成が得られる見込みだが、首脳レベルでは全会一致が原則なので、12月に行われる首脳レベルの最終決定で40%から55%への引き上げが承認されるかどうかは依然不透明である。
      • 原文 October 7, 2020, Regina Leader-Post (長谷部正道)
    • 【7】 感染拡大の抑制のため短期間のロックダウンの発令を求める声が強まる
      • 【7】コロナウィルスの感染者数が再び全国的に増加するなか、英国政府内でも感染拡大を抑えるために全国一律の規制強化を導入するべきとの意見と、ウィルスとの共存を模索しつつ地域ごとに感染状況を踏まえた対策をとるべきとの意見に割れている。専門家からは、現在の国内の感染拡大のレベルは3月のピーク時の10分の1程度ではあるが、このままのペースで増え続ければ10月末には同じレベルに達し、3月に導入した全国的なロックダウンよりも厳しい措置が必要となるとの見解も示されており、直ちに2週間程度の短期間のロックダウンを全国的に実施することも検討すべきであるとの意見が出ている。スコットランドでは一日の新規感染者数が初めて1,000人を超え、首都エディンバラやグラスゴーなどでは10月9日午後6時からすべてのパブやレストランの営業が禁止され、その他の地域においてもアルコール類の提供は店舗外のみに限定されるなど、全域を対象に規制が強化される。

        ※10/6の英国の感染者数:14,542人(日本282人の52倍、緊急事態解除基準47人の309倍)
        ※10/6の英国の死者数:76人(日本3人の25倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 October 7, 2020, Evening Standard (若林健一)
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