2020/10/06LROニュース(7)

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  • 2020.10.06 UP
    2020/10/06LROニュース(7)
    • 【1】イングランドでプラスチックストロー等の販売・提供禁止が開始
      • 【1】イングランド(注:英国全体ではない)では、年間47億本の使い捨てプラスチックストロー・3.16億本のプラスチック製マドラー・18億本のプラスチック軸をもつ綿棒が使用されており、多くの飲食チェーンでは既に自主的に使い捨てプラスチックストローの提供を停止していたが、10月1日より、イングランド内における上記のような使い捨てプラスチック製品の販売・提供を禁止する法律が施行された。なお身体障碍や疾患により利用が必要な人々への病院/バー/レストランでの提供は免除される。環境団体はこうした禁止措置を歓迎しているものの、今回販売・提供が禁止になったプラスチック製品はプラスチックごみ全体のほんの一部に過ぎず、更なる使い捨てプラスチック製品の取締りと共に、アイルランドや仏のような、再生可能な包装材の利用促進や、プラスチックボトル返却時にボトル代を返却するDeposit Return(DR)スキームのような更に踏み込んだ政策を求めている。英国環境大臣は、使い捨てペットボトルについてDR制を導入することを検討していると表明し、ウエールズにおいても同様の禁止措置の導入が検討されている。
      • 原文 October 1, 2020, BBC(植木エミリ)
    • 【2】米国は中国に対抗するために海軍・海兵隊・造船・海運業の増強が必要
      • 【2】第二次世界大戦の終結以降、米国の海軍力は自由な世界貿易を保障し近代経済をけん引してきたが、現在その役割を徐々に譲りつつある。大胆な対策を講じなければ自由な海と近代経済を独裁的な体制に譲り渡すこととなり、自由や国際規範を顧みない彼らの振る舞いが21世紀を特徴づける結果となるだろう。米国防総省は議会に対して提出した中国軍の発展に関する報告書の中で、中国は過去20年間にわたり軍の強化と近代化を進め、中国軍は既にいくつかの分野で米軍を凌ぎ、約350隻の艦船や潜水艦を保有するなど世界第一の海軍力を持つに至ったとしている。中国は、海軍に加え130隻を超える巡視船を有する中国海警局や海上民兵も使ってインド太平洋地域を不安定化させ、同地域諸国を脅し、国際法に違反して南シナ海の軍事拠点化を進めている。さらに、米国防総省は同報告書の中で、最も注目すべきは中国の造船業界の発展であるとし、中国は商船及び軍艦の双方で米国を凌ぐペースで修繕や建造が可能であるとしている。米国防長官も米海軍の艦船の増強に力を入れる意向を示しているが、海軍や海兵隊のみならず造船業界や海運業会の再強化が必要である。
      • 原文 October 2, 2020, Defense News(若林健一)
    • 【3】The Standard Club: IMO 2020規制適合油使用に伴う最近の問題点
      • 【3】標記についてThe Standard Clubが最新の検証結果を9月29日に公表したところその概要は以下のとおり。①ロイズ船級協会が8月に発行した燃料油分析助言サービス(FOBAS)警報によると、シンガポール港・南アのPort Elizabeth・ロッテルダム港といった主要な給油ハブで販売されたVLSFOについて、大量の残渣が発生する問題が報告されている。②こうしたVLSFOの使用により、燃料タンク内や燃料処理システム全体でのスラッジが増加し、機関系統を詰まらせたり機関故障に至ることもある。③9月21日に発行されたFOBASでは、昨年の11月から本年6月までの8か月間のスラッジの増加に伴う事故について分析しており、シリンダー部品の損傷事故の発生件数は対前年比で2倍以上となっている。④VLSFOの品質についてはまだばらつきがあるため、船主は適切な監視・管理手段を採用し、給油地で供給されるVLSFOの安定性に関する情報の収集に努め、燃料供給契約に署名する前に、燃料供給事業者から供給されるVLSFOがISO 8217の基準に合致することの再保証を取るべきである。⑤またラボで検査される燃料のサンプルを採集する際には必ずその場に立ち会うことが肝要である。
      • 原文 September 29, 2020, The Standard Club(植木エミリ)
    • 【4】IMOに対するサイバー攻撃:回復進むが残る混乱
      • 【4】サイバー攻撃により、IMOのウェブサイトと同サイトを通じてのサービスの提供が停止してから10月2日で3日目に入った。IMOは海運業界に対して、サイバーセキュリティ対策の強化を求め、新たなサーバーセキュリティガイドラインを2021年にも採択する予定であった。復旧作業の結果、既にGISISやIMODOCS等のデーターベースは復旧した。IMO本部のファイルサーバーは英国に存在するが、包括的なバックアップシステムがジュネーブに存在する。IMOに対する攻撃は、9月28日に発生したCMA CGMに対するサイバー攻撃に続く攻撃で、同社では外部予約システムや顧客が利用するアプリが機能を停止した。同社のシステムも一部復旧したが、10月2日段階で、同社のeCommerceに関するサイトは依然として機能が停止している。船舶のハイテク化とグラウドコンピューティングの活用が進む中で、増え続けるサイバー攻撃に対する対策の強化が急務となっている。
      • 原文 October 2, 2020, The Maritime Executive(長谷部正道)
    • 【5】中国の化学企業が6000トンの笑気ガスを回収・再使用する技術を開発
      • 【5】中国の産業ガス企業Linggasは、ナイロンやポリウレタン製造時に発生する副産物である笑気ガス(亜酸化窒素)を回収し浄化する装置を開発し、9月15日より実際にナイロン製造工場での運転が開始された。長らく歯科治療で使用されてきた笑気ガスは、CO₂の約300倍もの温暖化効果を持つ強力なGHGであり、同社の開発した装置で年間6千トンの笑気ガスを回収可能であるが、地球温暖化対策の観点から見ると、40万台分の自動車の排気ガスを削減するのと同等の効果がある。世界のナイロンやポリウレタンの全製造量の約半分は、中国内の11の工場で製造されており、製造の過程で発生する、約2500万台分の自動車の排気ガスに相当する膨大な笑気ガスのほとんどが大気中に放出されている。この温暖化効果をCO₂に換算すると、2035年までに17億トンのCO₂を排出することに匹敵し、トランプ政権による環境規制の緩和によって2035年までに米国で増加するCO₂排出量とほぼ同規模となる。
      • 原文 October 2, 2020, Inside Climate News(植木エミリ)
    • 【6】南シナ海:比大統領が国連演説で他国による仲裁裁判の否定に反対
      • 【6】比大統領は昨年行われた中国の習主席との会談において、中国からの投資や貿易関係を強化するために、比の主張を受け入れた2016年の仲裁裁判所による南シナ海判決を棚上げする意向を示したが、9月22日国連総会において比大統領による演説が放映され、その中で比大統領は、中国を名指しすることは避けつつも同判決を否定するいかなる国による試みも拒否すると訴えた。しかし、比大統領によるこの発言を歓迎する声が聞かれる一方で、ある専門家は今回の発言は、コロナウィルスの感染防止対策や過度に中国寄りの姿勢を見せる比大統領に対する国内の批判を逸らすためのものであり、既に7つのサンゴ礁を中国が占拠しその多くが比の排他的経済水域内にあるという現状に何か変化が生じることはないとの見方を示している。また、ある比政府高官は、比と中国との関係は強固なものであり今回の大統領の発言により影響を受けることはないとの見方を示している。
      • 原文 September 23, 2020, South China Morning Post(若林健一)
    • 【7】システム上の問題により約1万6千件の陽性の検査結果が把握されず
      • 【7】英国内で9月25日から10月2日の間に確認された15,841件のコロナウィルスの陽性の検査結果が、システム上の技術的な問題により保健当局に把握されずに政府の日々の統計から漏れていたばかりでなく、政府が運営する感染者や濃厚接触者の追跡システムにも反映されていなかったことが明らかになった。政府はすでに問題は解決済で、感染者約1万6千人にも連絡がついていると説明したが、感染者との濃厚接触者への連絡は行われていなかった。また、先週の国内の新規感染者数は一日当たり約7千件とされていたが、すでに1万1千件近くに達していたことになる。政府は未計上であった新規感染者数を10月3日及び4日の新規感染者数に上乗せする形で修正を行った。

        ※10/4の英国の感染者数:22,961人(日本578人の40倍、緊急事態解除基準47人の489倍)
        ※10/4の英国の死者数:33人(日本7人の4.7倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 October 5, 2020, BBC (若林健一)
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