2020/09/25LROニュース(7)
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2020/09/25LROニュース(7)
- 【1】企業部門における科学に基づいた炭素中立目標設定の基礎
- 【1】「科学に基づいた目標(SBTi)」が標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①2018年にIPCCは、地球気温の上昇を産業革命以前と比べて、1.5℃以内に抑制するためには、世界的にCO₂の排出量を2030年までに半減し、2050年までに炭素中立とする必要があることを明確にした。②IPCC炭素中立の概念は、各国政府・地方自治体・企業の間に広まり、多くの支持を得るようになった。③しかし、各企業が炭素中立に取り組む方法はばらばらで、各企業の取り組みが、世界全体の炭素中立目標にどれだけ貢献しているか評価することが困難となっている。④そこで本報告書では、各企業の炭素中立目標を、気候変動に関する科学的手法に基づき、設定し評価するための概念的な基礎を提供することを目的とする。⑤但し、本報告書は確固とした基準や詳細なガイドラインを提供することを目的とするものではなく、重要な概念の明確化を目的としている。⑥本報告書の中の勧告は、気候変動緩和という観点に加えて、より広い社会的・環境的な目的を考慮して適用されるべきものである。
- 【1】「科学に基づいた目標(SBTi)」が標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①2018年にIPCCは、地球気温の上昇を産業革命以前と比べて、1.5℃以内に抑制するためには、世界的にCO₂の排出量を2030年までに半減し、2050年までに炭素中立とする必要があることを明確にした。②IPCC炭素中立の概念は、各国政府・地方自治体・企業の間に広まり、多くの支持を得るようになった。③しかし、各企業が炭素中立に取り組む方法はばらばらで、各企業の取り組みが、世界全体の炭素中立目標にどれだけ貢献しているか評価することが困難となっている。④そこで本報告書では、各企業の炭素中立目標を、気候変動に関する科学的手法に基づき、設定し評価するための概念的な基礎を提供することを目的とする。⑤但し、本報告書は確固とした基準や詳細なガイドラインを提供することを目的とするものではなく、重要な概念の明確化を目的としている。⑥本報告書の中の勧告は、気候変動緩和という観点に加えて、より広い社会的・環境的な目的を考慮して適用されるべきものである。
- 【2】ECSA: 影響評価なしに海運をEU ETSの対象とする欧州議会提案に反対
- 【2】欧州船主協会(ECSA)が、海運をEU ETSの対象とするという欧州議会本会議の決定に対し反対を表明しているところその概要は以下のとおり。①海運会社は、2018年に合意されたIMOの野心的なGHG戦略に従って、2050年までに海運から排出されるGHGの排出量を対2008年実績比で半減することに既に合意している。②現在、IMOではこの目標を実現するための当面の対策について交渉中だが、EU ETSの一方的な適用は、政治的な緊張を高め、IMOにおける交渉を阻害する。③また、EUの海運会社の過半数を占める中小の海運会社にとって、EU ETSの適用は事務的な負担が大きい 。④またEU ETSの適用に伴う海運業界からの収入が、海運のエネルギー効率化などのエネルギー転換のために使用される保証もない。⑤欧州委員会による完全かつ包括的な影響調査が実施されるまでは、欧州理事会が欧州議会の提案を支持しないよう要請する。
- 【2】欧州船主協会(ECSA)が、海運をEU ETSの対象とするという欧州議会本会議の決定に対し反対を表明しているところその概要は以下のとおり。①海運会社は、2018年に合意されたIMOの野心的なGHG戦略に従って、2050年までに海運から排出されるGHGの排出量を対2008年実績比で半減することに既に合意している。②現在、IMOではこの目標を実現するための当面の対策について交渉中だが、EU ETSの一方的な適用は、政治的な緊張を高め、IMOにおける交渉を阻害する。③また、EUの海運会社の過半数を占める中小の海運会社にとって、EU ETSの適用は事務的な負担が大きい 。④またEU ETSの適用に伴う海運業界からの収入が、海運のエネルギー効率化などのエネルギー転換のために使用される保証もない。⑤欧州委員会による完全かつ包括的な影響調査が実施されるまでは、欧州理事会が欧州議会の提案を支持しないよう要請する。
- 【3】ECSA/ICS: 海運にEU ETSを適用した際の影響報告書を発表
- 【3】欧州船主協会(ESCA)と国際海運会議所(ICS)が9月17日発表した標記報告書において、国際海運にEU ETSを適用した際に生じる不都合を指摘しているところその概要は以下のとおり。①GHG削減のための当面の戦略(Initial Strategy on Reduction of GHG Emissions from Ships)に関するIMOの国際交渉を損ない、GHGを絶対的に削減するための方策を採択し、後発開発途上国や小島嶼開発途上国への支援を提供するための世界的な取り組みを後退させるおそれがある。②海運へのETS適用が、特に国際海運からのGHG排出を削減するためというよりもEUの収益を上げるための施策とみなされた場合、第三国との政治的な緊張を高め、貿易紛争に発展する可能性がある。③排出権の価格は需要と供給の関係性によるため不確実性が大きく、もし需要の減少により排出権価格が下落した場合、海運会社のCO₂削減へ向けた投資を行う意欲と能力を削ぐ結果となる。④他の市場原理を活用した方策と比較して、EU ETSの海運への適用は事務的な負担と関連コストが大きく、取り分け、不定期貨物船の運航や内航海運を行う中小海運事業者への影響は甚大であり、欧州議会議員はこのような影響を真剣に考慮し検討すべきである。
- 【3】欧州船主協会(ESCA)と国際海運会議所(ICS)が9月17日発表した標記報告書において、国際海運にEU ETSを適用した際に生じる不都合を指摘しているところその概要は以下のとおり。①GHG削減のための当面の戦略(Initial Strategy on Reduction of GHG Emissions from Ships)に関するIMOの国際交渉を損ない、GHGを絶対的に削減するための方策を採択し、後発開発途上国や小島嶼開発途上国への支援を提供するための世界的な取り組みを後退させるおそれがある。②海運へのETS適用が、特に国際海運からのGHG排出を削減するためというよりもEUの収益を上げるための施策とみなされた場合、第三国との政治的な緊張を高め、貿易紛争に発展する可能性がある。③排出権の価格は需要と供給の関係性によるため不確実性が大きく、もし需要の減少により排出権価格が下落した場合、海運会社のCO₂削減へ向けた投資を行う意欲と能力を削ぐ結果となる。④他の市場原理を活用した方策と比較して、EU ETSの海運への適用は事務的な負担と関連コストが大きく、取り分け、不定期貨物船の運航や内航海運を行う中小海運事業者への影響は甚大であり、欧州議会議員はこのような影響を真剣に考慮し検討すべきである。
- 【4】CE Delft: CO₂排出量に関するVLSFOとスクラバーの比較
- 【4】スクラバーの主要製造事業者3社の委託でCE Delft社が、VLSFOを使用した方がスクラバーを使用する場合より、CO₂の排気量が増加するとする報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①スクラバーは補助機関が発電する電力を使用するので、補助機関で発電する際にCO₂が排出される。②VLSFOについては、石油精製所で原油から硫黄分を除く際に、メタンから製造された水素を使用するので、その過程でCO₂が排出される。③スクラバーを使用すると、船舶の種類によって異なるが、船舶から排出されるCO₂は1.5%から3%増加する。④石油精製所で原油から硫黄分を除くことにより増加するCO₂の量は、燃料の品質改善や、石油精製所の配置や、原料として使用される原油によっても異なるが、最低1%以上、場合によってはその何倍ものCO₂が排出される。
- 【4】スクラバーの主要製造事業者3社の委託でCE Delft社が、VLSFOを使用した方がスクラバーを使用する場合より、CO₂の排気量が増加するとする報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①スクラバーは補助機関が発電する電力を使用するので、補助機関で発電する際にCO₂が排出される。②VLSFOについては、石油精製所で原油から硫黄分を除く際に、メタンから製造された水素を使用するので、その過程でCO₂が排出される。③スクラバーを使用すると、船舶の種類によって異なるが、船舶から排出されるCO₂は1.5%から3%増加する。④石油精製所で原油から硫黄分を除くことにより増加するCO₂の量は、燃料の品質改善や、石油精製所の配置や、原料として使用される原油によっても異なるが、最低1%以上、場合によってはその何倍ものCO₂が排出される。
- 【5】欧州から輸出されるプラスチックごみの3割はリサイクルされず
- 【5】海洋プラスチックごみの9割は10の大河川から流出し、そのうち8河川はアジアに存在する。ではその8河川から流れ込むプラスチックごみはもともとどこから来たごみなのか?少なくてもそのうちの何割かのごみは欧州起源のものであることが最新のEnvironmental International誌に発表された調査で判明した。多くの欧州の国々では、洗練されたごみ管理のためのインフラがあり、消費者から回収するプラスチックごみの量は年々増加している。しかし、EU内で回収されたプラスチックごみの46%は依然として東南アジア諸国をはじめとする海外に輸出され、輸出されたごみのうち最大31%は全くリサイクルされず、同最大7%は海洋に流れ込んでいることが判明した。
- 【5】海洋プラスチックごみの9割は10の大河川から流出し、そのうち8河川はアジアに存在する。ではその8河川から流れ込むプラスチックごみはもともとどこから来たごみなのか?少なくてもそのうちの何割かのごみは欧州起源のものであることが最新のEnvironmental International誌に発表された調査で判明した。多くの欧州の国々では、洗練されたごみ管理のためのインフラがあり、消費者から回収するプラスチックごみの量は年々増加している。しかし、EU内で回収されたプラスチックごみの46%は依然として東南アジア諸国をはじめとする海外に輸出され、輸出されたごみのうち最大31%は全くリサイクルされず、同最大7%は海洋に流れ込んでいることが判明した。
- 【6】海洋プラスチックごみに対する世界的な取り組みが必要
- 【6】(論説)現在海洋に流れ込むプラスチックごみの量は年間約1300万トンだが、このまま有効な防止策がとられなければ、2040年には年間約2900万トンと2倍以上に増える見込みである。コロナの関係では、使い捨てマスク・検査キット・衝立等のためにプラスチック製品が有効活用されたが、人類は将来に向けて、プラスチックへの依存度を下げ、プラスチックによる環境への悪影響も引き下げる必要があり、海洋プラスチックごみの削減のためには、世界レベルの政策が必要となる。過去20年間に、世界で実施されたプラスチックごみ対策を分析すると、43の国がレジ袋の禁止・課税・有料化を導入し、さらに、25か国以上の国で、使い捨てプラスチックごみが禁止されている。こうした個別の国ごとの対策ばかりでなく、G20では2017年に「海洋ごみ削減行動計画」を作成・合意し、2019年に日本が主催したG20では「大阪Blue Ocean Vision」を採択し、2050年までに、海洋プラスチックごみの新たな増加をゼロにすることに合意した。このVisionはG20諸国ばかりでなく、現在では世界の86か国から支持を得ている。
- 【6】(論説)現在海洋に流れ込むプラスチックごみの量は年間約1300万トンだが、このまま有効な防止策がとられなければ、2040年には年間約2900万トンと2倍以上に増える見込みである。コロナの関係では、使い捨てマスク・検査キット・衝立等のためにプラスチック製品が有効活用されたが、人類は将来に向けて、プラスチックへの依存度を下げ、プラスチックによる環境への悪影響も引き下げる必要があり、海洋プラスチックごみの削減のためには、世界レベルの政策が必要となる。過去20年間に、世界で実施されたプラスチックごみ対策を分析すると、43の国がレジ袋の禁止・課税・有料化を導入し、さらに、25か国以上の国で、使い捨てプラスチックごみが禁止されている。こうした個別の国ごとの対策ばかりでなく、G20では2017年に「海洋ごみ削減行動計画」を作成・合意し、2019年に日本が主催したG20では「大阪Blue Ocean Vision」を採択し、2050年までに、海洋プラスチックごみの新たな増加をゼロにすることに合意した。このVisionはG20諸国ばかりでなく、現在では世界の86か国から支持を得ている。
- 【7】コロナウィルスの接触追跡アプリの利用がスタート
- 【7】英国政府が開発を進めていた接触追跡アプリが完成し、9月24日からイングランド及びウェールズで利用が開始された。このアプリは16歳以上を対象にスマートフォンのみで利用可能で、ブルートゥース機能を介して利用者同士が接近したことを相互に記録し、接近した他の利用者がコロナウィルスに感染していたことが確認された場合には14日間の自主隔離を求める警報を受信する。また、訪れた店舗などに設置されたQRコードを読み取ることで、その場所で集団感染が発生したことが判明した場合などにも警報を受信する。さらにアプリを通して検査の申請や検査結果の確認も可能である。プライバシーは保護され、自主隔離の対象者などの情報については開示されない。政府は自主隔離を求める警報に従う義務はなく、あくまでも「勧告」であると説明している。
※9/23の英国の感染者数:6,178人(日本330人の19倍、緊急事態解除基準47人の131倍)
※9/23の英国の死者数:37人(日本4人の9.2倍)
日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。 原文 September 24, 2020, BBC (若林健一)
- 【7】英国政府が開発を進めていた接触追跡アプリが完成し、9月24日からイングランド及びウェールズで利用が開始された。このアプリは16歳以上を対象にスマートフォンのみで利用可能で、ブルートゥース機能を介して利用者同士が接近したことを相互に記録し、接近した他の利用者がコロナウィルスに感染していたことが確認された場合には14日間の自主隔離を求める警報を受信する。また、訪れた店舗などに設置されたQRコードを読み取ることで、その場所で集団感染が発生したことが判明した場合などにも警報を受信する。さらにアプリを通して検査の申請や検査結果の確認も可能である。プライバシーは保護され、自主隔離の対象者などの情報については開示されない。政府は自主隔離を求める警報に従う義務はなく、あくまでも「勧告」であると説明している。