2020/09/24LROニュース(7)

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  • 2020.09.24 UP
    2020/09/24LROニュース(7)
    • 【1】ReCAAP ISC週間報告書(9月8日―14日)
      • 【1】アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センター(ISC)に、9月8日から14日まで通報された事件は、重要度3(賊は武装するも、乗組員の負傷なし)の武装強盗事件が1件、重要度4(賊は武装せず、乗組員の負傷なし)の武装強盗事件が1件であったが、その概要は以下のとおり。①8月28日午後8時5分ころ、インドネシアのドゥマイ錨地に錨泊中のケミカルタンカーで、当直の乗組員が巡回中に刃物で武装した4人の賊が後部甲板で曳航作業用の扉をこじ開けようとしているところを発見し船橋に報告した。直ちに警報が作動し乗組員はシタデルに避難したが、賊は警報を聞き何も盗らずに逃走した。②4月4日午後9時30分ころ、インドネシアの南カリマンタンのタボネオ錨地に錨泊中の貨物船で、甲板員が甲板部倉庫の南京錠が壊されているのを発見し船長に報告した。乗組員により甲板部倉庫などを確認したところ、賊は錨鎖を伝ってホースパイプから船内に侵入し、係留索、溶接用ケーブル、消火ホースのノズル、真鍮製の消火栓の蓋などを盗んで逃走したことが判明した。
      • 原文 September 15, 2020, ReCAAP ISC(若林健一)
    • 【2】地球温暖化:北極圏最大の氷棚から113㎢の氷塊が北極海に分離
      • 【2】グリーンランド東北部のNioghalvフィヨルドは北極圏最大の氷河であるが、衛星観測画像によると、8月に113㎢もの巨大な氷塊が陸上の氷河本体から分離して北極海に流れ出し、細かく割れているのが確認された。分離が発生した場所そのものは、Spalte 氷河という北部の支流で、温暖化の進行に伴う分離が進んでいたため、何年間も注意深く観察されていた。北極海の大気温と海水温の上昇により、氷棚の表面と底から氷河が融解し、厚さが薄くなることによって更に分解・分離しやすくなっている。デンマーク・グリーンランド地質学研究所(GEUS)によると、長さ70km・幅20kmの巨大な氷棚から過去2年間に毎年130㎢の氷塊が分離して北極海に流出している。氷棚周辺の大気温は、1980年以来、3℃も上昇しており、1999年の氷棚の面積と比較すれば、NYのマンハッタン島の2倍の面積にあたる414㎢が既に失われている。
      • 原文 September 14, 2020, Sky News(植木エミリ)
    • 【3】仏がIMOの決議に従ったMASSの遠隔操縦試験に成功
      • 【3】海運・オフショア支援企業のSeaOwl社は船舶遠隔操縦システムのROSSを開発したが、仏船級協会のBureau Veritasと仏海事庁の監督のもとに、IMOが作成した海上自律運航船の試験運航に関する決議に従って、トゥーロン沖のSeaOwl社のROSSを搭載したオフショア供給船をパリから遠隔操縦することに成功した。船舶とパリの船長との間の通信はMarlink社が提供した通信リンクが利用され、遠隔航海当直・通信機能ばかりでなく、機関・動的位置調整システム・サイバーセキュリティシステムなどのシステムの遠隔操作についても試験が実施された。さらに、気象海象条件が悪化した場合、通信連絡手段が途絶した場合、GPS妨害などサイバー攻撃を受けた場合などのいくつかの緊急シナリオに沿って、遠隔操縦される船舶に乗務している船員がどのように対応するかなどについても試験された。今回の実験では既存船が利用されたが、今後はオフショア供給船の新造船にあらかじめROSSを装備して実験を実施する。
      • 原文 September 16, 2020, Splash 247(長谷部正道)
    • 【4】天然ガスは本当に環境にやさしいエネルギーか?
      • 【4】(論説)豪連邦政府は、天然ガスは石炭に替わる環境にやさしいエネルギーであり、再生可能エネルギー転換までの移行的なエネルギーとして推奨し、今後同国内での大規模な天然ガス開発事業の展開を予定している。しかしLNGに反対する環境グループは、LNGは環境に優しいエネルギーではないうえに、世界全体で過剰供給状態にあり、新規事業を推進する価値はないと主張している。天然ガスが燃焼時に放出するCO₂は石炭の半分程度であるが、天然ガスの主成分であるメタンは、温暖化効果がCO₂の28倍にも上る強力なGHGであり、生産されるメタンガスのわずか3%でも大気中に漏出するだけで、石炭と同様の地球温暖化効果がある。米国環境保護庁は、天然ガスの生産に伴い漏出されるメタンの割合を1.4%と見積もっているが、最近の研究結果によれば、米国内で生産される天然ガスの2.3%のメタンが大気中に漏出しているとされている。豪政府の首席科学官は、電力生産の過程で漏出されるメタンを考慮したとしても、天然ガス発電は石炭火力発電に比べて環境的負荷は少ないと主張している。
      • 原文 September 15, 2020, ABC(植木エミリ)
    • 【5】欧州議会:海運をEU ETSに対象とすることを議決
      • 【5】海運はEUの排出権取引制度(EU ETS)の適用を除外されている唯一の分野だが、EUが2050年までの炭素中立実現を目指すにあたって海運分野への圧力が高まり、9月15日に行われた欧州議会で、2022年から海運もEU ETSの対象に含めることが議決された。EU ETSの適用範囲は、EU域内の海運活動のみならず、EUの港湾を発着する外航海運も含まれる。9月17日に欧州委員会が発表する予定の文書では、「少なくとも欧州域内の海運は」はEU ETSの対象にすると記載されている。欧州委員会は、2021年6月までに「市場改革パッケージ」をまとめる予定で、海運をEU ETSに含めることはこのパッケージの中に取り込まれる予定である。IMOは2023年までに海運分野におけるCO₂削減対策を取りまとめる予定だが、国際海運会議所(ICS)の事務次長は、IMOの動きと並行してEUが海運をEU ETSに取り組むことは、IMOにおける国際的な交渉を無視する暴挙であるとコメントしている。
      • 原文 September 16, 2020, Reuters(植木エミリ)
    • 【6】南シナ海:ナトゥーナ諸島をめぐる中国とインドネシアのにらみ合いが過熱
      • 【6】9月12日、中国海警の巡視船5204がインドネシア(尼)の排他的経済水域(EEZ)に侵入したうえ、尼海上保安機構(BAKAMLA)の巡視船による退去警告に対し、自国が南シナ海で主張する九段線を理由にこれに応じなかったことから、尼政府は中国大使に対して正式に抗議した。中国は尼によるナトゥーナ諸島の領有権を認めているものの、自国が主張する九段線の内側にはナトゥーナ諸島北方の海域も含まれており、今回の件は、中国が国連海洋法条約に反して尼の水域内で自国の権益を主張する意志があることを明確にした。中国海警5204は、通常南沙諸島とバンガード堆の間を行き来しているが、昨年1月にも他の2隻の巡視船とともに尼のEEZ内に侵入しており、中国が巡視船による行動を常態化させ最終的には自国の管轄権を行使する動きに出るとする見方もある。また、米国務長官は今月行われたASEAN外相会議において、中国は南シナ海における民主主義を一切尊重しないと指摘したうえ、各国に対して中国による支配と戦うことや南シナ海に関係する中国企業との関係を絶つことを求めたが、中国はこうした米国による圧力に対抗するため、より強硬な姿勢をとっているとの見方もある。
      • 原文 September 15, 2020, Asia Times(若林健一)
    • 【7】ジョンソン首相:イングランド全域を対象に対策強化を発表
      • 【7】コロナウィルスの新規感染者数が全国的に増加していることを踏まえ、ジョンソン首相は9月23日にイングランド全域を対象とした新たな対策を発表するとともに、感染者数の増加が続く場合にはさらに厳しい措置をとる可能性があると警告した。イングランド以外でも同様に対策強化が発表され、スコットランドでは他人の家を訪問することが禁止され、ジョンソン首相が言う「さらに厳しい措置」にはこうした対策が含まれる可能性がある。今回発表された対策の概要は以下のとおりで、今後6ヶ月間継続される可能性がある。①可能な限り在宅勤務を行うこと。②パブやレストランなどの営業時間を午後10時までとし、飲食時以外は店内でマスクを着用すること。③結婚式に参列できる人数を30人から15人に縮小する。④スポーツ観戦の再開に向けた計画を停止する。⑤マスク着用義務などの規則に違反した初犯者に対する罰金を200ポンドに引き上げる。

        ※9/22の英国の感染者数:4,926人(日本314人の16倍、緊急事態解除基準47人の105倍)
        ※9/22の英国の死者数:37人(日本8人の4.6倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 September 23, 2020, BBC (若林健一)
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