2020/09/23LROニュース(7)

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  • 2020.09.23 UP
    2020/09/23LROニュース(7)
    • 【1】スコットランド水道局:2040年までに炭素中立実現へ
      • 【1】スコットランド最大のエネルギー消費事業者であるスコットランド水道局(Scotland Water: SW)は、同国政府が公共事業者に対し、炭素中立を達成する目標年を定めるよう法律で義務付けたことを受けて、2045年までの炭素中立を目指す政府の目標より5年早い2040年までの炭素中立を目指す計画を打ち出した。SWは、大規模なエネルギー転換には多額の投資と水道料金の引き上げが必要と語っている。SWはスコットランド国内で239の浄水施設と1827の下水処理場を運営しており、事業全体で25万トンのCO₂を排出しているが、Erskine下水処理場のように、いくつかの施設ではエネルギー源を太陽光から得るように再設計し、また他の施設では下水処理の効率を上げて、エネルギーの消費量を削減している。SWは、今後20年以内にこれら全ての施設を再生可能エネルギーからの電力によって稼働させる予定である。
      • 原文 September 14, 2020, BBC(植木エミリ)
    • 【2】ExxonMobilが舶用バイオ燃料の初めての実船試験に成功
      • 【2】Exxon Mobil社は、Stena Bulk社と共同で舶用バイオ燃料の初の実船試験を行い、従来の重油燃料と比較してCO₂排出量を4割削減することに成功した。実践試験に使用されたのは、VLSFOに廃棄物から製造された第二世代のFAME成分をブレンドしたバイオ燃料で、Stena Bulk社の船舶が実際に営業運航を行っている際に、船上での燃料の保管/取り扱い/処理、機関での燃焼等について検証された。当該舶用バイオ燃料は、今年の後半にはロッテルダム港で供給可能になり、その後順次同社が給油施設を持っている世界の港湾に供給を拡大していく予定である。舶用バイオ燃料は、機関の改造等が不要で、既存の燃料と混ぜて簡単に使用することができ、CO₂排出量4割減という結果は、規制の強化や顧客からの要求によって、GHG排出削減を余儀なくされている事業主を助け、海運からのGHG排出量を2050年までに半減するというIMOの目標達成に貢献することが期待される。
      • 原文 September 14, 2020, Seatrade Maritime News(植木エミリ)
    • 【3】民間武装警備員を雇うにあたって事前に知っておくべきこと
      • 【3】船舶の運航者は、非常事態や法的保護を受けられない環境においても船舶を防衛するために最終手段として殺傷能力を伴う武力行使を容認しつつ民間武装警備員を雇っているが、これは場合によっては重大な結果をもたらす重要な取引である。しかし、海運業会の中には民間武装警備員の重要性を軽んじて、保険契約の要件を最低限満たすだけの低価格でガイドラインを無視した民間武装警備会社(PMSC)を選択する傾向も見られる。PMSCとの契約に当たっては、航海ごとにリスク評価を実施したうえで、乗船する武装警備員の規模や構成、装備などに関して相当な注意を払ったうえで選択するべきである。今年7月および8月には、労働条件や賃金に不満を持った民間武装警備員が乗船していた船舶を乗っ取り乗組員を人質にとる事案が発生し、民間武装警備員が劣悪な労働条件に直面しているという事実も明らかになったが、これはPMSCが契約を得るために低価格でのサービス提供を続けていることが背景にある。船舶の運航者は、PMSCが民間武装警備員の福利厚生やベストプラクティスの励行について高い水準を維持していることを確認したうえで契約を結ぶ必要がある。低価格であるから良いということではなく、そのサービスに見合った適正な料金を支払うということを支持する必要がある。
      • 原文 September 13, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【4】EUが中国に気候変動対策目標の引き上げを要請
      • 【4】9月14日に開催されたEU・中国首脳会談で、EUは中国に対し、中国のGHG排出量を2025年までにピークアウトし、国内外を問わず新たな石炭火力発電所への投資を中止することを求め、パリ協定の目標達成の一環として2050年までの炭素中立に取り組むEUと同様に、中国政府に2060年までの炭素中立実現を目指すことを要求し、こうした要請に応じない場合は、懲罰的な炭素国境関税を課すことも検討する。中国は世界最大のGHG排出国であり、エネルギー効率の面でも大きな改善の余地があり、省エネなど、EUの技術と経験から学ぶべきことが多い。例えば、欧州の排出権取引制度は15年の歴史があり、EUのエネルギー効率化に大きく貢献してきたが、中国政府は排出権取引制度についてよく勉強をしており、中国と環境政策の面で協調していくことはパリ協定の目標達成のカギになるとEU関係者は考えている。
      • 原文 September 14, 2020, Euractiv(植木エミリ)
    • 【5】韓・中・日の造船会社がLNG動力船の受注競争
      • 【5】世界のエネルギー需要がより環境にやさしい燃料にシフトする中で、造船業界もLNG動力船の建造に力を入れている。現在LNG動力船を受注した実績があるのは世界で、韓国の大宇海洋造船、現代重工業、三星重工業と中国のHudong中華造船と日本の三菱重工・川崎重工・Japan Marine United・今治造船の8社のみである。2019年の実績では、60隻のLNG燃料船の8割に当たる48隻が韓国の造船所で建造され、韓国が圧倒的に有利な情勢である。1990年代には、船体とLNGタンクが別々に設計されたMOSS型のLNG線が主流であったが、船体とLNGタンクを統合して、LNGの積載可能量を4割増やしたMembrane型のLNG運搬船が出現し、韓国の造船所はいち早くMembrane型に移行したにもかかわらず、日本の造船所はMOSS型に固執したため2015年以降日本の造船所の受注は激減した。
      • 原文 September 15, 2020, Business Korea(長谷部正道)
    • 【6】なぜ米国は北極海北西航路に関するカナダの主権を認めるべきなのか
      • 【6】カナダは1970年の北極海汚染防止法(The Arctic Waters Pollution Prevention Act)により北極海における主権を主張し、1985年には直線基線を採用して北極海における自国の内水を定義したが、米海軍は他国による国際航路に対する主権主張に前例として利用されることを恐れ、これを認めない立場をとってきた。一方で、米国にとって北極海が果たす戦略的な緩衝域としての役割は氷の減少によって急激に薄れ、それは米国本土への脅威に変わりつつある。近年中国は、自国を「北極海隣接国」と称し、成長する経済や軍事力を背景により積極的な姿勢を見せている。北極海における米国と中国やロシアとの覇権争いが激化するなか、同航路を中国やロシアの艦船や潜水艦が通航する権利や上空を航空機が飛行する権利を否定することが可能となることから、米国にとっては北極海北西航路がカナダの内水であることを認めることは賢明な選択であると言える。米国とカナダは、アラスカからカナダ北部に設置している監視レーダーシステム(North Warning System)の代替案を検討しており、また、共同運営する北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の枠組みの拡大を図ることで、米空軍がカナダの空域も防衛しているのと同様に米海軍もカナダ領海の防衛の任務に当たることになる可能性もある。
      • 原文 September 14, 2020, The Maritime Executive(若林健一)
    • 【7】英国政府がイングランド全域を対象とする規制強化を検討
      • 【7】英国政府は、コロナウィルスの新規感染者数が全国的に増加していることを踏まえ、複数のサービス業に対する休業要請や、パブ、レストランなどの営業時間の短縮など、新たな規制を数週間にわたりイングランド全域に課すことを検討中であり来週にも発表するとみられている。現在の国内の新規感染者数は1日当たり約4000人で、8日毎に倍増していることからこのままのペースでは10月末までには1日当たり約128,000人に達することになり、政府の主席科学顧問や主席医務官もこのまま何も対策をとらなければ多数の死者が発生することになるとの見通しを示している。

        ※9/17の英国の感染者数:3,395人(日本551人の6.2倍、緊急事態解除基準47人の72倍)
        ※9/17の英国の死者数:21人(日本12人の1.8倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 September 18, 2020, BBC (若林健一)
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