2020/09/11LROニュース(7)

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  • 2020.09.11 UP
    2020/09/11LROニュース(7)
    • 【1】IFC: マニラ湾とバタンガス湾で海賊・強盗・窃盗事件が増加
      • 【1】情報融合センター(Information Fusion Centre:IFC)によると、比マニラ湾及びバタンガス湾では今年8月までに窃盗、強盗、海賊事件といった犯罪が合計10件発生しており、昨年同期の2件や一昨年同期の3件と比較して急増している。内訳は強盗事件が2件、窃盗事件が6件、これらの未遂事件が2件となっている。このうち7件はマニラ湾の錨地で錨泊中の船舶を狙って午後10時から午前4時30分までの間に発生している。いずれも窃盗の被害は発生しているものの船体への損害は発生しておらず、また、このうち1件では犯人が武装していたが乗組員も無事であった。3件はバタンガス湾で発生しており、いずれの事件も犯人は刃物で武装し、このうち1件では乗組員が負傷している。過去の事件と比較して犯人はより攻撃的になっていることがうかがえる。比当局が監視や巡回活動を強化しているが、引き続き警戒態勢を維持し予防措置を講じるとともに、特異事象を認めた場合には直ちに通報することが求められる。
      • 原文 September 7, 2020, Safety4Sea(若林健一)
    • 【2】海賊の原因となる貧困や失業がパンデミックにより増加
      • 【2】近年、船舶の主要航路における海賊の発生件数は減少傾向にあり、2019年に国際商業会議所の国際海事局(IMB)はギニア湾を世界で最も危険な海域であると表現したが、世界で発生した海賊事件の件数は1994年以降最低を記録した。しかしIMBによると2020年1月から3月に発生した海賊・武装強盗事件の件数は昨年同期と比較して24%も増加しており、ギニア湾では依然として海賊が多発し、メキシコ湾ではメキシコのカンペチェ沖で石油掘削施設やその関連船舶を狙った襲撃事件が相次いで発生している。コロナウィルスのパンデミックと海賊の発生件数との因果関係は未だ明らかではないが、各国政府は治安維持より公衆衛生対策を優先せざるを得ず、パンデミックにより貧困や失業が増加したことで、生活のために海賊や武装強盗といった犯罪行為に走る人が増加すると見られている。また、感染者が発生したことで沖合での停泊を余儀なくされる旅客船は海賊にとって格好の餌食となる可能性がある。
      • 原文 September 1, 2020, ARX(若林健一)
    • 【3】中国が石炭火力と再生可能エネルギーを組み合わせた大規模発電を計画
      • 【3】世界最大の石炭消費国であり、再生可能エネルギーの開発にも熱心である中国では、石炭鉱山の脇に発電所を建設し、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー発電も行い、電力が余った場合は蓄電する施設もあり、天候や電力価格に応じて柔軟に石炭火力発電と再生可能エネルギー発電を使い分けるような大規模な複合発電施設の建設計画が検討されている。これは、石炭火力発電から得られる収益を再生可能エネルギー開発にcross subsidyするという中国政府主導の戦略でもある。中国政府は、大気汚染を減らし、気候変動対策にも資するため、全エネルギー需要に占める再生可能エネルギーの比率を2019年の15%から2030までに20%に引き上げることを目的としている。石炭火力と再生可能エネルギーの組み合わせは同国独自のものとなる可能性があり、同国の主要産炭地である内モンゴル自治区や新疆ウイグル自治区では、風力や太陽光発電の適地も多いため、こうした新たな構想も進めやすい。
      • 原文 September 6, 2020, Financial Post(植木エミリ)
    • 【4】ラゴス沖で冷凍船が海賊に乗船される
      • 【4】9月8日午前5時50分ころ、ナイジェリアのラゴスの南南西約31海里の海上を航行中の冷凍運搬船に複数の賊が乗船したと見られている。同船のAIS情報によれば、同船はラゴスに向け14ノットで航行していたが回避動作と見られる動きをとった後停止し、現在は漂泊を続けている。複数の乗組員がシタデルに避難したとの情報もあるが、乗組員が誘拐された可能施もある。本件は今年に入りラゴス南方海域で発生した3件目の事案であるが、ギニア湾では既に93人の船員が誘拐の被害にあっている。ナイジェリアの排他的経済水域では依然として海賊などの海上犯罪が多発しており、犯人は現在も同船に乗船したままなのか、あるいは付近海域に留まっているのかは不明であり、付近を航行する船舶は引き続き厳重な警戒態勢を維持することが求められる。
      • 原文 September 8, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【5】欧州委員会がより厳しいCO₂削減案を提案へ
      • 【5】欧州委員会は、EUの2030年までのCO₂削減目標を、現在の対1990年代実績比で40%削減するという目標から50-55%に引き上げることを検討しているが、この高い目標を実現するには多額の投資が必要となる。欧州委員会は9月15日の会合で削減目標の引き上げ幅について議論する予定であり、新たな目標は、欧州が2050年までに炭素中立を実現する為の包括的な政策である欧州Green Dealの一環として、既に提案されている欧州気候法案の中で拘束力のある目標として位置づけられることになるが、年末までに欧州議会と理事会の承認を得る必要がある。しかし、EU加盟国間の化石燃料への依存度・貧富・産業競争力といった様々な格差を考えると、交渉は難航すると見られており、産業界からも、目標を強化した場合、EUに比べて規制の緩い他国と比べて競争力が落ちるとの懸念も寄せられている。また目標の強化に伴い、EU排出権取引制度における排出権価格も上がると見られているが、排出権価格は既に高騰しており、3年前は1トンあたり7ユーロ(約880円)だったのに対し、現在は27ユーロ(約3400円)で取引されている。
      • 原文 September 7, 2020, News Break(植木エミリ)
    • 【6】欧州で2035年までにCCSに対し350億ドルの投資が実施される見込み
      • 【6】炭素回収貯留(CCS)技術については、これまで20年間にわたり試験的で割高な技術開発が行われてきたが、欧州においては、ようやく経済的にも見合った大規模な事業が実施できる段階となり、2035年までに350億ドル(約3.7兆円)が投資される見込みとの分析が9月7日公表された。欧州だけでも10の大規模事業が計画されており、ほとんどがノルウェー・英国・デンマーク・オランダなどの北海沿岸に集中しているが、アイルランドやイタリアでも事業が計画されており、2035年までに実際に稼働する可能性が高い。資本的支出の半分はCO₂を回収する装置や施設の建設費に充てられ、CO₂の輸送インフラの建設と保守管理に35%、回収したCO₂を安全に地下へ貯蔵するための貯蔵関連設備へ15%の資本が充てられる予定である。こうした計画の実施により、2021-2025年は毎年300万トンのCCS施設が追加されていき、2026-2030年にかけては毎年700万トンに増え、2035年までに最大7,500万トンのCO₂が回収・貯留されると見込まれており、事業の8割は英国内で実施されると見込まれている。
      • 原文 September 7, 2020, Rystad Energy(植木エミリ)
    • 【7】感染者の増加を抑えるためにはさらなる対策が必要との声
      • 【7】コロナウィルスの新規感染者数の増加を受け、ジョンソン首相は9月9日に記者会見を行い、人が集まる場合の人数の上限を6人までに制限することを発表した。しかし、今年3月のロックダウン実施の決定に携わった疫学者の1人は、今後数週間のうちに死者数も増加に転じるとの見方を示したうえで、現在の感染者の増加を示す数値には9月以降の学校再開による影響はまだ反映されておらず、感染者数の増加がさらに勢いを増すことは明らかであるとして、職場の再開を控えるなどさらなる対策を、機を逸することなく講じる必要があると警鐘を鳴らしている。

        ※9/9の英国の感染者数:2,659人(日本515人の5.2倍、緊急事態解除基準47人の57倍)
        ※9/9の英国の死者数:8人(日本16人の0.5倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 September 10, 2020, Evening Standard (若林健一)
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