2020/09/09LROニュース(7)

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  • 2020.09.09 UP
    2020/09/09LROニュース(7)
    • 【1】USCG: 中国漁船が集結しているガラパゴス沖IUU漁業取締に参加
      • 【1】9月3日に米国沿岸警備隊(USCG)が公表したところによると、エクアドル領のガラパゴス諸島周辺海域における違法・無報告・無規制漁業(Illegal, Unreported, and Unregulated fishing:IUU漁業)を阻止するために、8月25日から29日にかけてUSCGの巡視船Bertholfがエクアドル海軍の艦艇と共同でガラパゴス諸島周辺を含むエクアドル領海や公海をおよそ3千平方マイルにわたって巡回するなど取締活動を実施した。今回の活動は、エクアドル海軍とUSCGの協力関係の重要性を示すと同時に漁業に関する国際規則の遵守を確保するものであり、今回収集された情報はエクアドル政府と共有され、今後の取締の強化や潜在するIUU漁業の把握に活用される。IUU漁業は、国の主権を侵害するとともに法に基づく国際秩序を乱す行為であり、治安、経済及び環境の面で世界的な課題となっている。IUU漁業により、世界全体の漁獲量の20%から30%に当たる約2千7百万トンもの漁獲物が毎年違法に採捕され、その額はおよそ235億ドル(約2兆5千億円)にも及ぶ。
      • 原文 September 4, 2020, Sea Power(若林健一)
    • 【2】アルカリ性の固形廃棄物を利用したCO₂鉱物化技術
      • 【2】British Columbia大学の研究者達によると、鉱物資源の採掘、セメント・アルミニウムの生産、石炭の燃焼などの際に発生する岩や泥状のアルカリ性固体廃棄物は、pHが高く、CO₂と反応してCO₂を吸収し、永久的に個体鉱物の中に封じ込められることが実験により確認された。ICPPによると、パリ協定の目標達成にはGHG排出量の削減だけでは不十分で、大気中から年間100億トンのCO₂を排除する必要があり、このため大規模な植林や、大気中や発電所の排気からCO₂を化学的に回収して地中に貯蔵するなどの技術(NETs)が検討されているが、廃坑などの地中の貯蔵所からCO₂が漏れ出すおそれや森林火災などのリスクがあり、アルカリ性の固形廃棄物を利用したCO₂鉱物化技術が実用化された場合、永久的で最も安定したNETsとなりうる。また鉱業やセメント・アルミニウムの製造業により、毎年約20億トンのアルカリ性の固形廃棄物が発生しており、これまでに発生した900億トン以上の同廃棄物が地域住民や生態系を脅かしているが、当該技術によりCO₂の固形化が可能になれば、気候変動対策に加えこうした廃棄物を安全に保管できると見込まれている。
      • 原文 September 3, 2020, Science(植木エミリ)
    • 【3】水素の生産を再生可能エネルギーだけに頼るとコストは割高に
      • 【3】欧州で2050年までに世界最初の炭素中立を実現するにあたり、目標達成の鍵は再生可能エネルギーから製造される水素(Green Hydrogen : GH)であるとして、EUの各国政府はGHの利用拡大、エネルギー事業者はGHの生産/流通に投資する準備を進めているが、必要な水素量を確保するうえで、GHだけに頼るのか、それとも炭素回収・貯蔵技術を用いて天然ガスから製造される水素(Blue Hydrogen : BH)を併用するかが課題となっている。GHを生産する電解槽は電力を消費するが、GHの需要量が限定的であれば、夜間など電力価格が安い時にGHを生産できる。しかしBHを併用せず、かつ重工業ばかりでなく交通や暖房の燃料としてもGHを使用するとなると、GHの需要量が増えるため、電力料金が割高な昼間も電解槽を稼働させる必要があり、結果としてGHの生産コストが上がり、BHを併用する場合と比較して、水素の価格が37%上昇するとの試算をAurora Energy Researchが発表した。但し、再生可能エネルギー発電の規模が急拡大すれば、水素価格の上昇幅の縮減も可能であり、Aurora社の試算でも、GHだけですべての重工業向けと一部の交通向けに、経済的にも競争力のある価格で水素を供給可能であることが判明したのは意味がある。
      • 原文 September 4, 2020, Financial Post(植木エミリ)
    • 【4】IRENA: 潮力・波力発電の実績・可能性・課題
      • 【4】国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の事務局長が標記についてコメントしているところその概要は以下のとおり。①欧州の企業は、全世界の海洋エネルギー発電技術に関する特許の23%を保有しており、欧州は潮力・波力エネルギーにおいて世界に先駆けている。②現在、潮力エネルギーは412.5MW分、波力エネルギーは2.3MW分の発電能力を有しており、波力に比べ潮力発電の方が商業化の可能性が高い。③ただし、波力の潜在的な可能性は高く、理論上の発電規模は波力が29,500TWh、潮力が1,200TWhであり、理屈の面だけでいえば、波力発電だけで世界のエネルギー需要を賄えることになる。④こうした波力発電の可能性を実用化するには、公的支援によるコストの低下と規模の拡大が必要である。⑤海洋発電最大の長所は、太陽光や風力発電に比べ天候に左右されず、電力を安定して供給できる点である。⑤海洋発電の普及には、海洋性動植物生態系に与える環境的な影響について、今後さらなる研究が必要である。
      • 原文 September 4, 2020. Euractiv(植木エミリ)
    • 【5】G20諸国:コロナ復興におけるエネルギー別の補助額の比較
      • 【5】2020年当初から、G20諸国は合計で3823億ドル(約41兆円)を様々なエネルギーに対する補助金として支給することを決定している。このうち、化石燃料に対する補助金は2040億ドル(約22兆円)、再生可能エネルギーに対する補助金は1388億ドル(約15兆円)となっている。さらに、具体的なエネルギー別でみると、石油・ガスに対する補助金が1716億ドル(約18兆円)、石炭に対する補助金が146億ドル(約1.5兆円)、天然ガスから生産される水素については補助金はなかった。国別の補助金の詳細は以下のリンクを参照。
      • 原文 September 2, 2020, Energy Policy Tracker(長谷部正道)
    • 【6】EMSA: コロナが海運活動に与えた影響報告書を発表
      • 【6】欧州海事安全庁(EMSA)が標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①2020年当初から第35週までの間に、EUの港湾に寄港した船舶数は、前年同期比、15.2%減少した。②8月24日から30日までの第35週にEUの港湾に寄港した船舶数は、対前年同週比9.1%の減少となった。③船種別にみると、パンデミックの影響をまともに受けたのは、クルーズ船・旅客船・自動車輸送船だった。対前年比、寄港数が微増したのは、化学タンカーのみで、ばら積み船、石油タンカー、Ro-Ro旅客フェリーは反対に5%以下の微減となった。④国別にみると、クルーズ船と沿岸旅客船の運航数の激減により、クロアチア・アイスランド・スロバニア・スペインにおいて、船舶の寄港数が最も大きく減少した。⑤EU船籍船による全世界の港湾の寄港数は、3月から7月にかけて対前年比減少したが、最も大きく減少したのが、クルーズ船・旅客船・Ro-Ro旅客フェリー・自動車輸送船であった。しかし、EU籍のRo-Ro旅客フェリーの全世界の港湾における寄港数は、7月中旬から対前年比で増加に転じ、同様に7月末からEU籍の旅客船の全世界の港湾における寄港数も対前年比で増加に転じた。
      • 原文 September 4, 2020, EMSA(長谷部正道)
    • 【7】感染者数の急増を受け政府が集会の人数制限に関する規制強化を検討
      • "【7】英国内における一日当たりのコロナウィルスの新規感染者数が9月6日に続き翌日も3千人近くに達し急増の兆しを見せていることを受け、閣僚や政府の科学顧問などからは若者を中心に感染拡大の傾向が見られるとして社会的距離の確保など政府のガイドラインを遵守するよう求める発言が相次いでいる。専門家からは、政府によるガイドラインの頻繁な変更や外出を促すなどの対応が国民に誤ったメッセージを伝えていると批判する声も聞かれる。政府は新規感染者の増加を踏まえ、人が集まる場合の人数制限に関する規制を強化する措置をイングランド全域に課すことを検討している。

        ※9/7の英国の感染者数:2,948人(日本451人の6.5倍、緊急事態解除基準47人の63倍)
        ※9/7の英国の死者数:3人(日本6人の0.5倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。"
      • 原文 September 8, 2020, BBC (若林健一)
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