2020/09/08LROニュース(7)

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  • 2020.09.08 UP
    2020/09/08LROニュース(7)
    • 【1】Clean Arctic Alliance: IMOの北極海重油規制案は抜け穴だらけ
      • 【1】Clean Arctic Allianceは、The International Council on Clean Transportation (ICCT)が発表した「北極海における重油禁止に関するIMO案の予想される効果とIMO案改善の可能性」に関する報告書(9月7日付LRO Newsにて既報)を受けて、IMOの現在の提案が形ばかりの禁止であるとして、IMO案をさらに強化して、適用除外や免除を認めるべきでないと主張しているところその概要は以下のとおり。①IMOの規制案では、規制適用後も重油燃料(HFO)使用の84%・輸送の74%が禁止されないだけでなく、北極海沿岸国が自国籍船舶の領海内の航行に対して規制適用を免除できることによって、先住民が利用する最も重要な内水域に大きな環境上のリスクを残すことになる。②北極評議会加盟国が、領海内を航行する自国籍船舶に対して規制の適用を免除し、外国国籍船にのみ規制順守を求めることは、不平等な競争を生むことになる。③自国籍船に規制の適用を免除することによって、当該自国籍船が近隣諸国の海域や環境に悪影響を及ぼす可能性がある。④加えて、保護された燃料タンクを装備する船舶に対し規制の適用を除外すれば、保護されたタンクを装備した新造船の運航が今後増えることから、北極海におけるHFOの使用と輸送も今後むしろ増えることとなり、北極海の保護すべき生態系・野生動物・先住民の共同体にとって良いことではない。
      • 原文 September 3, 2020, Clean Arctic Alliance(植木エミリ)
    • 【2】ギニア湾で海賊の危険性が高まる
      • 【2】ギニア湾に面するナイジェリアのリバーズ州を拠点とする武装グループが、9月1日以降にカメルーンから赤道ギニアにかけての海域(D海域)において船舶を狙った海賊行為を計画しているとの情報がある。犯行は監視体制が手薄となる低潮時を狙って行われるとみられ、監視体制を強化し情報収集に努めるなど最大限の警戒が求められる。2020年以降に同海域で発生した事件は、カメルーンのドュアラやリンベ、赤道ギニアのマラボの周辺といった北部の海域に集中しており、今後もこの傾向は続くと考えられる。ギニア湾で発生する海賊や他の重大な海上犯罪は、その多くがナイジェリアの海域で報告されてきたが2020年に入って他の海域にも広がりを見せており、港内や錨地を超えた水域での各国の取締機関による対応が難しい状況もあり、この傾向は今後も続くとみられる。
      • 原文 September 3, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【3】ノルウェーが米原子力潜水艦の補給基地とするため北極海の拠点港を拡充
      • 【3】ノルウェー北部のトロムソ港は露の北方艦隊が基地を置く露コラ半島にも近く、これまで長期にわたり軍事活動の拠点としての役割を果たしてきたが、ノルウェーは、北大西洋に向かう露北方艦隊の監視を強化すべく、米国やNATO軍の原子力潜水艦の帰港を容易にするためにトロムソ港の機能を拡充した。この一年で米海軍は原子力潜水艦をノルウェーに2度寄港させており、露に対し米国の北極海における存在感を示してきたがその滞在は短期間に限られていた。今回のトロムソ港の機能拡充により、米軍やNATO軍の潜水艦による寄港と補給が容易となり、北極海により長期間にわたって展開することが可能となる。ノルウェー軍報道官によると、最終段階として現地における必要な規則や計画の修正作業が現在進められている。今年8月21日には米潜水艦Seawolfが乗員を乗船させるためにトロムソ港沖に停泊し、また、8月17日には50日間のしょう戒を終えた空母セオドア・ルーズベルトもトロムソ港に寄港している。
      • 原文 September 3, 2020, Breaking Defense(若林健一)
    • 【4】国連事務総長:コロナ復興計画に実効的な気候変動対策を盛り込むことを要請
      • 【4】9月3日、日本主催の下「COVID-19からの持続可能な復興」に関する大臣級会合(オンライン)が行われ、国連事務総長は、世界はコロナウィルスと気候変動という二つの危機に直面しており、コロナからの復興を人類と地球にとって真のターニングポイントにするため、各国政府に対し復興計画に実効的な気候変動対策を盛り込むことを要請した。具体的には、①環境関連の雇用機会創出のための投資②環境汚染産業への救済措置を行わない③化石燃料に関する助成金の廃止④全ての金融的・政策的決断にあたり気候変動に対するリスクを考慮する⑤全ての関係者の連携⑥エネルギー転換に伴って事業継続が困難となった企業・労働者に対して、必要な支援の実施という、気候変動に対する積極的な対策が挙げられた。またコロナ復興政策の中に実際に盛り込まれた気候変動・環境対策の事例を取りまとめたオンラインポータル「The Platform for Redesign 2020」も創設され、2021年に開催されるCOP26へ向けた動機の形成を支援する。
      • 原文 September 3, 2020, 国連(植木エミリ)
    • 【5】ICS: 船上におけるコロナのリスクを下げるための新手順書を発表
      • 【5】最近、海運業界としてのガイダンスを守らない少数の不心得者のために、船上におけるコロナ感染に関する懸念が高まってきており、そうした悪質な事例の件数は限られているものの、国際海運会議所(ICS)は5月に発表した船員の健康に関するガイダンスに加えて、船上でコロナの感染が発生した際に、船主や船舶運航会社が安全に感染を管理する方法について、国際船員健康協会(IMHA)とINTERTANKOと協力して、新たな手順書を作成し、8月26日に公表した。新手順書では、①船上で多数の船員がコロナに感染した疑いがある場合に、状況に応じて採用すべき手順を確定するために役立つフローチャートと、②船員が乗船する前、或いは乗船後に感染疑い事例が出た場合に、PCR検査について行うべき作業を確定するために役立つPCR 検査手続きに関するマトリックスを新たに加えている。
      • 原文 August 26, 2020, ICS(長谷部正道)
    • 【6】プラスチック生産量を減らす対策と今後の見通し
      • 【6】金融シンクタンクのCarbon Trackerが標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①石油業界と石油化学業界は、今後もプラスチックの生産量が増加することを期待しているが、世界が循環型経済へ移行するに従って、プラスチック需要増加は止まる可能性がある。②プラスチックの製造によるCO₂の排出・健康コスト・回収コスト・海洋汚染コストなどを含めると、トンあたり1千ドル(約10.6万円)・年間で3500億ドル(約37兆円)の外部コストが発生しているにも関わらず、実際にリサイクルされているのは10%以下である。③プラスチックの需要を削減するための手段として、(I)再使用を可能にする設計や規制の改善(II)紙などの代替素材の活用(III)リサイクル率の大幅な増加が挙げられ、こうした解決策により、新規プラスチックの製造量は2040年までに半減できる。④欧州や中国は、様々な政策手段を駆使してプラスチック製造量の削減に取り組んでおり、例えば欧州委員会では、リサイクル不可のプラスチックごみ1トンにつき800ユーロ(約10万円)の課税が提案されている。⑤このような対策をとれば、プラスチック製造量の年間平均増加率をこれまでの年間4%から1%以下に抑制し、2027年には製造量をピークアウトさせることが可能となる。
      • 原文 September 4, 2020, Carbon Tracker(植木エミリ)
    • 【7】若者の間での感染拡大が再び大規模な感染拡大を引き起こす恐れ
      • 【7】先週イングランドで確認されたコロナウィルスの新規感染者の3分の1が20代の若者であり、その数は増加傾向にある。今月から大学も順次再開されることとなっており、英国保健相は、仏や西では若者の間での感染拡大が感染拡大の第2波に繋がっており、これらの国では入院患者や死者の数が急増していると指摘したうえで、社会的距離の確保などの規則を遵守しなければ同様の事態が英国でも発生しうると注意を呼び掛けた。イングランド北部の都市リーズでは新規感染者が増加しており地域的なロックダウンの発令も検討されているが、若者を中心とした違法な音楽イベントやホームパーティーの増加が原因であるとも言われている。9月6日の英国国内の新規感染者数は2,988人となり5月22日以降最多を記録している。

        ※9/6の英国の感染者数:2,988人(日本600人の5倍、緊急事態解除基準47人の64倍)
        ※9/6の英国の死者数:2人(日本8人の0.3倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 September 7, 2020, BBC (若林健一)
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