2020/09/04LROニュース(8)

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  • 2020.09.04 UP
    2020/09/04LROニュース(8)
    • 【1】 RINAとEMSAが共同でTHETISと交換できる電子情報の範囲を拡大
      • 【1】現状では認定代行機関(RO)である船級協会は、船舶の検査を行った場所・日時、発行した証明書の種類、証明書の発行期日と失効期日などを含む認証の手続きに関する情報をTHETISに入力することが要求されているが、イタリア船級協会(RINA)は欧州海事安全庁(EMSA)と共同で、THETISの情報交換機能を拡張して、電子証書に含まれるより多くの技術情報をTHITISに取り込む試験事業を実施した。この実験では、国際油汚染防止(IOPP)証書と船舶の構造に関する補足情報など多くの情報をTHETISに取り込むことに成功し、今後他の証書に関する情報も取り込めるよう機能を拡張する。この新機能によって、PSC検査官は、実際に検査で乗船する前に、THETISを通じて、検査対象の船舶の電子証明書をチェックし、証書が失効している場合や有効でない場合に必要な対処を直ちに取れるようになる。
      • 原文 September 2, 2020, RINA(長谷部正道)
    • 【2】 米議会調査局報告書:東シナ海と南シナ海における米・中の戦略的競争
      • 【2】米議会調査局は8月28日、東シナ海と南シナ海における米・中の戦略的競争に関する報告書を公表したがその概要は以下のとおり。①南シナ海における米・中の戦略的競争はトランプ政権にとっては対中国政策の一部を成し、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)を推進するための取組みでもある。②近年の南シナ海における中国の活動により、米国やその同盟国にとって戦略的、政策的及び経済的に重要な南シナ海の覇権を中国が握るのではないかとの懸念が高まり、また、東シナ海の尖閣諸島周辺における中国の活動も米国にとって懸案事項となっている。③米国の大きな目標は、西太平洋地域において、日や比との条約を含めた米国の役割を遂行し、米国主導の安全保障体制や米国やその同盟国にとって好ましい力関係を維持し、船舶の航行の自由を確保すること等であり、また、同時に中国との戦略的な関係を維持することである。④より具体的な目標は、中国の南シナ海における基地建設及び軍備の増強、尖閣諸島周辺における活動、南沙諸島周辺における比漁船に対する威圧的行為などを止めさせ、2016年の仲裁裁判所による南シナ海判決を遵守させることなどである。⑤米議会は、トランプ政権による東シナ海と南シナ海での対中戦略や資源投入が適切であるかを評価し、必要な対応をとることが求められる。
      • 原文 August 28, 2020, USNI News(若林健一)
    • 【3】 スコットランドにおける洋上風力発電開発と港湾にとっての機会
      • 【3】スコットランド英国王室領(CES)は、同国の港湾が今後洋上風力の開発によって創出される可能性をいかに活用できるかについての調査を行い、「洋上風力発電開発における港湾の役割(Ports for offshore wind)」と題する報告書を9月2日発表した。報告書では、スコットランド政府として、炭素中立化を達成するために必要な洋上風力発電事業を整備するにあたってスコットランドの港湾が果たすべき役割について提言しており、具体的には、①大規模な洋上風力発電事業の開発に適すように、港湾の機能を拡大する。②洋上風力発電に関連する港湾関係施設の整備をどのように進めるべきかについて、国家的な戦略手段を確立する。③スコットランドの港湾の可能性を拡げるために理想的な洋上風力発電施設の運営・保守管理機能を開発することが挙げられた。
      • 原文 September 2, 2020, スコットランド英国王室領(植木エミリ)
    • 【4】North Sea Port: 再生可能水素のハブの建設に関し協力協定
      • 【4】オランダとベルギーにまたがるNorth Sea Port (NSP)は蘭の再生可能水素 (Green Hydrogen: GH)の開発・運用を業務とするVoltH2社と蘭のフリッシンゲンにGHのハブを建設するための連携協定を締結した。同社はGHの製造・貯蔵・燃料補給・供給施設を建設するための開発計画の作成を開始した。さらにタンカーに燃料を供給する施設までのパイプラインの建設の可能性についても検討する。同社は実証済みの商業的にも採算がとれる技術を用いて、25MW規模の電解槽を建設し、年間3600トンのGHの製造を当初目標とするが、4倍まで生産量を拡大することができるよう余裕をもってGH製造プラントを設計する。広範な地域にGHを供給できるよう同施設には、道路・鉄道・水路でアクセスできるようにするほか、ガス供給ネットワークに直接接続することも考えられる。第1期の投資額は3500万ユーロ(約44億円)だが、最終的な投資規模は1億ユーロ(約125億円)以上に達するものと予想されている。
      • 原文 August 28, 2020, North Sea Port(長谷部正道)
    • 【5】ロイズ船級協会:メタノール燃料補給の際の技術的ガイダンスを作成
      • 【5】IMOにおいて合意された2030年までと2050年までの船舶から排出されるCO₂削減目標を達成するための手段としての将来的な新しい船舶燃料を評価する海事産業関係者の一員として、ロイズ船級協会はMethanol Instituteと協力して、「メタノール燃料を補給する際の技術的ガイダンス」を作成し公表した。メタノール燃料はすでにいくつかのタイプの船舶で実際に使用されているが、従来の重油燃料に比べて、硫黄成分はゼロで、GHG排出量も少ないことから、船主がIMOの2020規制を遵守するための手段の一つとしても採用している。一方で、メタノール燃料は発火点が低く、接触すると有害な物質であることから、メタノールを燃料として扱ってきた関係事業者の経験をもとに、安全に燃料を補給するための明確で簡潔なbest practiceをガイダンスとして取りまとめたもの。メタノールは化学製品として長い間安全に取り扱われてはきたが、船舶燃料として取り扱う場合には、陸上においても、燃料補給用艀においても、船上のタンクにおいても、燃料を取り扱う関係者は、メタノールの性質についてより深い理解が必要となる。
      • 原文 September 1, 2020, ロイズ船級協会(長谷部正道)
    • 【6】英国におけるプラスチックリサイクルの実態
      • 【6】2020年3月に作成された英国下院議員向け説明資料においては、英国内で毎年使用されるプラスチックの91%は処理されると記載されているが、リサイクルされるという意味ではなく、廃棄物処理事業者に引き渡されるという意味であり、WWFが独自に調査したところによれば、2018年において英国内でリサイクルされた使い捨てプラスチックの割合は29%にとどまっている。地方政府協会によって2018年に発表された報告書によれば、回収されたプラスチックの2/3は、汚れたり、低品質であったり、他の材質のごみと混ざっていたり、技術的な問題からリサイクル不能であるとされている。また、2018年に会計検査院が発表した報告書によれば、リサイクルのために海外に輸出されたプラスチックごみの量は、2002年から2017年までの間に6倍以上に増加し、2017年中にリサイクルされたプラスチックごみの半数は単に海外に輸出されただけであった。
      • 原文 September 3, 2020, The Conversation(長谷部正道)
    • 【7】第7回GHG削減中間WGの開催について
      • 【7】8月28日、IMOは標記会合を10月19日から10月23日までの間、virtualで、通訳なしの英語のみで開催すると発表した。最終日にまとめられる報告書案に対するコメントは、10月30日まで文書で受け付けられる。
        IMO Circular Letter No 4181/Rev.1
      • 原文
    • 【8】1週間の国内新規感染者数が6月以降最多となり再び感染拡大のおそれ
      • 【8】8月26日までの1週間に英国内で確認されたコロナウィルスの新規感染者数は、前の週から6%増加し、6,732人に達した。これは6月3日以降最多の数で、感染拡大の第2波到来を心配する声が高まっており、英国保健相も再び国内で大規模な感染拡大が発生する可能性は残っていると発言している。また、スコットランド相は9月3日、感染者1人当たり何人に感染が広がるかを示す実行再生産数(R)の値がスコットランドにおいて1.0を超え、1.4に達している可能性があると発表した。一方で、8月26日までの1週間に国民保健サービス(NHS)の検査・追跡システムが確認した濃厚接触者のうち、連絡がとれ自主隔離を要請できた人の割合は69.4%にとどまり、制度開始以来最低を記録している。

        ※9/2の英国の感染者数:1,508人(日本632人の2.4倍、緊急事態解除基準47人の32倍)
        ※9/2の英国の死者数:10人(日本11人の0.9倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 September 3, 2020, Evening Standard (若林健一)
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