2020/08/27LROニュース(7)

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  • 2020.08.27 UP
    2020/08/27LROニュース(7)
    • 【1】 BIMCOとICSが新たな「船員労働力報告書」の作成を開始
      • 【1】船舶運航者・船舶代理店・政府などが船員の配乗・訓練に関する将来的な戦略を構築するために、船員労働力に関する海運業界としての基本的な情報を提供する新たな「船員労働力報告書(SWR)」(前身は「労働力報告書」)の作成準備をBIMCOとICSが共同で開始した。SWRはポストコロナ後の船舶運用の準備と、船員に係る規制と政策の適正な立案のための、基礎的な情報を提供することを目指す。今後数か月間のうちに、海運会社・各国の海事当局・海事教育訓練機関に、船員訓練や雇用、離職率と継続雇用率、STCW条約に基づく資格ごとの船員数など、SWR作成のための基本的な情報の提供が要請される見込み。SWRは2021年に発表される見込みで、①現時点における世界の船員需給の詳細な見積(国別の見積も含む)②今後10年間の船員需給の予測③様々な船員訓練・雇用・継続雇用に関する傾向とその結果などについて報告される見込み。
      • 原文 August 24, 2020, BIMCO(長谷部正道)
    • 【2】 ReCAAP ISC警報:比バタンガス錨泊地で1週間で2件の武装強盗
      • 【2】アジア海賊対策地域協力協定情報共有センター(ReCAAP ISC)は、比バタンガスにおいて1週間で2件の武装強盗事件が発生したとして、8月25日に警報を発令した。1件目は、8月14日午前10時ころ、係留中のプロダクトタンカーに刃物で武装した1人の賊が右舷後部の係留索を伝って侵入し、乗組員の居室に押し入り乗組員を刃物で脅し同人の所持品を奪って、係留索を伝って待機していた小型艇に乗り込み逃走した。2件目は、8月20日午後8時21分ころ、錨泊中の貨物船で巡回中の当直乗組員が刃物で武装した1人の賊に襲われ右手を負傷した。賊は何も盗らずに逃走し、比沿岸警備隊が捜索するも発見には至っておらず、犯人は鉤付きロープを使用して船内に侵入したとみられている。ReCAAP ISCは付近船舶の船長や乗組員に対して、厳重な警戒態勢をとって周囲に不審な船舶がいないか見張りを定期的に行い、特異事象を認めた場合は直ちに関係当局に報告するよう求めるとともに、賊と直接対峙することがないよう呼び掛けている。
      • 原文 August 25, 2020, ReCAAP(若林健一)
    • 【3】 欧州保険業界が欧州委員会に気候変動適応策の強化を要請
      • 【3】欧州委員会はEUの気候変動適応策の見直しについて意見を公募しているが、欧州の保険業の業界団体であるInsurance Europeが意見を提出したところその概要は以下のとおり。①気候変動の規模を考慮すると、気候変動緩和策だけでは足りず、気候変動適応策をより野心的に取り組むべきである。②天然災害による損害を最少化するために、適応策を実施することによって、保険の対象を拡大することが重要。③気候変動適応策や天然災害に対して包括的なアプローチをとるため保険業界と政策立案者との連携が必要。④気候変動による影響と経済的に対応可能で多くの関係者にとって便益性の高い地域的な気候変動適応策の必要性について、住民の意識を高める必要。⑤気候変動に関するリスクを経済的に評価するために、気候変動リスクに関する質が高く利用しやすいデータの充実が必要。⑥気候変動適応策への民間投資を増やすため、気候変動適応策に対する投資をEU Taxnomy上に位置付け、税制上のインセンティブを増やし、投資意欲をそぐような短視眼的で気候変動対策を無視した政策決定を排除する必要。
      • 原文 August 24, 2020, Insurance Europe(長谷部正道)
    • 【4】 中国海軍:米軍に対抗して4海域で同時軍事演習を実施
      • 【4】中国海軍は先週、黄海、渤海、東シナ海及び南シナ海の4海域でほぼ同時に多岐にわたる包括的な軍事演習を開始した。今回の演習について中国の専門家の中には、挑発的行動ではなく海軍が通常行っている演習であるとする見解や、複数の海域で同時に継続した演習を実施することで中国軍がかつてない規模で勢力を洋上に展開できる能力を有していることを誇示するという戦略的重要性を有しているとする見解もある。中国は今回の演習を実施することで、台湾を脅し、台湾との協力関係を深める米国をけん制する狙いがあるとみられ、また、8月上旬には米国が南シナ海に空母打撃群を展開し、8月23日に台湾で行われた金門砲線追悼式に米在台協会の代表が初めて正式に参加しており、こうした米国の動きに対する中国の不満が背景にあるとも考えられる。さらに中国は、南シナ海での権益をめぐり中国と対立し米国の戦略的同盟国でもある比などに対しても圧力を強める狙いがあるとみられる。中国海軍は、航行の自由作戦を強化する米国をけん制するため、7月にも同時ではないものの今回と同じ4海域で演習を実施しており、8月上旬には、米保健福祉省長官による台湾訪問に合わせ、台湾周辺海域においても軍事演習を実施している。
      • 原文 August 25, 2020, Asia Times(若林健一)
    • 【5】 UNEP: サンゴ礁の生態系を保護する施策の強化が必要
      • 【5】モーリシャスでは環境非常事態宣言が発令され、災害対応活動が進んでいるが、今回の油濁事故により、マングローブ/海藻/サンゴ礁などの海洋生態系の脆弱性が浮き彫りになった。生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)による2019年世界生物多様性評価によれば、全世界の約半数のサンゴ礁は既に失われているが、今回漏出した燃料油は多くの化学物質の混合体であり、油の有毒成分はサンゴ礁の再生産・成長等を長期的に阻害する。国際サンゴ礁イニシアティブは、関係者との18か月の協議を経て、気候変動/海洋の酸性化/肥料・農薬などの陸上起源の汚染/海洋期限の汚染/過剰漁獲などによる海洋の脆弱性を認識し、将来的にサンゴ礁を保護するための勧告を5月に採択した。生物多様性条約は、2021年5月に「2020年以降の世界の生物多様性の枠組」を採択する予定であるが、その枠組みの中に定められているいくつかの指標に沿って、同条約加盟国がサンゴ礁の活動を監視することにより、人類の活動や天然災害によってサンゴ礁が変化するのを迅速に把握し必要な行動をとるために重要である。
      • 原文 August 24, 2020, UNEP(長谷部正道)
    • 【6】 USCG: 中型砕氷船の機関火災事故により全ての北極海の活動をキャンセル
      • 【6】米国沿岸警備隊(USCG)の中型砕氷船Healyは26日間にわたる北極海でのしょう戒任務に当たるためベーリング海峡に向け航行していたが、8月18日午後9時30分ころ機関室内で電気火災が発生し、右舷の推進器が使用不可能となったことから任務を中止して修理のためにシアトルの基地に向かって航行している。USCGが現有する砕氷船は、船齢44年のPolar Starと船齢21年のHealyの2隻のみであり、昨年も南極海域に向かっていたPolar Starで火災が発生し修理に長期間を要している。今回の火災により今年の夏季は北極海に米国の砕氷船を展開することが困難となり、米国の極域における砕氷能力の限界が改めて浮き彫りとなった。米国は、砕氷能力を強化するために新たな砕氷船の建造を計画しているが、建造が始まるのは来年であり就役には少なくともあと5年間を要するとしている。
      • 原文 August 26, 2020, High North News(若林健一)
    • 【7】 多くの企業が現状での職場の再開に消極的
      • 【7】BBCが国内の様々な業種から大手50社を対象に調査を実施したところ、このうち24社が職場の再開を現時点ではまったく計画していないと答え、在宅勤務が困難な職員を対象に職場を一部再開したと答えた企業も僅か20社にとどまった。このうち数社は早くとも今年の秋後半までは職場を再開しない考えを示している。主な理由の一つとして、社会的距離の確保が求められる状況で多くの職員を職場に迎える環境を整える方策が見つからないことを挙げており、職員に公共交通機関を利用させたくないという意見も聞かれる。

        ※8/25の英国の感染者数:1,184人(日本495人の2.4倍、緊急事態解除基準47人の25倍)
        ※8/25の英国の死者数:16人(日本15人の1.1倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 August 26, 2020, BBC (若林健一)
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