2020/08/26LROニュース(7)

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  • 2020.08.26 UP
    2020/08/26LROニュース(7)
    • 【1】 サウジ港湾庁:スクラバー洗浄水の領海内の排水を禁止
      • 【1】サウジアラビア港湾庁は8月20日、マレーシア・スエズ運河庁・シンガポール・オマーン等に続き、領海内におけるスクラバー洗浄水の放出禁止を発表した。スクラバー洗浄水に含まれる重金属や多環芳香族炭化水素類(PAHs)は海洋生態系を危険に晒す恐れがあり、こうした環境への懸念から気候・環境保護総局の指示により禁止となった。この禁止措置はスクラバー洗浄水に関する環境基準が設定されるまで継続される。スクラバーの多くは安価で洗浄水を海洋に放出する開放型だが、BIMCOによれば現時点で約2,600隻の船舶がスクラバーを搭載しており、DNV GLによると2020年末までに4,047隻の船舶にスクラバーが実際に装備あるいは発注される予定だが、一方でコロナの影響により規制適合油と重油燃料の価格差が大幅に縮小したため、多くの船社がスクラバー設置工事を繰り延べ・中止している。
      • 原文 August 20, 2020, Offshore Energy Biz(植木エミリ)
    • 【2】 米国:パンデミックを理由とする環境規制関連義務の大幅免除の結果
      • 【2】米国の石油業界は3月、大統領と環境保護庁(EPA)に対し、パンデミックに伴いスタッフの確保が難しくなり、有害排気ガスの監視・監視結果の報告・有害排気ガス排出の迅速な是正等、既存の環境規制の大部分を遵守することが困難になったとして、パンデミックが収束するまで有害排気ガスや汚染水等に関する規制の適用の猶予を求めたが、こうした要求を受けてEPAは3月26日、公衆衛生と環境保護に関する規制の大部分の実施の猶予を認めることを発表した。Associated Press(AP)がEPAによる規制緩和の結果を2か月にわたり調査したところ、石油ガス業界を中心に3000件以上の環境規制の適用除外が連邦環境法の執行を担当する州政府によって承認されていた。EPAは、適用除外の対象は排気ガスのモニター等の規制遵守の担保方法に関する部分で、対象企業が法令に定められた環境基準を超えた排気・排水すること自体を認めるものではないと弁明しており、8月中にはこの適用除外措置を終了するとしているが、環境問題の専門家は、当該期間中の排気ガスや排水を誰もモニターしていなかったので、この適用除外措置が環境にもたらした影響を正確に把握することは困難であるとしている。
      • 原文 August 24, 2020, AP(植木エミリ)
    • 【3】 グリーンランドの氷床の融解率が再び加速
      • 【3】米航空宇宙局(NASA)と独航空宇宙センター(DLR)の共同ミッションであるGRACE (Gravity Recovery and Climate Experiment)は、地球の重力場を測定することによって地球上にどのように質量が分布されているかを把握し、観測データは海洋・地質・気候変動等に関する研究に活用されている。GRACEの観測データによると、2003年から2016年にかけて、グリーンランド氷床(GrIS)では年間約225Gtの氷が失われ、海面上昇の大きな一因となったが、独アルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所の研究者達がGRACEの後継機であるGRACE-FOのデータを分析してGrISの融解率の変化を調査したところ、2017年と2018年は、グリーンランド西部の冷夏と、東部で秋の降雪量が多かったことが重なった結果氷床融解のペースは低下していた。しかし2019年の観測結果は、7月だけで223Gt、通年では過去最大となる532Gtが融解しており、氷床融解のペースは再び加速化したことが判明した。
      • 原文 August 20, 2020, Nature(植木エミリ)
    • 【4】 自律運航船による初の太平洋横断事業と軍事技術開発への応用
      • 【4】(論説)IBMと非営利研究団体のProMare等の国際的なコンソーシアムは来春、人工知能(AI)によって自律運航し、エネルギーは太陽光を利用するMayfair号で、約2週間かけて大西洋を世界で初めて自律横断する事業を実施する。Mayfair号は、IBMの最先端のAI技術ばかりでなく、クラウド/エッジコンピューター技術・レーダーや光学センサー技術・外洋を自律運航するための慣性/衛星航法を駆使し、IBMのPowerAI Visionと推論エンジンを活用して船舶の衝突予防規則(COLREGs)に従って、他の船舶・海洋哺乳類・浮遊物を認識し回避することができる。一方、現在の米海軍の艦艇は維持運営コストも含めると非常に高額で、海軍は今年「海軍構造評価」を実施し、今後有人の従来型の艦艇と無人の自律運航艦艇を組み合わせて将来的に運用することを検討していく見込み。Mayfair号の試験航海により得られた全ての情報はIBMのWatson AIで、自律運航船が実際にどのように障害物を回避して運航し、海象条件の変化に対応できたか等を解析し、今後の軍用自律運航艦艇の開発に役立てることができる。
      • 原文 August 23, 2020, Defense One(長谷部正道)
    • 【5】 ASEAN:2025年までに再生可能エネルギーシェアを23%まで引き上げ
      • 【5】ASEAN諸国のエネルギー需要は2025年までに50%増加する見込みだが、風力や太陽光による発電コストの低下を踏まえて、再生可能エネルギーの比率を23%まで引き上げるとともに、再生可能エネルギー関連の国内産業の発展を目指すという野心的な目標を「東南アジアエネルギーアウトルック」で発表した。例えば、マレーシアは既に世界第3位の太陽光パネル生産国であり、タイにおいても太陽光発電関連産業に対する投資が増え、太陽光パネルを輸出できるようになっている。しかし、ASEAN諸国だけの資金では、資金集約型産業である再生可能エネルギー産業の発展は難しく、資金調達がカギとなるが、現状ではいくつかのASEAN諸国においては、再生可能エネルギーに対する投資リスクを適正に評価する経験も専門知識もかけている。さらに再生可能エネルギーに関する国内法制の未整備や国内関係省庁間での調整の欠如も、再生可能エネルギー事業の実施に大きな障害となっている。
      • 原文 August 23, 2020, The ASEAN Post(長谷部正道)
    • 【6】 Forbes: わかしお事故に関する様々な疑問
      • 【6】(論説)Forbesがわかしお事故に関して様々な疑問を提起しているところその概要は以下のとおり。①モーリシャス、旗国のパナマ、日本の船主、IMOが、わかしおの船首部が沈められた場所を隠しているのはなぜか?②「持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル」のメンバーである安倍首相がなぜ日本の船社に便宜置籍を認めているのか?③旗国のパナマは声明の中で「荒天に直面した船長は必要な様々な操船を行った。」としているが、公表された衛星AISデータによれば、11ノットの一定の速度で直線的にモーリシャスに向けて航海しており、荒天に巻き込まれた他の船舶も存在しないのはなぜか?なぜパナマはいい加減な声明を出すのか?④船主の長鋪汽船はINTERCARGOの副会長のコメントを引用して「(船員の)人的要因」を可能性のある事故原因として例示しているが、事故原因を「悪い船員」に押し付ければ済むのか?⑤「悪い船員」によってこのような大事故が発生するのを防げなかったことに関し、旗国のパナマや国際的な規制をつかさどるIMOに責任はないのか?仮に人的なエラーがあっても、事故が起きないようにするfail-safesの仕組みに関する国際規制が緩すぎるのではないか?
      • 原文 August 23, 2020, Forbes(長谷部正道)
    • 【7】 英国の入国制限対象国数が拡大。仏も相互主義で英からの入国を制限。
      • 【7】英国政府は、スイスでのコロナウィルスの新規感染者数の増加を踏まえ、今週末にも新たにスイスからの入国者に対して2週間の隔離措置を義務付けるとみられている。英国政府はこれまでに、スペイン、フランス、オランダ、クロアチア、オーストリアなどからの入国者に対して同様の措置を課している。これに対してフランス政府も数日のうちに英国からの入国者に対して隔離措置を義務付ける方針を明らかにし、フランス政府高官は、英国による措置が一方的なものにならないよう同様の措置を課す必要があると発言している。

        ※8/24の英国の感染者数:853人(日本746人の1.1倍、緊急事態解除基準47人の18倍)
        ※8/24の英国の死者数:4人(日本5人の0.8倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 August 25, 2020, Evening Standard (若林健一)
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