2020/08/20LROニュース(7)

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  • 2020.08.20 UP
    2020/08/20LROニュース(7)
    • 【1】米国・イランの最近の行動によって高まる海上保安上のリスク
      • 【1】8月12日、アラブ首長国連邦沖の錨地に向かっていたリベリア籍タンカーがイラン軍に一時拿捕される事件が発生した。当初は本件の発生について、同タンカーの運航者が、イランからベネズエラへ石油の輸送を試みて本件発生の直前に米国に拿捕されたタンカー4隻のうち2隻を所有・運航するギリシャ企業であったことが関連しているとの評価がなされ、本件がオマーン湾やホルムズ海峡にある船舶のすべてに対する脅威とはならないと分析されていた。しかし、イラン軍は、ギリシャが運航し石油を輸送する他の船舶を発見するために必要な記録装置を没収する目的があったとの情報もあり、最新の分析では、米国関連の貨物を輸送するすべての船舶は高いリスクに晒され、また、米国籍やサウジ籍の船舶、米国やサウジに協力する船舶、イランの国益に反する働きをする船舶などは、ペルシャ湾、ホルムズ海峡、オマーン湾ではリスクに晒されるとしており、これらの海域では今後もイランによる報復的な行動が続くとみられ、疑い事例も含め接近や移乗を試みられる場合があれば、直ちに適切な当局に報告することが推奨されている。
      • 原文 August 17, 2020, The Maritime Executive(若林健一)
    • 【2】RIMPAC 2020が10か国の22隻の艦艇が参加して開始
      • 【2】環太平洋合同演習(RIMPAC2020)が8月17日から31日までの日程でハワイ周辺海域において実施される。演習には米、日、豪、加、仏、韓、乳、比、新、ブの10カ国から22隻の艦艇、潜水艦1隻の他多数の航空機が参加し、演習への参加人員は5,300人に及ぶ。同演習は1971年以降隔年で実施され、今回で27回目を数える。今回の訓練では、多国間による対潜水艦演習、洋上での臨検、実弾演習など幅広い分野について訓練が行われる。米太平洋艦隊の司令官は、RIMPACは参加国の相互支援や相互運用性を拡大・強化するとともに、自由で開かれたインド太平洋を確保するための共通の決意を示す機会となると語った。また、今回の訓練はコロナウィルスの感染拡大を防止すために、すべての参加者が感染予防措置に従って実施される。
      • 原文 August 18, 2020, 米インド・太平洋軍(若林健一)
    • 【3】米:石油ガス田からのメタン排出規制の撤廃が法廷闘争へ
      • 【3】トランプ政権は、8月13日、2016年のオバマ政権時代に策定された、新たな(改装されるものも含む)石油ガス田からのメタンガスの排出を規制する「新石油ガス田性能基準」を撤廃する最終規則を発表したが、既にいくつかの環境団体と一つの州政府がこの最終規則を法廷闘争に持ち込むことを表明している。法律専門家は、メタン排出の社会的なコストを算定するトランプ政権の方法が、最近カリフォルニア州北部地域の地裁判決で否定されたことを考慮すると、規制撤廃を正当化する費用便益分析の方法が法廷で争点となる可能性が高いと指摘している。トランプ政権は、規制緩和によるコスト削減を強調するために、米国内で発生する被害のみを考慮したメタンの社会的コストの試算を使用していたが、気候変動問題は世界的な問題であり、メタン排出の影響を国内に限定するのは不当であると環境団体は主張している。
      • 原文 August 18, 2020, Science(植木エミリ)
    • 【4】欧州:「緑の水素」への期待が高まるが中、収益に貢献するには時間が
      • 【4】再生可能エネルギーから製造される緑の水素(Green Hydrogen:GH)をめぐる動きは世界中で活発化しており、世界各国の政府は、水素生産の世界的なハブとなるため、ギガワット(GW)規模のGH製造事業計画を競って計画しており、現時点ではサウジアラビアで計画されている4GWの事業が最大規模となる。EUは2030年までに、EU域内での40GWの電解槽の建設と、太陽光資源の豊富な北アフリカなどの近隣諸国に40GWの電解槽を建設し、南欧諸国にGHを輸入する2本立ての計画を立てており、GHの長期的な普及への強い意欲を示している。これに応じて、欧州の大部分の電力事業者・石油メジャー・天然ガスインフラ事業者等がGHの可能性を真剣に検討しているが、多くの経営者は、GH製造事業により経済的利益を出すには、希望的に見ても10年はかかると分析しており、水素に対する需要が実際にどこから来るか見極めることが先決との見方もある。
      • 原文 August 18, 2020, Green Tech Media(植木エミリ)
    • 【5】南シナ海:米空母が立ち去った後に、中国海軍が実弾演習
      • 【5】中国軍は、南シナ海において米海軍の空母ロナルド・レーガン率いる空母打撃群が防空演習を実施した翌日に、同じ海域において実弾演習を実施した。ロナルド・レーガン率いる空母打撃群は、8月14日に南シナ海に移動して演習を実施したのち、翌15日には再びフィリピン海に移動したとみられており、中国側が8月16日に公開した映像では、香港を基地とするコルベット艦が甲板上の機銃や魚雷による実弾演習を実施している状況が確認できる。中国軍は今回の演習について、主砲の射撃、軽火品、ヘリコプターの着艦など10以上の項目に焦点を当てて実施したと翌17日に発表した。米国は中国による南シナ海における権益主張に異を唱えており、空母ロナルド・レーガンは7月には2度にわたり南シナ海に入域し、空母ニミッツ率いる空母打撃群と8年振りとなる空母2隻による共同作戦を実施している。
      • 原文 August 18, 2020, Stars & Stripes(若林健一)
    • 【6】わかしおの船長と一等航海士が逮捕される
      • 【6】「わかしお」のインド人船長とスリランカ人一等航海士は8月19日、モーリシャス海事法に基づき、船舶の安全航行を脅かしたとして逮捕された。取り調べは8月20日から実施され、8月25日には法廷で尋問が行われる予定であり、捜査当局は事故の原因を突き止めるため、全ての船員を対象に取り調べを行うとしている。現在、モーリシャス政府の要請を受け、日・仏・国連から派遣された専門家チームが清掃作業を支援しているが、国連開発計画は20万ドル(約2120万円)の緊急支援を直ちに行うことを発表した。
      • 原文 August 19, 2020, Marine Insight(植木エミリ)
    • 【7】 英国政府:正確な感染状況を把握するためサンプル検査の規模を拡大
      • 【7】日々公表している感染者数の多くは、症状がある感染者が検査を受けることにより把握しており、無症状の感染者もいることから実際の感染者数はさらに多いと考えられる。英国政府は、コロナウィルスの感染状況をより正確に把握するために、英国統計局がこれまで2万8千を対象に実施してきたサンプル検査について、10月までに対象人数を15万人に拡大する方針を明らかにした。また、現在の検査では検体を研究機関に送付する必要があることから結果が判明するまでに約1日を要すため、その場で結果が判明する新たな検査方法を開発していることも明らかにした。

        ※8/18の英国の感染者数:1,089人(日本642人の1.7倍、緊急事態解除基準47人の23倍)
        ※8/18の英国の死者数:12人(日本16人の0.8倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。"
      • 原文 August 19, 2020, BBC(若林健一)
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