2020/08/17LROニュース(8)

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  • 2020.08.17 UP
    2020/08/17LROニュース(8)
    • 【1】 米軍:ペルシャ湾でリベリア籍船を強襲したイラン軍を非難
      • 【1】米中央軍は8月13日、イラン軍がペルシャ湾の公海上においてヘリコプターや艦艇を使用してリベリア籍タンカーを強襲する映像を公開し、これを非難した。米当局者が匿名を条件に語ったところによると、本件はホルムズ海峡付近で発生し、同船は最終的にイラン軍によって解放されたが、米軍は状況監視を行ったこと以外は本件に関与していない。同タンカーは現在アラブ首長国連邦のホール・ファカン付近に錨泊している。昨年7月には、英国が対シリア制裁違反を理由にイラン籍タンカーを拿捕したことへの報復として、イラン軍が英国籍タンカーをペルシャ湾で拿捕する事件が発生している。
      • 原文 August 13, 2020, Reuters(若林健一)
    • 【2】 Global Plastics Alliance (GPA)が第5次進捗報告書を発表
      • 【2】GPAが表記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①2011年3月、世界の47のプラスチック協会が「海洋ごみ削減方法に関するGPA宣言」に署名し、プラスチック業界として、海岸および海洋におけるプラスチックごみの削減を進める公約を行った。②具体的には、海洋プラスチックごみの持続可能な削減のため、教育・研究・公共政策・ベストプラクティスの共有・プラスチックのリサイクル/回収・プラスチックペレットの拡散防止という6分野に重点をおいて対策を進め、取り組みの進捗状況を定期的に公表することに合意した。③今回の第5次進捗状況報告書によると、2020年初頭時点で、395件の事業が計画中・進行中・または既に終了しており、2011年の開始当初に比べて事業数は4倍に増えた。④事業の内容は、海岸清掃からプラスチックごみ管理施設の能力拡大、世界的な研究事業から一般周知/教育事業まで多岐に渡る。⑤こうした事業は、上記宣言に署名した43か国の80のプラスチック協会と、宣言には参加していない13の協会によって実施されている。
      • 原文 August 11, 2020, Global Plastic Alliance(植木エミリ)
    • 【3】 気温上昇を2℃以内に抑制することによる健康面・経済上のメリット
      • 【3】米下院監視・政府改革委員会で8月5日開催された、標記議題を主題とした公聴会での学識経験者達による主な証言内容は以下のとおり。①パリ協定の目標に従い、今後50年間における気温の上昇を2℃以下に抑制できれば、米国で大気汚染によって引き起こされる脳卒中・心臓病・肺疾患等による死亡者数を450万人、入院患者数を350万人減少させることが可能。②死亡者数・入院患者数の削減により、医療コストは370億ドル(約4兆円)削減可能で、労働生産性を700億ドル(約7.5兆円)分向上することも期待でき、再生可能エネルギーへの転換に必要なコストを大きく上回る経済的メリットがある。③今後もGHGの排出が継続し、気温が上昇すると、全世界平均で人口10万人につき死亡者数が85人増加するが、こうした死亡リスクの増加は、現状の癌による死亡率と同レベルである。④気候変動が引き起こす熱波は米国全土に影響を及ぼすが、特に高齢者・低所得者・黒人等の人種的マイノリティ・子どもといった脆弱な人々は、気候変動による健康被害の矢面に立たされることになる。
      • 原文 August 5, 2020, 米下院(植木エミリ)
    • 【4】 IMO GIA: Just in Time Arrival Guideを発表
      • 【4】2019年に終了したGEF/UNDP/IMOによる世界海事エネルギー効率化パートナーシップ事業(GloMEEP事業)の後継で、IMOとノルウェー政府によって運営されるGreen Voyage 2050事業の一環として結成された「低炭素海運を支援するGlobal Industry Alliance(GIA)」は、港湾寄港プロセスに関係する50余りの企業や団体と議論を重ね、船主・船舶運航会社・用船者・船舶代理店・港湾管理者・ターミナル管理者・運航支援業務提供者などの関係者がJust in Time Arrival (JITA)を実現するための実践的なガイダンスを作成・公表した。JITAは、港湾の運用効率を向上し、寄港を最適化する手段として広く認識されているが、ちょうど良い時間に到着できるよう船の運航速度を最適化することにより、船舶から排出されるGHGを削減し、環境への影響を大幅に削減することができる。より具体的には、岸壁および岸壁までの航路(fairway)が空き、水先人/タグボートなどの着岸支援サービスの準備が整ったタイミングで、船舶が水先人乗船場所(PBP)に到着できるよう船舶の最適加速度を維持管理することで、船舶が錨泊地で待機する時間を最小化し、港湾の混雑も緩和することができる。ガイダンス本文は以下のリンクを参照。
      • 原文 August 11, 2020, IMO(植木エミリ)
    • 【5】 モーリシャス油濁:海洋生態系と観光・漁業に長期にわたる損害を与える恐れ
      • 【5】油濁事故による損害の全体像はまだ明らかではないが、衛星写真によれば、ばら積み船から流出した約千トンの燃料油は、座礁地点のBlue Bay Marine Parkから北の方向に約15kmの海岸線に既に漂着しており、油の除去作業にあたっている地元住民は多くの死んだ魚類や油まみれの海鳥を発見している。現地入りしている海洋学と環境問題の専門家は、座礁地点はモーリシャスの中でも環境的に最も希少で影響を受けやすい海域で、海洋生態系の回復には何十年という時間がかかるか、回復不能な損害も予想されるとしている。危機に瀕している野生動植物の例としては、浅瀬部分の海藻群、サンゴ礁周辺を泳ぐクマノミ、海岸線のマングローブ、絶滅危惧種のモモイロバト、近くの島に生息するゾウウミガメなど、Blue Bay Marine Parkだけでも、38種類のサンゴ礁と78種類の魚類が生息しており、海洋生態系に深刻で有毒な影響を与えることが予測される。
      • 原文 August 13, Reuters(長谷部正道)
    • 【6】 太平洋航路のコンテナ運賃高騰に対し中国交通運輸部が調査を開始
      • 【6】北部中国から米国西岸への太平洋東航航路は、パンデミック中の運休もなくなり、コンテナ輸送力の増加が図られているにもかかわらず、運賃水準は対前年比120%も上昇して、過去最高レベルに達している。これに対し、多くの荷主がパンデミックの影響で世界経済が脆弱な状況になっている中で、海運会社が高収益をあげる正当性がないとして抗議の声を上げたので、中国交通運輸部は、COSCO/Maersk/MSC/CMA CGM/ Hapag Lloyd/Evergreenの主要6船社に、運賃高騰の説明を求める書簡を送付した。「今回の質問状の送付はあくまで調査を目的とするものだが、船社に対して、調子に乗って一線を超えないようにという明確な警告を送ったものである。」と大連海事大学の教授は分析している。中国当局だけでなく、米国当局も違法な共謀などの可能性を念頭に、海運市況を注視している模様。
      • 原文 August 14, 2020, Splash 247(長谷部正道)
    • 【7】 IMO: 9月16日から18日にMSC/MEPC等の臨時会合を開催
      • 【7】IMOは9月16日から18日にかけて、MSC/LEG/MEPC/TC/FALの臨時会合をvirtualで開催すると8月12日発表した。出席者登録の締め切りは9月15日まで。(Circular Letter No 4315)
      • 原文
    • 【8】 フランスなどからの入国者が新たに自主隔離の対象に
      • 【8】英国政府は、8月15日からフランス、オランダ、モナコ、マルタなどからの入国者に対して2週間の自主隔離を義務付ける措置をとることを発表した。これらの国等はこれまで同措置の対象外とされてきたが、コロナウィルスの新規感染者数が増加していることを踏まえ、新たに対象に加えられることとなった。バカンスを楽しむために既に約16万人の旅行者がフランスを訪れており、今回の急な発表を受けて旅行を中断し帰国を急ぐ旅行者で交通機関は大混雑し、混乱が生じている。今回の政府の決定に対して旅行者や旅行業界などからは落胆の声も聞かれるが、政府は国内での感染拡大を防ぐためには必要な措置であり、他の国についても必要があれば同様の措置を躊躇なくとるとしている。

        ※8/12の英国の感染者数:1,009人(日本701人の1.4倍、緊急事態解除基準47人の21倍)
        ※8/13の英国の死者数:18人(日本4人の4.5倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 August 14, 2020, BBC(若林健一)
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