2020/08/07LROニュース(7)

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  • 2020.08.07 UP
    2020/08/07LROニュース(7)
    • 【1】 南シナ海:台湾が実効支配する東沙諸島の防衛を強化
      • 【1】共同通信は今年5月、中国軍が8月に台湾が実効支配する島々の奪取を想定した訓練を含む大規模な軍事演習を海南島で実施することを計画していると伝えており、台湾は南シナ海で実効支配する東沙諸島に200人規模の増援部隊を派遣して防衛の強化を図っている。台湾は東沙諸島をサンゴ礁などの保護を目的に国定公園に指定しているが定住者はおらず、今回増援された部隊と同規模の守備隊が常駐しているのみである。今回の派遣は短期的なものとしているが、台湾国防部は共同通信の報道に対するコメントは控えつつも、東沙諸島や太平島を含む台湾が実効支配する島々を確実に防衛できるよう体制の強化を図っていくと述べている。また、台湾の外交・防衛委員会に属する与党議員は、今回の増援部隊は米軍から特別な訓練を受けており、敵の上陸作戦を阻止できる十分な能力を有していると語っている。
      • 原文 August 5, 2020, South China Morning Post(若林健一)
    • 【2】 GWEC報告書:洋上風力発電量が2030年までに全世界で234GWに拡大
      • 【2】世界風力会議(GWEC)が、標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①2019年中に、これまでの年間増設量としては最大の6.1GWの新たな洋上風力発電所が稼働した。パンデミックにかかわらず、2020年においても引き続き、新たに6.6GW分の洋上風力発電施設が稼働する見込み。②国際的な脱炭素化の動きと設置コストの低減によって、2030年までに全世界でさらに205GW分の洋上風力発電施設が新設される見込み。③浮体式洋上風力発電施設は、2030年までに商業化が可能となり、世界全体で6GW以上の施設が新設される見込み。④タービンの技術も、効率性や耐久性の面で向上する結果、均等化発電原価(LCOE)が逓減することにより、採用される可能性が高まる。⑤他のエネルギー部門と比較して、洋上風力発電はパンデミックの悪影響をあまり受けず、今後とも成長が続き今後10年間に90万人の新規雇用を創出し、世界的なGreen Recoveryにおいて重要な役割を果たす。
      • 原文 August 5, 2020, GWEC(長谷部正道)
    • 【3】 操業を停止した海洋石油ガス井戸から漏出するメタンガスの影響
      • 【3】GEOMARヘルムホルツ海洋研究センター/キールの研究者達が学術誌に発表した標記研究論文の概要は以下のとおり。①これまで、廃坑となった海底油井から漏出するメタンガスについてはあまり研究報告されてこなかったが、油井から漏出するメタンガスは、化石燃料から排出されるGHGを削減する様々な努力を打ち消す可能性がある。②本研究において、北海中心部で既存の地域的な地震波による測量情報と新たに水中音響装置で観測されたwater columnのイメージ情報を基に調査したところ、操業を停止した43の油井のうち28の油井の海底からwater columnにメタンガスが漏出していることが判明した。③実際に海底の油井から漏れているメタンガスの量を計測した情報と、本研究の漏出に関する分析を併せて検討すると、北海におけるメタンの主要な発生源が操業を停止した油井からの漏出であることが分かった。④油井から漏出しているメタンガスの総量は、地球全体のGHG排出量に大きな影響を与える量ではないものの、地域的なメタン排出量の上限(regional methane budgets)を集計する際には考慮するべき要因である。
      • 原文 July 30, 2020, Science Direct(植木エミリ)
    • 【4】 米海軍:加主催のグリーンランド西方沖の多国籍演習に参加
      • 【4】米海軍のミサイル駆逐艦トーマス・ハドナーは、カナダが主催する多国籍演習「Nanook作戦」に参加するためにグリーンランド西方沖のデイビス海峡を航行している。同演習は3週間をかけて行われる予定で、米海軍第2艦隊によると、演習では同艦に搭載している複合型ゴムボート(RHIBs)を使用して、北極海という厳しい環境下におけるRHIBsの運用に必要な技術の習得や新たな装備の完熟に努めるとしている。米第2艦隊司令官は、地球温暖化の影響で北極海での船舶の航行がより容易になる中で、覇権拡大を狙うロシアや中国に対抗してくためには、北極海での作戦を成功させるために必要となる特別な訓練を繰り返し実施し、装備の完熟や技術の習得に励む必要があると語っている。
      • 原文 August 5, 2020, Navy Times(若林健一)
    • 【5】 CLIA:米国発着クルーズ船の運航自粛期間を10月末まで延長
      • 【5】クルーズライン国際協会(CLIA)は、米国発着クルーズ船の運航を9月15日まで自粛することを既に決定していたが、米国疾病予防センター(CDC)が米国発着のクルーズ船の運航禁止期間を9月30日まで延期したことを受けて、CLIAとしての運航自粛期間を10月31日まで延期すると発表した。CLIAの実施したクルーズ産業が米国の経済に与える影響に関する調査によれば、同産業関連で総計約42万人の雇用を創出し、米国経済に530億ドル(約5.6兆円)の貢献をしており、米国関連のクルーズ業界全体で、一日運航を休止することにより、1.1億ドル(約116億円)の経済損出と、800人の雇用が失われることになる。
      • 原文 August 5, 2020, Marine Log(長谷部正道)
    • 【6】 民間武装警備員の質と適正コスト
      • 【6】7月31日に、インド洋を紅海に向けて航行中の大型貨物船において1人の武装警備員が同船を3日間にわたり乗っ取るといった事案が発生した。幸いにも乗組員に死傷者は出なかったがこれはりっぱな犯罪行為である。民間武装警備員を乗船させるということは、非常時において自船を守るために最終手段として武力行使を伴う可能性があるからであり、その場合には船舶の運航者や管理者は重大な決断を迫られる。民間武装警備員のコストは決して安価であれば良いというものではなく、自船に対する脅威の把握やその適正な分析を確実に実施するためには、契約する民間武装警会社が十分な能力を有しているのか、また、それに見合うだけの適正なコストを提示しているのかといった点を考慮する必要がある。
      • 原文 August 6, 2020, Splash 247(若林健一)
    • 【7】イングランドの新規感染者数が1週間で17%増加
      • 【7】7月23日から29日の1週間で英国の国民保健サービス(NHS)が運用するコロナウィルス感染者の検査・追跡システムにより確認されたイングランドにおける新規感染者数が、前の週から17%(713人)増加して4966人となった。イングランドでは3週連続で新規感染者数が前の週を上回っており、特にイングランド北部での増加が目立っている。既にグレーター・マンチェスターなど複数の北部の都市で地域的なロックダウンが導入され、その範囲は今後さらに拡大すると予想されている。
        ※8/5の英国の感染者数:892人(日本1,240人の0.7倍、緊急事態解除基準47人の19倍)
        ※8/5の英国の死者数:65人(日本6人の11倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 August 6, 2020, Evening Standard(若林健一)
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