2020/07/31LROニュース(7)
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2020.07.31 UP
2020/07/31LROニュース(7)
- 【1】 香港船主協会:船員交代に関する規制強化に対し政府の再考を求める
- 【1】香港船主協会会長と香港定期船協会会長が連名で表記書簡を香港の有力紙(South China Morning Post)に寄稿したところその概要は以下のとおり。①最近、香港において、当局の船員交代に関する規制に反する船員の不正行為が発覚したのは大変遺憾で、両協会は国際・国内の船員組合に対して、公共衛生を守るために港湾当局や船社が定めた全ての規則・感染予防措置等を遵守するよう組合員に徹底するよう求めた。香港政府はこのような違法行為に対し罰則を設けることも検討すべきである。②一方で、IMOとILOは各国政府に対して船員の交代を促進することを求めているが、現在でも、約30万人の船員が交代できずに船上に取り残されている。③両協会は、全ての必要な感染予防措置を取ったうえで、香港政府が国際的な義務を実行することを求める。④香港におけるコロナ感染が再度拡大しつつある状況を踏まえ、両協会は政府による規制再強化の前に自主的に会員船社に対して、交代要員が香港に向けて出身国を出発する前に、PCR検査を受けさせて陰性であることを確認することなど、当時の政府による規制以上の安全確保措置をとるように要請し、さらに、6月20日には、会員船社に対して予定されている船員交代を少なくとも3週間延期するように要請したところである。
- 【1】香港船主協会会長と香港定期船協会会長が連名で表記書簡を香港の有力紙(South China Morning Post)に寄稿したところその概要は以下のとおり。①最近、香港において、当局の船員交代に関する規制に反する船員の不正行為が発覚したのは大変遺憾で、両協会は国際・国内の船員組合に対して、公共衛生を守るために港湾当局や船社が定めた全ての規則・感染予防措置等を遵守するよう組合員に徹底するよう求めた。香港政府はこのような違法行為に対し罰則を設けることも検討すべきである。②一方で、IMOとILOは各国政府に対して船員の交代を促進することを求めているが、現在でも、約30万人の船員が交代できずに船上に取り残されている。③両協会は、全ての必要な感染予防措置を取ったうえで、香港政府が国際的な義務を実行することを求める。④香港におけるコロナ感染が再度拡大しつつある状況を踏まえ、両協会は政府による規制再強化の前に自主的に会員船社に対して、交代要員が香港に向けて出身国を出発する前に、PCR検査を受けさせて陰性であることを確認することなど、当時の政府による規制以上の安全確保措置をとるように要請し、さらに、6月20日には、会員船社に対して予定されている船員交代を少なくとも3週間延期するように要請したところである。
- 【2】 港湾・海事分野の共通情報標準とAPIの規格を開発するための連携
- 【2】港湾・海事分野の情報交換を促進するために、共通の情報標準とApplication Programming Interface (API)の規格を開発・採択するために、7月28日、シンガポール海事港湾庁・ロッテルダム港湾庁・COSCO/CMA CGM/Hapag-Lloydなどが中心となった海運コンソーシアムのGlobal Shipping Business Network(GSBN)のシステムプロバイダーのCargoSmart社・IBMとマースクが共同開発したブロックチェーンを活用した物流プラットフォームのTradeLensを代表してGTD Solutions社・世界サプライチェーンプラットフォームのCALISTAを代表してGeTS社とPSA Internationalの5当事者が覚書を締結した。各国の港湾管理当局はIMOの国際海上交通簡易化(FAL)条約の履行のために、海事シングルウィンドウに関するシステムを開発中であり、今回の共通規格作成の動きは時宜を得たものである。
- 【2】港湾・海事分野の情報交換を促進するために、共通の情報標準とApplication Programming Interface (API)の規格を開発・採択するために、7月28日、シンガポール海事港湾庁・ロッテルダム港湾庁・COSCO/CMA CGM/Hapag-Lloydなどが中心となった海運コンソーシアムのGlobal Shipping Business Network(GSBN)のシステムプロバイダーのCargoSmart社・IBMとマースクが共同開発したブロックチェーンを活用した物流プラットフォームのTradeLensを代表してGTD Solutions社・世界サプライチェーンプラットフォームのCALISTAを代表してGeTS社とPSA Internationalの5当事者が覚書を締結した。各国の港湾管理当局はIMOの国際海上交通簡易化(FAL)条約の履行のために、海事シングルウィンドウに関するシステムを開発中であり、今回の共通規格作成の動きは時宜を得たものである。
- 【3】 イラン革命防衛隊がペルシャ湾で年次軍事演習を実施
- 【3】米国との緊張関係が続くなか、イラン革命防衛隊は7月28日にペルシャ湾において年次軍事演習を開始した。米国や西側諸国がペルシャ湾に艦船を展開させていることに反対しているイランは、毎年ペルシャ湾において軍事演習を実施しており、今回の演習では海軍や空軍がミサイル、無人航空機及びレーダーで構成するユニットを使用した訓練を実施するとしている。訓練開始を受け、米中央軍はカタール及びアラブ首長国連邦にある2カ所の空軍基地において直ちに警戒態勢を敷いたことを明らかにし、バーレーンに基地を置く米第5艦隊の報道官は、米国はこの種の無責任で無謀なイランによる振る舞いを常に監視しており、今回の演習によって米国やその同盟国による活動が阻害されることはなく、また、ホルムズ海峡やその周辺海域における商業船の自由な航行に対して何ら影響は与えないと述べている。7月27日には、イランが演習で標的として使用する米空母を模した大型模型をホルムズ海峡に移動させたことが衛星画像により確認されていた。
- 【3】米国との緊張関係が続くなか、イラン革命防衛隊は7月28日にペルシャ湾において年次軍事演習を開始した。米国や西側諸国がペルシャ湾に艦船を展開させていることに反対しているイランは、毎年ペルシャ湾において軍事演習を実施しており、今回の演習では海軍や空軍がミサイル、無人航空機及びレーダーで構成するユニットを使用した訓練を実施するとしている。訓練開始を受け、米中央軍はカタール及びアラブ首長国連邦にある2カ所の空軍基地において直ちに警戒態勢を敷いたことを明らかにし、バーレーンに基地を置く米第5艦隊の報道官は、米国はこの種の無責任で無謀なイランによる振る舞いを常に監視しており、今回の演習によって米国やその同盟国による活動が阻害されることはなく、また、ホルムズ海峡やその周辺海域における商業船の自由な航行に対して何ら影響は与えないと述べている。7月27日には、イランが演習で標的として使用する米空母を模した大型模型をホルムズ海峡に移動させたことが衛星画像により確認されていた。
- 【4】 ReCAAP ISC週間報告書(7月21日-27日)
- 【4】アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センター(ISC)に、7月21日から27日まで通報された事件は、重要度4(賊は武装せず、乗組員の負傷なし)の窃盗事件が1件であったが、その概要は以下のとおり。7月26日午前8時37分、マレーシアのタンジュン・ピアイから約4.4海里沖合のシンガポール海峡の航行警戒区域(Precautionary area)でタグボートに曳航されていた艀にそれぞれ3人の賊が乗り込んだ2隻のボートが接近し、このうち2人の賊が艀に移乗した。賊は20分後に艀を立ち去り、2隻のボートは南西に向けて逃走した。艀に搭載していたバッテリー数点が盗まれたものの、乗組員に被害はなかった。
- 【4】アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センター(ISC)に、7月21日から27日まで通報された事件は、重要度4(賊は武装せず、乗組員の負傷なし)の窃盗事件が1件であったが、その概要は以下のとおり。7月26日午前8時37分、マレーシアのタンジュン・ピアイから約4.4海里沖合のシンガポール海峡の航行警戒区域(Precautionary area)でタグボートに曳航されていた艀にそれぞれ3人の賊が乗り込んだ2隻のボートが接近し、このうち2人の賊が艀に移乗した。賊は20分後に艀を立ち去り、2隻のボートは南西に向けて逃走した。艀に搭載していたバッテリー数点が盗まれたものの、乗組員に被害はなかった。
- 【5】 英国最大の年金基金が気候変動対策に着目した投資を推進
- 【5】産業界に気候関連リスクを適切に管理するよう求める圧力は高まりつつあり、企業は海面上昇や異常気象といった気候変動の直接的な影響に加えて、低炭素経済への移行に伴う環境関係規制の強化や訴訟といったリスクにさらされている。900万人の加入者を持つ英国最大の年金基金Nestは7月29日、今後こうした気候変動リスクを基準に投資先を選別し、2050年までに投資先の完全な脱炭素化を図ることを発表した。具体的には、全投資資金の45%にあたる55億ポンド(約7500億円)を、エネルギー転換に積極的に取り組んでいるような「気候変動問題について意識が高い(climate awareness)」企業への投資に直ちに振り替えることにより、20万台分の自家用車から排出されるCO₂、あるいは5万戸の家庭の暖房に使用される電力を再生可能エネルギーで賄うことに相当するCO₂の削減を見込んでいる。また地球の気温上昇を産業革命以前と比較して1.5℃以下に抑制するというパリ協定の目標に合致させるため、燃料用石炭・油砂の採掘、北極圏での資源開発事業等を行う企業に対する投資は引き上げていくことを表明した。
- 【5】産業界に気候関連リスクを適切に管理するよう求める圧力は高まりつつあり、企業は海面上昇や異常気象といった気候変動の直接的な影響に加えて、低炭素経済への移行に伴う環境関係規制の強化や訴訟といったリスクにさらされている。900万人の加入者を持つ英国最大の年金基金Nestは7月29日、今後こうした気候変動リスクを基準に投資先を選別し、2050年までに投資先の完全な脱炭素化を図ることを発表した。具体的には、全投資資金の45%にあたる55億ポンド(約7500億円)を、エネルギー転換に積極的に取り組んでいるような「気候変動問題について意識が高い(climate awareness)」企業への投資に直ちに振り替えることにより、20万台分の自家用車から排出されるCO₂、あるいは5万戸の家庭の暖房に使用される電力を再生可能エネルギーで賄うことに相当するCO₂の削減を見込んでいる。また地球の気温上昇を産業革命以前と比較して1.5℃以下に抑制するというパリ協定の目標に合致させるため、燃料用石炭・油砂の採掘、北極圏での資源開発事業等を行う企業に対する投資は引き上げていくことを表明した。
- 【6】 EMSAとECDCがクルーズ船運航再開のための共同ガイダンスを公表
- 【6】欧州海事安全庁(EMSA)と欧州疾病予防管理センター(ECDC)が、EU/EEA船籍とEU/EEAの港湾に寄港する非EU/EEA船籍のクルーズ船を対象として、標記共同ガイダンスを作成・公表したところその概要は以下のとおり。①クルーズ船の安全な運航のためには、船舶管理会社・船長等の乗員・港湾/ターミナル関係者・旗国・寄港国等の関係者の連携が重要である。②ガイダンスは3部分に分かれ、㋐船舶管理会社が作成するCOVID-19に特化した個別の船舶毎のリスク評価の方法や疾病発生時の被害拡大防止策に関する船舶管理計画に記載すべき事項と同計画の第3者機関による認証に関する事項。㋑クルーズ船を受け入れる港湾/ターミナル管理者が作成する「COVID-19港湾管理計画」に記載すべき事項。㋒クルーズ船の運航を再開する前に、クルーズ船管理会社と港湾/ターミナル関係者が事前に確認・合意すべき事項について記載されている。③本ガイダンスは個別の計画の細かい内容を指示することを意図しないが、ガイダンスに添付されているECDC作成の「各管理計画を作成するにあたって、推奨・実施されるべき特記事項」とEUのHealthy Gateways Joint Actionが作成した「パンデミックに関する規制の解除とクルーズ船運航再開にあたっての暫定的助言」についてきちんと理解することが極めて重要。
- 【6】欧州海事安全庁(EMSA)と欧州疾病予防管理センター(ECDC)が、EU/EEA船籍とEU/EEAの港湾に寄港する非EU/EEA船籍のクルーズ船を対象として、標記共同ガイダンスを作成・公表したところその概要は以下のとおり。①クルーズ船の安全な運航のためには、船舶管理会社・船長等の乗員・港湾/ターミナル関係者・旗国・寄港国等の関係者の連携が重要である。②ガイダンスは3部分に分かれ、㋐船舶管理会社が作成するCOVID-19に特化した個別の船舶毎のリスク評価の方法や疾病発生時の被害拡大防止策に関する船舶管理計画に記載すべき事項と同計画の第3者機関による認証に関する事項。㋑クルーズ船を受け入れる港湾/ターミナル管理者が作成する「COVID-19港湾管理計画」に記載すべき事項。㋒クルーズ船の運航を再開する前に、クルーズ船管理会社と港湾/ターミナル関係者が事前に確認・合意すべき事項について記載されている。③本ガイダンスは個別の計画の細かい内容を指示することを意図しないが、ガイダンスに添付されているECDC作成の「各管理計画を作成するにあたって、推奨・実施されるべき特記事項」とEUのHealthy Gateways Joint Actionが作成した「パンデミックに関する規制の解除とクルーズ船運航再開にあたっての暫定的助言」についてきちんと理解することが極めて重要。
- 【7】 感染者又は感染の疑いがある人の自己隔離期間を最低10日間に拡大
- 【7】現在英国政府は、コロナウィルスへの感染が判明した場合や、咳、発熱、味覚障害など感染が疑われる症状がある場合には、最低7日間の自己隔離を求めているが、感染から9日間は他人に感染させる可能性があるとして、自己隔離を求める期間を最低10日間に拡大することを発表した。世界保健機関(WHO)も10日間の自己隔離を推奨しており、他の多くの国もこれを採用している。欧州の一部で再び感染者数が増加し、国内でも複数の都市で地域的な感染拡大が見られる中、政府は、秋以降感染者が増えることが予想され、また、感染した場合に重症化しやすい人々を保護するため、今回の期間拡大は必要な措置であるとしている。
※7/29の英国の感染者数:763人(日本981人の0.8倍、緊急事態解除基準47人の16倍)
※7/29の英国の死者数:83人(日本3人の28倍)
日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。 原文 July 30, 2020, BBC(若林健一)
- 【7】現在英国政府は、コロナウィルスへの感染が判明した場合や、咳、発熱、味覚障害など感染が疑われる症状がある場合には、最低7日間の自己隔離を求めているが、感染から9日間は他人に感染させる可能性があるとして、自己隔離を求める期間を最低10日間に拡大することを発表した。世界保健機関(WHO)も10日間の自己隔離を推奨しており、他の多くの国もこれを採用している。欧州の一部で再び感染者数が増加し、国内でも複数の都市で地域的な感染拡大が見られる中、政府は、秋以降感染者が増えることが予想され、また、感染した場合に重症化しやすい人々を保護するため、今回の期間拡大は必要な措置であるとしている。