2020/07/21LROニュース(7)

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  • 2020.07.21 UP
    2020/07/21LROニュース(7)
    • 【1】 ベナン沖の製品タンカーから海賊に襲撃され15名の船員が誘拐
      • 【1】7月17日午後0時ころ、ベナンのコトヌーから南方約244海里の海上を航行中のプロダクトタンカーに8人の武装した賊が乗り込み、ロシア人とウクライナ人の船員計15名を誘拐した。同船はトーゴのロメを出港し南に向け航行していたが、襲撃を受けたと思われる時刻には速力が3ノットまで低下し、その後午後3時15分に再び速力を10ノットまで増速している。本件は沿岸から離れた沖合で発生しているが、各国当局による取り締まりが難しい沖合での活動を可能とするために、賊は小型艇を使用するだけでなく母船の支援を受けて活動していると考えられている。本件の発生により、これまでにギニア湾で発生した船員の誘拐事件の数は18件となり、合わせて93人の船員が誘拐されたことになる。ギニア湾で今年発生している船員の誘拐事件は昨年同期と比較して20%増加しており、誘拐された人の数は47%増加している。
      • 原文 July 17, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【2】中国:食品ウィルス検査強化で塩田港(深圳)等において冷凍コンテナが滞留
      • 【2】6月に北京市の大きな食品市場がコロナウィルスのクラスターになったことを受けて、中国の防疫当局は輸入食品に対するコロナウィルス検査を強化しており、この結果、食品輸送用の冷凍・冷蔵(リーファー)コンテナが、冷凍食肉の主要輸入港である塩田港(深圳)・寧波港で滞留し、コンテナの電源不足で受け入れが限界に達しつつある。このため、コンテナ船社は塩田港に到着するコンテナ1個に対し1000ドルの混雑サーチャージを課し、予定を変えて、他の港湾に振替輸送を行う可能性と、振替輸送で発生する追加コストは荷主の負担となると荷主に対し通告している。これまでに20万回以上の検査を行ったうちで、陽性反応が出たサンプルはほんの数件だけだが、中国当局は輸入貨物の大部分に対して検査を継続している。
      • 原文 July 17, 2020, Reuters(長谷部正道)
    • 【3】 海面上昇によって米国沿海部の高潮氾濫が頻発化
      • 【3】7月14日、米国海洋大気庁(NOAA)のNational Ocean Service(NOS)が発表した報告書によると、2000年以降大西洋沿岸・メキシコ湾沿岸で高潮氾濫(悪天候時以外通常の高潮位線より50cm以上潮位が上がることによって発生する洪水)が異常な頻度で発生し、いくつかの都市においては、以前と比較して5倍の頻度で発生していることが分かった。高潮氾濫の頻発は、過去100年間で海面が約33㎝上昇したことに起因しており、建物に損害を与え、飲料水の安全を損ない、道路を浸水させるなど沿岸住民の生活に悪影響を与えている。2019年に高潮氾濫が観測された日数が最も多かったテキサス州のイーグルポイントではほぼ5日に1回の頻度にあたる64日間、同州のコーパス・クリスティ/ガルベストンやメリーランド州のアナポリスでも18日間と、全米19か所で高潮氾濫が間作された日数は過去最多となった。2000年にコーパス・クリスティで発生した高潮氾濫はわずか3日間だったことと比較しても、この20年間で高潮氾濫が急増したことが分かる。NOAAによると、こうした傾向は今後更に加速し、2030年までに高潮氾濫の発生頻度は2-3倍、2050年までには5-15倍にも及び、同国沿岸部では年間25-75日間高潮氾濫の被害が発生すると予測している。
      • 原文 July 14, 2020, The New York Times(植木エミリ)
    • 【4】 SDG 7(Affordable and Clean Energy): エネルギー進捗状況年間報告書
      • 【4】国際エネルギー機関(IEA)・国際再生エネルギー機関(IRENA)・国連統計局(UNSD)が、持続可能な開発目標(SDGs)の一つである「安価で環境に優しいエネルギー(Affordable and Clean Energy)」の進捗状況に関する報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①クリーンなエネルギーを利用できる環境は世界中で整備されつつあるが、地域格差は依然として存在している。②電力の普及:2010年以降10億人以上が新たに電気を利用できるようになり、電力を利用できる人口比率が83%から90%まで上昇した。③クリーンな調理燃料の普及:2010年以来新たに2億人がクリーンな調理エネルギーを利用できるようになったが、世界中で27億人がまだ利用できる状況にない。④再生可能エネルギーの普及:太陽光と風力発電の普及により、最終消費エネルギーに再生可能エネルギーが占める割合は2010年から2017年にかけて16.3%から17.2%に増加したが、交通分野・暖房分野では転換が遅れている。⑤エネルギー効率の向上:2010年から2017年にかけての平均のエネルギー効率の年間向上率は2.2%にとどまり、2030年までに向上率を倍増するという目標を達成するには、2017年から2030年までの平均向上率を年間3%まで押し上げる必要がある。
      • 原文 July 16, 2020, IISD(植木エミリ)
    • 【5】インドにおいて外国人船員の下船が可能に
      • 【5】7月17日、インド政府内務省(MHA)は、クルーズ船を除く船舶に乗務している外国人船員がインドの港湾において下船し、チャーター便を利用して帰国することを認めると発表した。さらに、下船するための入国査証が失効してしまった外国人船員に対しても有効な旅券と船員資格証明書(CDC)を持っていれば、暫定上陸許可証(TLP)の発行も認めると併せて発表した。具体的な下船から帰国までの手順については、海運局が作成した標準運用手順(SOP)に従って実施される。国際機関・海運労使からの船員交代実施の強い要望を受けて、海運省がMHAに働きかけて今回の決定が実現した。海運省は、今回の決定により外国人船員の下船が可能となるばかりでなく、インド人船員の職域拡大にも資するとしている。MSCのコンテナ船は今回の決定の適用第1号として、外国人船員を下船させ、新たにインド人船員を交代要員として乗船させたが、既に73名の外国人船員が下船し、帰国の途についている。インド人船員については、4月21日から既に同国の港湾における交代が認められており、その結果、18581人のインド人船員が下船し、7994人が交代要員として乗船した。
      • 原文 July 18, 2020, The Hindu Business Line(長谷部正道)
    • 【6】韓国大統領:2030年までに洋上風力発電量を12GWまで拡大
      • 【6】韓国の文大統領は7月14日、デジタル・環境分野に重点を置いた160兆ウォン(約14兆円)を投じる韓国版ニューディール構想を発表したが、7月17日、同国南西部の全羅北道・扶安の洋上風力発電用タービン研究センターと稼働中の発電量60GWの南西洋上試験風力発電施設を視察し、2030年までに同国の洋上風力発電能力を現在の124MWから12GWまで拡大し、韓国を世界で5本の指に入る洋上風力発電国にすることを表明した。大統領の訪問にあたって、地方政府・関係企業・地域住民は全羅北道沖に2.4GWの洋上風力発電施設の建設を行う覚書を締結しており、建設事業費には民間資金から14兆ウォン(約1.2兆円)が充てられる予定である。
      • 原文 July 20, 2020, Offshore Wind Biz(植木エミリ)
    • 【7】感染の第2波が発生すれば医療サービスは完全に崩壊
      • 【7】ジョンソン首相は今月17日にロックダウン緩和の追加策を発表し、19日には再び全国的なロックダウンを実施する必要性は生じないとの考えを示した。しかし、医師や科学者は、感染の第2波が発生すれば最悪の場合1万2千人が死亡するとの予測も立てており、感染の第1波の影響でガンなど深刻な病気の治療を待つ患者が多い中、第2波が季節性のインフルエンザと同時期に発生すれば医療サービスは完全に崩壊すると警鐘を鳴らしている。また、追加の緩和策には通勤の再開を促す内容も含まれるが、今月24日から導入するマスク着用の義務化はオフィス内を対象としておらず、こうした政策が国民に「ウィルスは過ぎ去った」と誤ったメッセージを与えかねないと批判する声も出ている。さらに、新規感染者が増加している地域があることや、政府の検査・追跡システムが感染者に接触した人の5割にしか連絡がついてない点なども指摘している。

        ※7/19の英国の感染者数:726人(日本664人の1.1倍、緊急事態解除基準47人の15倍)
        ※7/19の英国の死者数:27人(日本0人)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 July 20, 2020, The Guardian(若林健一)
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