2020/07/13LROニュース(8)

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  • 2020.07.13 UP
    2020/07/13LROニュース(8)
    • 【1】 DNV GL: 港湾を脱炭素化のハブにするための10の転換戦略
      • 【1】上記報告書の10の転換戦略の概要は以下のとおり。①港湾荷役クレーン・車両、水先船・タグボートなどの港湾関連設備の電化と陸上給電設備(SSP)の整備。②LNG/LPG/アンモニアなどの代替燃料供給施設とバッテリー充電設備の整備。③港湾地区に立地する石油精製所・製鉄所・化学工場の電化に必要な再生可能エネルギーの配電・蓄電施設、電力ボイラー・ヒートポンプの整備。④洋上風力発電施設で発電された電力を陸上の送電網に連結する機能。洋上風力発電施設の建設・保守管理の基地としての機能。⑤再生可能エネルギーの台頭に伴うエネルギーシステムの統合に対応するインフラの整備。⑥電化による脱酸素化が困難な製鉄業・航空・外航海運のためのアンモニア・メタノールなど炭素中立燃料生産の原料としての再生可能水素を風力発電を利用して生産する施設の整備。⑦港湾地域にある石炭火力発電所の天然ガス・水素・バイオマス発電所への改造或いは廃止後の跡地の再開発。⑧炭素回収・貯留(CCS)によりCO₂を排出する火力発電所等から回収したCO₂を沖合の海底の生産が終了した石油・ガス田に輸送・貯留する中継点としての港湾の役割。⑨気候変動対策としての炭素国境課税や燃料税など新たな規制への対応。⑩循環型経済やバイオ経済への対応。
      • 原文 July, 2020, DNV GL(長谷部正道)
    • 【2】 6月の北極圏の山火事により記録的なGHGが排出される
      • 【2】7月7日、European Center for Medium - Range Weather Forecasts(ECMWF)の発表によると、北極圏に6月で発生した強烈な山火事によって、ノルウェーから年間に排出される量を上回る5900万トンのGHGが大気中に放出され、月間ベースで観測開始以来最大の放出量を記録した。6月の世界の平均気温は、過去最高であった2019年の記録に肉薄し、欧州の6月の平均気温も1981年から2010年までの平均気温より1.3℃高かった。シベリアのベルホヤンスクでは、6月20日北極圏としては史上最高となる38℃の気温を記録し、土壌は乾燥し雪に覆われている面積もこれまでで最少となった。米国海洋大気庁(NOAA)の研究では、北極圏の持続的な高温が世界的な異常気象に影響を与えている可能性が報告されている。ECMWFの研究者は、北極圏で夏季に山火事は毎年発生しているが、2019年と2020年の山火事は異常な規模で、憂慮すべき事態であると指摘している。
      • 原文 July 7, 2020, NY Times(植木エミリ)
    • 【3】 IRENA/OLADE: 再生可能エネルギーをコロナ復興の柱にすることで合意
      • 【3】国際再生可能エネルギー機関(IRENA)とラテンアメリカエネルギー機関(OLADE)は、ラ米諸国・カリブ海地域のコロナ経済復興の柱として再生可能エネルギーによるエネルギー転換に協力して取り組むことに同意した。ラ米地域で持続可能エネルギーの開発を促進することは、同地域における貧富の格差の是正、エネルギーへのアクセス機会の増大、エネルギー安全保障問題の確保といった長年の課題に対処する長期的な戦略となる可能性がある。さらに、再生可能エネルギーの活用により、工業、農業、製造業、運輸業における環境技術の利用拡大を促し、2030年までに2020年比でCO₂排出量を21%削減し、パリ協定の目標達成に貢献する。IRENAの見通しによると、ラ米・カリブ海地域でエネルギー転換を進めることで、2050年までに地域全体で300万人以上の雇用を創出することができる。2050年までにラ米・カリブ海地域で必要な年間投資額は450億ドル(約4.8兆円)と推定されており、IRENAとOLADEは協力して再生可能エネルギーへの投資や資金調達を行い、ラ米・カリブ海地域におけるエネルギー統合を進めていく。
      • 原文 July 8, 2020, IRENA(植木エミリ)
    • 【4】 南シナ海:米国が空母を派遣して中国に警告
      • 【4】中国は米国や南シナ海の周辺国がコロナウィルスとの戦いに注力する中、南シナ海において監視システムの設置を進め、ベトナムやマレーシアなどの周辺国を威嚇し、さらには新たな行政区を設定するなどして着実にその実効支配を強めている。米海軍は先週末、ロナルド・レーガン及びニミッツの空母2隻を南シナ海に派遣して、単に同海域を航行させて航行の自由の権利を主張するだけでなく、戦闘機、偵察機、ヘリコプター等も使用して大規模な訓練を実施した。空母セオドア・ルーズベルトがコロナウィルスの影響によりグアム島に留め置かれ、米海軍の作戦行動能力が失われたとも思われたが、米国は今回の訓練により南シナ海に関してその変わらぬ決意と、中国が現状を変えるまでに至っていないことを示した。また、原子力空母2隻で訓練を実施することで、防御体制を確保しつつ24時間の飛行作戦が実施可能であることを示すなど、中国が保有する従来型の空母に比べ米空母の作戦能力が決して劣ることがないことを示し、中国に対して警告を発した。
      • 原文 July 9, 2020, Foreign Policy(若林健一)
    • 【5】 12か国が船員交代の促進に関し共同声明
      • 【5】英・仏・独・希・蘭・比・星・米・デンマーク・インドネシア・ノルウェー・サウジ・UAEの12か国政府は、「船員交代に関する国際海事サミット(virtual)」の開催にあたり、7月9日、共同声明を提出したところその概要は以下のとおり。①船員の乗下船の円滑化を図るため全てのIMO加盟国は船員を「基幹労働者」と位置付けること。②船員の所持するSTCW条約証書やILOの船員身分証明書を、船員が船員交代のために移動する際の「基幹労働者」としての地位を証明する文書としてみなせないか法律上の検討を行うこと。③IMOの「コロナパンデミック期間中の安全な船員交代と移動を保証するための手順に関する推奨される枠組(Circular Letter No 4204/ Add. 14)」の履行に関し、国内・国際・2国間協議を実施すること。④国際的な規則や健康管理に関するガイドラインに基づき実施されている検疫等の制限措置に関し、船員交代の対象となる船員を適用除外にすることも含め、国内の保健・入国管理等の関係機関と協議し、現在船員に適用されている規制の再検討を実施すること。⑤通常船員の入国にあたって求められる査証や必要書類の提出等の用件の、暫定的な免除や緩和の可能性について、入国管理当局を含む関連官庁と協議を実施すること。
      • 原文 July 9, 2020, 英国政府(長谷部正道)
    • 【6】 AMSA: COVID-19期間中の船員のメンタルヘルスに関するガイドライン
      • 【6】豪海上安全庁(AMSA)が標記ガイドラインを発表したところ概要は以下のとおり。①メンタルヘルスの問題に発展しかねないストレスの軽減を図るために、船員が必要な情報や方法を得られるよう、海運会社と船長は責任を持って対処する必要がある。②船長や上級船舶職員は、ストレスの心理的な影響やメンタルヘルスに関するに関する知識を持ち、船員のストレスを防止し最小化するプログラムを立案し、心理的な問題を持つ船員を早期に発見し、必要に応じ、メンタルヘルス対処マニュアルに従い支援を行う。③具体的には、船員が引きこもり孤立していないか、絶望していないか、必要以上に能弁でイライラしていないかなどの点に注意を払い、早期に船員の態度の異変を発見する。④心理上の問題を抱えている船員に対しては、マニュアルに従って、船員の話を聞き、必要な支援を与え、同僚と通常の仕事を一緒にできるよう支援する。⑤船長や上級船舶職員は、定期的に船員と非公式に話す機会を持ち、特に船員がストレスを受けた後には、船員の話を聞き、理解し、評価してあげることが必要。
      • 原文 July 8, 2020, AMSA(長谷部正道)
    • 【7】 IMO:法定の証明書等の効力を3か月以上延長する際の旗国へのガイダンス
      • 【7】7月10日IMOは表記ガイダンス(Circular Letter No 4204/Add/19/Rev.1)を発表した。
      • 原文
    • 【8】 イングランドの8地域でコロナウィルスの感染者が急増
      • 【8】英国政府は感染者数の減少に伴いロックダウンを段階的に緩和しているが、イングランド公衆衛生局が公表したデータによると、7月5日までの1週間でイングランドの8地域でコロナウィルスの感染者が急増している。感染者の増加が最も顕著であったのは南部の都市サザンプトンで、一週間で発生した人口10万人当たりの新規感染者数が前の週の0.4人から12倍の4.8人に急増している。また、これらの地域には地方都市だけでなくロンドン市内の地域も複数含まれ、ロンドン南東部のブロムリーでは3倍以上の増加がみられた。さらに、これら8地域以外にも感染者が増加している地域が多数確認されている。政府は既にイングランド中部の都市レスターにロックダウンを発令しており、これらの地域おいても感染者の増加が続けば同様の措置がとられる可能性がある。

        ※7/9の英国の感染者数:642人(日本206人の3倍、緊急事態解除基準47人の14倍)
        ※7/9の英国の死者数:85人(日本1人の85倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 July 10, 2020, The Sun(若林健一)
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