2020/06/26LROニュース(8)

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  • 2020.06.26 UP
    2020/06/26LROニュース(8)
    • 【1】コンテナ海運:現在の運賃水準を確保できれば2020年黒字確保も
      • 【1】デンマークの海運コンサルタントのSea Intelligence社は、コロナ経済不況に伴って、2020年のコンテナ貨物量が1割減少することに伴い、運賃水準が安定的に推移すればコンテナ海運業界全体で8億ドル(約856億円)の赤字が発生し、少ない貨物を取り合って運賃引き下げ競争が発生すれば、230億ドル(約2.5兆円)の赤字を計上すると事前予測していたが、過去数年間にコンテナ各社の統合が進み、各社が需要の減少に併せて、欠航や余剰船舶の係留などを行って、需給調整を行っているため、運賃水準が反対にかなり引き上げられていると分析している。この結果、2020年のコンテナ海運業界の収益を再予測したところ、このままの運賃水準が維持できれば、全体で90億ドル(約9600億円)の黒字を確保し、下半期に運賃引き下げ競争に突入したとしても全体で70億ドル(約7500億円)の赤字で済むとの修正予測を発表した。
      • 原文 June 24, 2020, Offshore Energy Biz(長谷部正道)
    • 【2】加政府が使い捨てプラスチックごみ減量のためのパブコメを実施
      • 【2】カナダ連邦政府は2019年9月、包装材の持続可能性を高めることによってプラスチックごみを削減するための施策などに関して、製造事業者・小売業者・NPO・環境団体など幅広い関係者から意見を聴取する「情報提供要請(Request for Information: RFI)」の手続きを開始し、このほど関係者の意見がまとまったところその概要は以下のとおり。①カナダにおけるリサイクルインフラ、およびごみの管理に関する規制は地方・都市両方に存在するが、その能力は地域によって大きく異なっており、国内全体で一貫したプラスチックごみの定義、規制、インフラを整備する必要がある。②プラスチック包装材の持続可能性は、包装材の生産から処理までの「全ライフサイクルに渡っての環境評価(LCA)」や、第三者機関によって認証された「環境に配慮した製品であることの証明書(EPD)」に基づいて客観的に判断されなければならない。③第三者機関によって堆肥化可能と認証された包装材は、必ずしも堆肥化できないこともあり、消費者の混乱を避けるためにも、リサイクルのための適切な設備の準備が必要。④業界にとって、リサイクルプラスチックを包装材として使用することは、真新しいプラスチックと比較すると品質や価格の面で障壁がある。⑤容器返還(take-back)制度の普及には、各地方自治体の制度の整合性を図る必要がある。
      • 原文 June 22, 2020, Baker McKenzie(植木エミリ)
    • 【3】IRENA:コロナ復興対策としての再生可能エネルギー投資の重要性
      • 【3】6月24日、国際再生エネルギー機関(IRENA)は、「コロナ後の復興」(Post-COVID recovery)と題した、コロナ経済復興対策における再生可能エネルギー投資の重要性に関する報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①この報告書は、2021年から2023年にかけての緊急の経済刺激策と、2030年までの今後10年間の展望を見据えた中期的な経済復興の見直しについて検討したものである。②官民で年間4.5兆ドル(約482兆円)をエネルギー分野に投資すれば、世界のGDPを1.3%押し上げ、2030年までに1900万人の雇用を創出する。③再生可能エネルギー事業だけでも、就業人口は同期間中に現在の3倍にあたる3000万人となり、投資による雇用創出効果は、化石燃料に比べて、再生可能エネルギーの方は3倍以上の効果がある。④今後3年間、年間のエネルギー転換関連の投資を現在の2倍の2兆ドル(約315兆円)に増額すると、関連する民間投資を3~4倍にし、GDPを1%押し上げ、550万人の雇用を創出することができる。⑤復興戦略には、最終的に炭素中立エネルギー供給体制を実現するために、再生可能エネルギーから水素を生産するなどの革新的な解決策を盛り込むべきで、政府や企業がこうした技術の商業化に投資すれば、長期的に持続的な成長を見込むことができる。
      • 原文 June 24, 2020, IRENA(植木エミリ)
    • 【4】在ノルウェー露大使:北極海におけるNATOの活動強化に対して警告
      • 【4】今年5月上旬、米・英の艦船が冷戦終結後初めてバレンツ海を航行し、露はこれを脅威と捉え対抗措置としてノルウェー海及びバレンツ海で軍事訓練を実施した。また、かつて在ノルウェー米大使も務めた米海軍長官は、露や中が北極海における覇権を握るべくノルウェーに圧力をかけていると指摘している。これに対し、在ノルウェー露大使は、露側としては北極海の平和的利用を目指し、軍事訓練の頻度を減らし緊張関係を緩和するための提案を繰り返し示しており、ノルウェーによる軍事活動の増加や北極海におけるNATOの活動の強化は、地域の平和と安定を損ない、双方の協力関係を終わらせる結果になると警告している。
      • 原文 June 17, 2020, High North News(若林健一)
    • 【5】Copernicus Marine Service: Ocean State Reportを発表
      • 【5】EUのCopernicus Marine Serviceが6月25日、「海洋状況報告書」を発表したところその概要は以下のとおり。①1993年以来、世界の平均海面高度は、年間3.3mm程度上昇し、上昇速度は毎年0.12mmほど加速している。②世界のほとんどの海面で年間0.014℃のペースで海水温が上昇して、過去最高レベルとなっている。③2018年の北極海における最大海氷面積は2017年に次いで史上2番目に狭かった。④過去20年間ゆっくりと海洋水産物の水揚げ量が減少してきた。⑤地中海はCO₂の吸収・貯蔵庫として、2018年には21億ユーロ(約2520億円)の経済価値を有している。⑥Copernicus Marine Serviceは熱帯低気圧・高波・海洋の富栄養化の予測などに有用である。
      • 原文 June 25, 2020, Copernicus(長谷部正道)
    • 【6】Nautilus International: 船員労働契約の再延長を許容するパナマ政府を批判
      • 【6】海運労使は、船員交代問題の解決促進を図るために、6月15日を最終期限として、各国政府に船員交代を可能とする措置の速やかな導入を促し、船上の船員の労働契約をこれ以上延長しないことを合意したが、パナマ船舶登録は、この労使合意にかかわらず、さらに船員の雇用契約を3か月延長し、最長で17か月まで船員が労働を継続することを旗国としてパナマ籍船に対して認める技術的告知(66/2020)を発出した。これに対して、国際的な船員組合であるNautilus Internationalは強く反発し、世界のPSC当局は、直ちにパナマ籍船を重点的にPSCの対象として、国際海事条約(MLC)違反で拘束すべきであると、6月23日声明を発表した。2019年の実績で、パナマは9367隻(225mGT)の船舶を登録する世界最大の船舶登録国で、多い順に日本が2060隻、中国が573隻のパナマ籍船を利用している。
      • 原文 June 23, 2020, Nautilus International(長谷部正道)
    • 【7】ロンドン条約・ロンドン議定書の科学グループ会合の開催について
      • 【7】6月23日、IMO事務局は、パンデミックの影響で開催が延期されていたロンドン条約とロンドン議定書の科学グループ会合を、7月6日から9月18日の間に文書のやり取り(by correspondence)で開催すると発表した。
      • 原文
    • 【8】検査・追跡システム、30%の感染者と連絡がとれず
      • 【8】英国政府が5月28日に導入した「検査・追跡システム」について、6月11日から17日までの1週間で判明した新規感染者6,923人のうち連絡がとれなかった感染者は2,054人に上り、約30%の感染者と連絡がとれなかったことが判明した。さらに、連絡がとれた感染者4,869人のうち接触者に繋がる情報を提供したのは約75%の3,633人にとどまった。「検査・追跡システム」はロックダウンの緩和を進めるうえで重要な役割を担うとされているが、こうした状況を踏まえ野党や専門家からは同システムの効果について懸念の声が上がっている。

        ※6/24の英国の感染者数:653人(日本57人の11倍、緊急事態解除基準47人の14倍)
        ※6/24の英国の死者数:154人(日本3人の51倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 June 25, 2020, Evening Standard(若林健一)
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