2020/06/19LROニュース(7)

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  • 2020.06.19 UP
    2020/06/19LROニュース(7)
    • 【1】韓国政府が自律運航技術の商業化のための省庁間タスクフォースを設置
      • 【1】日本では日本財団が音頭を取って40を超える日本の企業が結集して、自律運航技術の開発・試験・商業化を進めていることについては既報のとおりだが、中国や北欧諸国でも、自律運航技術開発について、同じような企業の連携が実施されている。このほど韓国政府も、産業通商資源部と海洋水産部が連携して、自律運航技術の商業化を進めるための政府内のタスクフォースを創設した。具体的には、韓国船級協会の本部があった大田市にある国立船舶海洋技術研究院でタスクフォースは研究を進め、新技術開発のために6年間で1600億ウォン(約141億円)の予算が投入される予定であるが、国際的にもトップクラスにある韓国の造船企業は既に何年も前から自律運航技術の研究開発を進めている。
      • 原文 June 17, 2020, Splash 247(長谷部正道)
    • 【2】海賊事件数は減少するものの海域取締機関への情報提供・事故報告が重要
      • 【2】過去数年間においてアフリカの東側海域では海賊・武装強盗事件の発生件数は著しく減少している。しかし、アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)情報共有センターの報告では、バングラディッシュ、インド、インドネシア、フィリピン、シンガポール海峡などでの事件数増加により、今年1月から3月までの発生件数は昨年同期の3倍となっており、スールー海やセレベス海、サバ州東部沖合では船員の誘拐事件の発生が引き続き懸念されている。また、ギニア湾での2019年の発生件数は前年から14件減少し67件であったが、誘拐事件の発生件数は11件から20件に増加し、合計151名の船員が誘拐され、または行方不明となっている。西インド洋、ギニア湾及び東南アジア海域では、海賊・武装強盗事件の発生に備え自主的報告海域(Voluntary Reporting Areas:VRA)が設定さており、これらの海域を航行する船舶は厳重な警戒体制を維持しベストプラクティスを励行するとともに、各VRASを運用する機関に対して通報を行い、自船の予定航路や被害に遭遇する危険性を認識させ、また、各機関が緊急事態に対して的確に対応できるように定期的な報告や事案発生時の報告を行うことが求められている。
      • 原文 June 16, 2020, Safety4Sea(若林健一)
    • 【3】米・中海軍の南シナ海におけるニアミスと偶発的な衝突防止メカニズム
      • 【3】中国軍関係者は匿名を条件に、今年4月に南シナ海において米・中両国の艦船がわずか100mの距離まで接近する事案が発生していたことを明らかにした。コロナウィルスの感染拡大により米空母2隻の行動が制約を受けて以降、米・中両国は競って南シナ海に艦船を展開させているが、南シナ海では2018年10月にも中国の駆逐艦が米国の駆逐艦からわずか41mという衝突寸前の距離まで接近した事案も発生している。専門家からは、このような接近事案が不測の事態を招き軍事衝突に発展する危険があるとして、米・中両国が偶発的な衝突を防止するための有効なメカニズムを作り上げる必要性を訴える意見や、このような接近事案について何が起こったのかを明らかにするために写真やレーダー映像も含めて記録化するべきであるとの声が上がっている。
      • 原文 June 16, 2020, South China Morning Post(若林健一)
    • 【4】海運事業者に対するEUトン数税制の適用範囲の縮小を申し入れ
      • 【4】欧州の貨物フォワーダー事業者の団体であるCLECATと欧州の港湾ターミナル・港湾荷役事業者の団体のFEPORTは、欧州委員会の競争政策担当コミッショナーに対して、欧州委員会が加盟国の国家助成制度を承認するにあたっては、国家助成制度によって、公正な競争環境が阻害されないよう、具体的には、欧州委員会が承認している各加盟国のトン数標準税制においては、海運会社以外の海上物流事業者が提供するサービスと競合するような業務を「海運補助業務」として、優遇税制の対象に含めているが、こうした取り扱いを改めて、以上のような競合業務を「海運補助業務」の範囲から除外するよう要請している。しかし、競合業務を海運補助業務として認容しているイタリア政府の国家助成制度を、6月初めに欧州委員会が承認したことから、CLECATとFEPORTは、海運会社自らが行う貨物フォーワーディング業務や港湾ターミナル・荷役業務などの競合業務をトン数標準税制の対象範囲から除外するよう欧州委員会に求める共同声明を6月17日に発表した。OECD国際交通フォーラム(ITF)は「海運補助制度」に関する報告書の中で、「EU海事国家助成制度ガイドライン」を改正し、トン数標準税制の対象となっている業務の範囲を見直すよう勧告しているが、両協会は欧州委員会がこの勧告に従って、ガイドラインの見直しをすべきであるとしている。
      • 原文 June 17, 2020, FEPORT(長谷部正道)
    • 【5】欧州で不用となるエネルギー関連インフラ施設
      • 【5】2050年までの炭素中立を目標とする欧州では、目標の達成にあたってパイプライン、くみ上げ施設、石油掘削リグ、石炭鉱山・天然ガスステーション、石炭火力発電所や新たなエネルギーに対応できない建造物などの化石燃料関係インフラ施設が不要となる。国際再生可能エネルギー機関(IREA)は、パリ協定の地球の気温上昇を2℃以下に抑え込むという目標の達成には、全世界で約10兆ドル(約1070億円)の化石燃料関係の資産が不要になると見積もっている。例えば、BPは6月15日、コロナ経済不況に対応し、化石燃料からの転換を促すため、不要となった175億ドル(約1.9兆円)の資産を処分すると発表した。欧州の石炭関連施設は、西欧では既にほとんどの石炭炭鉱が閉鎖されており、欧州の中では最も石炭火力発電に依存するポーランドでさえ、2050年以降は石炭火力発電が主力でなくなると見込まれている。天然ガスは、石炭に比べると環境に与える影響が少ないものの、あくまで再生可能エネルギーの供給が十分になるまでの暫定的な存在で、例えば英国では、天然ガスの発電シェアは2019年の42%から2020年は33%に減少した。また天然ガスを輸送するためのパイプラインは欧州全体に網羅されているが、天然ガスが不要となった後でも、水素やバイオガスの輸送などで利用価値はあるとの見方もある。
      • 原文 June 18, 2020, Politico(植木エミリ)
    • 【6】OECD/ITF: 一帯一路港湾関連事業の評価
      • 【6】OECD国際交通フォーラム(ITF)が「一帯一路戦略(BRI):国際海上貿易に与える影響」と題するDiscussion Paperを発表したところその概要は以下のとおり。①港湾関係のBRI事業で最も成功した事例はピレウス港とジプチ港で、両港とも主要海上輸送路上にあって、既存の港湾施設を拡張した事業である。さらに、Noatum社の港湾ターミナル部門の買収を通じて、バレンシアの港湾ターミナルを取得したのも成功例である。②既存の海上輸送ルート上にある港湾事業でも全てが成功するわけではなく、スリランカのハンバントータ港はほとんど活用されていない。③主要海上輸送ルート上にない港湾事業としては、パキスタンのグワダル港はすでに運用されているものの、取扱量は取扱可能量を大きく下回っている。④ミヤンマーのチャウピュー港の建設計画は、事業可能性に問題があるとのミヤンマー政府の意向で規模が縮小されたし、マレー半島のクラ運河やニカラグア運河の事業化可能性は低い。⑤アフリカにおける港湾事業で後背地に鉱物資源を持ち、港湾と鉄道で連結されているような事業は成功の可能性が高い。⑥中国と欧州の間の鉄道輸送は進展しているものの、輸送量としては、海上輸送に影響を与える規模に至っていない。
      • 原文 June 16, 2020, 国際交通フォーラム(長谷部正道)
    • 【7】検査・追跡システムにより2週間で約9万人に自主隔離を要請
      • 【7】5月28日に英国政府は、検査結果により判明した感染者及び同人との接触により感染の危険がある接触者を追跡し自主隔離を要請する「検査・追跡システム」を開始したが、これによりこれまでに自主隔離を要請された人の数が約9万人に及んだことが分かった。一方で、6月4日から10日の1週間で検査の結果陽性となった約6千人のうち、連絡が取れた感染者は4,366人で73.4%に留まり、約4分の1の感染者と連絡がとれなかった。また、これまでに連絡がとれた感染者のうち約3分の1からは、接触者に繋がる情報が得られていない。さらに、政府は、同システムの中心的な役割を担うとして、感染者に接触したことを通知する携帯端末用の追跡アプリを今月中に導入することを目指していたが、開発の遅れから導入が秋にずれ込むことを明らかにしている。

        ※6/17の英国の感染者数:1,115人(日本44人の25倍、緊急事態解除基準47人の24倍)
        ※6/17の英国の死者数:184人(日本4人の46倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 June 18, 2020, Evening Standard(若林健一)
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