2020/06/18LROニュース(7)
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2020.06.18 UP
2020/06/18LROニュース(7)
- 【1】EU:2030年までに再生可能エネルギーのシェアを33%に
- 【1】2018年の実績では、風力・太陽光・水力・バイオエネルギーによる再生可能エネルギーによる発電シェアはEU全体のエネルギー消費量の約19%で、EU各国の既存のエネルギー政策に基づく計画では、EUとして2030年までに達成を目指す再生可能エネルギーのシェアの目標に3%足りない見込みであったが、6月15日に発表された各加盟国の最新の改訂されたエネルギー政策に基づく計画では、2030年における再生可能エネルギーのシェアが目標より1%高い33%に達することが分かったが、このためには先日発表された7500億ユーロ(約91兆円)の復興予算から再生可能エネルギー事業に多額の投資を行う必要がある。国際エネルギー機関(IEA)は、パンデミックの影響を受けた財源のひっ迫と物理的な建設作業の遅延のために、2020年中に新たに稼働する再生可能エネルギー発電施設の伸び率は、過去20年間で初めて鈍化すると見込んでいる。欧州委員会は2050年までに炭素中立を実現するために、2021年には再生可能エネルギーの目標シェアをさらに引き上げる可能性があり、それに応じて加盟国は更なるエネルギー政策の見直しを強いられることになる可能性がある。 原文 June 15, 2020, Reuters(長谷部正道)
- 【2】中国の南シナ海への積極的な進出が比・米の連携を促進
- 【2】新型コロナウィルスの感染拡大に乗じて中国が南シナ海へ積極的な進出を図っていることを受け、比政府は、今年2月に米国側に対して通知し、8月に効力が生じる予定であった米軍との訪問軍地位協定(The Visiting Forces Agreement:VFA)の破棄について留保することを決定した。比独立記念日に当たる6月12日、米国防長官は比国防長官との電話会談においてVFA破棄の留保についての感謝の意と新型コロナウィルスのワクチンや治療薬を提供する意向がある旨を伝えた。また、今回のVFA破棄の留保の決定は、対中国を意識する比国防関係者を勢いづかせていると見られる。比国防長官は6月9日、南シナ海の南沙諸島に属し1,300mの滑走路を有する飛行場もあるパグアサ島を訪れ、新たに建設した船舶の係留施設の落成式に出席し、同係留施設を活用して比が南沙諸島周辺で実効支配する8拠点の保守や補強を進めるなど、滞在する軍人や民間人を支援する仕組みを確立するためのプロジェクトを4段階に分けて実施することを明らかにしている。 原文 June 16, 2020, Asia Times(若林健一)
- 【3】永久凍土の解凍によって河川に流れ込んだ炭素からもCO₂が発生
- 【3】これまでの研究では、気候温暖化により現在永久凍土の中に閉じ込められている炭素の5%から15%が、微生物の分解によりCO₂として大気中に放出され、地球の気温を0.3℃から0.4℃上昇させると推定されてきた。ミシガン大学の研究者は、永久凍土が融解して湖や川へ流れ込んだ有機炭素が太陽光中の紫外線等によって分解・酸化されることによってCO₂に変化(Photo Mineralization: PM)し、これによって永久凍土から大気中に放出されるCO₂の量が従来の見積もりに加えて更に14%増加する可能性があることをGeographical Research Lettersに発表した。最近では、地球の気候現象に関するシミュレーションに永久凍土から放出されるGHGの量も勘案されるようにはなったが、このPMに関してはまだ加味されておらず、PMによる効果も勘案すると、現在北極圏の永久凍土に含まれている1000億トンの炭素のうち、控えめに見積もっても、2900万台の自動車から排出されるCO₂に匹敵する6%の炭素が2100年までに大気中に放出されることになる。 原文 June 15, 2020, Science Dairy(植木エミリ)
- 【4】極圏における砕氷能力の見直しを命じた大統領覚書の背景
- 【4】トランプ政権は6月9日、極圏における砕氷能力の見直しを命じる大統領覚書を公表した。砕氷能力の近代化や強化の要請は新しいものではないが、今回の覚書における新たな点は、トランプ政権が極圏における米国の活動能力が悲惨なほどに欠如している点に注視したことである。現在米国の極圏での活動は老朽化した大型砕氷船1隻及び中型砕氷船1隻に頼っており、米国沿岸警備隊は極圏で継続的な活動を実施するには大型及び中型の砕氷船計6隻が必要であるとし、2019年4月に1隻目の建造に着手したが、2024年に海上試運転が実施される計画となっている。この空白期間を埋めるため、覚書は他国からの砕氷船のリースの可能性について分析を求めている。もう一つの新たな点は、トランプ政権が、将来導入する砕氷船は単に科学調査などのための砕氷作業だけでなく、国家及び経済の安全保障に関する幅広い作戦に従事するとしている点である。覚書は、極圏での海洋状況把握(MDA)を継続するために無人航空機などの活用の可能性について調査を求めており、これは砕氷船のデザインにも影響を与える可能性がある。また、覚書は国内および国外それぞれ2カ所に砕氷船の基地を選定する作業も求めており、覚書の公表のタイミングは、候補となるグリーンランドに米領事館を開設した6月10日に合わせたとも考えられる。 原文 June 12, 2020, 戦略国際問題研究所(若林健一)
- 【5】REN 21: 「2020年世界の再生可能エネルギーの状況」報告書を発表
- 【5】再生可能エネルギーに関係するUNEPなど13の国際機関、米/独など13の政府、9の研究機関、18の業界団体、23のNGO等から構成される「21世紀のための再生可能エネルギー政策ネットワーク(REN21)が6月16日公表した表記報告書の概要は以下のとおり。①世界の最終エネルギーの総需要は増加傾向にあり、2013年から2018年にかけて年間平均1.4%増加した。②同期間に再生可能エネルギーによる発電量も著しく増加したものの、エネルギー総需要の増加に飲み込まれ、最終総需要に占める割合は9.6%から11%と僅かな増加にとどまった。③再生可能エネルギーのシェアは、発電分野の26%に比べ、冷暖房分野は10%、交通分野は3%と大きく後れを取っており、再生可能エネルギーの拡大における障害は、10年前からほぼ解決されていない。電力分野における現在の再生可能エネルギー比率の向上は数年前に実施された規制や政策によるものであり、冷暖房、交通分野においても同様の政策が必要。④2018年、再生可能エネルギー関連の事業は世界全体で1100万人の雇用を創出した。⑤2019年、民間企業が締結した新規再生可能エネルギー発電施設からの買電契約は今までで最高となる対前年比43%増を記録した。⑥世界各地で政府に気候変動対策を求める市民運動が活性化し、2020年4月時点で29か国、1490の地方公共団体が「気候変動緊急事態宣言」を採択し、再生可能エネルギーの増加目標を立てている。⑦石炭火力発電の段階的廃止を進めている国がある一方で、依然として新たな石炭火力発電所の建設を進めている国もあり、民間金融機関による化石燃料関係の事業への融資は、過去3年間で総額2.7兆ドル(約289兆円)に及んだ。 原文 June 16, 2020, UNEP(植木エミリ)
- 【6】バルチラ・IBM等が連携して9月に完全自律運航船で大西洋横断
- 【6】海洋研究機関のProMareが主導し、バルチラ・IBM等が技術協力して、9月に世界で初めて完全自律・無人運航船メイフラワー号が大西洋を横断する。実験が成功すれば、この自律運航システムの商業化を図る。IBMはカメラ・人工知能(AI)・edge computing技術を統合したAI Captainという船舶が自ら判断・決定できるシステムを提供し、バルチラは混雑海域において高度な周辺認知機能を果たすため、船上に設置されたカメラ・AISなどの航海装置と連携したRS24という高速・高解析度のレーダーシステムを提供する。RS24で得られた情報を基に、AI Captainが継続的に情報を評価して、他の船舶はもちろんのこと海上の浮遊物や嵐などを回避しながら、周辺環境を判断して、航路を修正して最適航路をたどって目的地に到着する。RS24システムは、既に2019年にシンガポール港で行われた世界で最初に商業運航した海上自律運航船であるIntelliTugにも搭載され、機能が実証済みで、混雑海域で、船舶の近辺を運航する小型艇の動きも把握・解析し、複雑な海上交通環境でもメイフラワー号を安全に運航させることが可能である。 原文 June 16, 2020, バルチラ(長谷部正道)
- 【7】コロナウィルス感染防止にビタミンDが有効か?
- 【7】英国の公衆衛生当局者は、ビタミンⅮがコロナウィルス感染のリスクを軽減する可能性について緊急的な見直しを行っている。当初、白人に比べて黒人やアジア系の人にコロナウィルスの感染者や死者が多く発生していることについて社会的な問題として調査が行われていたが、最近になり、肌のメラニン色素が多い人ほど体内で作られるビタミンⅮの量が少なく、これは日照時間が少ない国ではさらに悪化することや、呼吸器系の感染症を克服する体の作用をビタミンⅮが補助する役割を果たすことが関係していることが分かってきた。スコットランド公衆衛生局や国民保健サービス(NHS)は、感染第2波に備えて病院でビタミン剤を処方するべきかについても含め評価を行っている。
※6/16の英国の感染者数:1,279人(日本72人の18倍、緊急事態解除基準47人の27倍)
※6/16の英国の死者数:233人(日本2人の117倍)
日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。 原文 June 17, 2020, The Guardian(若林健一)
- 【7】英国の公衆衛生当局者は、ビタミンⅮがコロナウィルス感染のリスクを軽減する可能性について緊急的な見直しを行っている。当初、白人に比べて黒人やアジア系の人にコロナウィルスの感染者や死者が多く発生していることについて社会的な問題として調査が行われていたが、最近になり、肌のメラニン色素が多い人ほど体内で作られるビタミンⅮの量が少なく、これは日照時間が少ない国ではさらに悪化することや、呼吸器系の感染症を克服する体の作用をビタミンⅮが補助する役割を果たすことが関係していることが分かってきた。スコットランド公衆衛生局や国民保健サービス(NHS)は、感染第2波に備えて病院でビタミン剤を処方するべきかについても含め評価を行っている。