2020/06/15LROニュース(7)

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  • 2020.06.15 UP
    2020/06/15LROニュース(7)
    • 【1】Inmarsat: ISWAN等と連携して船員への支援を強化
      • 【1】パンデミックによって影響を受けている船員を支援するため、インマルサットは国際船員福祉支援ネットワーク(ISWAN)や他の船員慈善団体と連携して、船員の経済的な負担なしに、船員が外部の世界と連絡ができるように支援してきた。同社の新しい舶用Wi-FiポータルであるFleet Hotspotを経由して、ISWANが運用するSeafarerHelpポータルに接続して、無料でライブチャットができるようにしている。SeafarerHelpは無料・守秘・多言語で、世界中の船員やその家族を24時間365日支援するヘルプラインで、ライブチャットの他に、emailや電話による問い合わせにも対応している。同社はまた、港湾に常駐する牧師に衛星電話を提供し、牧師を仲介して、インターネットへのアクセスもなく港湾で孤立している船員に連絡の手段を提供している。同社はさらに、船員の健康管理業務を行うVikand社等と連携して、船舶に乗務している船員がライブでオンライン医療診断を受けられるようにしており、現在約150隻の船舶でこのサービスを利用でき、今後さらに1000隻以上の船舶でオンライン診療を提供していく見込み。
      • 原文 June 4, 2020, Inmarsat(長谷部正道)
    • 【2】Blue Denmark: 海事分野における2050年までの炭素中立を提言
      • 【2】将来の炭素中立社会を先導するために、2030年までにCO₂排出量の7割削減を目指しているデンマーク政府は、この目標を達成すべく分野ごとに気候変動問題に対処するための組織づくりを呼び掛け、13の組織が結成された。その内の一つであり、2019年にデンマークの海運業界が中心となって結成されたBlue Denmarkは、排出権取引など無しに2050年までに炭素中立を目指しており、その目的達成のため2030年までに経営的に採算が取れるゼロ排気船舶を開発することを報告書として発表した。報告書では、目標を実現する為の障壁を以下のとおり挙げている。①外交海運は国際的な事業のため、IMOが全てを規制しており、デンマーク独自の取組みもIMOの枠組の中で実施されなければならない。②今まで取り組んできたエネルギー効率化のための技術だけでは、2050年までに炭素中立を実現するのは困難であり、従来の燃料から気候中立の燃料に転換するには大幅な技術革新が必要である。③気候中立を実現する為の燃料の安定した供給体制はまだ整っておらず、デンマークの港湾における供給体制ばかりでなく、全世界的なエネルギー供給システムの向上が必要である。④荷主が海運会社を選択するにあたって、環境に配慮している海運会社が選択されるような、環境を優先したビジネス環境が構築されることなどが必要である。
      • 原文 June 10, 2020, The Maritime Executive(植木エミリ)
    • 【3】国際海洋法裁判所がシンガポールで審理を行うことが可能に
      • 【3】国際海洋法裁判所(ITLOS)憲章第1条2項は、ITLOSをハンブルグに置くと規定する一方で、同条第3項で、裁判所が必要と認めるときは、ハンブルグ以外の地で法廷を開廷し、業務を行うことができるとされている。これを受けて、2015年8月31日にITLOSの裁判長とシンガポール法務大臣との間で、ITLOS或いはその特別法廷がシンガポールで審理を行えるようシンガポール政府が必要な施設を提供するなど所要の支援をしていくことについて共同宣言を調印し、具体的な条件等を定めるモデル協定について、両者の間で協議が進められてきた。このほど協議が整い、6月11日、ITLOSの裁判長と、シンガポール政府内務大臣と同法務大臣はモデル協定に調印した。ITLOSの裁判長は、シンガポール政府の支援に感謝したうえで、ITLOSに紛争解決を付託する加盟国は、今後、シンガポールを審理等の場所として検討することができるとコメントした。
      • 原文 June 11, 2020, ITLOS(長谷部正道)
    • 【4】大気中の塵の中に大量のマイクロプラスチックが存在することが判明
      • 【4】米ユタ州立大学の研究者が、全米の降水量を観測するための観測所で大気から降ってくる塵を収集して分析する調査を実施したところ、グランドキャニオンやジョシュア・ツリー国立公園を含む、米国西部の都市から遠く離れた11の観測地点で収集した塵の3割が、化粧品等に含まれるマイクロビーズよりも小さい色鮮やかな球体だった。この球体はスプレー塗装する際に大気中に噴出された塗料で、マイクロプラスチックの発生源としてはこれまで議論されたことのないものだった。残りの7割は衣類や絨毯から出る繊維くずなど、正確に分別するのが困難だったが、この7割の塵の内約4%がプラスチックであり、毎日1㎡あたり132個のマイクロプラスチック片が塵として積もっていることが判明した。この量を年間に換算すると、米国西部の国立公園や環境保護地域には、プラスチック製飲用ボトル3億本分に相当する1000トン以上のマイクロプラスチックが塵として堆積していることになる。他の研究者の研究でも、欧州のピレネー山脈や北極海で同様のマイクロプラスチックの塵が観測されている。
      • 原文 June 11, 2020, Science(植木エミリ)
    • 【5】V. Group: 662隻の船舶の7315人の船員の帰国を実現
      • 【5】世界の30か国に60以上の事務所を持つ船舶管理会社のV. Groupは、3月17日から現在に至るまで、662隻の船舶から89の国籍の7315人の船員を無事本国に帰国することに成功したと発表した。同社はWilhelmsenなどの同業他社等とともに、「船員交代事業」運営グループの一員を構成しているが、シンガポール・香港など一部の諸国は船員交代の支援のために規制を緩和しているが、大多数の国は未だコロナ感染防止対策として、船員の移動制限を維持しており、その結果、20万人以上の船員が船上で交替を依然として待っており、船員交代は海運事業にとって、未だ最も深刻な課題であるとしている。
      • 原文 June 12, 2020, V. Group(長谷部正道)
    • 【6】USCG: 2019年旗国検査国内報告書を発表
      • 【6】USCGは米国籍籍船に対する検査・法令の適用に関する2019年の統計を取りまとめた「2019年旗国検査国内報告書」を発表したところその概要は以下のとおり。①2019年中に、2561隻の船舶が2095件の海難事故を起こした。②USCGは同年中、米国籍船に対して、対前年比1423件増の21471件の立ち入り検査を実施し、20064隻の船舶から31378件の不具合を発見し、対前年比40隻増の111隻の船舶を拘束した。報告書本文は以下のリンクを参照。
      • 原文 June, 2020, USCG(長谷部正道)
    • 【7】英国政府がSocial Distancingの見直しに着手
      • 【7】英国政府はコロナウィルスの新規感染者が減少傾向にあることを踏まえ、現在2mの距離を確保することを求めているSocial Distancing について、見直しの検討に着手したことを明らかにした。イングランドでは7月4日以降にレストランやパブの営業も再開する予定だが、2mの距離を確保した場合の売上は通常の約30%に落ち込むのに対し、これを1mとした場合には最大75%まで上昇するとも予測されていることもあり、この日までに検討結果について報告が行われるものと見られている。Social Distancingについては、世界保健機関(WHO)は少なくとも1mの距離の確保を推奨しており、フランスやデンマークもこれを採用しているが、英国政府の科学顧問グループによれば感染のリスクは2mの距離を確保する場合の10倍に上昇するとしている。

        ※6/13の英国の感染者数:1,425人(日本62人の23倍、緊急事態解除基準47人の30倍)
        ※6/13の英国の死者数:181人(日本2人の91倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 June 14, 2020, BBC(若林健一)
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