2020/06/10LROニュース(8)

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  • 2020.06.10 UP
    2020/06/10LROニュース(8)
    • 【1】ARX週間海賊報告書(5月22日から6月2日発生分)
      • 【1】ARX MOULDINGSは5月22日から6月2日までの週間海賊報告書を発表したがその概要は以下のとおり。①5月22日、インドネシアのスマトラ島沖を航行中のヨットを賊が襲撃し、航海用具、携帯電話、調理用具、パスポート等を奪って逃走した。警察当局が出動し27日に盗まれた品々を発見したが、犯行グループは現在も逃走中。②5月22日午前1時30分、ベトナムのカムファ錨地に錨泊中の貨物船で乗組員が塗料庫付近のドラム缶内にある複数のホースノズルを発見し、船内を確認したところ甲板部倉庫から吊り上げワイヤーがなくなっていることが判明した。③5月22日、4月30日にナイジェリアのブラスの南西沖約150海里でパナマ籍タンカーから誘拐された乗組員10名が解放された。④5月23日、ナイジェリアのニジェール・デルタで武装した12人の賊が2隻の高速艇を使用して、警察官4名を含む乗客を載せた旅客船を襲撃し、銃撃戦の末2名の旅客を誘拐し逃走した。⑤5月29日午前4時20分、インドネシアのムアラベラウ錨地に錨泊中の貨物船で、船内を巡回中の乗組員が船首楼の天窓が開いているのを発見したことから、乗組員で船内を確認したところ倉庫内に賊が侵入したことが判明した。⑥6月2日午後7時、インドネシアのムアラベラウ錨地で錨泊中の貨物船に2人の賊がフック付きロープを使用して小型艇から乗船し、船首倉庫に侵入したが乗組員に発見され何も盗らずに逃走した。
      • 原文 June 8, 2020, ARX(若林健一)
    • 【2】露ノリリスク油流出事故の除染作業について
      • 【2】5月29日、ロシア・ノリリスクの発電所で、補助燃料として備蓄されていた燃料タンクが破裂し、近隣の河川に約2万トンのディーゼル油が流出したが、事故の原因はこの時期にしては異例の暖かさによって永久凍土が融解し、燃料貯蔵庫の真下の地盤が沈下したためと考えられている。燃料油による汚染は350㎢にも及んでいると報じられ、この事故を受けてロシア政府は緊急事態宣言を発令していた。Greenpeaceは、当該事故は1989年にアラスカで発生したタンカーによる油濁事故ExxonValdez号事件に匹敵するもので、北極圏という場所から、除染活動は極めて困難とみている。露の環境団体も、北極圏で発生した事故としては過去最大で、河川の浄化には最大1000億ルーブル(約1兆6千億円)の経費と、5年から10年の除染機関が必要と見積もっている。ロシアの天然資源大臣は、流出したディーゼルに火をつけて焼却処理する方法を否定し、緊急事態省が軍の応援を得て、油処理剤を使用して対応するしかないと発言した。 汚染された河川は水深が浅すぎるため、オイルフェンスを張って油の拡散を防ぐこともできない。ノリリスク・ニッケル社は2016年9月にも河川への油流出事故を起こした前歴がある。
      • 原文 June 4, 2020, BBC(植木エミリ)
    • 【3】EU理事会:EUの水運・海運の将来戦略を採択
      • 【3】2020年3月11日に、EU理事会の議長国であるクロアチア主導のもとに、EU諸国の海運担当大臣が採択したEUの水運・海運分野の将来戦略に関するオパティヤ宣言を、6月5日欧州理事会は正式に決議(conclusion)として採択した。将来戦略は炭素中立・安全確保・自動化推進・競争力強化の4点を骨格としている。決議では、パンデミック期間中にEUの水運・海運事業が、EU国民に生活物資を輸送するといった重要な役割を果たしたことに触れるとともに、同期間中に物流供給網を維持した船員・水運事業労働者・港湾労働者の果たした重要な役割についても感謝を表している。
      • 原文 June 5, 2020, 欧州理事会(長谷部正道)
    • 【4】OECD/IEA: 各国政府はコロナ復興を契機に化石燃料への補助を撤廃すべき
      • 【4】OECD/IEAは表記提言を発表したところその概要は以下のとおり。①2019年に世界の77経済(正式に国家として承認されていない台湾等を含む)において化石燃料の生産・消費に対して年間4780億ドル(約52兆円)の補助金が支出され、対前年比1040億ドル(約11兆円)の減額となった。②しかしOECD加盟経済とG20諸国を合わせた44経済でみると、化石燃料の生産に対する国家補助が2018年まで5か年連続して減少したにもかかわらず、2019年は一転して1割増加して、1780億ドル(約19兆円)に達した。③一方で42経済で実施されている最終消費者の購入価格を引き下げるための国家補助については、原油価格が世界的に下落したために、1200億ドル(約13兆円)減少した。④2020年も原油価格の継続的な下落とパンデミックによる経済活動の低下で、化石燃料の消費に対する国家補助は1800億ドル(約19兆円)と2007年に統計を取り始めて以来、最低の額に落ち込む予想。⑤原油価格が低迷している今こそ、国内の消費者に対する影響を最小限にして、消費補助金を撤廃する絶好の機会である。
      • 原文 June 5, 2020, OECD(長谷部正道)
    • 【5】IMO 2020: 低粘度のVLSFOの使用によるICUバルブの異常損耗等のおそれ
      • 【5】IMO 2020規制はこれまで大きな問題もなくスムーズに従来の重油燃料(HSFO)から低硫黄分燃料(VLSFO)への移行が進んでいるが、舶用技術企業のバルチラの技術者によれば、HSFOの粘度が380CSTなのに対して、VLSFOの平均粘度は100CSTと著しく低下したため、粘度の高い燃料油を使用することを前提として設計されている古い機関でVLSFOを使用し続けると、度重なる修繕や老朽化によって変形した高圧パイプから燃料が漏出する危険性が高まる。また、燃料噴射制御装置(ICU)のバルブシートが損耗して、ピストンの内径が小さい機関では始動しにくくなり、ピストンの内径が大きい機関では、燃料の噴射が最悪の場合制御できなくなり、排気温度上昇警報が頻発する。
      • 原文 June 9, 2020, Ship & Bunker(長谷部正道)
    • 【6】香港が制限なしで船員交代を認める
      • 【6】6月8日、香港政府は新たな規則を発表し、検疫も許可もなしに、自由に香港で船員交代を認めると発表した。具体的には、乗務が終了した船員は、香港停泊中は船内にとどまり、帰国するにあたっては、地元住民との接触を避けるため、船舶から直接空港に直行することが求められる。交代船員は、乗務する船舶が着岸してから香港に到着して、空港から船舶に直行することが求められる。船舶が到着するまで香港市内で待機する必要がある場合は、船社または代理店が宿泊施設を確保し、隔離生活を送り、船舶までの移動も船社等が手配しなくてはならない。
      • 原文 June 9, 2020, Splash 247(長谷部正道)
    • 【7】IMOとUNCTADが海運・港湾・国際貿易の活動維持で共同声明
      • 【7】6月8日、IMOとUNCTADの事務局長は海運・港湾・国際貿易の維持を各国政府に求め、両組織が協力していくことを内容とする共同声明を発表した。
      • 原文 June 8, 2020, IMO(長谷部正道)
    • 【8】政府の緩和対策から置き去りにされる教育現場
      • 【8】英国政府は、6月1日から段階的に小学校を再開させたものの社会的距離の確保が困難であるという理由から、夏休みに入るまでの今学期中に小学校を全面的に再開させるとしていた当初の計画を変更し、9月までの全面的な再開を目指すことを明らかにした。従来から学校の再開に対しては、生徒の親や教育現場などから生徒や教師の安全が確保できないとして時期尚早であるとの批判もあった。一方で今回の決定で約800万人の生徒が9月まで学校に通えないことになり、政府はテーマパークや商店の再開など経済対策を優先させ子供の教育は忘れ去られており、教育現場の再開にも同じようにもっと努力すべきであるとの批判の声が上がっている。

        ※6/8の英国の感染者数:1,205人(日本38人の32倍、緊急事態解除基準47人の26倍)
        ※6/8の英国の死者数:55人(日本0人)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 June 9, 2020, The Guardian(若林健一)
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