2020/06/01LROニュース(7)

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  • 2020.06.01 UP
    2020/06/01LROニュース(7)
    • 【1】 中国がタイ湾に面するカンボジアのKoh Rongに新たな拠点建設か?
      • 【1】カンボジアでは反中国感情が高まっている一方で、フン・セン政権は中国にDara Sakorの空港や港湾を建築させただけでなく、シアヌークビルの海軍基地の利用を認め、中国に取り入る姿勢を見せており、政権寄りのカンボジアや中国の投資家はシアヌークビルから近いKoh Rongで巨大リゾートの開発に動いている。しかし、開発計画では島を訪れる観光客の数と比べかなり多い6千人分の宿泊施設の整備や、すでにシアヌークビルに空港があるにも関わらず2,650mもの滑走路を有する空港の建設が含まれており、単にリゾート開発という説明は辻褄が合わない。また、地元住民が開発計画に反対しており島の大部分では開発が進んでおらず、交通の便も良いとは言えないこの島が本当に他の東南アジアの観光地の様になり得るのか疑問である。Koh Rongの北に位置するDara Sakorでも同様に理屈に合わないリゾート開発が行われ、中国による拠点化が進められているとの報道もある。Koh Rongはタイ湾に位置し、中国に対して慎重な姿勢のベトナムから100㎞の距離にあり、南シナ海での覇権拡大など戦略目的から見ても、中国が拠点化することに驚きはない。
      • 原文 May 27, 2020, Lowy Institute(若林健一)
    • 【2】 韓国輸出入銀行が造船業界への支援拡大を決定
      • 【2】韓国輸出入銀行は、当初造船業界に対し、3.8兆ウォン(約3300億円)の救援基金の設定を予定していたが、パンデミックの世界経済に与える影響が予想を超える規模となったため、基金総額を5.2兆ウォン(約4500億円)に引き上げることを決定したと5月27日発表した。輸出入銀行総裁は、発表に先立つ26日に造船業が集中立地する南東部の蔚山を訪問し、10の大手造船事業者とその協力企業の経営者と会談して、支援の在り方について意見交換を行った。現代重工業のCEOは総裁に対して、コロナによる経済危機は長期間継続することが予想されるとして、更なる資金繰り支援の強化について要請した。
      • 原文 May 27, 2020, Korea Times(長谷部正道)
    • 【3】 BIMCO: 船底の洗浄方法に関する国際基準の設定が必要
      • 【3】船舶が航行する際、水中で船底に生物が付着することによって、世界の他の生態系から侵略性の高い外来生物が持ち込まれ、地域の海洋生態系が破壊されるなどの危険性があり、また付着した生物は海水との摩擦を起こすため、燃費効率を最大35%低下させ、燃料費が嵩む、CO₂排出量が増えるなどの問題もある。こうした弊害を防ぎ、船底の清掃を安全かつ環境に配慮して行うには、清掃方法に関する国際基準の制定が不可欠である。BIMCOの環境担当責任者は、鉄鉱石運搬船や原油タンカーのような大型船舶はドライドックする機会が少なく、また船底清掃船上のためにドライドックが必要となると移動に莫大な追加費用がかかることから、船底の清掃は海中で実施できることが必須だとコメントしている。豪・NZ・米国のハワイ州やカリフォルニア州では既に同国(州)内の港に寄港する船舶へ入港前の船底清掃を義務付け(または義務付けを検討し)ているが、船底清掃に関する明確な国際基準がない限り、取り締まる港湾当局にとっても船主にとっても、どの企業に頼めば適正に船底を清掃してくれるのか、また清掃によって船底から除去された残滓等をどのように回収処理すればよいのかなどについて判断することができない。
      • 原文 May 26, 2020, BIMCO(植木エミリ)
    • 【4】 英国学識経験者の政策提言: 炭素中立を前提としたコロナからの経済復興
      • 【4】オックスフォード大学Smith School of Enterprise and the Environment (SSEE)が、英国の他の大学の教授とともに、英国政府の政策立案者に対し、コロナ経済復興政策は炭素中立社会を目指すべしとする政策提言を行ったところその概要は以下のとおり。①コロナ後の経済成長は、全ての国にとって最優先事項となるが、炭素中立社会への移行は経済の復興に大きく貢献する。②英国政府はCOP26の議長国として、各国の復興政策がパリ協定の目標や炭素中立社会とどの程度整合性があるか評価するための方法やガイダンスを示すことにより、指導力を発揮できる。③英国は炭素中立の建物・持続可能エネルギーの貯蔵施設・炭素を排出しない産業などの具体例を盛り込んだ復興策のパッケージを例示することによっても、指導力を示すことが出来る。④論理的で整合性の取れた対応を実施するために、気候変動緊急委員会や炭素中立実行委員会(Net Zero Delivery Body)の創設も検討すべきである。⑤金融面では、環境投資を専門とした新国立投資銀行を創設すれば、民間の環境投資の大幅な拡大を図ることができる。⑥「持続可能な復興のためのアライアンス」(SRA)を新たな柔軟な政府間組織として設立することによって、英国政府は他国が炭素中立政策パッケージを作成・実施するのを支援することができる。
      • 原文 May 4, 2020, SSEE(植木エミリ)
    • 【5】 ICS:コロナ関連の「船員の健康を守るためのガイダンス」を改訂
      • 【5】5月28日、国際海運会議所(ICS)は、3月3日に発表した「船員の健康を保護するための船舶運航者向けガイダンス」を改訂・発表したところその概要は以下のとおり。①船員がコロナウィルスとは関係のない脳卒中などの症状で、至急医療手当てが必要にもかかわらず、港湾管理者から、船舶の入港を拒否され、医療機関へのアクセスを4日間以上拒否されたというような懸念すべき報告が増えている。②船員に対する医療提供義務について港湾管理当局の注意を促すため、ICSは世界保健機関(WHO)・IMO・国際労働機関(ILO)と5月28日オンライン会合を開催して、今回改訂されたガイダンスについて話しあった。③各国政府と港湾管理者は改訂されたガイダンスに従って、安全で効率的な船員交代を可能にするとともに、治療が必要な船員が速やかに治療を受けられるよう担保すべきである。改訂されたガイダンス本文は下記リンクを参照。
      • 原文 May 28, 2020, ICS(長谷部正道)
    • 【6】 北極圏:山火事と永久凍土融解の影響で周辺河川の水質に変化
      • 【6】地球温暖化に伴い、山火事の発生件数は世界中で増加しているが、特に北極圏では、山火事と永久凍土の融解により河川の水質が大きく変化し、生態系と人類の両方に悪影響を及ぼす可能性がある。ニューハンプシャー大学の研究者達は、2016年から2018年の夏季(6月・7月)に中央シベリア高原で河川水の成分分析調査を行い、河川の栄養素と溶存有機物の濃度を比較したところ、水生生物の発達や成長に重要な栄養素である無機窒素が火災後10年間上昇したままだったことをNature’s Scientific Reportsに発表した。また主要なエネルギー源である溶存有機炭素(DOC)と溶存有機窒素(DON)の濃度は大幅に低下しており、こうした窒素の増加や炭素の減少といった火災の余波は最大50年続き、北極海に流れ込むエニセイ川等の周辺河川にも多大な影響を与えている。山火事の増加に伴い、河川に多くの窒素が流れ込むと、藻やバクテリアが大量に増殖し、河川水を飲料水や漁業に利用している周辺住民の健康にも害を及ぼす恐れがある。北極圏における山火事は、以前は100年に1度の頻度だったにもかかわらず、近年は毎年発生しており、北極圏での山火事や永久凍土の融解が頻度を増すにつれ、今後数十年で河川の水質が劇的に変わる可能性があると研究者は示唆している。
      • 原文 May 28, 2020, Phys.org(植木エミリ)
    • 【7】 英国統計局:イングランドで既に感染した人の割合は7%
      • 【7】英国統計局(ONS)が4月26日以降、イングランドの一般家庭を対象に885人の血液サンプルを調べた結果、既にコロナウィルスに感染した人の割合は約7%にとどまり、集団免疫の獲得までには程遠い状況であることが分かった。また、イングランドの9千世帯の1万9千人を対象に実施した別の調査結果によると、現在も13万3千がコロナウィルスに感染していると見られ、前回の調査結果から大きな変化がないことから、ONSはウィルスが比較的安定して存在し続けていることを意味するとしている。さらに、ONSはイングランドでの一日当たりの新規感染者数は、政府が発表している数値のおよそ4倍に当たる約8千人と見込んでおり、多くの感染者が軽症又は無症状のまま確認されずにいるとしている。この調査結果は、感染者に接する医療従事者や、在宅勤務ができない労働者ほど感染率が高いことも示している。
        ※5/28の英国の感染者数:1,887人(日本41人の46倍、緊急事態解除基準47人の40倍)
        ※5/28の英国の死者数:377人(日本9人の42倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 May 29, 2020, BBC(若林健一)
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