2020/05/25LROニュース(7)

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  • 2020.05.25 UP
    2020/05/25LROニュース(7)
    • 【1】ナイジェリアのバイエルサ州沖で貨物船が海賊の攻撃を受ける
      • 【1】5月20日、ナイジェリアのバイエルサ州の南西約136海里の海上を航行していたキプロス籍の貨物船が海賊による襲撃を受け、乗組員は全員シタデルに避難し、通報を受けたナイジェリア海軍が対応に当たっているとの報告があった。本件は今年に入りナイジェリアの排他的経済水域南部の境界線から内側約100海里以内で発生した5件目の襲撃事件であり、2019年には本件発生場所の50海里以内で4件発生している。過去3年間でみると、全体の発生件数は減少傾向にあるが、本件発生海域周辺では発生件数は増加している。
      • 原文 May 20, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【2】南シナ海: コロナウィルスの影響で国防費を減らすアジア諸国
      • 【2】コロナウィルスの影響により東南アジア諸国は国防費の削減に動いており、インドネシアは今年の国防費を約5億8千8百万ドル削減する意向を明らかにし、タイも既に5億5千5百万ドルの国防費を削減しており、マレーシア、ベトナム及びフィリピンも同様の対応を迫られている。国防費の削減は海上における巡視活動の弱体化を意味し、フィリピンは毎年米海軍及び豪海軍と合同で実施しているBaltikatan演習の中止を決定している。一方で、中国はここ数カ月において南シナ海での活動を活発化させており、また、南シナ海に新たな行政区を設定し自国の主張の既成事実化を図っている。昨年12月から今年1月にかけては、インドネシアのナトゥナ諸島沖北側の排他的経済水域内で中国漁船が巡視船の護衛を受けつつ漁業活動を実施し、インドネシア政府は外交ルートで抗議するとともに同海域での巡視活動の強化を指示しているが、国防費の削減によりこうした巡視活動の実施にも支障が出るものと思われる。さらに、2008年の世界経済危機の後、東南アジアにおける海賊事件の発生件数が25%増加したとの報告もあり、国防費の削減により事態悪化を招かないよう予算支出の優先事項については慎重な検討が求められる。
      • 原文 May 19, 2020, Lowy Institute(若林健一)
    • 【3】BIMCO等がコロナで勉強できない海事学生をオンライン教育で無料支援
      • 【3】BIMCOとInstitute of Chartered Shipbrokers (ICS)とOcean Technologies Group傘下のeLearning提供会社のVideotelは、パンデミック期間中、十分な学習機会が得られない世界中の海事学生に継続的な学習機会を与えるため、ICSのオンラインアカデミーのシステムを7月末まで無料で利用できるように開放した。eLearningの教材はBIMCOとVideotelがICSの試験のために開発した教材を使用する。ICSのオンラインアカデミーは今年の初めに開設され、既にナイジェリア・ケニア・シンガポール・タンザニア・英国・カナダの300人以上の学生が利用している。ICSのオンラインアカデミーはコンピューターからだけではなく、iOSやAndroidを利用した携帯やタブレットからでも利用できる。学習のためのプラットフォームは、インターネットの接続環境が悪い途上国の学生を念頭に設計されていて、学習コースをダウンロードした後はオフラインで学習でき、学習成果をインターネットを再接続したときに送れるようになっている。
      • 原文 May 20, 2020, BIMCO(長谷部正道)
    • 【4】英国港湾協会:コロナ経済復興計画を発表
      • 【4】5月20日、英国港湾協会(BPA)はコロナ経済復興計画を発表し、3つの政策を提言したところ、その概要は以下のとおり。①短期的な対策として、政府は港湾事業者の保有する債権の買い取りや事業資産に対する固定資産税(Business Rates)の支払いの繰り延べなどの方策によって、港湾への投資や資金繰りを支援すること。②政府はGreen Maritime Fundや英国インフラ銀行を創設することにより、長期的な環境政策に適合する港湾部門への投資を促進すること。BPAは、陸上から船舶に電力を供給する際の障害を克服する方法について近日中に提案を行う予定。③英国政府が進めている自由港構想については、既に示されている10港に限定することなく、港湾の後背地の製造業や物流施設に投資を行い、10港以外の港湾が構想から取り残されることが無いようにし、また政府は港湾計画や規制上の位置づけを見直して、港湾区域の範囲を再検討すべき。
      • 原文 May 20, 2020, 英国港湾協会(長谷部正道)
    • 【5】米政府がアラスカの新規LNG輸出事業を認可
      • 【5】5月21日、米連邦エネルギー規制委員会はAlaska Gasline Development Corp (AGDC)から申請されていた総額434億ドル(約4兆6700億円)のアラスカLNG輸出事業の建設・操業を許可した。AGDCは2016年から本事業を計画してきたが、事業継承者が現れなければ事業の資産を売却する意向と現地紙は報道している。同社は既にBPとExxon Mobilから事業開発の支援を受ける合意を取り付けているが、この2社は既にアラスカで大規模な石油事業を行うとともに、アラスカのNorth Slopeに多くの天然ガス資源があるのを確認しているが、昨年から操業を開始した事業から供給されているLNGで既に世界の市場は供給過多の状態になっており、新規事業の資金調達に不可欠な長期契約を得るのは難しい状況にある。過去数週間の欧州・アジア市場における天然ガスの価格は、コロナロックダウンによる消費需要の減退で、記録的なレベルまで暴落している。
      • 原文 May 21, 2020, Reuters(長谷部正道)
    • 【6】米海軍がペルシャ湾等で米海軍艦船から100m以上距離をとるよう警告
      • 【6】5月19日、米海軍はペルシャ湾を航行する船舶に対し米海軍艦船から100m以上距離をとり航行するよう警告し、これに従わない場合は脅威と見なされ正当な攻撃の対象として扱われる危険があるとした。これに先立ち先月、ペルシャ湾では11隻のイラン船舶が米海軍及び米沿岸警備隊の艦船に接近する事案が発生しており、米軍は危険で挑発的な行為であると非難するとともに米大統領も米艦船に嫌がらせを行うイラン船舶に対しては攻撃も辞さないと述べていた。これに対しイラン側も、ペルシャ湾で米艦船がイランに脅威を与えることがあれば攻撃すると反応している。バーレーンに基地を置く米中央海軍司令部は声明で、本警告は安全を強化し不明確な状況を最小限とすることで間違いが発生するリスクを減少させるための措置であると述べた。
      • 原文 May 19, 2020, Reuters(若林健一)
    • 【7】英国政府が新たに導入する検疫隔離措置の概要を発表
      • 【7】英国政府は以下のとおり新たに導入を計画している検疫隔離措置の概要を発表した。①検疫隔離措置は6月8日から導入し、3週間ごとに評価を行う。②英国人を含み英国への入国者は、入国に際し14日間の隔離措置を行う住所を報告しなければならず、従わない場合100ポンドの罰金が課される。③抜き打ちでの確認を実施し、違反者に対してはイングランドでは1000ポンドの罰金を課し、違反を繰り返す場合は起訴し、さらなる罰金を課すこともあり得る。④隔離場所までは車など公共交通機関以外の手段での移動が求められる⑤隔離措置を行う住所の報告ができない場合は政府が指定する宿泊施設において隔離を行う。⑥アイルランド、チャンネル諸島及びマン島からの入国者に加え、輸送関係者、コロナウィルスの治療に携わる医療従事者、農園での季節労働者は対象外とする。⑦感染者数が少ない国との行き来を可能とする「Air bridges」は初期段階では導入しない。
        ※5/21の英国の感染者数:2,615人
        (日本37人の71倍、緊急事態解除基準47人の56倍)
        ※5/21の英国の死者数:338人(日本6人の56倍)
        日本の緊急事態解除基準(直近1週間の新規感染者数の合計が人口10万人当たり0.5人以下)を英国(人口約6644万人)に適用した場合、1週間当たりの新規感染者数は332人、1日当たり約47人となる。
      • 原文 May 22, 2020, BBC(若林健一)
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