2020/04/24LROニュース(7)

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  • 2020.04.27 UP
    2020/04/24LROニュース(7)
    • 【1】 露政府がノルウェーによる露漁船の拿捕に抗議
      • 【1】北極圏のスヴァールバル諸島は、1920年のスヴァールバル条約でノルウェーの主権が認められたものの、露を含む協定当事国の国民は同諸島に居住し経済活動ができることとされており、露は何十年にもわたり、同諸島で石炭採掘会社を運営してきた。露は漁業についても同様の権利があると主張しているが、一方、ノルウェー政府は漁業資源保護の観点から規制を強化しており、これまでも2003年・2011年・2016年に露漁船を拿捕してきたが、4月2日にノルウェー沿岸警備隊が同国の漁業資源保護海域で露のトロール漁船を拿捕した。これに対し、4月17日、露外務省の報道官は、同海域の設定は同条約違反で違法であるとして、抗議の声明を発表した。当該漁船と乗組員が依然としてノルウェー当局に拘束されているかは不明だが、露外務省の声明をノルウェー外務省は今のところ黙殺している。
      • 原文 April 17, 2020, Reuters(長谷部正道)
    • 【2】 進歩が著しい海賊の装備と技術
      • 【2】2010年以前は、ギニア湾で発生する海賊事件は距岸30海里以内の沿岸部に限られていたが、近年、賊は母船を使用して活動範囲を拡張しただけでなく、小型艇についても堪航性や機能を発展させることで沿岸から100乃至120海里の距離までの活動を可能とした。また、技術面での進歩も著しく、3月にナイジェリア沖で発生した事案では、賊が長さ10mのアルミ製のはしごを高速で航行する小型艇から展張し、航行中の船舶に移乗を試みている。こうして賊はギニア湾において、違法乗船、乗っ取り、誘拐などの海上犯罪を行っているが、装備や技術の進歩を背景に今後以下の事態が懸念される。①航続距離が伸びたことにより、赤道ギニアのマラボ西方やナイジェリア南方の保安体制が脆弱な海域での活動が増加する。②経済不況により、警備乗船が行われない安価な錨地での錨泊船への襲撃が増加する。③移乗に使用する道具や手法の進歩により違法乗船の成功率が上がる。④ギニア湾を航行する船舶の護衛は、経済的な理由などから沿岸から100乃至120海里までの海域で行われており、これを超える海域での活動が懸念される。⑤組織化された犯行グループは西アフリカ沿岸にわたり情報網を発展させており、インターネットによる船舶追跡サービスの利用などにより、標的とする船舶の選定や襲撃が容易になる。⑥サイバー攻撃により、高価な品を運ぶコンテナに関する情報の漏洩や遠隔により船舶が乗っ取られる危険がある。
      • 原文 April 22, 2020, The Maritime Executive(若林健一)
    • 【3】 韓国政府が海運会社に対して10億ドルを緊急支援
      • 【3】4月23日、韓国海洋水産部は同国海運企業に対して総額1.25兆ウォン(約1090億円)の緊急支援を行うと発表した。うち、韓国の最大のコンテナ海運会社であるHMM(現代商船)には4700億ウォン(約409億円)が給付される予定。具体的には、韓国海洋振興公社(KOBC)が1000億ウォン(約87億円)をかけて、海運会社の資産額の95%にあたる劣後ローンを海運会社から購入し、さらに中小海運会社からは1000億ウォンの負債を直接買い上げ、従業員の給与を維持することを条件に海運会社が合併する場合にも1000億ウォンを支援する。
      • 原文 April 23,2020, Pulse(長谷部正道)
    • 【4】 ロスアトムとズヴェズダ造船所が世界最大の原子力砕氷船建造契約を締結
      • 【4】露国営の原子力企業で、北極海における原子力砕氷船の運航を担当するロスアトムが、今回同国のズヴェズダ造船所に発注した世界最大のLeader級の原子力砕氷船は、2基の原子炉を搭載し、それぞれ30 MWの推進力を持つ4枚のプロペラを駆動させ、同社の現有する最大の原子力砕氷船の2倍の推進力を持ち、最大4mの厚さの海氷を48mの幅で砕氷することが可能で、北極海北航路(NSR)東部の通年運航を可能とする能力を持つ。今回の契約では、1番船は2027年の就航を目指し、2番・3番船は2033年までの就航を予定している。しかし、現在同国で最大のArktika級の砕氷船の建造は、2013年から建造が始まり、2017年末までに就航する予定であったが、同国内で生産された蒸気タービンの問題が発見され、2年以上経過した現在でさえ、まだ1番船が就航していない状況であり、Leader級の1番船を2027年までに就航させる目的の実現は難しいのではないかという見方もある。
      • 原文 April 24, 2020, High North News(長谷部正道)
    • 【5】 USCG: 巡視船調達計画に関する議会事務局調査資料
      • 【5】米国沿岸警備隊(US Coast Guard:USCG)は、老朽化した90隻の巡視船艇の代替船として、バーソルフ型巡視船(National Security Cutters :NSCs)8隻、ヘリテージ型巡視船(Offshore Patrol Cutters :OPCs)25隻、センチネル型巡視船(Fast Response Cutters :FRCs)58隻の調達を計画しており、2021年度予算要求では5億9千7百万ドルを計上している。NSCsはUSCGが保有する最高の機能を有する最大の汎用型巡視船で、USCGはその調達計画で8隻の代替を必要としているが、議会は2020年度予算までに11隻目の調達に必要な予算を認めている。さらに、議会は2020年予算で、12隻目の調達に着手するため約1億ドルの予算を認めているが、2021年度予算要求でUSCGは12隻目の調達に必要な予算は要求せずに、新たな砕氷型巡視船の建造計画に充てる目的で同約1億ドルの予算のうち7千万ドルの取消しを提案している。OPCはNSCに比べ安価でいくつかの点においてNSCには劣るが、USCGはOPC及びNSCの調達はUSCGの調達計画の最優先事項であるとし、2021年度予算においては3隻目の調達と4隻目の調達に着手するために5億4千6百万ドルを要求している。FRCsはOPCsと比べかなり小型かつ安価で、2020年度予算までに60隻の調達に必要な予算を認めている。FRCsは国内での活動を目的に調達を計画しているが、60隻のうち4隻についてはペルシャ湾で使用される予定で、USCGの調達計画にある58隻には含まれていない。
      • 原文 April 15, 2020, 米国議会調査局(若林健一)
    • 【6】 北極海でのロシア・中国の進出に対抗する米国
      • 【6】米国政府が中国の影響力を排除すべくグリーンランドに対して首都ヌークに領事館を設置し1千2百万ドルを投資することを表明した一方で、4月23日ロシア企業2社が、ロシアの新たな北極海戦略の第一歩となる原子力砕氷船の建造について契約を締結したことを発表した。2027年までに1隻目が就役する計画で、さらにロシアは今後数年をかけて少なくとも13隻の大型船(9隻は原子力船)を含む数十隻の砕氷船の建造を計画している。中国も砕氷船の数で米国に匹敵すべく努力を続け、現在2隻の砕氷船を有する。国内で建造したのは1隻のみだが、中国は将来的に原子力砕氷船を保有したい意向を明らかにしている。これに対し米国が現有する砕氷船は大型船1隻及び中型船1隻のみであり、いずれも1970年代に建造され老朽化が進んでいることから、米国沿岸警備隊は今後数年をかけ6隻の砕氷船を建造する計画で、2020年度予算として5億5千5百万ドルを要求しているが、1隻目の就役は2024年以降になる予定である。
      • 原文 April 23, 2020, Breaking Defense(若林健一)
    • 【7】 英国における死者数、実は4万人を超えている?
      • 【7】英国政府の発表によると、4月23日時点の英国国内の新型コロナウィルス感染者数の累計は前日から4,583人(422人)増えて138,078人(11,919人)、前日からの死者数は638人(10人)で死者数の累計は18,738人(287人)となった。政府が公表しているコロナウィルス感染による死者数は病院で死亡した人の数のみを計上しているが、英国統計局が公表したデータによると、4月10日までの1週間でイングランド及びウェールズで死亡した人の総数は18,516人で例年と比べ75%増となっている。Financial Times紙がこの結果を用いて推計したところ、英国全体で4月21日までにコロナウィルスが原因で死亡した人の数は41,102人という結果となり、政府が公表している死者数の倍以上となった。
        ※括弧の数値は厚生労働省発表による日本国内の4月23日正午時点の発生状況
      • 原文 April 22, 2020, Independent(若林健一)
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