2020/04/22LROニュース(7)

NEWS


※LROニュースの内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、2次使用の際はLROニュースからの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

トップページ > LROニュース > 2020/04/22LROニュース(7)

記事アーカイブ

  • 2020.04.23 UP
    2020/04/22LROニュース(7)
    • 【1】英国のコロナ対策法令が海運に与える影響
      • 【1】英国のコロナ対策法(Coronavirus Act 2020)と健康保護規則(Health Protection Restrictions 2020)が海運活動に与える影響は以下のとおり。①国務大臣は、コロナウィルスの影響で、入国管理にあたる職員の数が不足し、適切な国境管理ができないと判断したときは、英国内の港湾・空港の運用を全部または一部、暫定的に停止することを命令できる(法第20条)。一時運用停止命令は対象となる港湾名・運用停止になる機能と期間を特定しなくてはならず、運用暫定停止期間も12時間を超えてはならない。(12時間を超える場合には改めて命令を出す必要がある。)②規則により、原則として人々の移動・外出は大幅に規制されるが、船員の交替に関しては、英国の海事大臣がILOとIMOの事務局長に対する返書の中で、「全ての国家と世界経済のため、サプライチェーンを維持することが重要で、船舶と船員の移動の自由は制限されるべきではない。」としているので、英国政府の現実的な対応が期待される。
      • 原文 April 17, 2020, HFW(長谷部正道)
    • 【2】EMSA: 2019年に実施した油濁汚染防止訓練に関する年次報告書
      • 【2】欧州海上保安機関(European Maritime Safety Agency:EMSA)は3月16日、2019年に実施した油濁汚染防止訓練に関する年次報告書を公表したがその概要は以下のとおり。①EU加盟国の油濁汚染防止を支援するために、EMSAは、事業者との契約により、油防除対応船のネットワークの提供、防除資機材の支援(EAS)や油処理剤の備蓄などの幅広い油濁防除サービス(PRS)を運用している。②2019年末時点で、16隻の油防除対応船を準備し、6カ所に油処理剤を、3カ所にEAS用の資機材を備蓄している。③各PRSについてEMSAが要求する油防除対応能力のレベルを維持するために、定期的な訓練・研修、資機材の機能試験(ETCs)や運用訓練を実施し、EMSAは訓練中に契約事業者の能力評価を行っている。④油濁事故の支援に加え、EMSAは、2009年以降MAR-ICEネットワークを通じて、加盟国が有害危険物質(HNS)による事故に対する専門家のアドバイスを得られるよう支援しており、加盟国向けのMAR-ICEに関する訓練も毎年実施している。⑤2019年は、定四半期ごとの定期訓練が66回、新規契約の油防除対応船などに対する訓練が6回、資機材の機能試験及び運用訓練が22回実施され、PRSが効率的に提供され加盟国が期待するレベルにあることが確認された。
      • 原文 March 20, 2020, EMSA(若林健一)
    • 【3】米海軍:USS(強襲揚陸艦)アメリカを南シナ海に派遣
      • 【3】4月16日マレーシア海上法令執行庁は、中国の海洋調査船がマレーシアの排他的経済水域に侵入したことから動静を監視していることを認め、米国も中国に対し挑発的な振る舞いを止めるよう警告していたが、米海軍は強襲揚陸艦アメリカを南シナ海に派遣したことを明らかにした。中国は、東マレーシアの沖合約200海里で海洋調査船及び巡視船を活動させているが、この海域は海底資源が豊富であると考えられており、マレーシア、ベトナム及び中国が管轄を主張しており、マレーシアの国営石油会社が昨年10月に資源探査を開始して以来、中国は巡視船などを派遣している。また、中国の巡視船はマレーシアの排他的経済水域内にあるルコニア礁やマレーシアの石油掘削施設付近にも継続的に現れており、中国は今回の活動に関しても正当性を主張している。
      • 原文 April 21. Pakistan Defense(若林健一)
    • 【4】インド政府が船員交代規制を緩和
      • 【4】インド内務省はコロナウィルス感染防止のためのロックダウンの緩和措置の一環として、コロナウィルス感染確認テストを受けることを条件にインドの港湾においてインド人船員の交替を認める標準運用手順(Standard Operating Procedures: SOP)を発表した。発表されたSOPによれば、インドの港湾に入港する船舶(内航船を含む)の船長は、乗組員が感染テストを受ける前に、各乗組員の健康状態と体温の変化を記したチャートの提出を求められる。テストの結果、陽性反応が出た船員については、保健・家族福祉省が定める手続きに従い隔離され、陰性反応が出た船員については通行証が発給される。同様に交代して乗務する船員も、感染テストを受けたうえで、陰性の場合のみ乗船が許可される。なお、海運省は国営港湾のターミナルオペレーターに対して、オペレーターが4月から6月の間、国に支払うべき港湾使用料等につき、無利子で支払いの繰り延べを認める救済策を発表した。
      • 原文 April 22, 2020, Splash 247(長谷部正道)
    • 【5】世界の海洋の3月の海水温が記録的高温となり自然災害の恐れが高まる
      • 【5】米国海洋大気庁(NOAA)の国立環境情報センター(NCEI)の発表によると、大西洋、太平洋、インド洋の多くの観測地域で、3月の海水温が記録的な高温となった。このような海水温の上昇は、大西洋の強大なハリケーンや、アマゾンからオーストラリアまで拡大した山火事の発生メカニズムの解明、米国南部を襲った記録的な猛暑と激しい雷雨が今後も継続するかを判断する手掛かりとなりうる。メキシコ湾の海水温は24.6℃で、長期的な海水温の平均記録を0.9℃上回っており、海水温がこのまま高く留まれば、この夏の暴風雨を激化させる恐れがある。海水温だけではなく、沿岸の気温も上昇しており、フロリダ州では史上最も暑い3月となり、気温は平年より5.6℃も高い34℃に達した。世界全体で見ても、この3月は1880年以降の史上二番目に高い海水温を記録した。米コロラド州による2020年のハリケーン予測では、2020年の夏には大西洋で8つのハリケーンが発生し、その内少なくとも一つが上陸すると予想している。
      • 原文 April 20, 2020, Time(植木エミリ)
    • 【6】パリ協定の目標を達成しても2050年以前に北極海の海氷が夏は消滅
      • 【6】独ハンブルク大学の科学者達が、GHG排出量削減のレベルに応じて北極海の海氷が今後どのように変化していくかを国連気候変動枠組条約事務局が使用したモデルを利用して予測した研究によると、仮にパリ協定で合意されたGHG排出削減目標を達成し、気温の上昇を産業革命以前から2℃以下に抑えたとしても、北極海の海氷の減少は続き、2050年以前に北極海の海氷が夏季には消滅してしまう年が出現する可能性が高いことが判明した。北極海の海氷が融解する頻度は、GHG排出削減量に依存し、もし排出量が高いまま推移すれば、ほとんどの年の夏には北極海の海氷が消滅すると推測している。北極海の海氷が減少・消滅すれば、世界の海水位上昇に寄与するだけでなく、ホッキョクグマやアザラシといった北極の生物の貴重な生息地も失われることになる。
      • 原文 April 21, 2020, Daily Mail(植木エミリ)
    • 【7】ロンドンでの一週間の死者数が平年の約3倍に達し44年ぶりに最多を更新
      • 【7】英国政府の発表によると、4月21日時点の英国国内の新型コロナウィルス感染者数の累計は前日から4,301人(363人)増えて129,044人(11,119人)、前日からの死者数は828人(15人)で死者数の累計は17,337人(186人)となった。英国統計局のデータによると、4月10日までの1週間にロンドンで死亡した人の数は、新型コロナウィルス感染拡大の影響により2,832人に達し1976年2月以来最多を更新した。通常この時期の死者数はインフルエンザが流行する冬期に比べ大きく減少するが、過去5年間の同じ1週間の平均と比べても3倍近くに及んでいる。亡くなった2,832人のうち何名が新型コロナウィルスが原因によるものか詳細は明らかでないが、英国全体で見た場合には死者数の4分の3以上が新型コロナウィルスが原因によるものとされている。
        ※括弧の数値は厚生労働省発表による日本国内の4月21日正午時点の発生状況
      • 原文 April 21, 2020, BBC(若林健一)
  • 資料閲覧 その他