2020/04/06LROニュース(7)

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  • 2020.04.07 UP
    2020/04/06LROニュース(7)
    • 【1】コロナウィルス:欧州委員会が現代・大宇の合併審査を停止
      • 【1】世界最大の造船グループの現代重工業が18億ドル(約1950憶円)で同国の大宇造船海洋を買収する合併案については、合併後の世界シェアが21%に達し、船価を押し上げる可能性があることや、両社の主要商品である大型コンテナ船・LNG/LPG運搬船については欧州の船社が主要顧客であることから、欧州委員会は慎重に調査を進めてきた。しかし、欧州員会競争当局は、今般のコロナウィルスの影響によって、両社に提出を命じていた追加情報の提出が遅れることはやむを得ないとして、4月1日付で、調査を停止し、両社から追加資料が提出されるのを待って調査を再開すると発表した。これに伴い、競争当局が本件につき判断を下す期限も、調査中断期間に応じて延長されることとなる。
      • 原文 April 6, 2020, Reuters(長谷部正道)
    • 【2】コロナウィルス: 米インド太平洋艦隊の打撃が中国にとってチャンス
      • 【2】米国における新型コロナウィルス感染が米軍兵士にも広がりを見せており、特に南シナ海などを含む広大な海域を管轄するインド太平洋艦隊においては空母において感染が拡大するなど深刻な影響がでている。また、国内における感染者や死者の増加に対応するため米大統領は、米軍の人員や資材を国内における感染拡大防止に充てるよう国防省に要請しており、これらの影響により中国に対するプレゼンスを念頭に置いたアジアの同盟国との合同訓練などの実施が困難な状況となっている。他国より早期に感染拡大が終息したことにより、中国海軍は現在太平洋における活動を活発化させており、この数週間において南シナ海における軍事訓練、人工島の軍事拠点化、民間漁船の配備などの強化に乗り出している。米軍による航行の自由作戦(freedom of navigation operations)が実施されなければ、フィリピン、マレーシア、ベトナム、インドネシアといった南シナ海における管轄を主張する国々に対して、中国が巡視船や民間漁船などを使用して嫌がらせをより強化することも懸念される。
      • 原文 April 3, 2020, Asia Times(若林健一)
    • 【3】コロナウィルス:シンガポールMPAが海事関係事業を封鎖から除外
      • 【3】4月3日、シンガポール保険省は「COVID-19蔓延防止のための追加的対策」を発表して、基本的なサービス事業と国際物流網の一角を担う企業を除いて、テレワーク以外の企業活動を4月7日から5月4日まで禁止すると発表した。これを受けて海事港湾庁は海運は基幹となる経済活動であり、世界の物流チェーンの重要な一角を担うシンガポール港は引き続き運用を続け、船舶燃料や船舶貯蔵品の補給を含む基幹海事サービスは活動停止の例外とするとして、具体的には以下の事業を例外とすると発表した。①定期船を含む海運事業②船舶管理・船舶代理業務等の海運関連事業③船級業務・水先/曳船業務など船舶の安全運航に関する業務④港湾/ターミナルの運営/建設業務⑤船舶雑貨商・船舶燃料供給事業等の港湾海事付帯事業。
      • 原文 April 3, 2020, MPA(長谷部正道)
    • 【4】コロナウィルス:新規造船契約が急減
      • 【4】海運需要の激減と将来的な環境規制の不透明性によって、新規造船需要が激減している。また、原油価格の暴落を受けて、低硫黄分規制適合燃料油の価格も従来の重油燃料価格のほぼ半分の水準となっているため、燃料効率の悪い船齢の高い船舶をスクラップに回さずにそのまま使い続けようとする船主が増えている。このため、過去30日間に船舶解体に回された船舶は3隻のみで、用船市場でも割高な燃油効率の良い新しい船舶やスクラバー装着船への引き合いがなくなっている。コロナウィルスが発生する前には、大手コンテナ船社は競って大型化を進め、今後数年で76隻のULCVが竣工し、150万TEU分の船腹量が追加される予定であったが、コロナウィルス禍が発生して以降は、こうした船社は引き渡しを遅らせることができる契約条項を援用して、新規大型船の投入を1年以上ずらそうと努力している。
      • 原文 April 6, 2020, The Loadstar(長谷部正道)
    • 【5】セイシェルが債務再編手法を活用してEEZの3割を海洋保護区に指定
      • 【5】3月26日、セイシェル政府は米国の慈善団体The Nature Conservancyによる債務再編手法を利用して、新たに13の海洋保護区を追加指定し、同国のEEZの3割を超える41万㎢を海洋保護区(Marine Protect Area: MPA)に指定した。同政府は2016年にThe Nature Conservancyと海洋保全の分野では世界初となる「自然保護のための債務再編(debt-for-conservation)」協定を締結しており、同団体が調達した資金を基に、同国の債務2160万ドル(約2億3500万円)分を割引価格で買い戻す条件として、MPAの拡充に合意していた。政府が返済した債務はセイシェル自然保護・気候変動対応基金に支払われ、基金の一定額は海洋保護や気候変動対応策の準備、MPAの管理運営に使用される。MPAの内、ガラパゴス諸島と同様に生物の進化の過程を観察できるグループ・アルダブラを含む15%の海域は高生物多様性ゾーン(high biodiversity zones)に更に指定され、全ての漁業活動は禁止または高度の制限を受けることとなる。
      • 原文 March 26, 2020, The Nature Conservancy(植木エミリ)
    • 【6】コロナウィルス:IMOがSOLAS II-1/3-10の柔軟な適用を求める
      • 【6】4月3日、IMOは回章(Circular Letter No 4204)を発出し、7月1日以降に引き渡される一定のタンカー・ばら積み船から適用されることとなっているSOLAS regulation II-1/3-10(タンカーとばら積み貨物船に適用される目標志向型新造船構造基準(GBS))の適用について、中国と国際船級協会連合(IACS)がMSC102に提出した共同提案(MSC/102/7/5)を受け、今回のコロナウィルスの影響で生じる船舶引渡しの遅延を「予期せぬ理由による船舶引渡しの遅延(unforeseen delay in delivery of ships)」とみなして、7月1日以前に引き渡されることを前提として建造されていたSOLAS regulation II-1/3-10の基準を満たさない船舶が、コロナウィルス禍の影響で7月1日以降に引き渡されることになっても、各当局(The Admiration)が、SOLAS regulation II-1/3-10の適用についてケースバイケースベースで柔軟な取り扱いをすることを求めた。
      • 原文 April 3, 2020, IMO(長谷部正道)
    • 【7】新規感染者数は減少傾向を示すも死者数は今後さらに増加する見込み
      • 【7】英国政府の発表によると、4月5日時点の英国国内のこれまでの新型コロナウィルス感染者数は、前日から5,903人(318人)増加して47,806人(2,935人)となり、前日からの死者数は621人(6人)で、これまでの死者数は4,934人(69人)となった。英国政府が外出禁止措置を発表してから2週間が経過し、新たな感染者や入院者の増加は緩やかな減少傾向を示し始めたが、死者数については過去3週間において3.5日ごとに倍増しており、今後数日はさらに記録的な増加を示すと見られ、今週後半には1日2千人に達するとの分析もある。5日午後8時には、クリスマススピーチを除き2002年以来となるエリザベス女王のビデオメッセージが放送され、最前線で対応する医療従事者に謝意を表すとともに、新型コロナウィルスに打ち勝つために団結を呼びかけた。
        ※括弧内の数値は厚生労働省発表による日本国内の4月4日正午時点の発生状況
      • 原文 April 06, 2020, BBC(若林健一)
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