2020/04/02LROニュース(7)

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  • 2020.04.03 UP
    2020/04/02LROニュース(7)
    • 【1】 北極上空の寒冷化の影響で北極上空に巨大なオゾンホールが出現
      • 【1】 NASAが観測した北極上空のオゾンホールは、3月初旬から広がり続け、カナダ北東のハドソン湾からロシアの北極諸島まで及ぶ巨大なものとなった。オゾンホールは空気の寒冷化によって生じ、周囲を海に囲まれている南極上空では毎年春季に観測されていた。一方山脈の多い大陸に囲まれている北極では、通常南極のような極端な急冷化は起こらないが、2020年の冬から春にかけては、北極の成層圏に強い極渦(polar vortex)が発生し、冷気が広範囲にわたって留まり続けたため、北極海上空が過去40年間で最も冷却化され、巨大なオゾンホールが形成された。北極付近の観測所の測定によると、オゾン層が9割失われた記録上最大の北極オゾンホールとなった。北極のオゾン層は今後、大気が温まることで自然と修復していくと見込まれており、オゾンホールは南下する可能性もあるが、衛星で監視可能のため、紫外線警報を出すような事態には至らないと考えられる。またオゾン層を破壊するフロン類(CFCs)の製造はモントリオール議定書によって禁止されているため、人為的要因による巨大なオゾンホールの発生も考えにくいと科学者は見ている。
      • 原文 March 30, 2020, Newsweek(植木エミリ)
    • 【2】 日本の上積み無しのGHG削減計画が世界へ誤った信号を送る
      • 【2】 (論説)2020年はパリ協定加盟国がGHG目標を更新する年となっており、経済大国がどのような削減目標の見直しを行うか世界中が注目する中、日本は3月30日、世界の経済大国の中では最初に新たな削減計画を国連に提出した。しかし目標は従来と全く変わらず、GHG排出量を2013年比26%削減で据え置くものだった。日本は現在世界第5位のGHG排出国であり、日本のGHG削減に対する取り組みは、気候変動の影響を防ぐうえで非常に重要なものであると同時に、全世界の取り組みへ与える影響も大きいだけに、日本がGHG削減を強化しない計画を提出したことは、世界全体で気候変動対策に取り組まなくてはならないこの重要な局面において、国際社会に対し、GHGの削減を強化しなくても良いという間違ったメッセージを送り、世界全体の取り組みを誤った軌道に乗せるものである。パンデミックによる経済的危機が各国の目標にどう影響するか注目されるが、世界的な削減目標について話し合われるCOP26の前に各国から目標が提出されることが望ましいものの、条約上は2020年末までに改訂目標を提出すればよいことになっている。
      • 原文 April 1, 2020, New York Times(植木エミリ)
    • 【3】 コロナウィルス:USCGが「海事重要インフラに不可欠な労働者」の範囲を発表
      • 【3】 3月27日、USCGは海上安全情報(11-20)を発表して、コロナウィルス対策に関連して、米国国土安全保障省(DHS)のサイバーセキュリティ・インフラ保安庁(CISA)が3月19日に公表した「重要インフラに不可欠な労働者」のリストを基にして、「海事重要インフラに不可欠な労働者(Essential Maritime Critical Infrastructure Workers)」のリストを発表した。船員、連邦・州の水先人、港湾荷役労働者、船員福祉労働団体の代表、設計技師、造船所の労働者、海事コンサルタント、海事サーベイヤー、船級協会等のサーベイヤー、船主、船舶運航会社・船舶代理店の職員など広範な範囲の海事関係者が網羅的にリストアップされている。
      • 原文 March 27, 2020, USCG(長谷部正道)
    • 【4】 コロナウィルス:物流混乱の第2波に備える中国の港湾・海運関係者
      • 【4】 3月に入ってからは、中国国内ではコロナウィルスの感染が散発的にしか見られなくなり、労働者たちは港湾や工場などの職場に戻り、中国国内のコロナウィルスの蔓延で滞っていた物流の回復に注力していたが、中国以外の諸外国でコロナウィルスが猛威を振るい、諸外国の物流が混乱しているため、中国の輸出事業者は中国で製造・輸出される製品の量が激減することを予測している。中国の輸出量は中国国内の混乱の影響を受けて、1月から2か月にかけて、対前年比17.2%減少し、3月には一転して回復に転じたものの、第2四半期は対前年比約3割の減少が予測されている。中国の港湾は依然として年初の滞貨解消が続いているため、世界貿易の縮小が港湾・海運の統計に正確に反映されるまでには時間がかかるが、上海海運取引所によれば、中国発北米・欧州向けのコンテナ船のロードファクターは3月末には85%と前週から既に10%も低下した。コンテナ輸送運賃も欧州向けで3.1%、米西岸向けで2.2%下落が始まった。
      • 原文 April 1, 2020, Reuters(長谷部正道)
    • 【5】 コロナウィルス:メルボルン港の港湾労働者が荷役拒否
      • 【5】 オーストラリアでは中国本土・韓国・イタリア・イランから同国の港湾に入港する船舶は、出港後14日間の検疫期間が必要とされているが、3月13日に中国本土を出港し、台湾の高雄港を経由して3月31日にメルボルンのDP Worldが管理するドックに着岸した中国のコンテナ船に対して、港湾労働者が必要な14日間の検疫期間を経ていないとして荷役作業を拒否したため、62人の港湾労働者がDP Worldから職を解かれたため、DP Worldと豪船員労組との間の係争となっている。同船にはコロナウィルス対策のために医療従事者が必要とする医薬品やマスク等が積載されているため、紛争解決のために、政府の早期の介入が求められている。同労組は14日間の検疫期間は全ての外国から豪に入港する船舶に適用されるべきであり、コロナウィルスの感染阻止のために立ち上がった港湾労働者の職を解くことは不当であるとしている。
      • 原文 April 1, 2020, The Age(長谷部正道)
    • 【6】 コロナウィルス: コンテナ船社が喜望峰周りのルートを検討へ
      • 【6】 コロナウィルスによって欧州諸国が封鎖された影響で、アジアから欧州向けの定期船貨物輸送量が急減しており、コンテナ船各社はコンテナ船の暫定運航停止(hot laying up)や減速運航などの対策を検討している。こうした状況下で、アジアから欧州までスエズ運河を通過せずに、喜望峰を回るルートをとると運航距離が3100海里増え、所要航海日数も約1週間余計にかかるが、最近の船舶燃料油の価格の下落を踏まえると、海運会社にとっては大きなコスト削減となり、過剰輸送能力を吸収することもできるので、多くのコンテナ船社がアジアから欧州向けのコンテナ船の運航ルート変更を検討している。
      • 原文 April 2, 2020, Splash 247(長谷部正道)
    • 【7】 感染者が3万人を突破、医師は生死を分ける厳しい選択を迫られる
      • 【7】 英国政府の発表によると、4月2日時点の英国国内のこれまでの新型コロナウィルス感染者数は、前日から4,244人(276人)増加して33,718人(2,771人)となり3万人を突破し、前日からの死者数は569人(4人)となり連日で500人を超え、これまでの死者数は2,921人(73人)となった。国民健康サービス(NHS)は体制強化のための努力を続け、政府も数千台の人工呼吸器を新たに導入するよう指示を出しているが、増加する感染者に追い付いていない状況である。英国医師会は、医師が対応能力の限界を理由に生死を分ける決定を下さなければならない機会がより多くなるとして、現場第一線で活動する医師に対して、どの患者を優先するべきかについての倫理に関す手引書を発出している。
        ※括弧内の数値は日本国内における4月2日時点の数値
      • 原文 April 02, 2020, BBC(若林健一)
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