2020/03/31LROニュース(7)

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  • 2020.04.01 UP
    2020/03/31LROニュース(7)
    • 【1】 コロナウィルス: インド・パキスタンの船舶解体場が機能停止状態
      • 【1】 コロナウィルスに伴う南アジア諸国の封鎖措置によって、船舶解体事業が機能不全状況に追い込まれている。具体的には、パキスタン政府はガダニの全ての船舶解体場を3月23日から少なくても4週間閉鎖することを事業者に命じた。インド政府も3月13日以降、アランに向かって解体のために出港した船舶がアランに到着することを拒否している。13日以前に出港した船の到着は認められるが、外国人船員については入港時に14日間の検疫期間が要求されている。アラン港の管理者が既に該当する船舶の停泊許可を拒否しているため、数隻の船がアラン港に入港できずに沖待ちしている状況にある。インド人船員が乗船している船であっても入港許可が出る前に、厳格な健康検査等を受ける必要がある。従って、現在船舶解体作業が継続されているのはバングラデシュのみであり、トルコもインド・パキスタンに追随して、船舶解体作業を禁止する見込みで既にアリアガ港への入港を拒否される船舶が出ている。
      • 原文 March 30, 2020, World Maritime News(長谷部正道)
    • 【2】 ロシア政府がCO₂排出削減へ小さな一歩を踏み出す
      • 【2】 ロシア連邦経済発展省は3月23日、長年の国際的なCO₂排出削減圧力を受け、初めて今後30年にわたる長期的な低炭素移行画を発表した。計画では、旧ソ連時代の最も重工業が盛んでCO₂排出量が多かった1990年代と比べて、2030年までに排出量を1/3削減するとしているが、現在のロシアのCO₂排出量は1990年実績の2/3以下のため、実際には2030年まで現在のCO₂排出量を削減する必要はなく、むしろ増やすことができる計画となっている。同計画を発表した経済発展省によれば、同国のCO₂排出量は2030年までに、土地利用と林業を含め、1990年の排出量である31億1千万トンの67%にあたる20億8千万トンに達する予定で、2050年までに排出量は微減して19億9千万トンと、1990年実績比64%となると見込まれている。現在ロシア政府がパリ協定で約束している目標(NDC)は、2030年のCO₂排出量が1990年実績比75%の23億3千万トンなので、現在の目標よりは改善することとなる。
      • 原文 March 27, 2020, Bellona(植木エミリ)
    • 【3】 ノヴァテク:ノルウェー沖でのタンカー間積み替え輸送を再開
      • 【3】 ヤマルLNG事業の生産量の拡大に予定されていた砕氷LNGタンカーの建造が間に合わなかったため、限られた高価な砕氷LNGタンカーの利用効率を上げるため、ノヴァテクはノルウェーのTschudi海運の協力を得て、ノルウェーのホニングスボークで、ノヴァテクの砕氷LNGタンカーからTschudi社の通常のLNGタンカーに、船舶(ship-to-ship)間で積み替える輸送を、2018年11月から2019年6月までの間に123回実施し、900万トン以上のLNGの輸送を実施した。しかし、米国は現状でも欧州諸国はロシアから多量に輸入する天然ガスに過度に依存しているのに、さらに欧州諸国のロシアへの過度のエネルギー依存を高めることにノルウェーが手を貸すことは生産的ではないと強く批判した。ノヴァテク自体も、ノルウェー領海内でのタンカー間の積み替え輸送はあくまで暫定的な措置で、ムルマンスクに近いロシア領海内のキリジン島沖で積み替えを行うと表明していたが、Tschudi社はこのほど、自社船員に対し、3月22日から5月15日までの間ホニングスボークにおける積み替え輸送を再開すると通知した。但し、積み替え輸送の期間も規模も昨年に比べれば小規模となる見込み。
      • 原文 March 31, 2020, High North News(長谷部正道)
    • 【4】 カーボンプライシングに関する欧州議会議員説明資料
      • 【4】 欧州議会事務局が作成したカーボンプライシングに関する議員説明資料の概要は以下のとおり。①カーボンプライシングを含む気候変動対策を強化すべきことについては広くコンセンサスができている。②世界中で既にいくつかの国が、様々な対象範囲で既にカーボンプライシングを導入または導入を計画している。③カーボンプライジングの方法は、大きく分けて排出権取引制度と炭素課税制度の二つが挙げられる。カーボンプライシングを導入した国、あるいは導入を検討している国の数は増えつつあるが、全体的に見れば依然として少数に留まっている。④現在EUで最も懸念されているのは、GHG排出規制が厳しい国からGHG排出規制の緩い国へ製造業や投資などの経済活動が移転する炭素リーケージ(carbon leakage)の問題である。
      • 原文 March 30, 2020, 欧州議会(植木エミリ)
    • 【5】 コロナ:キプロス政府がトン税や年間船舶登録料の支払い期限を繰り延べ
      • 【5】 キプロス政府海運省は、コロナウィルスに対する同国の海運会社と同国籍船の船主に対する救済策として、キプロス籍船のトン数標準税と年間船舶登録料の支払い期限を3月31日から5月31日に2か月繰り延べると発表した。同省の副大臣によれば、現在のところ同国籍船が検疫措置などにより隔離された例はないが、コロナウィルス防止対策の影響で貨物の配送や乗組員の交代に若干の遅れが生じている。キプロスにおける海事クラスターの経済規模はGDPの約7%をしめ、政府は同国籍船の国際競争力の維持に努めており、先日、同国のトン数標準税制を2030年まで延長することについて欧州委員会から承認を受けたほか、ハイブリッド・電動船舶に対する登録料の3割割引などの新たな税制の導入についても検討している。また、キプロス籍船がパリと東京MoUにおいてホワイトリストに残れるよう同国籍船に対する立ち入り検査件数を2019年には14%増やしている。
      • 原文 March 29, 2020, Financial Mirror(長谷部正道)
    • 【6】 EMSA: 2014年から2019年の海難事故に関する暫定年間報告書
      • 【6】 欧州海上保安機関(European Maritime Safety Agency:EMSA)は3月31日に、2014年から2019年にかけての海難事故に関する暫定年間報告書を公表したがその概要は以下のとおり。①過去6年間の平均と比べ、2019年は全体の事故件数が2,904件で9%減少、死者の数は49人で40%減少、負傷者の数は917人で10%減少した。②2019年の船舶ごとの事故件数については、旅客船は横ばいである一方で、他の船種にあっては減少傾向にあり、特に貨物船の事故件数は前年度比で18%減少している。③2014年から2019年までの船舶事故の原因のほぼ半数が、衝突、乗揚げなど航海に起因する事故である。④海難事故の約3分の1は船舶が関係しない人身事故で、躓きや転倒による事故がその35%を占めている。⑤2014年から2019年の間に行方不明となった船舶の約57%が漁船である。⑥過去6年間で約800件の事故調査が着手され、このうち627件の調査が既に完了しており、その結果は1,780件に及ぶ安全ガイドラインの発出に活用されている。
      • 原文 March 31, 2020, EMSA(若林健一)
    • 【7】 英国政府中枢で感染者相次ぐ
      • 【7】 英国政府の発表によると、3月30日時点の英国国内のこれまでの新型コロナウィルス感染者数は、前日から2,619人(87人)増加して22,141人(1,953人)、死者数は前日から180人(2人)増加して1,408人(56人)となっている。英国政府は30日、ジョンソン首相の上級顧問を務めるドミニク・カミングス氏が新型コロナウィルスに感染し自主隔離の措置をとっていると公表した。27日にはジョンソン首相及び保健・社会福祉相の感染が確認されたほか、首席医務官やスコットランド相も感染の疑いがあることから自主隔離措置をとっているなど、政権中枢において感染の拡大が続いている。
        ※括弧内の数値は厚生労働省発表の日本国内における31日正午時点の数値
      • 原文 March 30, 2020, Independent(若林健一)
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