2020/03/06LROニュース(6)

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  • 2020.03.09 UP
    2020/03/06LROニュース(6)
    • 【1】 露が毎年北極点に近い氷上基地を建設した資材を北極海に大量投棄
      • 【1】 2000年から毎年、ロシアは北極点に近い北緯89度の北極海の氷上にBarneo氷上基地を建設する。ヘリコプターで飛行機が離発着できるのに必要な地点を確定したうえで、輸送機から飛行場建設に必要なブルドーザーや給油に必要な燃料等をパラシュート投下して、ブルドーザーで氷上の雪を鳴らして滑走路を建設する。滑走路が完成すると、ノルウェーのスヴァールバル諸島にある民航機が利用できる地球最北端の空港であるロングイールビュエン空港から氷上基地の間をアントノフ74小型ジェット機で観光客と研究者を3月末から4月末の間シャトル輸送する。問題は、アントノフ74では基地建設に使用されたブルドーザーなどをシーズン終了時に持ち帰れないことである。従って、観光シーズンが終わるとブルドーザーを含め基地関連の全ての物資が廃棄物として氷上に遺棄され、夏になって氷が動き割れれば、北極海の海底に投棄されることとなるので、これまで20台を超えるブルドーザーや着陸に失敗したアントノフ74・1機を含む大量の廃棄物がロシアによって北極海に不法投棄され続けている。ちなみに不法投棄されている海域は北極海の公海部分であり、海洋に廃棄物を投棄することを禁じる1972年のロンドン条約をロシアも批准している。
      • 原文 February 25, 2020, The Barents Observer(長谷部正道)
    • 【2】 仏: 洗濯機にマイクロファイバーを流さないフィルターの設置義務付け
      • 【2】 フランスの担当大臣は、2025年1月より、国内全ての洗濯機に合成繊維衣料の洗濯の際、洗濯水の中に流れ出るマイクロファイバーをろ過するフィルターの設置義務付けを検討すると表明した。この法案が通れば、フランスはマイクロファイバーによる環境汚染防止に立法的な手段を取る世界で最初の国となる。洗濯排水中90%のマイクロファイバーが海や河川へ流れ出すのを防ぎ、また全ての洗濯機に取り付け可能なフィルターは既に開発されており、これによりフランス全土で年間500トンのマイクロファイバーの流出を防ぐとされている。
      • 原文 February 18, 2020, Ocean Clean Wash(植木エミリ)
    • 【3】 グリーンランド国営船社が重油使用・輸送規制の適用延期を要請
      • 【3】 IMOの第7回汚染防止・対応小委員会(PPR 7)で、2024年から原則として北極海における重油燃料の使用と輸送を禁止することで合意されたが、グリーンランド国営船社のCEOは、重油燃料が使用できなくなると、より経済的に高い舶用ガスオイルなどを使用しなくてはならず、4千万から6千万デンマーククローネ(約6億4千万円から9億6千万円)のコスト増となり、運賃を5%から8%引き上げなくてはならず、グリーンランド住民の生活を直撃すること、また、使用ばかりではなく輸送も禁止となると、アイスランドとグリーランドとの間の航路のように、北極海の外の海域でも割高な非重油燃料を使用しなくてはならず、重油燃料を使用して北極海の外の航路だけ運航する船社に比べて競争上不利になるとし、デンマーク政府に対し、2029年までの適用延長さらにできれば2040年までの適用延期を要望すると表明した。この発言に対してGreen Transition DenmarkやClean Arctic Allianceなどの環境団体は強く反発している。
      • 原文 February 27, 2020, High North News(長谷部正道)
    • 【4】 米・比関係さらに悪化へ
      • 【4】 比大統領の高位の側近が、同国内の麻薬組織取締りにあたり、違法に多くの犯人を処刑したとして米国政府から入国禁止措置を受けたのを受けて、2月上旬に、比大統領は何十年も継続してきた米軍の地位協定を一方的に廃棄すると米国に通告し、両国関係は既に険悪化している。同大統領の政敵で元司法長官の上院議員が作成した人権を重大に侵害した比政府高官の最終リストを米国政府は入手し、比大統領の高位の側近がさらに入国禁止等の制裁措置を米国政府から受ける可能性が高まっている。この上院議員は逮捕拘束されているが、2020年の米歳出法案(Appropriations Act 2020)は、国務省と関係省庁に対し、この上院議員の訴追に関与した政府高官等に対し制裁を加えることを求めており、さらにマグニツキー法は、深刻な人権侵害の罪を犯した世界各国の政府高官に対し、米政府が入国禁止を含む制裁措置を科すことを義務付けている。比上院は、今回の大統領による一方的な破棄通告は、上院の権限を阻害するものであるとして最高裁に大統領決定の取り消しを求めているが、最高裁の審議には時間がかかり破棄通告が発効する180日の期限に間に合わない可能性がある。
      • 原文 February 28, 2020, Asia Times(長谷部正道)
    • 【5】 イングランド銀行総裁が気候変動リスク情報の開示の重要性を強調
      • 【5】 イングランド銀行総裁のカーニー氏は2月27日、今年11月に開催される第26回気候変動枠組締約国会議(COP26)に先立って、英国の大手銀行の頭取等に対し、気候変動に関するリスクを計算し当該情報を投資家へ開示する枠組(Task Force on Climate-Related Financial Disclosures:TFCD)への参加を呼び掛けた。国連の気候変動問題の特使であり、COP26の議長にも内定しているカーニー総裁は、欧州中央銀行のラガルド総裁とともに、気候変動リスク情報開示の重要性を強調し、ラガルド総裁は、欧州の26の大手銀行や保険会社の大多数はまだほとんど情報を開示しておらず、完全な情報開示にはほど遠いと述べた。カーニー総裁は、気候変動問題の規模と、市民の関心の高まりを考えると、気候変動リスク情報の開示は包括的になる必要があり、COP26に向けた金融機関の課題は、全ての投融資に関する決断を対象企業の気候変動への取り組みやリスクを考慮したうえで行うことであると語った。
      • 原文 February 27, 2020, The Guardian(植木エミリ)
    • 【6】 コロナウィルス:韓国海運・港湾・航空貨物業界の影響
      • 【6】 旅客輸送の面では路線の休止や減便があるものの、韓国国内のコロナウィルス被害の拡大にもかかわらず、貨物輸送の分野では、今のところ同国内の港湾・空港ともほぼ正常に機能している。しかし、中国との貿易量が大きいため、中国国内の生産体制や物流の混乱の影響を同国海運・港湾業界は大きく受けている。最も大きな影響を受けているのは仁川港で、中国から輸入されるコンテナ貨物の量は約6割減少し、韓国最大の釜山港では1割程度の減少にとどまっているが、中国向けの積み替え貨物の同港における滞留量が増えている。中国の旧正月終了後1か月がたっても、韓国の海運業界は全ての部門で大きな影響を受けており、中国の工場からの部品のジャストインタイムサービスに頼っていた韓国の自動車産業も大きな影響を受けている。また大邱におけるコロナウィルスの爆発的感染の影響で、蔚山の現代自動車の工場の操業が停止したのも響いている。こうした業績の影響を受けて海運会社のSM Linesでは役員の給与が既に削減された。一方、多くの国が韓国から旅客の入国拒否・制限を始めたので、航空旅客便数が減少し、旅客便による航空貨物輸送量が減少している。
      • 原文 February 28, 2020, The Loadstar(長谷部正道)
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