2020/03/04LROニュース(6)

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  • 2020.03.05 UP
    2020/03/04LROニュース(6)
    • 【1】途上国にとってのゼロエミッション燃料の意味"
      • 【1】GHGを排出しないゼロエミッション燃料の製造・供給は、途上国の経済成長に大きな機会を与える。世界の20大港湾の内15港は途上国に位置しており、世界銀行は、Blue Economyを支援する複数のドナーから構成されるPROBLUE基金の支援を受け、こうした港湾を擁する途上国が世界的なゼロエミッション燃料のハブとなる可能性調査を開始した。このような大港湾のない小島嶼開発途上国(SIDS)でも、例えば太平洋の7つの島嶼国(フィジー・マーシャル諸島・キリバツ・サモア・ソロモン諸島・ツバル・バヌアツ)から成る太平洋ブルー海運パートナーシップでは、今世紀半ばまでに太平洋における海運の脱炭素化を目指している。SIDSは現在、エネルギー源の多くを化石燃料の輸入に頼っているが、自国で製造可能な再生可能エネルギーによるクリーンな燃料に転換していくことにより、将来的には化石燃料の購入に充てていた資金を他の公共事業に使用することができるようになる。
      • 原文 February 24, 2020, World Bank(植木エミリ)
    • 【2】EU Frontex: 2018年に実施された共同海上作戦行動に関する年次報告書"
      • 【2】欧州国境・沿岸警備隊(The European Border and Coast Guard Agency ; Frontex)は2月25日、2018年に実施した海上における国境監視活動を含む共同海上作戦行動に関する年次報告書を公表した。2018年に実施した共同海上作戦行動は、Themis 2018、Poseidon 2018、Indalo 2018及びHera 2018の4つで、すべての共同作戦において、Frontexの調整担当官の指揮のもと参加国やFrontexの職員が集う国際調整センター(International Coordination Center)を設置し、作戦行動や関係機関との調整を行った。これらの共同作戦行動の主な目的は国境警備であるが、海難が発生した場合には海難救助調整所が指揮をとり捜索救助活動が行われ、2018年には共同作戦の枠組みの中でFrontexは約24,276名の救助活動に関与した。第三国への難民や移民の下船措置は実施されなかったが、参加国が独自に行動した場合にはノン・フルールマンの原則(the principle of non-refoulement)が守られる限り実施可能であったり、EMSA、EFCAなど他のEUの組織に比べ厳格な規則が適用されていることが、共同作戦行動のホスト国を務めることを嫌煙する動きにつながることが懸念される。
      • 原文 February 25, 2020, EU Frontex(若林健一)
    • 【3】米北方軍:北極海における通信の問題を解決するためにSpace Xと連携"
      • 【3】北米北極圏を管轄する米北方軍は、Space X 社のStarlink衛星やAirbus社とOneweb社が提携して開発を進めるOneweb衛星を使用して北極海で通信実験を実施するため、2021年度予算として約1億3千万ドルを計上している。北極海では従来型の陸上通信施設や衛星を利用した通信施設はほぼ整備されておらず、米国沿岸警備隊(US Coast Guard;USCG)を含め、米軍にとって北極海における通信の信頼性の低さは、長期にわたる懸念事項となっている。USCG長官は2020年の年頭訓示の中で、国防総省と協力して北極海における新たな衛星通信網を検討していると述べ、問題の早期解決に向けて政府全体で取り組む必要性を強調した。米北方軍の司令官は2月上旬の上院軍事委員会において、露や中国による北極海でのプレゼンス拡大や軍事施設の増強に言及し、北極海は国家防衛のための新たな最前線であり、基本的な通信体制の確保が最優先事項であるとし、低軌道衛星(Low earth orbit satellites)の増強とStarlink衛星やOneweb衛星が北極海における通信体制確保の近道になると述べ、2022年度予算においても1億1千万ドルを要求する考えを明らかにした。
      • 原文 February 26, 2020, High North News(若林健一)
    • 【4】EUのプラスチック新税の概要"
      • 【4】EUで新しく導入が検討されているプラスチック税は、リサイクル不可のプラスチック1kgにつき80セントを政府に課すというものであり、EU2021-2027年予算において全ての加盟国から支持される新たな財源となる予定だが、EU首脳は予算に関する合意にまだ達していないため、詳細は変更される可能性がある。欧州委員会の当初の見積もりでは、新税による増収額は年間66億ユーロ(約7920億円)とされていたが、一人当たりの国民総所得がEU平均を下回る国に対しては減額措置が取られるため、7億ユーロ(約840億円)減額となる見込みである。リサイクル可能なプラスチック包材に関しては課税されないが、リサイクル率は国によって大きく異なっており、マルタ・仏・フィンランド・エストニアでは1/3以下となっている。国別の負担額を試算すると、仏・独が13億ユーロ(約1560億円)以上となり、減額が大きい国は、イタリア・スペイン・ポーランドが1億ユーロ(約120億円)以上減額となる見込み。
      • 原文 February 25, 2020, Politico(植木エミリ)
    • 【5】中国におけるコロナウィルスとCO₂の排出"
      • 【5】(論評)中国におけるコロナウィルスの大発生により、少なくても8万人以上の国民が感染し、政府が外出を禁止したため、多くの工場・石油精製施設が操業を停止し、航空便もキャンセルとなった。エネルギー・Clean Air研究センターによれば、この結果、過去3週間に中国国内で排出されたCO₂の量は対前年比25%の減少となった。中国から排出されるCO₂の量は非常に多いので、この3週間の減少分だけでもNY州の年間総CO₂排出量に匹敵する約1憶5千万MTとなった。中国政府が旧正月の期間を延長し、ウィルスの蔓延を防止するため国民の移動や集会を制限したため、建設業・製鉄業・航空産業など主要産業の活動も過去3週間の実績で対前年比15-40%の減少となっている。中国国内における過去の経済混乱の回復期の事例を見ると、産業界は落ち込んだ生産量を急激に回復させようとするため、環境対策は置き去りにされてきた。中国政府にとってウィルス拡大の管理と経済成長の維持が現在最大の政策的優先事項であり、鉄鋼やセメントの生産の回復が優先され、石炭依存率の削減などの環境面での努力目標は後回しになりかねない。
      • 原文 February 27, 2020, NY Times(長谷部正道)
    • 【6】欧州各地で広まる開放型スクラバー洗浄水の港内放水禁止"
      • 【6】Standard Clubによれば、仏・ポルトガル・スペイン・ジブラルタルの港湾で、開放型スクラバーからの洗浄水の港内排水を禁止する港湾が増加している。これらの港湾内では、開放型スクラバーに代わり、閉鎖型スクラバーを使用するか規制適合LSFOを使用する必要がある。
      • 原文 February 25, 2020, Standard Club(長谷部正道)
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