2020/03/03LROニュース(6)

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  • 2020.03.04 UP
    2020/03/03LROニュース(6)
    • 【1】船舶に成りすますメールによるサイバー攻撃が増加
      • 【1】船舶やその関連会社など海運業界をターゲットとして、件名に汽船を意味するMV(Motor Vessel)、タンカーを意味するMT(Motor Tanker)、船名などを含みマルウェアソフトやフィッシングリンクが添付された不審メールによるサイバー攻撃が相次いでおり、Dryad Globalは受信が確認された不審メールの件名、添付されていたマルウェアソフトなどの一覧を公開している。また、不審メールの中には船舶に成りすましたものではなく、世界保健機関によるコロナウイルスに関する勧告を装ったものも含まれている。受信者から機密性の高い情報を引き出し、資金を搾取し、マルウェアソフトを陸上や船舶間のITネットワークに仕込むことを狙ったサイバー攻撃は、海運業界が日々直面している脅威であり、時に他者に対する弁済の責務を負わされることもある。不審メールが受信ボックスに到達することを防ぐことが第一の予防策ではあるが、送信者は不審メールの検出を逃れるための新たな技術を日々開発しており、すべての海運関係者に対して自分たちが絶え間なくサーバー攻撃にさらされていることを認識させること、潜在的なフィッシング詐欺を見つけ出すための実用的な手引書を提供するなどの対策が求められる。
      • 原文 February 23, 2020, Dryad Global(若林健一)
    • 【2】Brexit: 英国政府が英国と北アイルランド間の物資輸送の検査を拒否
      • 【2】アイルランドの国境問題は、Brexitに関する交渉でも最も難航した問題のひとつで、北アイルランドとアイルランド間の税関検査の復活などはどちらのサイドも望まない中、非常に困難な交渉の結果、アイルランド向けの貨物については、EU単一市場の統合を守るため、英国政府はEUの定めた基準に適合したものとすると約束した。しかし、英首相官邸の報道官は北アイルランドの産業界は、英国本土の市場との間で全く制限のないアクセスが保証されるべきで、英国政府はいかなる港湾当局に対しても、英国と北アイルランド間を輸送される海上貨物について、(EUと約束した品質保持のための)検査を実施することを要請しないと発表した。これに対して、アイルランドの首相代行は英国離脱協定の中の北アイルランドの取り扱いに関する部分は国際協定に基づく合意であり、英国政府がなし崩しにすることは出来ないと語っている。
      • 原文 February 24, 2020, AJOT(長谷部正道)
    • 【3】中国が洋上風力発電だけで沿海部の電力需要を賄うことも可能に
      • 【3】ハーバード大学工学・応用科学スクールと華中科学技術大学の共同研究によると、中国で今後建設される洋上風力発電施設によって、特に人口の多い沿海部における電力需要量の5.4倍を供給できる可能性が明らかになった。陸上風力発電に比べ、コストが高いとされていた洋上風力発電にはこれまで大規模な投資がされてこなかったが、中国全土における電力重要の内、沿海部の需要は8割を超えており、一方陸上風力発電施設の大多数は沿海部から1000マイル(約1600㎞)以上離れていることから、送電コストを考えると沖合に発電施設を作ることは理にかなっている。研究者たちが洋上風力発電施設の建設可能な地域を選定し、当該地域における1時間当たりの可能発電量を試算したところ、一番有望なのは福建省であり、次いで浙江省・広東省・上海・海南となった。技術の進歩によって、洋上風力発電のコストは石炭や原子力と経済的に競えるレベルになってきており、建設コストの低下が、洋上風力発電の更なる追い風となる見込み。
      • 原文 February 24, 2020, gCaptain(植木エミリ)
    • 【4】中国船主協会が政府にIMO 2020規制の実施延期を要請か?
      • 【4】コロナウィルスによる経済的・物流面での影響で中国国内ではIMO 2020規制の遵守が難しくなっており、Standard Clubによれば中国の海運会社は船主協会を通じて、IMO 2020規制実施の延期を政府に申し入れており、中国政府は1年間の実施延期を検討中とされている。一方、上海国際海運研究院の研究者は、これまで中国は世界に先駆けてLSFOの供給体制の整備を進めてきたにもかかわらず、もし、規制の実施を1年作送りすれば、中国の対外的なイメージを悪くし、アジア内の他の燃料供給ハブに大きく後れをとることになるとコメントしている。
      • 原文 February 25, 2020, Ship & Bunker(長谷部正道)
    • 【5】USCG: 8年ぶりに太平洋の米EEZで違法漁業の取締り
      • 【5】テキサス州沖ではメキシコ漁船の取締りは米国沿岸警備隊(US Coast Guard:USCG)の日常的な業務となっているが、USCGは、2012年以来となる外国漁船による米国領排他的経済水域(Exclusive Economic Zone:EEZ)への進入と違法操業を認めたとして、中部及び西部太平洋の米国領EEZ内で8年ぶりに違法漁業の取締りを実施した。USCGは、グアム沖及びハワイ沖においてハワイを基地とする航空機を飛行させ監視活動を行い、確認された違法漁業に関する情報は米国海洋大気庁海洋漁業局の法執行部門に送られ、今後捜査が行われる。マグロの漁獲高は卸値で年間100億ドルから120億ドルとであり、その約7割が太平洋の通称Tuna Beltにおいて捕獲されており、中部太平洋におい行われる多くの違法漁業はマグロを目当てに行われている。
      • 原文 February 24, 2020, The Maritime Executive(若林健一)
    • 【6】Clean Arctic Alliance: 北極海における重油燃料使用禁止の例外を批判
      • 【6】IMO第7回汚染防止・対応小委員会(PPR7)において、2024年7月からの北極海における重油燃料使用禁止が合意され、今年10月の海洋環境保護委員会(MEPC76)での承認を目指す運びとなったが、北極海沿岸国の自国海域内における自国船籍への規制適用を2029年7月まで除外、また二重船殻あるいは防護燃料タンクを有する船舶についても同様に除外とするため、このような規制の“抜け穴”によって、重油燃料の禁止が実質的に2029年7月まで実施されないとしてClean Arctic Alliance(CAA)は批判した。同団体の試算によると、この例外によって現在北極圏で使われている重油の総量の3/4以上、船舶で輸送される重油の総量の2/3以上が規制の適用除外となり、今後10年近く引き続き重油燃料の使用が可能となった。また2015年から2017年にかけて、重油燃料で航行する船舶が3割増加していることを指摘し、上記の大幅な除外規定に鑑みると、北極海における重油の使用・輸送総量は禁止の合意に関わらず増加するとの懸念を示した。CAAはIMO加盟国に対し、規制実施の前倒しか、例外措置の見直しを求めている。
      • 原文 February 21, 2020, Clean Arctic Alliance(植木エミリ)
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